200万都市が有機野菜で 自給できるわけ Ⅱ.園芸都市ハバナ、かく誕生せり 8.都市農業の多面的な機能 Ⅲ.緑の都市を目指して 1.わたしの緑計画 2.首都公園プロジェクト 06A2019Y 猪瀬皓平 8.都市農業の多面的な機能 ①景気が回復しても都市農業はなくさない ②観光客に優希農産物を食べさせたい ③食料生産、環境改善、雇用創出、生きが い対策 ④都市農業で活力を得たコミュニティ 景気が回復しても都市農業はなくさない 都市農業の誕生 →背景にソ連崩壊とアメリカの経済封鎖から 生じた食糧危機 では、食料危機が去れば都市農業もなくな るのでは? →廃れるどころか拡大し、生産量とその品質 も高まりつつある。 観光客に有機農産物を食べさせたい 観光業の成長率は年率15% →しかし、その利益の7割は食材を含めた資 材の輸入に充てられている 「パイロットプロジェクト」の試み →生産者の利益向上、国内で新鮮な有機野 菜が入手可能、外貨の節約 食料生産、環境改善、雇用創出、 生きがい対策 都市農業のメリット ①コミュニティ内の自給率向上 →農村地域の負担軽減 ②食生活の改善 →栄養・健康状態の改善 ③生きがい対策 ④雇用の創出 →都市農業によりハバナの雇用の7%を生 み出す。 都市農業で活力を得たコミュニティ 園芸クラブの結成 →助け合いの精神やモラルの向上 →野菜の窃盗件数の減少 普及員による活動 →新規参入者の増加や新たな園芸クラブの 誕生。また技術やアイディアの共有、ネット ワークの拡大。 牧畜クラブ →子どもたちへのミルクの供給に貢献 国連から「ハバナの都市農業は持続可能 な都市システムのすべての目標に応えて いる」と評価される。 →ハバナで国際会議(1999年) 中央集権的体制の変化 →各地区がコミュニティレベルでの自立 →環境と調和した首都ハバナの再生 Ⅲ.緑の都市を目指して 1.わたしの緑計画 ①国土緑化に国民の半数が参加 ②草の根ボランティアで1200万本の木を植 える ③モノ不足を補う環境意識とコミュニティ参加 ④廃棄ビニールや空き缶で苗床を作る 国土緑化に国民の半数が参加 都市の持続可能性のためには生物の多 様性が必要 →「モノカルチャーにその生命をゆだねた国 家は自滅する」 スペイン・アメリカによる支配 →伐採やサトウキビ・モノカルチャーによる 森林激減 自然保護地域の指定 →すべてをあわせると国土(約1200万ヘク タール)の約22%に及ぶ。 ⇔日本はすべてあわせて約10万ヘクタール マナティ・プランと称される植林活動 →1989年に約14%まで落ち込んでいた緑 被率が2000年には約22%に回復 経済崩壊によるエネルギー不足 →「わたしの緑計画」の始まり 草の根ボランティアで1200万本の 木を植える 「わたしの緑計画」 →住民のボランティア参加による植林活動 →5120の詳細な実行プログラム →1997年からの4年間で約960万本もの 樹木の増加 →さらなる植林の必要性 GIS(地理情報システム)による情報管理 モノ不足を補う環境意識とコミュニ ティ参加 市民の高い環境意識と参加意欲 →プログラムを展開できるベース 環境意識啓発キャンペーンの展開 →子どもや若者の植林参加を促す 政府のサポート →植林リーダーの育成、技術面でのサポー ト、育林基金の設立 廃棄ビニールや空き缶で苗床を作る 経済危機による慢性的なモノ不足 →空き缶や廃棄ビニールで縫い上げてポット として再利用 地区の特性に応じた樹種の栽培 →ハバナでは燃料ガスが比較的潤沢のため、 木材用や燃料用の樹種が少ない。 植樹の効果 →強い日差しから野菜を守る。 民間への育苗委託 →背景に政府によるサポートがあり、契約料 の85%を達成すれば3割の利潤が上がる。 →ノルマ(契約料の65%)を達成しないと借 金になる。 →これらは大いに動機づけになっていると言 える。 さらなる「わたしの緑の計画」の発展 コラム4 キューバの使徒ホセ・マルティ 日本ではほとんど知られていないホセ・マ ルティ →傑出した詩人、ジャーナリスト、劇作家、教 育化、思想家、革命家であった。 亡命生活で各地を転々とする →様々な思想を学び、その集大成として「わ れらがアメリカ」を作る。 教育家として1989年に子ども向け雑誌「黄金時 代」を創刊 1892年にキューバ革命党を結成 →「万人による万人の幸福」を唱えたその党の綱領 は民主的なもので、ヨーロッパ社会主義政党に 先んじるものであった。 1895年に解放戦線を組織してニューヨークから キューバへ上陸 →スペイン相手に独立戦争を続けるが、その途中 でアメリカの占領下となる。 →1895年5月19日、銃弾に倒れ死亡。 ホセ・マルティの思想はカストロに受け継 がれる →個人が自由に生きながらも、同時に全体 に奉仕する社会、法ではなくモラルや道徳 律によって動く社会を目指す。 →これがキューバ独立運動である。 2.首都公園プロジェクト ①首都のど真ん中に緑のオアシスを ②首都公園化の戦略プランを立てる ③アルメンダレス川の浄化作戦 ④有機農場づくりと森林復元 ⑤エコツーリズムで外貨を稼ぐ 首都のど真ん中に緑のオアシスを 「首都公園プロジェクト」 →首都の中心部に巨大な緑地ゾーンを作ろ うというプラン。市民の要望を受けてカスト ロの呼びかけで始まった。 ⇔この構想は以前からあったのだが、経済 危機の影響で一度は中断したものであっ た。 目的は食料生産に加えて都市内での生物 多様性の促進 →地区活性化と環境改善のためのプログラ ムの策定 →コミュニティ住民やNPOの参加の必要性 海外から13カ国、22もの海外NGOがプロ ジェクトに協力 首都公園化の戦略プランを立てる プロジェクトのテーマ →都市農業・森林再生・汚水の自然浄化処 理・ゴミや廃棄物の処理・環境教育のパイ ロット事業 公園整備の五ヵ年事業計画 NGO「カナダ都市構想」による協力 →人材教育・ノウハウ提供・財政援助 戦略プランの策定 (1)地区の80%で植林・有機都市菜園を作 り、「緑の肺」を創出する。 (2)アルメンダレス川の浄化。 (3)社会的なインフラの強化。 (4)環境プログラムを通じて住民の環境意識 高める。 (5)レクリエーションと教育的な機会の提供。 (6)経済面での発展 →将来的に経済的な自立が目的 (7)公園の維持管理に不可欠な施設基盤の充実。 プロジェクトの第2段階 (1)4地区(プラヤ・プラザ・セロ・マリアナオ)及び九 つのコンセホ・ポプラール、公園内の産業との連 携体制の継続。 (2)森林再生とゴミ処理のデモンストレーション (3)GISの活用 (4)公園内に公社を設立 →補助金や援助金への依存度を引き下げるため。 (5)得られた成果をマニュアル化し、その共有を図 る。 アルメンダレス川の浄化作戦 市内の汚水の半分はアルメンダレス川に流れ込 む。 →1902年に建設された下水処理場では老朽かの ため対応できなく、毎秒200リットルの汚水がほ とんどそのまま川に流れ込む。 下流の工場からの排水 →排水処理設備が十分でなく、近隣住民が健康を 害する。 工場の営業をやめてリサイクル工場になる。 →ミミズを使って有機廃棄物を堆肥にする。 地区の住民参加を促すためのワークショッ プの開催 →地区住民の環境意識の啓発 生活雑排水の処理 →小規模な浄化処理装置を数多く設置し、 かつバイオ的な処理方法による水質浄化 住民参加というボトムアップ方式の重要性 →都市での持続可能な開発のモデル 有機農場づくりと森林復元 農業プロジェクト →既存の農場をベースに4~5ヘクタールの 小規模農場を延べ60ヘクタール整備 →住民参加の下に農場を効率的に運営する ことが目標 →プロジェクトのコアとなる農場は9箇所。う ち6箇所は食料生産、三箇所は潜在植生 の回復に重点を置いている。 エコツーリズムで外貨を稼ぐ プロジェクト発展のための経済的自立の必 要性 →エコツーリズム ※エコツーリズム:地域の環境や生活や文 化を破壊せずに自然や文化に触れ、それ らを学ぶことを目的に行なう旅行 まとめ 経済危機を乗り切るために生まれた都市 農業 →食料生産だけでなく、人々のモラル向上や 雇用の創出にも繫がる。 緑地化計画 →住民参加のボトムアップ方式を取り入れる ことで人々の環境意識を高める。 →都市の持続可能な開発モデルとなる。
© Copyright 2024 ExpyDoc