「大学における図書館に関する 科目」の最近の動向 2009.9.11 於・第61回近畿地区図書館学科協議会 志保田務 私の立場(平成15年度以降~本日) 1 日本図書館協会図書館学教育部会会長 (同部会幹事会を主宰)常務理事 2 文部科学省生涯学習政策局社会教育課「こ れからの図書館検討協力者会議」委員 3 日本図書館研究会理事・研究委員(現在: 委員長) 図書館法改正以降の関係事項 ・図書館法改正(平成20年6月11日)。「大学において履修すべき図書館に 関する科目案検討経過について: これからの図書館の在り方検討協力者 会議・ 薬袋秀樹主査(平成20年7月26日)。 以下すべて、平成21年 ・司書資格取得のために大学において履修すべき図書館に関する科目の 在り方について(パブ・コメ)1月16日ー26日 ・図書館法施行規則の一部を改正する省令に対する意見公募手続(パブ リック・コメント)の実施について 4月2日ー22日 ・JLA図書館学教育部会2009年度第1回研究集会 4月25日 (図書館法施行規則の改正について 栗原・文科省企画官) ・図書館法施行規則改正 4月30日 ・改正司書養成科目・学芸員養成科目に関する説明会 6月29日(東日本6 月2日) ・改正司書養成科目に関するQ&A 文部科学省生涯学習政策局社会教育 課 7月31日付け送付 ・図書館法、第5条関係の改正内容 (平成20年6月) 第五条 (司書及び司書補の資格) [1]次の各号のいずれかに該当する者は、司書となる 資格を有する。 一 大学を卒業した者で大学において文部科学省 令で定める図書館に関する科目を履修したもの 二 大学又は高等専門学校を卒業した者で次条の 規定による司書の講習を修了したもの (以下略) 旧第5条1項の規定 第五条 (司書及び司書補の資格) [1]次の各号のいずれかに該当する者は、司 書となる資格を有する。 一 大学又は高等専門学校を卒業した者で次 条の規定による司書の講習を修了したもの 二 大学を卒業した者で大学において図書館 に関する科目を履修したもの(以下略) 直接部分、新旧比較 旧規定 二 大学を卒業した者で大学において図書館 に関する科目を履修したもの(以下略) 改正規定 一 大学を卒業した者で大学において文部科 学省令で定める図書館に関する科目を履修 したもの 「大学における図書館に関する科目」 の評価 • 図書館法第5条1項1号への規定化自体は、 評価できる。これは、大学における司書養成 を中心化するもので、図書館界の長年の念 願の実現とも言える。 • ただし、図書館法上の司書に関する資格に 限定した追究にとどまるところとなった。 「大学における図書館に関する科目」 図書館法施行規則(省令)に規定 • 「大学における図書館に関する科目」規定。 図書館法施行規則改正 平成21年4月30日 • 司書講習科目依存から離れ、むしろ司書講 習科目をこれに倣わしめるかたちに転じた。 ただ、単に依存関係を逆転しただけと問題を 残す。ただし大学教育科目と講習科目の分 別は同一資格内格差を生むとの懸念をJLA 常務理事会が有した。 JLA図書館学教育部会の立地 • 2006年に始まる教育基本法改正に伴う一連 の法改正の流れにあっても、JLA図書館学教 育部会は、図書館情報学教育者集団という 立場にあり、例年どおり[A 司書養成次元]、 [B 現職者のキャリアアップ次元]、[C 関係 諸機構との調整]、の三点をポイントに活動を 進めた。 A 司書養成次元 ・大学院における図書館学教育に注目をおいて検討し ていたが、法、省令改定直撃し、微妙なずれが出た。 • 「大学における科目」関係事について2007年の研 修会から検討を始めた。科目の改定について、系統 的把握を試み、時代にどう対応するかを検討するこ ととした。図書館法施行規則(省令)(ただし現行の 司書講習科目)の、科目名をどう変え、20単位から 単位増するか。ことも本部会の重要課題であった。 B 現職者のキャリアアップ次元 ・専門職員制度特別検討チームが、仮称・上級 職員認定予備審査をおこなっているが、研修 会に同チームから講師を向かえている。養成 し、就職した人たちへのフォローの意味を持っ ている。 C 関係諸機構との調整 • 単位増問題などでは、JLAを構成する関係 諸機構との調節を要した。 • 司書講習問題でも、JLAを構成する関係諸 機構との調節を要した。大学教育科目と講習 科目の分別は同一資格内格差を生まないよ うにとのJLA常務理事会の意向と反すること がなかった。 今般の科目、単位など 基本的理解 司書課程は図書館法による司書を養成 • 図書館学の入門教育と考える。現行依存の 司書講習科目の科目を土台に考察。入門課 程だが、現行「20単位」が不十分との認識で 一致。司書として働くうえでの基本的な図書 館知識修得の立場を求める方向。 単位数、時間数問題 • 演習科目を30時間に設定している司書課程 の例が、『日本の図書館情報学教育2005』 (日本図書館協会,2008年)などを見ても少 なくない。演習科目を1単位「30時間」で実行 ならば、全科目の単位を「2単位」で通しても 問題はない。仮に平成8年策定の(司書講習 科目)の1単位科目すべて(8科目)を「2単位」 とすると合計28単位となる。つまり単位数に 関しては旧省令下でも幾分増すことができる。 関係諸機構との調整 • 「大学における図書館に関する科目」の検討 に関しては、JLA内で、図書館法による司書 の受入先である公共図書館(部会)や、この 「科目」実行の影響を受ける短大(図書館)部 会との意見の突合せを行うべく、総会、評議 会、理事会、常務理事会で意見を聞いた。 最初の[改定]案 28単位案 28単位 Q&Aに残る問題 経過時期(平成20年)の調整 • 児童サービス関係科目の扱いの逡巡 • 図書館サービス科目の扱いの逡巡 落着 24単位案 時間計算のポイント 選択か拘束か 単位論 • 同部会では、1996年の法改正で、24単位案 を出し総会決議を得ている。これに、生涯学 習概論の1単位を加え25単位とする。単位数 的にはこれに依拠する。1単位ものを機械的 に倍単位とすることはない。「1単位」は15時 間にするか30時間とするかは各大学の判断 に委ねるべきである。こうした単位設定は短 大を含め大学教育で無理なく行える限度とし て考案した。 実施体制への文科省の関与 • 養成の教育機関における司書課程担当教員 を2名以上にするという、1996年当時の指針 の文科省に維持、より明白な指導がなされる ことが期待される 。また、指導が法律上、講 習から教育離されたので、どのようになされ るか。科目の決定でも、大学を管轄する同省 の部局や各大学行政との関係で微妙。 移行措置 • 適正に、時間的無理がないように。 • 完全切り替えの時期(留年生などを除く)は 平成24年度の予定。 さて、今後 「これからの図書館」検討協力者会議 の「これから」 平成21年度は、下記を中心に検討 図書館法7条4項に移動した「図書館の望まし い基準」の策定。←「公立図書館の望ましい 基準」 (私立図書館を加えることの意味。その範囲。) 今後の活動関係 10月30日・全国図書館大会 午後 第6分科会(東京堂) 科目関係 薬袋秀樹 氏他 第7分科会(明治大学本部)専門職員制度 関係 糸賀雅児氏ほか 日本図書館研究会研究例会 265回研究例会 ・平成21年9月24日18時 ・大阪府立中之島図書館ふれあいホール 志保田務「大学における図書館学省令科目 改定について」 JLA図書館専門職員制度特別検討 チーム • 図書館雑誌、5月号のとおり、予備審査 • 図書館雑誌、8月号のとおり、整備して進行 • 検討チームの座長に糸賀雅児氏を選任。(図 書館学教育部会長常務理事の同チーム担当 を解く)。 • 同制度の2010年3月の成立を目指す。 • ご静聴ありがとうございました。
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