スライド 1

社会福祉援助技術論
中部学院大学人間福祉学部
博士(ソーシャルワーク)
宮嶋 淳(みやじま
じゅん)
社会福祉援助技術とは

類似語

社会福祉援助活動

社会福祉援助実践

ソーシャルワーク
マッピング技法の活用

ジェノグラム(家系図)

エコマップ(生態地図)
2010ソーシャルワーカーデー宣言
ソーシャルワークの人間観

根本的価値 ・・・ 人権と社会正義

中核的価値 ・・・ 人間の社会性
変化の可能性
手段的価値 ・・・ 援助関係(バイステックの原則)
援助者に必要な「7つの力」

捉える力: “何かがある”という意識と視点

気づく力: “360度の視界”と“感度の高いアンテナ”

考える力: 問題の本質を掘り下げる

整理する力: “様々な引き出し”

まとめる力: 様々な意見や考えから“合意”を得る

伝える力: 他者に大切なことを伝える・知らせる・納得させる

ふり返る力: 全体をふり返り、反省し、評価し、点検する
バイステックの原則
個別化:一人ひとりの固有性を認める
 意図的な感情表出:利用者の否定的な感情も認める
 統制された情緒的関与:利用者の感情を受け止め、共感を示

すが、個人的な感情をコントロールする

受 容:今ここでの利用者の状態・情動・感情・脈略をそのまま受け止
める
非審判的態度:利用者を非難したり、裁くような態度を示さない
 自己決定
 秘密の保持

「サイン」を読み取る①
(事例) 障害のある内向的な児童が、職員に「おしっ
こ」とたびたび訴える。トイレに行くが、おしっこは出
ない。でも、すぐ再び・・・「おしっこ!」と。
Q1:何のサイン?
Q2:何から手をつける?
Q3:どのように記録し、評価する?
「サイン」を読み取る②
(事例)介護老人施設に入所している治夫さん(83歳)
が猛烈に怒って、大声を出している。私は、どうして
よいのか困ってしまった。
Q1:「怒っていた」のはホント?
Q2:起こっていたのは何?・・考えられる「行動」は?
Q3:どのように記録し、評価する?
6W2Hの記録を


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
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
When(いつ)
Where(どこで)
Who(だれが)
What(なにを)
Why(なぜ、どのような目的で)
How(どのように、どうやって)
 Whom
 How
・・・ 誰との関係で
long ago ・・・ どのくらい前から
利用者との距離・姿勢
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
表情 :喜怒哀楽
視線 :強さ・弱さ、見下ろし、見下げ
動作 :身振り、手振り
姿勢 :腕組み、足組み
身体接触 :手を握る、体を触る
距離 :向かい合う、横に座る
声の調子 :トーン、大きさ
抑揚 :語尾の上げ下げ
間 :沈黙、言葉と言葉の間隔
速さ :話ののばし方、ちじめ方
出典:山田容(2003)
かかわり行動
出典:SW演習教材開発研究会(2008)
行動
促進
阻害
視線
・相手を見る
・内容や状況に応じた自然な視線
・視線が外れる
・キョロキョロする
・凝視する
表情
・やわらかい自然な表情
・自然な微笑み
・こわばった顔つき
・無表情
身ぶり
・リラックスしたポーズや動作
・相手の方を向く
・わずかに状態を傾ける
・自然なうなずき
・固い姿勢
・大げさなジェスチャー
・自己接触行動や反復行動
声の調子
・温かみのあるやや低めの声
・ゆったりとした話し方
・状況にふさわしい言葉遣い
・ためらいがちな話し方
・甲高いトーン
・事務的な口調
応答
・相手の話に関心を向ける
・相手の反応に合わせた反応
・早合点な応答
・話をそらしたり誘導したりする
・沈黙に耐えかねる
マイクロ技法
の階層
出典:アレン・E, アイビイ
/福原真知子(1985)
技法
の
統合
第四層
積極技法
指示・説明・自己開示
第三層
基本的傾聴の連鎖
質問・励まし・反映・要約
第二層
かかわり行動
受容的・共感的な基本的態度
第一層
基本的応答技法①

内容の反射に関するもの

単純な反射:利用者の言葉をそのまま返す

言い換え:利用者の言葉を相談者の言葉に言い換えて反
射する

要

明確化:利用者が語ったことを明確にして示す
約:利用者が語ったことを要約して返す
出典:山辺朗子(2003)
基本的応答技法②

感情の反射に関するもの

感情の反射 :利用者が語った感情をそのまま反射する

感情の受容 :利用者が語った感情を受け入れ反射する

感情の明確化:利用者の語った感情を明確にして示す
出典:山辺朗子(2003)
基本的応答技法③

適切な質問

開いた質問:質問に答えることによって、多くのことが語れるような質
問

閉じた質問:はい、いいえ、あるいは答えが一つであるような質問

状況に即した質問:面接の流れに合致した質問

避けるべき質問の認識:
出典:山辺朗子(2003)
基本的応答技法④

情緒的な支持



利用者を支えるようなメッセージ
利用者の健康さや強さを認めるようなメッセージ
直接的なメッセージ



I(アイ)メッセージ
「私は」で始まる直接的主観的なメッセージ
メッセージを一般化するのではなく、一人の人間としての
ワーカーの思いを直接伝える
出典:山辺朗子(2003)
ナラティブ・アプローチ



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
社会構造主義の考え方をソーシャルワーク実践に
応用した
「意味をつくりだす主体 」は利用者自身である
利用者が語る内容にこそ、利用者の本当の姿が
あると確信する
「物語(ナラティブ)としての自己」を尊重する
利用者の問題の本質はワーカーが決めるのでは
なく、利用者本人が決めるものである
利用者の自己決定のための手段として、利用者本
人が語るストーリーを理解することを重視する
ナラティブ・アプローチの特徴
文化的な感性が高く、ジェンダーや文化、社会・経
済的文脈による利用者の世界観を形成するあり方
に耳を傾ける。
 ナラティブ・アプローチの根底にある人間性に対す
る見解は、人間というものは複雑で多面性を持って
いるということ。
 第一の目標は、利用者が自らの人生を構成するス
トーリーを理解することであり、そのストーリーを広
げ変化させること。


真実となりうる利用者の人生の別な側面を、利用者
が見つけ出すよう援助することを伴う。

ワーカーとの共同作業によって利用者は、袋小路か
ら脱出して選択肢や方法を見つけ出すことができる。

ナラティブ・アプローチでは、問題に焦点をあててい
るときには無視してしまっていた、利用者がすでに
所有し、使っている強さを利用者が認識し、動員す
ることを助ける。
ナラティブ・アプローチの技法
ワーカーは、利用者の狭いものの見方を変化させる
ための疑問をはさみ、徐々に利用者がこれまでナラ
ティブから脱出するよう見届ける。
 一方、ワーカーから指針を示すことはぜず、かつ、
新たなナラティブの構築プロセスに関する構造につ
いても、ほとんど提供しない。
 過度に指令を与えたり技術が優先されることがなく、
具体的な実践を示したり、プロセスの段階の輪郭を、
利用者本人が描くので、教育的であり実践的である。


ナラティブ・アプローチでは、アセスメントを進行的で
絶えず変化するプロセスであるとみなす。

ソーシャルワークのすべての関わり期間で、常に変
化を期待しているので、

実践における「アセスメント」段階と「トリートメント」段
階とを区別をしない。
「ウソ」「秘密にすること」は、許されるか
Q1.「あなたは癌です。余命約半年です。」を告げるか否か。告
げるときの条件は。
⇒インフォームド・コンセント
Q2.「あなたの遺伝上の父は犯罪者です。」を告げるか否か、
告げるときの条件は。
⇒真実告知(テリング)
ソーシャルワークの定義

ソーシャルワーク専門職は、人間の福利(ウェル
ビーイング)の増進を目指して、社会の変革を進め、
人間関係における問題解決を図り、人びとのエンパ
ワメントと解放を促していく。

ソーシャルワークは、人間の行動と社会システムに
関する理論を利用して、人びとがその環境と相互に
影響し合う接点に介入する。人権と社会正義の原
理は、ソーシャルワークの拠り所とする基盤である。
ソーシャルワークの展開過程
インテーク(受理面接)
 アセスメント(事前評価)
 プランニング(計画策定)
 インターベンション(介入)
 モニタリング(中間及び事後評価)
 ターミネーション(終結)
を繰り返すことによって、
社会的システムを構築していく

【参考文献】

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
岡田 誠監修(2010)『相談援助でお悩みのあなたへ』久美出版
山田 容(2003)『『ワークブック社会福祉援助技術演習① 対人援助の
基礎』ミネルヴァ書房
山辺朗子(2003)『ワークブック社会福祉援助技術演習② 個人との
ソーシャルワーク』ミネルヴァ書房
対人援助実践研究会(2003)『77のワークで学ぶ対人援助ワークブッ
ク』久美出版
福祉臨床シリーズ編集委員会編(2009)『相談援助の理論と方法Ⅰ・
Ⅱ』弘文堂
日本社会福祉士養成校協会監修(2009)『社会福祉士相談援助演習』
中央法規
日本社会福祉士養成校協会監修(2009)『相談援助演習教員テキスト』
中央法規