第1章 電気工学の基礎

第1章 電気工学の基礎
1.1
1.2
1.3
1.4
1.5
1.6
電磁気学
回路素子
直流回路
交流回路
電気計測
通信用電力
1.4 交流回路
1.4.1
1.4.2
1.4.3
1.4.4
1.4.5
1.4.6
実効値・波形率など
共振回路
交流電力
交流ブリッジ
整流回路
電源回路
1.4.1 実効値・波形率など
(1)交流波形
一定の周波数で同じ波形を繰り返すので,
複数の周波数の正弦波の合成波となる。
解析でフーリエ解析が使われることが多い。
電圧
Emax
0


2

3

2
 Emax
正弦波形(電圧波形)
2

はラディアンである。
時間目盛にするには

2
  , 2 


 : 各速度
(2)各種性質を示すための因子
1 T
2



f
(
t
)
dt
effec

0
T
実効値 : E
 2 f
電圧
f   2
Emax
角速度 : 
周波数 :
周 期:
平均値 :
T  1 f  2 
Eav 
2


2
0

3

2
 Emax
正弦波形(電圧波形)
Emax
正弦波の場合
波高率 :
波形率 :
E max
Eeffec
Eeffect
Eav
Emax
 0.707Emax
2
E
Emax
 2
波高率  max 
Eeffec Emax 2
E
E
2


波形率  effect  max
Eav
2Emax  2 2
実効値 
2

2
sin

補足(正弦波の実効値)
1  cos 2t
1
t  dt  
dt  t   cos 2t  dt 
2
2
x  2t
とおいて dx  2dt
1
1
sin 2t
 cos 2t  dt  2  cos x  dx   2 sin x   2
1  sin 2t 
  sin t  dt   t 

2
2 
2
T
 Eeffec 
1
1  1  sin 2T 
2
sin
t

dt

t 



0
T
T 2 
2  0
T
T
1 1
1
1
1






T

0

0

0



T  2
2
2
2
0
ただし,正弦波はよく使うので,結果を覚えておこう!!
(3)方形波(パルス)の波形率
電圧
A
0


T
Eeffect 
Eav 
1 T
1  2
1 2

2


f
(
t
)
dt

A
dt

A


A
T 0
T 0
T
T
A
T
波形率 
A  T
T

A T

(4)非正弦波の実効値
非正弦交流の実効値は,
直流分,基本波およびそれぞれの実効値の2乗の和の平方根となる。
例えば,基本波,第3高調波,第5高調波のとき,それぞれの成分の電流最大値が
I m1[A], I m2[A], I m3[A] であるとき,
2
2
2
I  I  I 
I effect   m1    m 2    m3  
 2   2   2 
I m21  I m2 2  I m2 3
2
1.4.2 共振回路
(1)関係式
関係式
L-R-C回路
Vc
C
I
VL
VR
L
R
E
I
E

1 

R 2   L 

C



E
[A]
Z
(インピーダンス)

1 
 []
Z  R 2   L 
C 

E 1
1
VC  IX C  
[V], X C 
[ ]
Z C
C
(容量リアクタンス)
E
VL  IX L    L [V], X L   L []
Z
(誘導リアクタンス)
E
VR  IR   R [V],   2 f
Z
(2)共振(同調)周波数
関係式
I
E

1 

R 2   L 
C 

2
[A]
以下の関係が成立するとき
電流は最大になる
回路は共振状態にあるという。
このとき電流と電圧は同相になる。
L  1 / C  0
このときの周波数 f C   / 2 
1
2 LC
[Hz]
を共振(同調)周波数という(このとき電流と電圧は同相になる)。
また,このとき Z  R となる。
(3)計算例
共振周波数/角速度
L-R-C回路
2.0 F
10 mH
2.0 kΩ
C
L
R
I
1
1
1
 0  L 
 2 
C
C
LC
1
1
 

LC
10103  2  106
10

103  7.07 103 [rad/s]
2
L 
E
f 

 1.126 103 [Hz]
2
1.4.3 交流電力
(1)複素平面での考え方
複素平面で考える

I  E
Z
L-R-C回路

1 

Z  R  j L 

C 

I
Vc
VL
VR
C
L
R
E
(2)L-R-C回路での関係式の捉え方
I , E , Z は I, E , Z の絶対値とみなすことができる。
I
E

1 

R   L 

C


2
, tan 
L  1 ( C )
R
jI
I を横軸にとり, I に虚数単位 j を乗じた方向( jI )を縦軸にとる。
jLI
E

I
j
C
IR
1 

jI L 


C


I
複素平面での電圧と電流の関係
(3)消費電力
消費電力
有効電力
jI
P  EI cos 
無効電力
Q  EI sin 
力率
cos 
皮相電力
EI
jLI
E

I
j
C
IR
1 

jI L 


C


I
複素平面での電圧と電流の関係
(4)計算例
有効消費電力が
500WのときのXCを求める
L-R-C回路
X C X L 10 [] R  20 []
C
I
R
L
E
消費電力は,Rのみが寄与するから
500  20 I 2  I  5 [A]
VR  RI  20 5  100[V]
V L X L I  10 5  50 [V]
VC  X C I  5 X C
2002  VR2  V LVC   1002  50  VC 
2
200[V]
2
 50  VC   2002  1002  3 1002
2
50  VC   3 100
VC  50  3 100
VC  0  VC  50  3 100  50  173  223[V]
X C  VC I  44.6 []
1.4.4 交流ブリッジ
(1)平衡条件の成立
ブリッジ回路
以下の条件が成立するとき,
検流計Gに電流が流れない
d
a
G
b
c
Z1  Z3  Z2  Z4
(2)交流ブリッジの平衡条件
ブリッジ回路
R1
L1
a
平衡条件の計算
Z1  R1  jL1 , Z 2  R2 ,
d
R4
G
Z 3 
c
C3
R3
1

,
1 R3  j C3 1  j C3 R3
Z 4  R4

R2
b
R3

R3
  R2 R4
 1  j C3 R3 
R1  jL1 R3  R2 R4 1  j C3 R3 
R1  jL1 
 R1 R3  R2 R4 ,
L1 R3  R2 R4 C3 R3  L1  R2 R4C3
直流のときは
R1R3  R2 R4 のみであり,これをホイーストンブリッジという。
(3)計算例
ブリッジ回路
R1
L1
a
平衡条件の計算
R1  20 , R2  100 , R3  100 ,
L1  50 H のときの R4 , C3 を求める。
d
R4
G
c
C3
R1R3  R2 R4 から
R4 
R2
b
R3
R1 R3 20100

 20 []
R2
100
L1  R2 R4C3 から
L1
20  106
C3 

R2 R4 100 20
 0.01 106  0.01[ H ]
直流のときは
R1R3  R2 R4 のみであり,これをホイーストンブリッジという。
1.4.5 整流回路
交流を直流に変換する回路
(1)整流回路の代表例
全波整流回路
倍電圧整流回路

V
C
Output
Input
V
C

Input



Out put
V
C


全波整流回路ブリッジ形

①どれもコンデンサを充電する形
V
Input
V
C

②定電圧電源や基準電圧源としては,
ツェナーダイオードが用いられる。
Output
③ツェナーダイオードには逆方向の電
圧がかけられる。

(2)ツェナーダイオード
特性
[ツェナー効果]
通常のダイオードに逆方向に30V以上
の電圧をかけると降伏状態に陥り,急に
電流が流れる現象(トンネル効果)。
このときの電圧をツェナー電圧という。
I
ツェナー電圧
V
[ツェナーダイオード]
ツェナー電圧が低い状態でも起きるよう
半導体の不純物を調整したダイオード。
一般に逆方向に電圧をかけて用いられ
る。
単純な回路例
以下の電源E≧6Vであり,
ツェナー電圧が6Vのとき
A点の電圧は-6V一定となる。
R
A
E
1.4.6 電源回路
(1)電源回路の構成
①通信では,直流電源を用いることが多い。
②整流回路と平滑回路を組み合わせるのが一般的。
③電圧変動を少なくするために安定化電源が用いられる。
④電源断に備えて安定化電源と蓄電池を組み合わせる。
(2)安定的な電圧・電流
①ツェナー電圧が高いほどノイズが大きいので,たとえば3
0Vの電圧がほしいときは,15Vのツェナーダイオードを
2本直列につなぐ。
②負荷抵抗に関わらず電流を一定に保つ(定電流源)には,
電源の内部抵抗を大きくする。
ri
インピーダンス無限大
R
E
不安定な
電源
安定な
電源
E
I
ri  R
ri ≫ R のときほぼ一定
ri   が理想的
ツェナーダイオードを用いた
安定的な電源