米国企業連結会計 SFAS 160

米国連結会計 SFAS 160
2008年3月13日(木)
担当:内部監査室 加藤英之
SFAS160の目的
連結財務諸表での
•非支配株主持分
•子会社を連結から除外する場合
の会計処理と開示の方法を明確化
SFAS160の適用範囲
• 非営利法人を除く全ての事業体Entity
に適用される
連結の対象
• SFAS160でも、現行のGAAPと同様、
他の事業体を支配している場合に連結。
• 通常、支配とは50%超の議決権の保有。
(議決権比率基準を踏襲)。
• 但し、FIN46Rにより、VIEの場合等は、
50%超の議決権を保有していなくても、
自身が主たる受益者Primary
Beneficiaryに該当すれば、連結。
非支配株主持分
Non-controlling Interest
• 単独又は複数で、被取得企業の50%超
の持分を所有する株主が存在していて
も、被取得企業を支配していない場合
も含めるために、従来の少数株主持分
Minority Interestと云う用語を非支配
株主持分Non-controlling Interestに変
更。
負の非支配株主持分
• 非支配株主持分に帰属する損失額が、非支配
株主持分の金額を超える場合でも、当該損失
は、非支配株主持分に負担させる。親会社は
負担しない。
• 又、SFAS160を適用した事業年度に於いて、
旧ARB51のパラ15を適用した場合と比較して、
親会社に帰属する純利益の金額に顕著な影響
が生じるのであれば、当年度の利益と一株当
たり利益を旧ARB51のパラ15に基づいて算定
したものをプロフォーマで開示する。
非支配株主持分の貸借対照表
での表示場所
• 非支配株主持分は、株主持分の部の構
成要素として、親会社株主持分とは区
分して表示する。
連結純利益
• 連結純利益は、親会社株主に帰属する
部分と非支配株主持分に帰属する部分
との合計として表示する。
純利益と包括利益の配分
• 純利益と包括利益は、支配株主と非支
配株主とに持分比率(契約が存在する
場合には、当該契約で定める率)で配
分される。
• 但し、のれんの減損が生じた場合、持
分比率で配分するとは限らない。
• (取得企業と非支配株主の夫々に帰属
するのれんの金額で按分?)
一株当たり利益
• 一株当たり利益は、これまで通り、親
会社株主にとっての一株当たり利益と
して計算。
支配獲得後の株式売買(1)
• 支配企業が、一旦支配を獲得した後に、
被支配企業の株式を売買した場合は、
資本取引として取扱われるので、売却
損益は発生しない。
支配獲得後の株式売買(2)
• 但し、被支配企業の株式を売却した結果、当
該企業が被支配企業にも持分法適用会社にも
該当しなくなってしまった場合には、売却損
益が発生する。
• この場合、下記の(1)が(2)を上回る部分が利
益、下回る部分が損失となる。
• (1)
非支配株主持分の連結上の簿価
+ ) 受 領 し た 対 価 の 公 正 価 額
+)残存する持分の公正価額
• (2) 被支配企業の連結上の簿価
【設例】
売却直前に於ける非支配株
主持分の連結上の簿価
25
売却直前に於ける被支配企業
の連結上の簿価
100
受領した対価の公正価額
120
利益
55
残存する持分の公正価額
10
親会社が、何回かに分割して
子会社株式を売却する場合(1)
• 親会社が、子会社株式を一回で売却し、
非関連会社とすると売却損が出てしま
うと云う様な場合、子会社株式を売却
しても支配を失わない間は、損益を計
上しないと云う規定を利用し、何回か
に分けて、子会社株式を売却すること
が有り得る。
親会社が、何回かに分割して
子会社株式を売却する場合(1)
• これを防止するため、SFAS160は、下記の4
つの指標が一つでも存在していれば、同一の
取引としなければならないと規定している。
• ① 複数の取引が同時に行われたか又は相互
に考慮したものとなっている。
• ② 取引は、一つの事業計画を達成するため
に企画されている。
• ③ 取引の一つは、他の取引が成功するか否
かに掛かっている。
• ④ 取引の一つ一つは経済的に合理性が無い
が、全体で見ると合理性がある。
子会社を連結から外す基準
• 子会社の経済的持分に対する支配を失ったと
きには、連結から外さなければならない。
• ① 持分の全て又は一部を売却した場合
• ② 親会社に子会社の支配権を与えると云う
契約の期限が到来し、失効してしまった場合
• ③ 子会社が第三者に株式を発行し、親会社
の持分が子会社を支配するのに十分な水準以
下となった場合
• ④ 子会社が、政府、裁判所、管財人、規制
当局の管轄下に入った場合
SFAS160の適用日
• 2008年12月16日以降に開始する事業年
度から適用される。
• 早期適用は禁止。
• 将来に向けて適用するが、開示に関し
ては遡及適用がある。
遡及して開示する項目(1)
•①
非支配株主持分を株主持分の部に
区分して開示する
•②
連結純利益と包括利益を修正して、
非支配株主に帰属する持分も含める
•③
連結純利益とその他の包括利益を、
支配株主に帰属する部分と非支配株主
に帰属する部分とに区分して開示する
遡及して開示する項目(2)
• ④ 継続事業、廃止事業、異常項目を支配株
主に帰属する部分と非支配株主に帰属する分
とに区分して開示する
• ⑤ 株主持分の部の各項目を親会社の株主に
帰属する部分と非支配株主に帰属する部分と
に区分した上、それぞれの期首/期末の増減
を、当期利益、株主との取引、その他の包括
利益の別に表示する
遡及して開示する項目(3)
• ⑥ 親会社の子会社に対する持分の変動が親
会社に帰属する持分に与える影響を開示する
•⑦
SFAS160が適用される以前の事業年度
で、子会社に対する支配が失われた場合に損
益を認識していたのであれば、当該損益の金
額を開示する。
• 当該損益が損益計算書のどの勘定科目に含ま
れていたのか、並びに、旧子会社に対して引
続き所有している持分を公正価額で測定した
部分の金額を開示する