スケールフリーネットワークにおける 経路制御のためのフラッディング手法 の提案と評価 大阪大学基礎工学部情報科学科4年 村田研究室 牧野 暢孝 <[email protected]> 2004/2/26 特別研究報告発表会 1 研究の背景 インターネットにおける経路制御 BGP, OSPF フラッディングによる経路情報の交換 受け取った情報をすべての隣接ノードに配布 制御メッセージの重複が発生 ネットワークの大規模化 →フラッディング時の制御メッセージ量,重複数が 増加 2004/2/26 特別研究報告発表会 2 インターネットのトポロジー特性 インターネットでは,隣接ノード数がべき乗則に従う スケールフリーネットワーク 多くの隣接ノードを持つ,少数の ハブノード あまり隣接ノードを持たない,多数の 非ハブノード 1 0.1 リンク数50~60 のノードが4つ (ハブノード) リンク数2~3の ノードが80% (非ハブノード) 0.01 0.001 2004/2/26 1 10 K : number of links 特別研究報告発表会 100 ノード数1000のスケー ルフリーネットワークに おける隣接ノード数の 分布 3 研究の目的 従来のフラッディング手法の評価 スケールフリーネットワークに適用した際の制御 メッセージ量の評価 新手法の提案・評価 2004/2/26 スケールフリーネットワークの特性を利用 フラッディング時の制御メッセージ量の改善 到達率を保ちつつ,制御メッセージ量を抑える 特別研究報告発表会 4 従来のフラッディング手法(1) FSLS (Fuzzy Sighted Link State) 制御メッセージに TTL (Time to Live) を設定 制御メッセージが広がる範囲を限定 周期的なフラッディング 近傍ノードには頻繁に,遠くのノードには間をあけて送信 制御メッセージの集約を行い,メッセージ量を減らす 問題点 Full Flooding TTL S1 0 2004/2/26 1 S2 2 S4 S3 S1 3 S1 4 5 S2 6 S1 7 特別研究報告発表会 8 Full Flooding TTL が大きい場合に制御メッセージの重複が発生 使用するTTLの系列 単位時間あたり, S1は1回,S2は1/2回 S3は1/4回とフラッディン グが行われる.Si ≦ Si+1 time 5 従来のフラッディング手法(2) 確率によるフラッディング手法 各隣接ノードへ確率 p で中継 伝達率が100%となる確率 p の下限値 pc の 導出手法[1] シミュレーションによる評価 文献[1]の手法で求めた結果 pc =0.90 制御メッセージの重複を 1 割削減 p を変えて評価 p = 0.7 で90% のノードに伝わりつつ 制御メッセージ 量を 3 割削減 → 制御メッセージ量をさらに削減できる可能性がある しかし,確率を小さくするとネットワーク全体に広まらない [1] F. Banaei-Kashani and C. Shahabi, “Criticality–based analysis and design of unstructured peer-to-peer networks as ’complex systems’,” in Proceedings of GP2PC, pp. 22–32, May 2003. 2004/2/26 6 特別研究報告発表会 提案手法 (1/2) 従来手法 FSLS: 制御メッセージの重複数は減らない 確率 : 高い確率では制御メッセージの削減の効果が少ない 低い確率では近隣のノードにも届かない可能性 提案手法 確率p の値を小さくし,複数回フラッディング 周期的なTTL設定 近隣のノードには複数回フラッディングが行われる →近隣ノードには高い確率で情報が伝わる フラッディングが発生 S1 S2 S3 2004/2/26 特別研究報告発表会 7 提案手法 (2/2) TTL系列を設定 数式により,TTL毎の重複メッセージ数を計算 重複メッセージ量が急激に増大するTTLを求め, その直前の値を初期TTL値S1として用いる → 重複しない範囲で積極的にフラッディング 2004/2/26 特別研究報告発表会 8 提案手法の評価 1000 ノードのスケールフリーネットワーク 1ノード(非ハブ)が連続してフラッディングを行う フラッディングの間隔;平均 100 ms の指数分布 提案手法の確率 p=0.5 400 経路情報を 受信した累積ノード数 80 OSPF,p=0.9 60 TTL 提案手法 p=0.7 40 p=0.5 20 0 0 1 2004/2/26 2 3 4 5 6 time (sec) 7 8 9 10 Cumulative packet count (x 1000) Cumulative advertised nodes (x 1000) 100 ネットワークに流れた 制御メッセージの数 (累積) 350 300 p=0.7 250 OSPF 200 P=0.9 150 FSLS p=0.5 100 提案手法 50 0 0 特別研究報告発表会 1 2 3 4 5 6 time (sec) 7 8 9 10 ※p=n は確率による従来手法 9 まとめと今後の課題 まとめ スケールフリーネットワークにおけるフラッディング方式の 提案と評価 低確率で複数回フラッディング 制御メッセージの重複を削減 周期的にTTLを設定し,近隣ノードに情報が伝わる確率を高める OSPFと比較して制御メッセージ数を95%削減 今後の課題 経路情報が遅れて各ノードに到着することによるスルー プット性能への影響 経路情報の不整合の影響 パケットの到達性,ループ検出 2004/2/26 特別研究報告発表会 10
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