9章 レイトレーシングを学ぶ

9章 レイトレーシングを学ぶ
影付け,映り込み,光の屈折・反射などが表現で
き,リアルな画像を生成できるレイトレーシング法
について説明する.
9.1 レイトレーシング法の原理
物が見える
→光源から発せられた光が目に届くから
レイ
画素
視点からレイを発生させて
可視点の輝度を計算して
やればよい.
可視点
視点
光源から発せられたすべての光のうち,目に届く光をすべて求めればよい.
目に届く光にだけ注目すると,大幅に計算時間は短縮される.
レイトレーシング法では,光源から光を追いかけるのではなく,視点から光
を追跡している.
9.2 可視点の輝度計算
光源
光源からの光
が直接可視点
で反射した光
直接光
c
a
他の物体で反
射した光がさら
に可視点で反
射した光
反射光
視点
b
レイ
画素
光源又は他の物体
からきた光が屈折し
た光
屈折光
可視点V
スクリーン
9.2 可視点の輝度計算
反射光
法線
(a)拡散反射
全方向に一様に
反射する.
法線
(b)鏡面反射
正反射方向に最も
強く反射.ずれるほ
ど弱くなる.
法線
(c)完全鏡面反射
正反射方向にのみ
反射する.
間接反射光や屈折光の場合は,他の物体からきた反射光・屈折光は全方向の
成分を持つので,全方向について追跡が必要である.(厳密には)
正反射方向や正屈折方向以外は非常に弱い光しかないと考えられるので,
レイトレーシング法では,正反射方向および正屈折方向のみを追跡する.
9.2 可視点の輝度計算
アルゴリズム
1.
2.
3.
4.
可視点vでの直接光による輝度を求める.すべての光源に対して,影に
なっていないかどうか調べ,影になっていなければ,拡散反射による輝度
Idと鏡面反射による輝度Isを計算する.
可視点vでの正反射方向を求め,可視点を通り正反射方向の直線をレイ
として,レイと物体との交点をすべて求め,可視点に最も近い交点aを新
たな可視点とする.新たな可視点の輝度を輝度計算アルゴリズムにより
求め, I r1とする.
可視点vにおける正屈折方向1を求め,可視点がある物体を通過し終わる
点bを求める.点bにおける正屈折方向2を求め,点bを通り正屈折方向2
の直線をレイとして,レイと物体との交点をすべて求め,点bに最も近い交
点を新たな可視点cとする.新たな可視点cの輝度を輝度計算アルゴリズ
ムにより求め, I r2とする.
求める可視点の輝度I は,注目物体の反射率kr1,透過率kr2とすると,
I 
I
光源数
d

I
光源数
s
 k r1 I r1  k r 2 I r 2
9.3 反射現象と透過・屈折現象
1.正反射方向
正反射は入射角と反射角が等しくなるように起こる.
Vn , Vray : 単位ベクトル
Vr :正反射方向ベクトル
Vn
入射光
θ
Vray
Vr  (2 cos )Vn  Vray
法線
物体表面
反射光
θ
Vr
9.3 反射現象と透過・屈折現象
2.透過と屈折
スネルの法則
n1 sin 1  n2 sin  2
法線ベクトル Vn
入射光 Vray
1
屈折率n1
屈折率n2
2
反射光 Vr
スネルの法則