安井俊夫の実践

安井俊夫の実践
歴史と立場
歴史嫌いは何故生まれるか
• 日本の歴史教育の伝統が影響
– 同心円拡大的歴史教育
– 知識伝授的
– 物語性の欠落
– 受験による動機付け
• History 歴史の中に物語がはいっている
• Geschichte 歴史= 物語
歴史は何故対立するのか
• 歴史書は通常自己の立場の正当化→事実の
歪曲が起きる
– 日本書記
– 太平記
• 歴史書は通常勝者の立場からの見方(例外
もあるが)→敗者や民衆等異なる立場の見方
• 歴史書は政治の道具として機能することが多
い。
• 歴史は科学でありうるか
日本をめぐる歴史の対立・相違
• 第二次世界大戦をめぐる対立
– 従軍慰安婦
– 南京虐殺
– アジアの解放
• 日韓の大きな対立
– 秀吉の朝鮮侵略
– 安重根
• 事実をめぐる問題点 聖徳太子・大化の改新
• どこから見るか 田沼改革
• 共感 一揆・踏み絵
歴史を見る視点
• 政府の史観(政治を担った者の視点)
– 法・政治制度史・経済史等はほぼ政府史観
– 否定された法や制度、経済は否定的に
• 民衆史観
– 社会・経済を実質的に担っている人からみた歴
史
– 抵抗した人々の歴史
• 安井の歴史教育の方法
歴史は何を学ぶのか
• 学習指導要領の歴史教育観(テキスト)
• <歴史教育者協議会の設立趣意書>
私たちはかぎりなく祖国を愛する。そうして私たちは、日本からいっ
さいの封建的なものや、ファッショ的なものを排除し、一日も早く、内
には民主主義を発展させ、外には国際平和に寄与するようになる
ことをねがうものである。私たち歴史教育に関心をもつものは、過
去においてあやまった歴史教育が軍国主義やファッシズムの最大
の支柱の一とされていた事実を痛切に反省し、正しい歴史教育を
確立し発展させることが私たちの緊急の重大使命であることを深く
自覚する。
私たちの確信によれば、
1、歴史教育は、げんみつに歴史学に立脚し、正しい教育理論にの
み依拠すべきものであって、学問的教育的真理以外の何ものから
も独立していなければならない。
歴史教育者協議会の設立趣意書
• 2、歴史教育は、すべての国民が社会や国家の主人としてそれを発展さ
せてゆくべき権利と責任とをもっているところにおいてのみ、かつ、その歴
史創造の実践に役立つものとしてのみ発展することができたという歴史
的事実と理論にかんがみ、民主主義的実践的立場と目的こそが正しい歴
史教育の根本の立場と目標である。
3、歴史教育は国家主義と相容れないと同時に、祖国のない世界主義と
も相容れないのであって、 国家の自主独立が真の国際主義の前提であ
るという歴史的事実と理論にかんがみ、正しい歴史教育は正当な国民的
自信と国際的精神を鼓舞するものでなくてはならない。
このような歴史教育をうちたてるには、歴史学者が歴史教育者と提携す
ることはもとより、すべての歴史および教育に関心をもつものが協力しな
ければならないであろう。
その提携協力の機関として、ここに私たちは歴史教育者協議会を設立す
る。民主的な祖国の再建を志し、歴史教育に関心をもつすべての人が、こ
ぞってこの会に参加し、正しい歴史教育の研究に、実践に、普及に、発展
に協力されんことを切望してやまない。
安井俊夫実践の特質1
• 概説型授業(歴史をつまらなくする典型)への
批判 大事なことを説明・板書・ノート
• 支配者史観と民衆史観への批判
• 事実の提示→疑問と発見(cf 知識の提示)
• 子どもの視点と楽しさの追求
• 共感
• 議論の楽しさと学力の定着
安井俊夫実践の特質2
• ステップ1 重点化 (織田信長の統一を例)
• 桶狭間の戦い・家康との同盟・上洛・足利義
昭の将軍擁立・姉川の戦い・叡山焼き討ち・
一向一揆との戦い・畿内への勢力拡大・義昭
追放・長篠の戦い・安土城築城・本願寺制圧・
キリスト教保護・検地・楽市楽座
• 実習生や新任教師 課題の多さとすべてを教
えることの困難さで支離滅裂になる
安井俊夫実践の特質3
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ステップ2 問いかけ
子どもの視点にたつ
子どもがどう受けとめるか
子どもが理解するために必要な教材(事実)
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織田信長に則して考えてみよう
共感について
• 共感の問題
藤岡信勝への批判
– 開戦・特攻隊などへの共感を誘導
– アメリカの日本への圧力のみを材料とする
– 日本の満州事変や21カ条要求などを無視
• 歴史学習は、共感の喚起なのか、理性的理
解なのか
– キリスト教禁止の「踏み絵」で考えてみよう