情報社会と企業経営 経営情報システム論A ― 企業経営におけるICTの活用

情報社会と企業経営
経営情報システム論A
― 企業経営におけるICTの活用 (2)
©2005, Kiyoshi Murata
情報社会

情報革命




農業革命 ← 農耕技術
産業革命 ← エネルギー制御技術
情報革命 ← 情報通信技術(ICT)
革命とはいかなる意味か?


社会や経済,生活の劇的変化
価値観の大きな変化を伴う
情報社会

いかなる社会でも情報や知識は重要な役割
を果たしている


狩猟・採取社会:獲物や果実に関する知識・情報
農業社会,工業社会,情報社会


技術はそれが適用される対象に関する情報・知識を
ベースに開発され,適用される
ICTは工業製品として具体化され,使用に供される
情報社会

情報経済の進展


先進国(industrial nations)では
付加価値を生み出す源泉は情報・知識

重厚長大産業





先端技術:ICT,ナノテク,新素材…工業製品
今も,昔も:知識の拡散に伴う価値償却
情報産業の発展


ベンダー企業:ICTの絶え間ない発達 … ドッグイヤー
ユーザー企業:ICTの導入によるコスト削減・合理化


オフショア生産
先端技術を導入したものへの特化
情報産業の雇用吸収力の向上
経済のソフト化:製品からサービスへ
情報社会

ネットワーク革命

インターネット技術の発展と普及


デジタル通信:情報処理技術と通信技術の融合
ネットワークインフラの整備




ハードインフラ:技術開発,ネットワークの敷設
ソフトインフラ:規制緩和,情報リテラシー教育
オープンネットワークのビジネスにおける活用
ネットワーク外部性

「顧客囲い込み」の論理
ネットワーク社会

「インターネットの真に革命的な点は,それ
が情報や経験,資源をコントロールするパ
ワーを組織から個人に移転させたところ」
(Shapiro,Control Revolution, PublicAffairs,
1999)

インターネットへのビジネスの論理の侵入
(Lessig, Code and Other Laws of Cyberspace,
Basic Books, 1999)
ニューエコノミー?

ニューエコノミー論

IT革命⇒ユーザ企業における新規IT投資
⇒IT関連企業への需要増
⇒IT好況:ベンダ企業における売上増
IT関連職種での雇用増
+新規職種発生




IT武装⇒利益構造改善>IT投資
⇒IT好況:ユーザ企業における利益増
IT起業⇒高度な製品・サービスの低価格での提供
インフレと失業の克服
景気循環の消滅



ハイテク革命:innovation
グローバル化
低価格圧力
ニューエコノミーの幻想の後で

2000年 ネットバブル崩壊

アメリカ・ナスダックにおけるIT関連銘柄の
株価下落


ストックオプション
ICTが今後のビジネスにとって有効な技
術基盤を提供することは,疑いの余地
がない


どれほどの有効性を?
どのように有効性を実現できるのか?
経営資源としての情報


ヒト,モノ,カネ
情報は

第4の経営資源




知識,技術,ノウハウ,スキル(熟練)
信用,ブランド,評判:見えざる資産
顧客情報
プライムリソース

人的資源の優越性


解釈主体・創造主体・利用主体
人間という本源的情報システムの役割の明確化
 どのような知的作業がICTに移転可能なのか?
組織体と情報システム

企業環境


不確実性・多様性の増大
情報的相互作用を充実させる必要性


組織内部における情報的相互作用
組織と環境の間での情報的相互作用



環境変化への的確な対応
環境への能動的働きかけ
情報システム

情報的相互作用の支援メカニズム
経営情報システムとは

伝統的考え方



ICT-based Information System; CBIS
IS Department = MIS as a subsystem
伝統的発想の限界

情報活動と業務・管理活動の不可分性の無視



業務・管理活動の質的改善・改革が不可能に
組織における情報活動に対する人的資源の役割
の軽視
生産性パラドクス研究における発見

ICTは人的・組織的要因と連動することによって収
益性・生産性の向上に貢献する
経営情報システムとは

情報システムとみなせる組織制度

情報共有と学習のメカニズム






TQC/ TQM
提案制度
OJT
ジョブローテーション
大部屋制度
業務・管理と情報技術の融合化システム:人間を軸に
した情報システム

多能工化

人間がICT-based ISを支援する
経営情報システムのスペクトラム
hidden
意味
価値
inconspicuous
理念 文化 制度
conspicuous
CBIS
解釈という人間活動を軸に情報システム
を概念化する
最前線の情報システム
情報獲得
情報
意味付け
処理済 価値評価
データ
:インディビデュアル
コンテクスト
データ
情報技術
ベースの
情報システム
:テクニカルコンテクスト
CBIS
環境への働きかけ
環境データ
総体としての経営情報システム
企業を取り巻く意味と価値の体系
企業の価値観
整合性:
:ソシアル
コンテクスト
企業理念
自己維持機能支援
企業文化
フィードバック:
戦略
自己組織化機能支援
組織構造・組織制度
CBIS
:オーガニゼーショナル
コンテクスト