不登校児童生徒を対象とした電子カウンセリングの効果

不登校児童生徒を対象とした
電子カウンセリングの効果に関する研究
人間行動システム専攻
02D4001-1
加藤 尚吾
指導教員: 赤堀 侃司
1
博士論文の構成
第1章 研究の背景と目的
第2章 電子カウンセリングの実態調査
第3章 電子メールカウンセリングによる
不登校状態の変容に関する分析
第4章 電子メールカウンセリングにおける
不登校児童生徒のメール文の内容分析
第5章 電子掲示板コミュニケーションに関する分析
第6章 電子掲示板を用いたグループカウンセリングにおける
不登校児童生徒の自己開示に関する分析
第7章 結論と今後の課題
2
第1章 研究の背景と目的
第2章 電子カウンセリングの実態調査
第3章 電子メールカウンセリングによる
不登校状態の変容に関する分析
第4章 電子メールカウンセリングにおける
不登校児童生徒のメール文の内容分析
第5章 電子掲示板コミュニケーションに関する分析
第6章 電子掲示板を用いたグループカウンセリングにおける
不登校児童生徒の自己開示に関する分析
第7章 結論と今後の課題
3
第1章
第1章 背景
• 不登校児童生徒の増加
– 中学校では、1クラスに1名の割合で存在する。
(平成14年度文部科学白書)
• CMC (Computer-Mediated Communication) の機会の増加
– 視覚的な匿名性 (Sproull & Kiesler, 1991)
– 制限のあるコミュニケーション (Siegel et al., 1992)
→ 自己開示が高い (Joinson, 2001 など)
※ 自己開示とは、自身の情報を他人に明らかにする行動
(Archer, 1980)
→ 感情のすれ違い
→ フレーミング合戦 (McGuire et al., 1987)
※フレーミングとは、無礼な発言、悪口やからかい、誇張表現 など
(Kiesler et al., 1985)
4
電子カウンセリングの定義
第1章
電子カウンセリングを電子メディアを用いた間接的な
カウンセリング ※ と定義した。 不登校に限らず、様々な問題を含む。
※
→ 不登校児童生徒に対するひとつの支援方法
CMC
視覚的匿名性 (Sproull & Kiesler, 1991)
対面しないため、敷居が低い (Uhler & Clark, 2001)
→ 自己開示が高い
対面コミュニケーションが苦手な不登校児童生徒にとって
→ コミュニケーションのツール
→ 対面コミュニケーションのきっかけ
5
目的
第1章
• 電子メールカウンセリングによる不登校状態の変容に
関して分析する。 (第3章)
• 電子メールカウンセリングにおける不登校児童生徒の
メール文の内容を分析する。 (第4章)
• 電子掲示板のメディア特性がコミュニケーションに
与える影響を分析する。 (第5章)
• 電子掲示板を用いたグループカウンセリングにおける
不登校児童生徒の自己開示に関して分析する。 (第6章)
6
第1章 研究の背景と目的
第2章 電子カウンセリングの実態調査
第3章 電子メールカウンセリングによる
不登校状態の変容に関する分析
第4章 電子メールカウンセリングにおける
不登校児童生徒のメール文の内容分析
第5章 電子掲示板コミュニケーションに関する分析
第6章 電子掲示板を用いたグループカウンセリングにおける
不登校児童生徒の自己開示に関する分析
第7章 結論と今後の課題
7
第2章 電子カウンセリングの実態調査
第2章
• 不登校を対象 (特に日本に見られる不登校問題)
– 小林ほか (1999, 2000)
• Webサイト 「あつまれ!不登校の広場」1999~2000
• 不特定の者を対象
• 電子メール、電子掲示板、情報提供
– 三鷹市教育委員会 (1997, 1998)
• マルチメディアの利用を検討
• 電子メール、インターネットホン、テレビ会議システム
• 青少年を対象 (進学や友人関係の相談など)
– 韓国文化観光省青少年院 サイバー相談
• 2001年に訪問・調査した。
8
第2章
韓国における電子カウンセリングの調査
サイバー相談トップページ
韓国は、青少年に対する電子カウンセリングが
アジアで最も普及している。
– 韓国青少年院 サイバー相談
• メール、掲示板、チャット、情報提供
• 進学、就職、性、友人関係の相談など
→ 2001年に訪問し、調査した。
サイバー相談利用経験
利用したことがある
人数 (%)
調査対象1,548名 (中学生849名 高校生679名 無回答20名)
あることは知っている
知らない
その他 (無回答)
合計
486名 (31.4%)
862名 (55.7%)
131名 (8.5%)
1548名 (100%)
69名 (4.5%)
→35.9%
韓国青少年院 (1999) 「サイバー相談を通じてみた青少年の世界」より
電子カウンセリングの利点と問題点についての韓国青少年院のカウンセラーへの
インタビュー結果
(利点)
(問題点)
・ 発言しやすい
・ 嘘の相談がある
・ 気軽に相談できる
・ 一回きりになりやすい
・ 詳しく調べてから対応
・ 相談者が約束を守る確率は約10%
9
電子カウンセリングの利点/困難な点
第2章
不登校のみならず様々な問題を扱う文献から、電子カウンセリングの利点と
困難な点をまとめた。
• 利点
– カウンセラー側
• カウンセリング記録を簡単に保存・整理できる (Sampson et al., 1997)
– クライエント側
• カウンセリング場面に入りやすい (Sampson et al., 1997)
• 他人の都合に合わせる必要がない (小林ほか, 1999)
• 高レベルの自己開示 (Budman, 2000 など)
• 困難な点
–
–
–
–
–
誤解が生じやすい (小林ほか, 1999)
対象の理解が困難 (小林ほか, 1999)
セキュリティ (Epstein & Klinkenberg, 2001)
虚偽情報の使用 (Maheu & Gordon, 2000)
クライエント及びカウンセラーを保護する規定が未整備 (Maheu & Gordon, 2000)
困難な点を小さくするため、本研究は電子カウンセリングを対面の支援と
併用して行った。
10
第1章 研究の背景と目的
第2章 電子カウンセリングの実態調査
第3章 電子メールカウンセリングによる
不登校状態の変容に関する分析
第4章 電子メールカウンセリングにおける
不登校児童生徒のメール文の内容分析
第5章 電子掲示板コミュニケーションに関する分析
第6章 電子掲示板を用いたグループカウンセリングにおける
不登校児童生徒の自己開示に関する分析
第7章 結論と今後の課題
11
第3章 電子メールカウンセリングによる不登校状態の
変容に関する分析
第3章
目的
1. 電子メールカウンセリング実施前後の児童生徒の
不登校状態の変容を調べる。
2. 電子メールカウンセリングの効果を検討する。
期間
約1年間 2000年12月~2001年12月
参加者
不登校児童生徒 11名 (T市立教育センターに関わっていた者)
カウンセラー 5名 (T市立教育センター相談室職員)
環境
児童生徒 → 家庭のPC
カウンセラー → 教育センターのPC
→ 電子メールカウンセリングは補完的に用い、
対面の支援と併用して行った。
12
T市立教育センターにおける従来の支援
第3章
T市内
学校、適応指導教室に
通えない
学校には通えないが、
適応指導教室には通級
A中学校
×
B小学校
通えない
生徒a
支援
C小学校
×
通えない
児童b
×
通えない
訪問相談
電話相談
面接
など
T市立教育センター
支援
学校に不定期的に通える
不定期的に通学
児童c
通級
訪問相談
電話相談
面接
など
支援
訪問相談
電話相談
面接
など
適応指導教室
様々な活動
13
電子メールカウンセリングの併用
第3章
従来の支援
電子メールカウンセリング
• 対面
• CMC
–
–
–
–
適応指導教室
面接(予約制)
訪問相談
保護者を対象にした
グループカウンセリング
• 電話相談(主に保護者)
+
– 書記的方法
– 自己開示がしやすい
• 対面では言えなかったことが言える機会を与える。
• 対面での出来事を、メール上で反芻させることができる。
• メールで生じた話題を対面での支援に活かすことができる。
14
不登校状態尺度
第3章
不登校状態尺度を、専門家であるカウンセラーと共同で
作成した。
良い
悪い
1 通常の学校生活ができる。
2 ほとんどの授業に出ることができる。
3 相談室などで過ごすことが多いが、特定の授業に出ることができる。
4 学校の特定の場所に定期的に通うことができる。
5 学校の特定の場所に不定期に通うことができる。
6 学校の保健室や相談室などに約束した時間に行くことができる。
7 適応指導教室などの施設に定期的に通い、子供同士での活動に抵抗がほとんどない。
8 適応指導教室などの施設に定期的に通えるが、相談員との一対一関係が中心である。
9 適応指導教室などの施設に不定期だが、通うことができる。
10 友達と会うことができ、誘われれば外出することもある。
11 家での生活が中心で登校できないが、生活リズムはきちんとしている。
12 学校の特定の友達・教師や相談員などと会うことができる。
13 学校の関係者と電話で話すことができる。昼夜逆転はある程度改善されている。
14 家の中で過ごすことがほとんどだが、人目につかない夜などに外出することがある。
15 外出することはほとんどないが、家族との交流はある。
16 自室に閉じこもっていることが多いが、特定の家族と話すことができる。
17 自室に閉じこもり、家族との関係を絶っている。昼夜逆転していることが多い。
15
第3章
参加児童生徒の不登校状態の変容
(2000年12月~2001年12月)
通常の学校生活
状態像
1
2
3
自室に閉じこもっている
4
5
6
⑨
⑫
児童生徒A
④
⑨
⑫
10
11
12
13
14
15
16
17
△
2000年12月開始
(注) 図中の記号の意味
2000年12月開始
△: 実施前
④: 2001年4月
⑫
⑫
④
児童生徒D
⑫
△
④
⑨
△
△
△
△
④
⑨
④
2000年12月開始
⑨: 2001年9月
⑫: 2001年12月
2000年12月開始
9 : 実施前(9月)
⑨
2001年8月終了
⑨
9
△
児童生徒C
児童生徒F
8
④
⑨
⑫
児童生徒B
児童生徒E
7
△
2000年12月開始
2000年12月開始
2001年9月終了
2001年2月開始
△
④
⑨
⑫
児童生徒G
⑨
⑫
児童生徒H
⑨
⑫
児童生徒I
9
⑫
児童生徒J
児童生徒K
⑫
⑫
△
⑨
△
2001年6月開始
△
~2001年9月
△
⑫
2001年11月開始
2001年10月開始
2001年9月開始
16
電子メールカウンセリングの効果の検討
第3章
不登校状態の改善が、電子メールカウンセリング
の併用によるものであるかを検討した。
– 対象:
• 適応指導教室に通級していた児童生徒
– 併用した児童生徒 5名
– 併用していない児童生徒 15名
– 調査期間:
• 1年程度
17
メールカウンセリングを併用した/併用していない
児童生徒の不登校状態の改善
通常の学校生活
状態像 1 2 3
自室に閉じこもっている
4 5
6 7
8
○
併用した児童
生徒5名
第3章
9
10 11
12
13
14
15
16 17
▲
○
○
○
○
▲
▲
▲
▲
(注) 図中の記号の意味
▲
○
○
▲ : 実施前
○ : 実施後
▲
○▲
○ ○▲
○
▲
▲
○▲
○▲
○ ▲○ ▲
併用していない
児童生徒15名
○▲
○
▲
○▲
○
○
○
▲
▲
○
▲
○▲
○
▲
18
○▲
メールカウンセリングを併用した/併用していない
児童生徒のPre とpostの不登校状態の比較
悪い
不
登
校
状
態
良い
17
15
13
11
9
7
5
3
1
併用した児童生徒
(n=5)
併用していない児童
生徒 (n=15)
**
7.60
7.33
6.70
2.80
pre
第3章
t検定 ** p<.01
post
19
分析対象の児童生徒のカウンセリング時間
第3章
• 分析対象にした不登校児童生徒それぞれのカウンセリングに関わった
正確な時間は、カウンセリングにおけるプライバシーの保護により
得ることができなかった。
• カウンセラーへのインタビュー結果
– 電子メールカウンセリングを併用した児童生徒のカウンセリング時間の
大幅な増加はなかった。
– また、併用した児童生徒を特別に扱うことはなかった。
T市立教育センター相談室における相談の実施比率
相談の
種類
比率
面接相談
電話相談
(大人・子ども)
訪問相談
グループ
カウンセリング
電子メール
相談
計
70.2%
17.8%
2.3%
2.1%
7.4%
100%
T市立教育センター平成12年度統計より
併用した児童生徒と併用していない児童生徒のカウンセリングに関わった
時間に大きな差はないと考えられる。
20
第3章のまとめ
第3章
電子メールカウンセリングによる不登校状態の変容に関する
分析を行った。
– ほとんどの児童生徒の不登校状態に改善が見られた。
– 電子メールカウンセリングを併用した児童生徒のほうが
併用していない児童生徒に比べ、有意に不登校状態の改善が
見られた。
→ 不登校状態の改善に、電子メールカウンセリングは
有効であると考えられる。
21
第1章 研究の背景と目的
第2章 電子カウンセリングの実態調査
第3章 電子メールカウンセリングによる
不登校状態の変容に関する分析
第4章 電子メールカウンセリングにおける
不登校児童生徒のメール文の内容分析
第5章 電子掲示板コミュニケーションに関する分析
第6章 電子掲示板を用いたグループカウンセリングにおける
不登校児童生徒の自己開示に関する分析
第7章 結論と今後の課題
22
第4章 電子メールカウンセリングにおける
不登校児童生徒のメール文の内容分析
第4章
カウンセラーに送信したメール文の内容に関して、不登校状態の
改善の大きかった児童生徒と小さかった児童生徒を比較した。
• 対象
– 改善が大きかった児童生徒 (改善-大群) と小さかった児童生徒 (改善-小群)
それぞれ3名ずつ抽出して比較した。
• 改善-大群 3名
– 対象とした電子メール 41通
• 改善-小群 3名
– 対象とした電子メール 33通
•
(電子メールカウンセリングの開始から終了まで)
(電子メールカウンセリングの開始から終了まで)
分析
– メール文の内容の分析
– メール文に含まれる自己開示の量の分析
23
第4章
不登校児童生徒のメール文の内容分析
分析手順
児童生徒が送信した電子メール文を、
“単語または意味のあるまとまり”
に分割した。
(例: 勉強、○○先生、・・・)
“単語または意味のあるまとまり” を、
内容的に関連するもの同士に
大きく分類した。
(例: 学校・学習間連)
24
第4章
各関連語の例
学校・学習関連
改善
大
小
学校
勉強
3時間目~4時間目まで
(学校の先生の名前)
・・・・
・・・・
・・・・
21
3
3
2
・
・
・
1
1
0
0
・
・
・
計
74
10
友達関連
友達
(友達の名前)
みんな
大親友
改善
大
小
11
3
1
1
3
0
0
0
自分関連
僕
(自分の名前)
私
教育センター
関連
センター
陶芸
(カウンセラーの名前)
クウェスト(適応指導教室)
・・・・
・・・・
・・・・
計
16
3
計
改善
家族・親類
関連
改善
遊戯・スポーツ
関連
大
小
12
4
3
0
0
9
妹
母
姉
おばちゃん
・・・・
・・・・
・・・・
19
9
計
大
小
パソコン
関連
大
小
4
2
1
1
・
・
・
1
0
5
4
・
・
・
メール
パソコン
インターネット
コンピュータ
・・・・
・・・・
・・・・
21
4
3
1
・
・
・
16
7
1
0
・
・
・
こんにちは
12
11
計
31
31
計
改善
大
小
6
5
2
2
・
・
・
1
0
0
0
・
・
・
テニス
川
バスケ
海ほたる
・・・・
・・・・
・・・・
18
3
計
改善
挨拶・謝罪
関連
ありがとうございます
すみませんでした
おはようございます
・・・・
・・・・
・・・・
改善
大
小
3
3
2
2
・
・
・
0
0
0
0
・
・
・
39
12
改善
大
小
7
5
2
2
・
・
・
8
0
0
0
・
・
・
22
25
25
電子メール1通あたりの各関連語の出現数
改善-大群と改善-小群の比較
2
1.8
1.6
1.4
1.2
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0
**
電子メール1通あたりの各関連語の出現数
改善‐
大群
改善‐
小群
自
家
分
族
・親
類
遊
関
戯
連
・ス
ポ
ー
ツ
関
連
友
達
教
関
育
連
セ
ン
タ
ー
関
連
パ
ソ
コ
ン
関
連
挨
拶
・謝
罪
カイ2乗検定
1%水準で有意
習
関
連
学
校
・学
第4章
改善-大群で多く出現
両群で同じぐらい、
もしくは改善-小群で多く出現
26
不登校児童生徒のメール文に含まれる
自己開示の量の分析
第4章
全メールに占める自己開示を含むメールの割合
100%
87.80%
**
80%
54.55%
60%
40%
改善-大群の全送信メールに
占める自己開示を含むメール
の割合が、改善-小群に比べ
高かった。
20%
カイ2乗検定
** p<.01
0%
改善-大群
改善-小群
電子メール1通あたりに含まれる自己開示の数
3
2.5
2.49
2
件
1.5
数
1
**
1.21
改善-大群の送信メール文中に、
改善-小群に比べ自己開示が
多く含まれていた。
t検定
** p<.01
0.5
0
改善-大群
改善-小群
27
第4章のまとめ
第4章
カウンセラーに送信したメール文の内容に関して、不登校状態
の改善の大きかった児童生徒と小さかった児童生徒を
比較した。
–
改善-大群の電子メール文中に、改善-小群に比べ「学校・学習」、
「家族・親類」、「遊戯・スポーツ」、「友達」関連語が多く出現していた。
–
「教育センター関連」、「パソコン関連」、「挨拶・謝罪」語については、
両群で出現数にほとんど違いが見られなかった。
–
改善-大群の送信メール文中に、改善-小群に比べ自己開示が
多く含まれていた。
→ 不登校児童生徒は、「学校・学習」に関することなど
苦手なことを書くことに抵抗があったと考えられる。
また、自分に関係することを書くことにも抵抗があったので
はないかと考えられる。
28
第1章 研究の背景と目的
第2章 電子カウンセリングの実態調査
第3章 電子メールカウンセリングによる
不登校状態の変容に関する分析
第4章 電子メールカウンセリングにおける
不登校児童生徒のメール文の内容分析
第5章 電子掲示板コミュニケーションに関する分析
第6章 電子掲示板を用いたグループカウンセリングにおける
不登校児童生徒の自己開示に関する分析
第7章 結論と今後の課題
29
第5章 電子掲示板コミュニケーションに関する分析
第5章
• 省略
30
第1章 研究の背景と目的
第2章 電子カウンセリングの実態調査
第3章 電子メールカウンセリングによる
不登校状態の変容に関する分析
第4章 電子メールカウンセリングにおける
不登校児童生徒のメール文の内容分析
第5章 電子掲示板コミュニケーションに関する分析
第6章 電子掲示板を用いたグループカウンセリングにおける
不登校児童生徒の自己開示に関する分析
第7章 結論と今後の課題
31
第6章 電子掲示板を用いたグループカウンセリングにおける
不登校児童生徒の自己開示に関する分析
第6章
• 省略
32
第7章
第7章 結果のまとめ
•
電子メールカウンセリングを併用した児童生徒のほうが、併用していない児童生徒
に比べ有意に不登校状態の改善が見られた。
•
改善-大群のメール文中に、改善-小群に比べ 特に「学校・学習」関連語が
多く出現していた。
改善-大群の送信メール文中に、改善-小群に比べ自己開示が多く含まれていた。
•
•
•
•
•
•
電子メールのほうが、電子掲示板に比べ本心を書きやすい傾向が見られたが、
考えた程度では差が見られなかった。
過去の投稿の有る条件の被験者が投稿した文字数は、無い条件に比べ有意に多く、
過去の投稿の文字数に近い傾向が見られた。
深い自己開示を含む投稿への返信の文字数と自己開示の数は、浅いものや
含まない投稿に比べ有意に多かった。
不登校児童生徒の投稿は、コミュニケーションと荒らし行為の両面性が見られた。
テーマに関係する投稿のほうに、関係しない投稿に比べ自己開示を含む投稿が
多く見られる傾向があった。
33
考察のまとめ
第7章
• 不登校状態の改善に、電子メールカウンセリングは有効であると考えられる。
• 不登校児童生徒は、「学校・学習」に関することなど苦手なことを書くことに
抵抗があったと考えられる。
• また、自分に関係することを書くことにも抵抗があったのではないかと
考えられる。
• 参加者全員が自己開示できる電子掲示板は、電子掲示板を用いた
グループカウンセリングに有効であると考えられる。
• 共通のテーマについて考えさせることで児童生徒それぞれは自分自身を
振り返り、自己開示を促すのではないかと推察される。
• しかし、電子掲示板では荒らし行為が起きる可能性もある。
34