人生を経済学で考える

人生を経済学で考える
経済原論Ⅱ(ミクロ経済学)
第1回
畑農鋭矢
ヤバい経済学?
小さく?産んで大きく育てる
• 出生時の体重と社会的地位の関係
• Sandra E. Black (カリフォルニア大学ロサンゼルス校),
Paul J. Devereux (ユニバーシティ・カレッジ・ダブリン),
Kjell Salvanes (ノルウェー経済経営高等学院),2005年。
Enrico Moretti (カリフォルニア大学バークレー校),
Janet Currie (コロンビア大学),2007年。
• 結論:出生時の体重が重いほど地位が高くなる。
⇒日本では?
• パネルデータ
公立保育園vs私立保育園
• 経営主体別の生産性を比較
駒村康平(慶應義塾大学),2001年。
白石小百合(横浜市立大学)・鈴木亘(学習院大学),
2003年。
清水谷愉(財団法人世界平和研究所)・野口晴子(東
洋英和女学院大学),2004年。
• 生産性の比較結果
民間認可外>民間認可>公立認可
• 生産性を計測するには?
生産性を計測する
労働力
100
設備
100
労働力
100
設備
100
低
高
生産
100
生産
200
なぜ宿題は後回しになるのか?
• せっかち度を測る
将来の割引率
これまでの経済学:一定率の割引
• 行動経済学・実験経済学
双曲割引
Richard H. Thaler (シカゴ大学),1981年。
David I. Laibson(ハーバード大学),1997年。
• 後回しのメカニズム→
後回しのメカニズム
時
間
の
重
要
性
8/1
8/15
時間
美男・美女は得か?
• 「美男美女度」と賃金の関係
Jeff E. Biddle (ミシガン州立大学), Daniel S.
Hamermesh (テキサス大学), 1998年。
• 美男美女優遇の3つの可能性
①雇用主差別仮説(自営業では成立せず)
②顧客差別仮説(顧客が美男美女を好む)
③生産性仮説(例:俳優業など)
• 大竹文雄(大阪大学)『経済学的思考のセンス』中公
新書(2005年)の第1章。
大学卒業の意味
• 人的資本理論
Gary S. Becker (シカゴ大学),1962年。
教育による能力向上⇒教育投資のインセンティブ
• シグナリング理論
George A. Akerlof (カリフォルニア大学バークレー校),
1970年。
Michael Spence (スタンフォード大学),1973年。
• 前提:企業の持つ労働者に関する情報は不完全
「大卒=優秀(である可能性が高い)」というシグナル
優秀な人材が優秀であることを証明するための役割。
格差は拡大したのか?
• 1990年代の格差拡大
○橘木俊詔(同志社大学・前京都大学)
?大竹文雄(大阪大学)⇒主因は高齢化
• 2000年以降は若者の格差拡大傾向
ニートや派遣労働が影響か?
• 実質所得格差の議論
Christian Broda, John Romalis(シカゴ大学)
⇒高所得者と低所得者で購入する商品は異なる。
⇒異なる物価⇒高↑低↓⇒格差縮小
• 永濱利廣(第一生命研究所):日本では逆
日本の所得不平等度の推移
出所:大竹(2003)「所得格差の拡大はあったのか」
樋口美雄+財務省財務総合政策研究所編『日本の所得格差と社会階層』所収
年齢階級別の所得不平等度
出所:大竹(2003)「所得格差の拡大はあったのか」
樋口美雄+財務省財務総合政策研究所編『日本の所得格差と社会階層』所収
勝ち組への道
• チャンスは一度―世代と賃金格差
玄田有史(東京大学),1997年。
新卒就職活動時期の経済環境がその後の賃
金水準に強く影響する。
• 生まれ年によって運不運・不公平
⇒政府による経済対策の重要性
• 玄田有史『仕事の中の曖昧な不安 』中央公論
新社,2001年(文庫版は2005年)。