ジェンダーの社会学: 女性である こと/男性である

ジェンダーの社会学II:
女であること/男であること (安川一)
• キー コンセプト
• 性差・性別の相違
– 性差は、
解剖学的・大脳生理学的な差異を含む、女・男の特定。
身体的な特定も、心理的な特定もある。
– 「ジェンダー」という性別は、社会の規範の一つである。
社会的規範による女としての判定・男としての判定である。
他人の知覚による「自分」、「自己」のカテゴリ-。
– 人間は、ジェンダー区別を含めて社会の規範による)
「分類しているものだ」、「カテゴライズされている」ものである
1
女であること/男であること
性別の判定の機能 I
I. 外見に判定される人の性別・外見に人のしぐさを合わせる
性(別)の判定 ~
• 自分の場合、「受験願書,履歴書、クイズの応募ハガキに
も性別欄が必ずあって」 p196。他者の場合は、
• 「外見はいろいろでも、『本当は』どちらかのはずと思う。」
p196
• 「顔つき,からだつき、しぐさや服装、言葉遣いも、『結局
は』どことなく『らしく』思える。」 p196
• 「たいていは発情の相手を間違えない。」
p196
が、性別は本当に外見で分かる?
2
女であること/男であること
その判定の機能 II
外見でも、内側でも判定されない性別とは何か?
生物的な性差又は生の現役だけで決めることができない~
1. 「性別区分は生殖能力/機能区分と常に一致している
わけではない...解剖学的な相違でさえ必ずしもあてに
ならない。」 p197
2. 生殖能力/機能による区分に基づく 「第二次性徴前の
幼体や排卵サイクル停止後のメスは、不妊症のメス/オ
スは、あるいは『枯れた』老人や使い物にならなくなった
オトウサンは...いったいどちらに…分類される?」 と
いう疑問が残る。
p197
3
女であること/男であること
その判定の機能 II
1.
2.
3.
4.
「自分」(「私」)は文化的・社会的な意味や期待のなかに
【ジェンダーによって】カテゴライズされる。 P199
性別の判定は自然に決まるのではない… 性差が内側
からにじみ出て来るのではない… p198
女/男を二分法的に区別することと、身体の具体的な
あり方とは別の物語。 P198
女/男の二文法的カテゴリー区分がある【から】この区
分を前提に、人はいずれかの性別の具体例として知覚
される p198.…結果として、既存の【ジェンダー】カテ
ゴリーが強化・維持される。
4
ジェンダーの社会学II:
女であること/男であること
III. 人の性別と性別の判定、分類
つづき
「私たちは、何よりもまず生物学的・身体的な存在なのだから。
ただ、それでも私たちが区別する、自覚する、欲情する性差
は,身体―個体レヴェルのみで決定される問題ではない。
私たちは,何はともあれ分類しているものだから。」p197
その結果、
「ちょっと変わった女/男」――どちらかにすれば気がすむんだ。
p198
5
ジェンダーの社会学II:
女であること/男であること
• IV. 社会の中の性別の判定・
社会の規範としての女/男のカテゴリー
ベビーXの事例
「人物の外見を手がかりに、性差のカテゴリーの内に 透視
している。」
例:
「どちらにもとれる『ベビーX』を見て、男の子と判断した人、
女の子と判断した人はまったく同じふるまいを、それぞれ
に『強さ』の表れ、『優しさ』の表れだと語っていた。」
p198
6
ジェンダーの社会学II:
女であること/男であること
V. つづき:社会の中の性別の判定・
社会規範としての女/男のカテゴリー
つづき
• 「性差が内側からにじみでてくるのではない。
• 女・男のカテゴリー区分がまずもってあるわけだ。
• 人(他者)は、その化身――事例――となってようやく
生身の…(女の/男の)人になる。
• そうして初めて、それぞれにあるはずの性器――文化
的性器――の存在が自明視され、あるはずの情緒・
感覚・行動・の違い ―― 性差 ――が探される。」
p198
7
ジェンダーの社会学II:女であること/男であること
ジェンダー・アトリビュウション=性別の判定
つづき
• 人を、性別の分類を通して見なす普遍的な行為によって、
「結果として既存の(性別に当たるはず)カテゴリーが
強化=維持され続けていく… p198
そのために、
• 性別は自然に決まるとは必ずしも言えない:
「性別の判定は自然に決まるのではない 」 (p198)
8
ジェンダーの社会学II:
女であること/男であること
VII. つづき:
ジェンダー・アトリビュウション(性別の判定)
人の性別に関する、
• 「別の性を示す情報が飛び込んできたとしても…既成の
枠組みのなかで適合的に解釈される…
【ジェンダー】は人をカテゴライズする核となる」。 p198
9