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国際経済学入門
(8)自由貿易の望ましさと関税
丹野忠晋
跡見学園女子大学マネジメント学部
2013年12月9日
余剰と経済厚生のまとめ





消費者余剰は取引による消費者の利益
生産者余剰は取引による生産者の利益
消費者余剰は需要曲線と水平な価格線の間
生産者余剰は供給曲線と水平な価格線の間
価格の上昇によって生産者余剰は増える

元から売っている生産者は価格上昇分だけ利益を得
る

新たな売り手は価格上昇分よりも小さい生産者余剰
が発生する
総余剰は消費者余剰と生産者余剰の和
均衡点では総余剰が最大化される


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消費者余剰と生産者余剰
価格
供給曲線
消費者余剰
P
生産者余
剰
需要曲線
数量
Q
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3
今日学ぶこと
1.
2.
3.
4.
国際貿易による利益はなんだろう
経済厚生から表現する
自由貿易の利益
関税を課した場合の損失
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貿易政策
鎖国あるいは自足自給経済
 自由貿易
 貿易制限
 国内と国外(海外)
 需要曲線は国内需要曲線
 供給曲線は国内供給曲線

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鎖国をしているときの均衡価格
価
格
供給曲線
P
需要曲線
数量
Q
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鎖国をしているときの経済厚生
価
格
供給曲線
経済厚生
P
経済厚生=消費者余剰+生産者余剰
需要曲線
Q
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数量
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鎖国から開国へ
鎖国を止めて貿易を開始した
 鎖国時の国内均衡価格P > 国際価格 P*

この国は小さな国で国際価格に影響を与えない
とする.この仮定を小国の仮定という.
 国の規模の違い
小国: 貿易取引量が国際価格に変化を与えない
大国:貿易取引量が国際価格に変化を与える
 鎖国時の国内均衡価格を自給自足価格という
 この国際価格を世界価格とも言う

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開国して,世界価格がP*
価
格
P
供給曲線
国内生産量
国内消費量
P*
輸入量
需要曲線
数量
Qs
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Qc
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貿易の効果






小国の自給自足価格が世界価格より高い時
国内均衡価格の下落
国内価格=世界価格
国内消費の増大
国内生産の減少
輸入量の増加
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国際価格P*での余剰
価格
供給曲線
生産者余剰
消費者余剰
国内消費量
P*
輸入量
需要曲線
国内生産量
数量
Qs
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国際価格P*での経済厚生(総余剰)
価格
供給曲線
経済厚生の増加
経済厚生
P*
国内消費量
輸入量
需要曲線
国内生産量
数量
Qs
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Qc
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輸入の効果




世界価格が低いとき輸入が増える
国内価格は下落→国内価格=世界価格
経済厚生(総余剰)は増加
国内で利害関係が発生
 消費者余剰は増える
 生産者余剰は減る



消費者は得
生産者は損
生産者余剰の減少を上回る消費者余剰の増
加
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世界価格P*が国内価格よりも高い
P*>P 場合を考察
 この場合も小国での効果を見る
 貿易開始後、国内価格は上昇する
 国内価格は世界価格に一致する

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開国して,世界価格がP*
価
格
供給曲線
P*
P
国内生産量
国内消費量
輸出量
需要曲線
数量
Qc
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Qs
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貿易の効果





小国の自給自足価格が世界価格より低い時
国内均衡価格の上昇→国内価格=世界価格
国内消費の減少
国内生産の増加
輸出量の増加
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輸出産業の消費者・生産者余剰
価
格
消費者余剰
供給曲線
P*
P
生産者余剰
国内生産量
国内消費量
輸出量
需要曲線
数量
Qc
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Qs
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輸出の効果






世界価格が高いとき輸出が増える
国内価格は上昇
消費者余剰は減る
生産者余剰は増える
消費者は損
生産者は得
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輸出の総余剰
価
格
供給曲線
経済厚生の増加
P*
経済厚生
輸出量
需要曲線
数量
Qc
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Qs
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輸出の経済全体の効果

経済厚生は増加

消費者余剰は減るがそれを上回る生産者余剰
の増加
国内での利害対立

 消費者は反対
 生産者は賛成
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鎖国よりも自由貿易は望ましい
国内価格と世界価格の比較で輸入と輸出の
パターンが決まる
 輸入と輸出の双方で経済厚生は増加した


しかし,消費者と生産者の間で利害の不一
致

貿易を制限する事で経済厚生を高める事が
できるか?
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通商政策





財の輸出入に影響を与える政策を通商政策
(commercial policy )
様々な通商政策を見ていきます.
その極端な政策としてこの2つがあります
自由貿易 (free trade) -貿易障壁をまったく設
けていない
保護主義(protectionism)-何らかの方法で輸
入を制限している
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貿易障壁
貿易障壁には大きく分けて
 関税 (tariff)
 数量割り当て
 輸出自主規制
 非関税障壁
があります.
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関税

関税 tariff とは単に輸入に課される税金のこと
です.
外国製品を割高にさせて競争上不利に追い込
むことができます.
 小国の場合を考える
 ここで輸入量1単位当たりt円の関税を課したと
する
 国際価格が100円で関税が10円ならば消費者
の購入する価格は110円.10円は政府収入

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世界価格P*,財1単位当たりtの関税
価
格
供給曲線
関税後の国内生産量
関税後の国内消費量
P*+t
P*
関税後輸入量
需要曲線
数量
Qs
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Q’s
Q’c
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Qc
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自由貿易に比べ関税を課すと
価格の上昇
 消費の減少
 国内生産の増加
 輸入量の減少
 消費者は損
 生産者は得
 政府は関税収入を得る
関税収入=関税×輸入量
 関税10円で100個輸入だと関税収入は
10×100=1000円になる
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
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財1単位当たりtの関税の関税収入
価
格
供給曲線
関税収入
関税後の国内生産量
関税後の国内消費量
P*+t
P*
関税後輸入量
需要曲線
数量
Qs
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Q’s
Q’c
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Qc
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貿易の効果
経済全体の望ましさはどうなるか?
 経済全体の望ましさは経済厚生
経済厚生=消費者余剰+生産者余剰
 政府が入れば
経済厚生=消費者余剰+生産者余剰+税収
 関税によって経済厚生は増加するだろうか?

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関税が課された場合の各余剰
価
格
供給曲線
消費者余剰
生産者
余剰
関税収入
P*+t
P*
関税後の
国内生産
量
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関税後の国
内消費量
関税後輸入量
需要曲線
数量
Q’s
Q’c
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関税政策の経済厚生
価
格
供給曲線
経済厚生
P*+t
P*
関税後の
国内生産
量
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関税後の国
内消費量
関税後輸入量
需要曲線
数量
Q’s
Q’c
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関税と他の制度との比較
関税によって税収が増えた
 鎖国と比べて消費者余剰が増えた
 明らかに鎖国経済よりも経済厚生が増加
 自由貿易と比べてどうだろうか?

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自由貿易が望ましい
自由貿易の経済厚生>鎖国の経済厚生
価
格
供給曲線
消費者余剰
経済厚生の増分
生産者余剰
国内消費量
P*
国内生産量
数量
Qs
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需要曲線
輸入量
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Qc
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自由貿易が望ましい
自由貿易の経済厚生>関税賦課後の経済厚生
経済厚生の損失を死荷重という
価
格
生産者
余剰
P*+t
P*
供給曲線
経済厚生の損失
消費者余剰
関税収入
関税後輸入量
Q’s
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需要曲線 数量
Q’c
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米国側から見た輸出自主規制


自由貿易時の価格P1.輸出自主規制後の価格P2
米国の経済厚生は輸出自主規制で下がる
価
格
供給曲線
経済厚生の損失
消費者余剰
P2
P1
需要曲線
生産者余
剰
輸出自主規制後の輸入量
Q’s
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Q’c
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自由貿易の輸入量
数量
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結論





自由貿易が一番厚生が高い
保護貿易的な関税は厚生を低くする
しかし鎖国よりは望ましい
関税の厚生損失を死荷重(しかじゅう)と言う
関税は総余剰を最大にせず,死荷重を発生さ
せてしまう
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まとめ




鎖国から開国で輸入が増えて消費量は増える
生産量は減る
関税を課すと政府税収が増える
自由貿易の方が保護貿易よりも経済厚生が
高い
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