企業論特論 日本企業の国際競争力とグローバルシェア 国境を越えた経営戦略 経営情報システム専攻1年 07539182 金井 努 1 0.目次(伝えたいこと) 1.海外進出した日本企業の状況 2.海外進出の目的 3.国際競争力強化のための戦略 4.国際的企業評価 5.結論 2 1.海外進出した日本企業の情況(1/4) 表1 海外現地法人の設立時期別の構成比 (出典:日本企業の海外進出状況 http://www.meti.go.jp/statistics/downloadfiles/h2c3e1ni.pdf ) 日本企業が所有する海外現地法人数は3,852社 (平成16年4-6月期) 1985年以降に海外への工場移転が激増(75.9%) 3 1.海外進出した日本企業の情況(2/4) 表2 業種別、設立時期別海外現地法人数 (出典:日本企業の海外進出状況 http://www.meti.go.jp/statistics/downloadfiles/h2c3e1ni.pdf ) 海外進出が著しい業種は電気機械、輸送機械 ここ15年間に、それぞれ約70%が進出 4 1.海外進出した日本企業の情況(3/4) 表3 製造業の海外生産比率 (出典:経済産業省ホームページ 平成16年度ものづくり白書 ) 電気機械、輸送機械を中心に海外生産を進め、 2004年度には過去最高の16.2% 5 1.海外進出した日本企業の情況(4/4) 表4 製造業の地域別現地法人と国内全法人の売上高利益率 (出典:経済産業省ホームページ 平成16年度ものづくり白書 ) アジアを中心に高い利益率を継続 そもそも、なぜ海外進出を行ったのか? 6 2.海外進出の目的(1/3) 表5 企業の雇用人員判断D.I.の推移(D.I.=過剰企業割合-不足企業割合) (出典:労働経済の分析 http://wwwhakusyo.mhlw.go.jp/wpdocs/hpaa199201/b0031.html ) 長い間、労働力不足が問題 1970代(昭和45年から)に入ると、労働力を求めて台湾、 韓国、香港に進出 従来の海外進出は労働力確保が目的 7 2.海外進出の目的(2/3) 1970年代末 米国半導体メーカがシンガポール進出 日本企業もシンガポール、マレーシア進出 1980年後半 より賃金が安く、外資出資規制を緩 和したタイ進出 1990年代 タイでのエンジニア確保困難のため インドネシア進出 日本国内で労働力確保が難 しくなり、台湾、韓国、香港に 展開 そこでの賃金が高くなる度に シンガポール、マレーシア、タ イ、インドネシア、中国へ進出 その背景は、日本の労働力 不足 1992年 対外開放加速した中国へ進出 8 2.海外進出の目的(3/3) 表6 物価下落 108 106 104 102 100 98 96 94 92 90 88 2001 2000 2000 1999 1998 1998 1997 1996 1996 1995 1994 1994 1993 1992 1992 1991 1990 1990 卸売物価指数 (出典:Deflationのまとめ http://www.isc.senshuu.ac.jp/~the0350/v5/seminar/active/01/data.ppt ) 年々続く、物価の下落(デフレ・スパイラル) この状況で利益を上げるのは困難 近年では、日本経済のデフレのなか海外に活路を見出 そうとする展開に変化 新たな市場開拓・確保 9 3.国際競争力強化のための戦略(1/7) 表7 日本企業の主要電子製品生産(国内+海外)とグローバルシェア (出典:国際競争力復活の方向性 http://www.nri.co.jp/opinion/chitekishisan/2002/pdf/cs20021203.pdf) AV(音響・映像)機器やパソコン周辺機器では、従来の シェアを辛うじて確保 日本が得意なDVD、プリンタなど一部を除けば、グロー バルシェア確保できていない状況 10 3.国際競争力強化のための戦略(2/7) 国際競争力強化の3段階の戦略 第1段階 販売、物流部門は海外に置くが、 製造部門を含む他の部門は日本 日本の先進的な企業は第1 段階はすでにクリア 第2段階に達し、現在は第3 段階へ移動中 第2段階 生産施設を海外に設立 第3段階 財務や研究開発といった中核部門まで 海外に置く国際的な経営 (出典:斉藤優,伊丹敬之 技術開発の国際戦略) しかし、大企業の技術開発 部門はさらに複雑な5段階の 戦略 11 3.国際競争力強化のための戦略(3/7) 第1段階 技術スカウト(偵察) 日本で製造した製品を海外で販売するための技術精査 科学的、技術的な情報と製品情報を、日本にある製品開発部門 に伝えることが目的 いくつかの企業では、専門のスカウトを送って 情報を収集 12 3.国際競争力強化のための戦略(4/7) 第2段階 技術修正 海外の生産施設へ技術移転をするための前段階 現地市場に合わせた製品技術の変更 既存の製品の変更であって、新製品開発は日本 海外の技術部門では現地技術者も雇うが、多くが日本人 基本的な日本企業の習慣の下で従事 13 3.国際競争力強化のための戦略(5/7) 第3段階 技術移転 サプライヤーとの技術提携 生産設備への技術移転の援助 特許の相互仕様 契約研究の監督 14 3.国際競争力強化のための戦略(6/7) 第4段階 新製品開発 研究開発研究所は主要業務として新製品開発に着手 第5段階 研究開発 基礎研究に取り組み、国際的な状態 15 3.国際競争力強化のための戦略(7/7) 戦略の段階(まとめ) 第5段階:研究開発 第4段階:新製品開発 第3段階:技術移転 第2段階:技術修正 第1段階:技術スカウト 多くの大企業は第2段階から第3段階に移動中 16 4.国際的企業評価(1/4) 国際的企業評価マップ Y 視点:国 国際的企業に向けて、現在ど の位置にいるのかマッピングで 評価 国際的 複数の国において研究開発を 行っている場合に国際的企業 日本国内 視点:機能 X Y軸は、技術的戦略の段階 X軸は、地理的分散の度合 視点:国では、海外の1つの国 で基礎研究を含めた研究開発を 実施 視点:機能では、複数の国に おいて技術スカウトを実施 (出典:Perrino, Albert C., and James W. Tipping. Global Management of Technology. Research-Technology Management, May/June) 17 4.国際的企業評価(2/4) 多くの日本企業の場合 Y 視点:国 国際的 日本国内 視点:機能 X 多くの国において技術スカウトを行っているが研究開 発までは至っておらず、技術修正や技術移転の段階 18 4.国際的企業評価(3/4) ブリヂストンの場合 Y 国際競争力の強い企業 グローバルシェア拡大 視点:国 日本国内 視点:機能 X 日本企業では数少ない国際的企業 アメリカ、イタリアにおいて研究開発センターを設置、また世界6 カ国にタイヤテスト用コースを持ち、現地の研究機関と提携 19 4.国際的企業評価(4/4) 表8 ブリヂストンのグローバルシェア (出典:ブリヂストンホームページ) 世界のタイヤ市場シェア1位 開発~販売・サービスに至るリードタイムを短縮し、それぞれ の国において高い顧客満足度達成(=高い国際競争力) 20 5.結論 国際競争力の強化 グローバルシェアの拡大 第5段階 第4段階 第3段階 第2段階 国際競争力を強化するため には、現地での技術修正・移 転に留まらず、新製品開発・ 研究開発までを行う必要有 経営自体も国際的視点 国際競争力が上がることに が、グローバルシェア拡大に 直結 第1段階 21
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