脳卒中の年齢層と病型による リハビリテーション効果の予測 ~FIM利得の度数分布表の有用性~ 鶴巻温泉病院回復期リハビリテーション病棟(医師) 澤田石 順 リハビリテーション・ケア合同研究大会 2007 in Saitama 10月27日 鶴巻温泉病院 問題意識 i. 回復期リハビリテーションによるADLの改善度合い に影響する因子として、病変部位、障害の程度、年 齢等があげられる ii. リハビリテーションの効果(FIMを使用)に影響する諸 因子を組み合わせた層別の統計学的諸量も、重回 帰式も、個々の患者の予後予測には有用ではない ことをこれまで報告してきた iii. ある一人の入院患者の予後の幅を推定することに 有用な方法はないものか? リハビリテーション・ケア合同研究大会 2007 in Saitama 10月27日 鶴巻温泉病院 目 的 脳卒中の病型をくも膜下出血、テント 下病変(非くも膜下出血)、テント上 病変(同)の三種に分類。これらの病 型、年齢および入院時FIMの階層と FIM効果(利得)[退院時FIM-入院時 FIM]の関連を示す度数分布図を作 成し、その有用性について検討する リハビリテーション・ケア合同研究大会 2007 in Saitama 10月27日 鶴巻温泉病院 対 象 2004年1月1日以降に入院し2007年5 月31日までに退院した脳卒中の936例 くも膜下出血 66例 テント上病変(非くも膜下出血) 675例 テント下病変(非くも膜下出血) 195例 対象から除外: 精査・治療のための転院、死亡 ないし入退院時FIMのいずれかのデータが欠如 リハビリテーション・ケア合同研究大会 2007 in Saitama 10月27日 鶴巻温泉病院 全脳卒中 第三四分位 中央値 第一四分位 リハビリテーション・ケア合同研究大会 2007 in Saitama 10月27日 鶴巻温泉病院 -2 24 3 -2 30 9 -3 36 5 -4 42 1 -4 48 7 -5 54 3 -5 60 9 -6 66 5 -7 72 1 -7 78 7 -8 84 3 -8 90 9 9 6 95 1 0 10 1 21 0 1 07 81 1 1 13 41 2 1 19 012 6 18 退院時FIMの9階層と自宅退院率(%) 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 89 50 30 16 13 24 52 50 91 94 80 73 62 50 40 26 11 98 度数分布図:正規分布の例 平均値:0 中央値:0 度 数 リハビリテーション・ケア合同研究大会 2007 in Saitama 10月27日 鶴巻温泉病院 全脳卒中: 最重度障害 年齢≦70 中央値 29 平均値 34.8 度 数 リハビリテーション・ケア合同研究大会 2007 in Saitama 10月27日 鶴巻温泉病院 全脳卒中: 最重度障害 年齢70~84 中央値 16 平均値 22.1 度 数 リハビリテーション・ケア合同研究大会 2007 in Saitama 10月27日 鶴巻温泉病院 全脳卒中: 最重度障害 年齢≧85 中央値 9 平均値 12.5 度 数 リハビリテーション・ケア合同研究大会 2007 in Saitama 10月27日 鶴巻温泉病院 全脳卒中: 重度障害 年齢≦70 中央値 43 平均値 37 度 数 リハビリテーション・ケア合同研究大会 2007 in Saitama 10月27日 鶴巻温泉病院 全脳卒中: 重度障害 年齢70~84 中央値 26.5 平均値 27.3 度 数 リハビリテーション・ケア合同研究大会 2007 in Saitama 10月27日 鶴巻温泉病院 全脳卒中: 重度障害 年齢≧85 中央値 14 平均値 15.4 度 数 リハビリテーション・ケア合同研究大会 2007 in Saitama 10月27日 鶴巻温泉病院 病 型 毎 リハビリテーション・ケア合同研究大会 2007 in Saitama 10月27日 鶴巻温泉病院 くも膜下出血 中央値 32 平均値 35.8 中央値 29 度 数 平均値 26.8 リハビリテーション・ケア合同研究大会 2007 in Saitama 10月27日 鶴巻温泉病院 テント下病変 平均値 38.5 平均値 26.3 中央値 40 中央値 22.5 度 数 リハビリテーション・ケア合同研究大会 2007 in Saitama 10月27日 鶴巻温泉病院 テント上病変 中央値 31 平均値 34.3 中央値 13 平均値 19.2 中央値 8 平均値 11.9 度 数 リハビリテーション・ケア合同研究大会 2007 in Saitama 10月27日 鶴巻温泉病院 考察 度数分布図の活用に関して 家族・患者に対して、最も可能性の 高い予後(最頻値と中央値)とあり得る 最高到達度を可視化できるため、障害 の受容促進と著明な改善への希望維 持に有用と思われる リハチームのメンバーにとっても指 針となるであろう リハビリテーション・ケア合同研究大会 2007 in Saitama 10月27日 鶴巻温泉病院 まとめ 1 予後に関連する因子の階層毎にFIM 効果(利得)の度数分布図を作成した 度数分布図はFIM効果の最頻値、傾 向、最高到達点を二次元的に可視化す る 予後に関連する諸因子の階層毎の 度数分布図は大いに異なっていた リハビリテーション・ケア合同研究大会 2007 in Saitama 10月27日 鶴巻温泉病院 まとめ 2 非くも膜下出血群では、年齢が高 まるほど、最頻値と中央値の差異が 小さくなる傾向であった 「くも膜下出血とテント下病変」は 「テント上病変」よりも著明な改善を 示すケースが多く、しかもFIM利得の ばらつきが大きかった リハビリテーション・ケア合同研究大会 2007 in Saitama 10月27日 鶴巻温泉病院
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