『人間この信じやすきもの』 T.GILOVICH 訳 守一雄 守秀子 文学部心理学専攻3回生 1613080134-3 橋本麻美 どうして私たちは間違った考えや誤った信念を 信じてしまうのか? 正しい事実に出会ってないから? 騙されやすいから?知識がないから? ⇒そうではない! 誤った考えは認知的な原因によって生じる なぜ誤信は問題なのか? 誤信や迷信によって様々な問題が 世界中で起こっている 例:サイの角が薬になるという迷信から、 アフリカではサイが絶滅の危機に瀕している。 ⇒誤信のメカニズムを理解し、世の中を正しく見つめ る方法を身につけようとすることが必要である! 1.ランダムデータの誤解釈 様々なものごとに秩序やパターンや意味を見出しがちであり、 無秩序で渾沌としていて無意味であることを避けようとする傾向がある。 ⇒秩序のないところに秩序を見出してしまい、 偶然に意味のあるパターンを見出してしまう 日常的に見出した秩序を仮説として受け止めることなく、検証を行う こともなく、無意識的に確立した事実として扱ってしまう。 例:バスケットボールのシュートで「成功が成功を生む」 91%の観戦者が「連続してシュートに成功している時の 方が、連続して失敗している時よりも、次のシュートに 成功する可能性が高い。」と答えている。 しかし・・・ 実際は…シュートに成功した後の成功率 シュートに失敗した後の成功率 51% 54% ⇒この場合の「成功が成功を生む」は間違い! それぞれのシュートの成功率は独立である。 ●ランダムデータの誤解釈が起こる原因 ①先入観によって見たものの解釈を歪めてしまう ②偶然による出来事に対する間違った直感 =偏りの錯誤(主観的ランダム系列) ・・・ランダムな分布をしていても、同一タイプのものの偏りや連続が多すぎ るように感じられる。 代表性に基づく判断(=代表性ヒューリスティック)によって説明される ③後付けで特異な部分を見つけて都合のよい検定を施してしまう 2.不完全で偏りのあるデータの誤解釈 私たちは不完全であったり、必ずしも全体をよく表しているわけでもない データに基づいて判断を下しがちである。 例:イメージトレーニングで癌を治した患者がいる。 イメージトレーニングすれば癌が治る? 「イメージトレーニングすれば癌が治る」とは言えない! 必要条件ではあるが、十分条件ではない ●不完全で偏りのあるデータの誤解釈が起こる原因 ①信念と合致する情報の過大評価 ②仮説に合致する情報だけを探そうとする傾向 =確証バイアス ・・・ある仮定を検証する際、その仮説を支持、補強するような事例を探そうとする 例:Wasonのカード問題 ③現実にはすべての必要な情報、完全なデータを手に入れること が不可能なことの方が多い 自己成就的予言・・・ある予期を持ってしまったために行動が変わり、周りを見る目を 変えてしまう 例:豊川信金の破産事件 ・真の自己成就的予言 ・疑似自己成就的予言・・・ある予期が他人の見方を変化させたり、反応を制限したり することによって、そうした予期が否定されにくくなる 例:野球が下手だと思われている 練習にあまり参加しない あまり試合に出してもらえない 本当に下手になってしまう 上手なところを見せられず、 能力がないと思われる 真の自己成就的予言 疑似自己成就的予言 3.データの歪んだ解釈 ・私たちの日常の判断や推論はトレードオフ 認知的負担の軽減 正確さ ・予期や先入観の影響 長所: 短所: 日常の文章、会話の理解 偏見、差別 ・情報があいまいだと、先入観によって判断される ・あいまいではない情報は、予期との一致・不一致によって処理が異なる 予期と合致する ⇒ いち早く受け入れられ、過大に評価される 予期と合致しない ⇒ 注意深く処理し、価値を下げる ・「玉虫色」の解釈が可能な基準を用いてはいけない 例:バーナム効果・・・誰にでも当てはまり、本当らしく聞こえる ・焦点づけられている、焦点づけられていない場合 焦点づけられている ⇒ 予期に合致する、しないに関わらず記憶する 焦点づけられていない ⇒ 予期に合致する結果をよく覚えている ・印象に残りやすいものほど記憶する まとめ ・それぞれのデータの種類によって、異なる認知的要因による誤信が起きている。 ・示されていない情報を読み取ったり、示されたデータを歪めて処理するところか ら誤信は起こる。 ・単なる偶然のランダムなデータの中に規則性を感じる傾向がある。 ・不完全で歪んだデータを正しく処理することが困難である。 ・あいまいで一貫性のないデータを先入観や予期で解釈しがちである。 参考文献 T.Gilovich 守一雄、守秀子訳 (1993). 人間この信じやすきもの 迷信・誤信はど うして生まれるか. 新曜社. 松田隆夫 (1997). 心理学概論-心と行動の理解-. 培風館.
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