平成20年度小・中学校教育課程研究協議会 音 楽 科 (小) 福島県教育委員会 音楽科改訂の基本方針(1) ○ 小・中・高等学校を通じる音楽科の改善の基本方針 ■思いや意図をもって表現したり味わって聴いたりする力を育 成すること、生涯にわたり音楽文化に親しむ態度をはぐくむこ となどを重視する。 ■各学校段階の内容の連続性に配慮し、指導内容を分野ごと に示す。 ■音や音楽を知覚し、そのよさや特質を感じ取り、思考・判断 する力の育成を一層重視する。 ■創作活動は、音楽をつくる楽しさを体験させる観点から「音 楽づくり」として示す。 ■根拠をもって自分なりに批評することのできるような力の育 成。 ■我が国や郷土の伝統音楽の指導の充実。 音楽科改訂の基本方針(2) ○改善の具体的事項 音楽のよさを感じ取り、思いや意図をもって表現したり音楽全体を味わって 鑑賞したりする力の育成や、音楽文化を理解し、豊かな情操を養うことを重 視し、次のような改善を図る。 ◆ 表現領域(歌唱、器楽、音楽づくりの三分野)、鑑賞領域、及び共通事項 で内容を構成する。 ◆ 音楽づくりについては、音を音楽へと構成する音楽の要素や音楽の面白 さに触れるようにする。 ◆ 鑑賞領域においては、音楽の面白さやよさ、美しさを感じ取ることができ るようにする。 ◆ 唱歌や民謡、郷土に伝わるうたについて、さらに取り上げられるようにす るとともに、歌唱共通教材の扱いについて充実を図る。 ◆ 鑑賞教材の選択の観点については、我が国の音楽について中学年でも 取り扱うなどの改善を図る。 ◆ 協同する喜びを感じたりする指導を重視する。 ◆ 児童の生活の中でよく耳にする音や音楽とのかかわりを大切にした指導 内容を示す。 音楽科改訂の要点(1) (1) 目標 目標は 変更なし 表現及び鑑賞の活動を通して、音楽を愛好する心情と音楽に対 する感性を育てるとともに、音楽活動の基礎的な能力を培い、豊か な情操を養う。 (2) 内容構成の改善 A 表 現 歌唱 器楽 共 音楽づくり 通 事 B鑑賞 2領域 1事項 項 ・ 表現領域と鑑賞領域の関連を十分に図る。 ・ 小中高の構成を統一し、各学校段階での内容の連続性を 明確にする。 音楽科改訂の要点(2) (3) 〔共通事項〕の新設 → ・表現及び鑑賞のすべての活動において、共通に指導すべき内容の明確化 (4) 歌唱共通教材の充実 → ・各学年とも取り扱う楽曲数の増加 (5) 音楽づくりについて → ・音を音楽に構成する過程の重視 ・思いや意図をもって音楽をつくることの重視 (6) 鑑賞教材における我が国の音楽の充実 → ・我が国の伝統音楽を中学年から取り上げ、親しませること (7) 言語力の育成 → ・感じ取ったことを言葉などで表す活動を、各学年の内容に明記 各学年の内容(表現領域) 現行学習指導要領 新学習指導要領 現行では内容ごとに示していた指導内容を、「歌唱」、「器楽」、「音楽づくり」の3つの分野ご とに示した。 (1)音楽を聴いて演奏 できる (2)気分や要素を感じ取って 工夫して表現できる (3)歌い方、演奏の仕方を 身に付ける (4)音楽をつくって表現 できる (1)歌唱の活動 (ア)範唱を聴いたり楽譜を見たりして歌う (イ)曲想に相応しい表現の工夫 (ウ)発音、発声 (エ)声を合わせて歌う (2)器楽の活動 (ア)範奏を聴いたり、楽譜を見たりして演奏する (イ)曲想に相応しい表現の工夫 (ウ)奏法 (エ)音を合わせて演奏する (3)音楽づくりの活動 (5)表現教材の取扱い (4)表現教材の取扱い 各学年の内容(鑑賞領域) 第 1 学 年 及 び 第 2 学 年 (1)音楽を聴いてそのよさや楽しさを感じ取るよ うにする。 現 行 学 習 指 導 要 領 第 3 学 年 及 び 第 4 学 年 第 5 学 年 及 び 第 6 学 年 (1)音楽を聴いてそのよさや美しさを感じ取る ようにする。 (1)音楽を聴いてそのよさや美しさを味わうよう にする。 ア 楽曲の気分を感じ取って聴くこと。 曲想の変化を感じ取って聴くこと。 曲想を全体的に味わって聴くこと。 イ リズム、旋律及び速さに気をつけて聴くこと。 主な旋律の反復や変化、副次的な旋律、音楽を特徴付 けている要素に気をつけて聴くこと。 主な旋律の変化や対照、楽曲全体の構成、音楽を特徴付 けている要素と曲想とのかかわりに気をつけて聴くこと。 ウ 楽器の音色に気をつけて聴くこと。 楽器の音色及び人の声の特徴に気をつけて聴くこと。ま た、それらの音や声の組み合わせを感じ取って聴くこと。 楽器の音色及び人の声の特徴に気をつけて聴くこと。また、 それらの音や声の重なりによる響きを味わって聴くこと。 (2)鑑賞教材は次に示すものを取り扱う。 ア 日常の生活に関連して、情景を思い浮かべやす い楽曲 音楽の要素及び音色の特徴を感じ取り、聴く楽しさを得 やすい楽曲 音楽の構成及び音の重なりによる響きの特徴を感じ取り、 聴く喜びを深めやすい楽曲 イ 行進曲、踊りの音楽、身体反応の心地よさを感じ 取りやすい音楽など、いろいろな種類の楽曲 劇の音楽、管弦楽の音楽、郷土の音楽、人々に長く親し まれている音楽など、いろいろな種類の楽曲 歌曲、室内楽の音楽、箏や尺八を含めた我が国の音楽、諸 外国に伝わる音楽など、いろいろな種類の楽曲 ウ 児童にとって親しみやすい、いろいろな演奏形態 による楽曲 独奏、合奏を含めたいろいろな演奏形態による楽曲 独唱、合唱、重奏を含めたいろいろな演奏形態による楽曲 第 1 学 年 及 び 第 2 学 年 第 3 学 年 及 び 第 4 学 年 第 5 学 年 及 び 第 6 学 年 (1)鑑賞の活動を通して次の事項を指導する。 新 学 習 指 導 要 領 ア 楽曲の気分を感じ取って聴くこと。 曲想とその変化を感じ取って聴くこと。 曲想とその変化などの特徴を感じ取って聴くこと。 イ 音楽を形づくっている要素のかかわり合いを感じ 取ること。 音楽を形づくっている要素のかかわり合いを感じ取り、 楽曲の構造に気をつけて聴くこと。 音楽を形づくっている要素のかかわり合いを感じ取り、楽曲 の構造を理解して聴くこと。 ウ 楽曲を聴いて想像したことや感じ取ったこと を言葉で表すなどして、楽曲や演奏の楽しさに 楽曲を聴いて想像したことや感じ取ったことを言 葉で表すなどして、楽曲の特徴や演奏のよさに気付く 楽曲を聴いて想像したことや感じ取ったことを言葉で 表すなどして、楽曲の特徴や演奏のよさを理解すること。 気付くこと。 こと。 (2)鑑賞教材は次に示すものを取り扱う。 ア 我が国及び諸外国のわらべうたや遊び歌、行進 曲や踊りの音楽など、身体反応の心地よさを感じ 取りやすい音楽、情景を思い浮かべやすい楽曲。 和楽器の音楽を含めた我が国の音楽、郷土の音楽、 和楽器の音楽を含めた我が国の音楽や諸外国の音楽 諸外国に伝わる民謡などの生活とのかかわりを感じ取り やすい音楽、劇の音楽、人々に長く親しまれている音楽 など、いろいろな種類の楽曲 など文化とのかかわりを感じ取りやすい音楽、人々に長く親 しまれている音楽など、いろいろな種類の楽曲 イ 音楽を形づくっている要素の働きを感じ取りやすく、 親しみやすい楽曲。 音楽を形づくっている要素の働きを感じ取りやすく、聴く 楽しさを得やすい楽曲 音楽を形づくっている要素の働きを感じ取りやすく、聴く喜び を深めやすい楽曲 ウ 楽器の音色や人の声の特徴を感じ取りやすく親し みやすい、いろいろな演奏形態による楽曲。 楽器や人の声による演奏表現の違いを感じ取りやすい、 独奏、重奏、独唱、重唱を含めたいろいろな演奏形態に よる楽曲 楽器の音や人の声が重なり合う響きを味わうことができる、 合奏、合唱を含めたいろいろな演奏形態による楽曲 各学年の内容(共通事項) 【共通事項】 ・・・表現及び鑑賞の2領域を支えるものとして 第1学年及び第2学年 第3学年及び第4学年 第5学年及び第6学年 ア 音楽を形づくっている要素のうち、次の(ア)及び(イ)を聴き取り、それらの働きが 生み出すよさや面白さ、美しさを感じ取ること。 (ア) 音色、リズム、速度、 旋律、強弱、拍の流 れやフレーズなどの 音楽を特徴付けてい る要素 音色、リズム、速度、旋律、 強弱、音の重なり、音階や 調、拍の流れやフレーズ などの音楽を特徴付けて いる要素 (イ) 反復、問いと答えなど 反復、問いと答え、変化な の音楽の仕組み どの音楽の仕組み 音色、リズム、速度、旋律、 強弱、音の重なりや和声 の響き、音階や調、拍の 流れやフレーズなどの音 楽を特徴付けている要素 反復、問いと答え、変化、 音楽の縦と横の関係など の音楽の仕組み イ 身近な音符、休符、記号や音楽にかかわる用語について、音楽活動を通して 理解すること。 ○ 各学年の〔共通事項〕のイの「音符、休符、記号や音楽にかかわる用語」 については、「内容の取扱いと指導上の留意点」の(6)において、現行より6 種多い36種が示された。 指導計画の作成と内容の取扱い(1) (1) 指導計画作成上の留意点 ① 〔共通事項〕の取扱い → ・表現及び鑑賞の各活動の中に位置付けることによって指導の関連を図る ② 高学年の表現活動における演奏形態の選択 → ・学校の実情や児童の興味・関心などに配慮し、表現形態を選択する ③ 「君が代」の指導の主旨の明確化 → ・いずれの学年においても歌えるよう指導すること ④ 生活科などとの関連 → ・低学年における、生活科などとの積極的な関連 ・第1学年においては、幼稚園教育における表現に関する内容との関連を考慮 ⑤ 道徳教育との関連 ・道徳との関連については、両者が相互に効果を高めあうようにすることが大切 指導計画の作成と内容の取扱い(2) (2)内容の取扱いと指導上の留意点 ① 体を動かす活動 体のあらゆる感覚を使って音楽をとらえていくことが必要 ② 和音及び和声の指導 Ⅰ、Ⅳ、Ⅴ及びⅤ7などの和音を中心に指導する ③ 歌唱の指導についての取扱い ・適宜、移動ド唱法を用いる ・日本のうたを含めて取り上げる ・変声期の児童への配慮 ④ 器楽の指導についての取扱い ・各学年で扱う楽器などについて ⑤ 音楽づくりの指導についての取扱い ・音遊びや音楽な表現では、音楽づくりのさまざまな 発想ができるように指導する ・記譜の仕方いついて ・音楽づくりのてがかり ⑥ 音符、休符、記号や音楽にかかわる用語について ・各学年の共通事項のイで取り扱う具体的な記号等について
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