研究プロジェクト「超地域・超領域のガバナンス」 2003年秋学期輪読テキスト 開発経済学 貧困削減へのアプローチ 黒崎卓・山形辰史 日本評論社 2003 ISBN4-535-55303-3 K-Project-2003-autumn 序章:本書のねらい 開発への遠い道程を手を携えて 本書の構成 1. 2. 3. 「開発」ニーズ-雇用、教育、環境、食糧など、世界の貧困 者12億人(1998年)の生活水準を改善する試みの必要性 人々の選択の条件にかかわる「なぜ」をミクロ的な解法に よって示す なぜある地域で開発が成功し、他の地域で成果を上げない のか、開発の新しい手法の提示 1. 2. 4. 人間開発指標、貧困指標、マイクロ・クレジット、貧困層のターゲッ ティング、ガバナンス、債務削減、貧困削減戦略文書など 開発経済学を経済学諸分野から広く捉え直す 開発経済学および開発の諸概念(第1・2章)、途上国が直面 する問題とその発生メカニズム(第3-6章)、問題解決のため の開発戦略や開発政策の分析(第7-12章) 2 K-Project-2003-autumn 目次 序章 第1章 膨張する開発経済学 第2章 開発の成果を測る 第3章 零細自営業者や小農 の経済学 第4章 途上国の信用市場 第5章 貧困層の賃金はなぜ 低いままか 第6章 貧困の罠からの脱出 第7章 技術革新・普及とその 制度 第8章 貧困層への援助 第9章 マイクロ・クレジットの 経済学 第10章共同体と開発 第11章開発援助とガバナンス 第12章グローバリゼーション と途上国 3 K-Project-2003-autumn さらに開発経済学を読み進むに は 1. G.M.マイヤー・J.E.スティグリッツ,2003,開 発経済学の潮流-将来の展望-,シュプリ ンガー・フェアラーク東京 2. 世界銀行,2003,世界開発報告2002-市場 制度の構築-,シュプリンガー・フェアラーク 東京 3. 青木昌彦ほか,1997,東アジアの経済発展 と政府の役割-比較制度分析アプローチ, 4 日本経済新聞社 K-Project-2003-autumn 第1章 膨張する開発経済学 1. 2. 3. 4. 5. 開発経済学とは何か? 開発経済学の定番:1940~60年代 輸出指向工業化と国際経済学:1970年代 構造調整の時代:1980年代 膨張する開発経済学 5 K-Project-2003-autumn 第2章 開発の成果を測る 1. 2. 3. 4. 5. 6. なぜ1人当たり所得か? 1人当たり所得からこぼれ落ちるもの 所得だけが生活水準を決めるわけではない 平等な社会かどうか 貧困指標 開発の成果を測るためのデータ 1. マクロ・データ 2. ミクロ・データ 7. 結び 6 K-Project-2003-autumn 第3章 零細自営業者や小農の経済学 1. リキシャ引きのミクロモデル 2. ハウスホールド・モデルによるアプローチ 3. 市場需要変化の影響 4. 賃労働市場との関係と人的資本 5. 小農の賃労働市場へのかかわり 6. ハウスホールド・モデルの強み 付論 自営業者の主体均衡 1. 主体均衡の特徴 2. 市場需要変化の影響 7 K-Project-2003-autumn 第4章 途上国の信用市場 1. 信用の経済的役割(1):生産資金の調達 2. 信用の経済的役割(2):消費の平準化 3. 信用の経済的役割(3):消費平準化を通じた生産投資促進 4. ミクロの信用制約とマクロ経済 5. 途上国の信用市場の育成 6. 信用と債務不履行 7. 非対称情報下の逆選択とモラルハザード 8. 信用市場、貧困、非対称情報 付論 信用の経済効果のモデル分析 1. 2. 3. 生産信用 消費平準化のための信用 消費平準化と生産投資 8 K-Project-2003-autumn 第5章 貧困層の賃金はなぜ低いままか 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 労働供給の基本モデル 賃金の決定要因:労働生産性 労働生産性の決定要因としての賃金 人的投資と労働生産性 児童労働と人的投資 一国内の賃金格差 人的資本蓄積、経済成長と国際賃金格差 9 K-Project-2003-autumn 第6章 貧困の罠からの脱出 1. 2. 3. 4. 5. 何から何へジャンプするか 規模の経済の具体例 規模の経済と市場均衡 《むだ》と補完性 貧困の罠からの脱出 10 K-Project-2003-autumn 第7章 技術革新・普及とその制度 1. 2. エイズと特許 技術革新の理論 1. 2. 3. 3. 4. 特許制度の意義 エイズ治療薬・予防薬開発の課題:技術開発と普及のトレード・オフ 1. 2. 3. 5. 6. 7. 経済発展と技術革新 知識という資本としての技術 公共財としての知識 エイズ治療薬価格と開発のインセンティブ 研究開発促進のためのプッシュ・プル政策 エイズ、結核、マラリア治療薬・予防薬に対するプッシュ・プル型支援 競争と技術革新のタイプ 途上国への技術移転と経済成長 おわりに:技術革新・普及と制度 11 K-Project-2003-autumn 第8章 貧困層への援助 1. 貧困削減政策の必要性 2. 開発目標としての貧困削減 1. 開発援助の潮流変化 2. 世界銀行報告書に見る貧困観と貧困削減政策 3. 4. 5. 6. 貧困層への「ターゲッティング」 貧困層への所得移転政策 ワークフェア・アプローチによる貧困削減政策 貧困層への効果的な援助に向けて 12 K-Project-2003-autumn 第9章 マイクロ・クレジットの経済学 1. 2. 3. グラミン銀行に注目する理由 マイクロ・クレジットの実態 マイクロ・クレジットのメカニズム 1. 2. 3. 4. 5. グループ融資:相互選抜 グループ融資:相互監視 グループ融資:履行強制 逐次的融資拡大 返済猶予期間なしで回数の多い分割払い 4. マイクロ・クレジットの課題 5. 課題を超えて 付論 相互監視によってモラルハザードが解消される数値例 13 K-Project-2003-autumn 第10章 共同体と開発 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 共同体に着目する意義 貧困と環境悪化の悪循環 「コモンズの悲劇」の基本モデル 共有資源維持・修繕の過少投資 国家管理か私有化か 共同体のもとでの協力 経済開発における地域共同体 14 K-Project-2003-autumn 第11章 開発援助とガバナンス 1. 汚職の本質とガバナンス 2. ガバナンスの程度を測る 1. 指標①:実感汚職指数 2. 指標②:世界銀行のガバナンス指標 3. 賄賂と資源配分 4. ガバナンスを改善するために 5. 開発援助の潮流変化と貧困削減戦略 1. 貧困削減戦略文書 2. セクター・ワイド・アプローチ 3. 債務返済 6. おわりに:開発援助とガバナンス 15 K-Project-2003-autumn 第12章 グローバリゼーションと途上国 1. グローバリゼーションのメリット 1. 2. 2. グローバリゼーションのデメリット 1. 2. 3. 3. 一部の国民の所得減少 外国政府・企業による支配 その他の懸念 グローバリゼーションの利益を途上国へ 1. 2. 3. 4. 地球規模の効率化 国際的な所得の平等化 グローバリゼーションと貧困削減 国際協力を伴うグローバリゼーション グローバリゼーションは自動的に進むか? 援助疲れの時代に 16 K-Project-2003-autumn
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