頭頸部ジストニアにみられる 口腔咽頭の嚥下 8班 高橋 希 又吉裕子 松信 真賢 宮内 小百合 山田 めぐみ 長谷川 しのぶ 藤崎 直也 目的 電気生理学的方法によって頸部ジ ストニア患者における嚥下障害の病 態生理学を明確にする。 頚部ジストニアとは ジストニアのなかで頚部の筋肉の緊張度の異 常により頭や顔が横、あるいは上下に向いて しまう原因不明の病気。ジストニアとは筋肉 の緊張の異常により生じる不随意運動 のこ と 方法 被験者 •頚部ジストニア患者25人 (男性13人、女性12人、平均年齢42.8歳 平均疾患罹患期間数ヶ月~数年) •臨床症状に従って3つのグループに分類 1.痙攣性斜頚のみのグループ 11人(左方斜頚3人、右方斜頚6人、前方斜頚2人) 2.下顎、喉頭ジストニアグループ 7人(痙攣性ジストニア3人、下顎ジストニア3人、舌ジ ストニア1人。下顎ジストニアの患者1名以外斜頚 はなかった。) 3. 斜頚を伴う全身ジストニア 電気生理学的評価 • 舌骨上筋群筋電図 オトガイ下に左右対称に表面電極を貼付 • 喉頭の垂直的な運動 甲状軟骨と輪状軟骨の間にトランスデューサー設置 A-C:舌骨上筋群持続時間、0-2:喉頭運動時間 A-0:嚥下反射惹起時間or咽頭期開始時間 嚥下障害の評価の指標 嚥下障害限界 →嚥下障害を客観的に診断するために、取り 入れた指標のことで、一回にどれくらい嚥下 できるかをしらべたもの。 3mlから20mlまで順に嚥下する量を増やして いくことで決定された。 結果 口咽頭嚥下の電気生理学的な評価 健常者 斜頚の患者 AC間が延長:嚥下に時間がかかる A→0間が延長:嚥下反射に時間が かかる 嚥下障害の限界 A.斜頚の人 B.筋痙攣性の発声障害を持つ嚥下障害の人 Aの人は斜頚で15~20mlの水でも、一度で嚥下できる Bの人は頚部筋痙攣性の患者では1~10mlの水でも、一度で嚥下できない 頭位による嚥下運動の違い A:後斜頸 B:斜頸患者の首を試験官が中立に固定 A:後斜頸患者は10mlと20mlで2回に分けて嚥下して いる B:斜頸患者の首を中立に固定すると、25mlまで全て において1回で嚥下できている ⇒嚥下障害の限界の改善がみられた 筋けいれんの輪状咽頭筋弛緩への影響 A:けいれん性発声障害 A:けいれん性発声障 害患者は、 ①輪状咽頭筋の弛 緩時間が短い ②異常な輪状咽頭 筋活動がみられる ⇒食塊の送り込みの 妨げとなっている 喉頭の センサー 積分波形 原波形 B:正常な人 積分波形 B:正常な人は輪状 咽頭筋の弛緩時 間が長い 嚥下運動と胸鎖乳突筋活動の関係 • 胸鎖乳突筋: ①頭頸部を固定するのに重要な役割を果たしている ②頸部のけいれんで発火する筋 • 胸鎖乳突筋の活動時には、舌骨上筋群と喉頭センサー に嚥下活動は記録されなかった • 嚥下運動時には、胸鎖乳突筋の活動はみられなかった ↓ 嚥下運動と胸鎖乳突筋活動は関係ない 考察 • 臨床的な評価に基づくと嚥下障害は頸 部ジストニアの患者の36%にみられ、 電気生理学的評価では嚥下障害の発 生率が72%まで上昇する。 ①頭や首の動きは嚥下障害の絶対的な 原因ではない ( 3つに分けていたグループのそれぞれの結果 からは臨床所見や電気生理学所見でおなじよ うな結果がえられた) ②臨床上、患者の頭部、頸部の固定は有効であった (一部の患者ではそれの効果がない患者もいた) ③嚥下と胸鎖乳突筋筋電図の間に関係はな かった。 ④電気生理学的異常として、舌骨上筋群の活 動の延長と、喉頭移動の延長、嚥下反射の 遅延がみられた。 (正常な被験者では頭をどちらかに回転、後屈して も舌骨上筋群と喉頭運動には変化が見られなかった) ⑤嚥下時の輪状咽頭筋の反射性の弛緩の持 続時間が短い 頸部の筋異常収縮の神経性の嚥下障害 が中枢神経系のどこで、またどのようにし て起こっているかはまだ知られていなく、 この問題については今後の生理学的研究 を待っている状況です。 終わり
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