直流回路と交流回路

電気回路Ⅱ 演習
特別編(数学)
三角関数
三角関数関連の公式
オイラーの公式
オイラーの公式を用いた三角関数の公式の導出
微分積分
微分方程式
付録
Taylor(テーラー)展開とオイラーの公式の導出
sinc関数について
(Taylor展開とロピタルの定理を用いた解法)
1.三角関数
1.1 定義

三角関数
a
sin( ) 
c
c

b
a
b
cos(  ) 
c
sin( ) a
tan( ) 

cos( ) b
1.2 定義2
c

b
b



c
a
a
sin(  )    sin( )
c
b
cos(  )   cos( )
c
a
1.3 定義3
 / 2 
b
sin( / 2   )   cos( )
c
a
cos( / 2   )   sin( )
c
 / 2 

c
b

c

a
b
a
1.4. 三角関数の公式
これだけは覚えよう
sin(   )  sin  cos   sin  cos
cos(   )  cos cos   sin  sin 
引き算の場合
sin(   )  sin  cos(  )  sin(  ) cos
cos(   )  cos cos(  )  sin  sin(  )
スライド1.2より
sin(   )  sin  cos   sin  cos
cos(   )  cos cos   sin  sin 
1.5. 三角関数の公式2
sin  cos  を求める
sin(   )  sin  cos   sin  cos
sin(   )  sin  cos   sin  cos
両辺を足すと
sin(   )  sin(   )  2 sin  cos 
よって
sin(   )  sin(   )
sin  cos  
2
1.6. 三角関数の公式3
cos cos 
sin  sin 
を求める
cos(   )  cos cos   sin  sin 
cos(   )  cos cos   sin  sin 
両辺を足すとor引くと
cos(   )  cos(   )
sin  cos  
2
cos(    )  cos(    )
cos  cos  
2
1.7 三角関数の公式のまとめ
sin(   )  sin  cos   sin  cos
cos(   )  cos cos   sin  sin 
sin(   )  sin  cos   sin  cos
cos(   )  cos cos   sin  sin 
sin  cos  
sin(   )  sin(   )
2
cos(   )  cos(   )
2
cos(    )  cos(    )
cos  cos  
2
sin  cos  
覚える必要があるのは,左上の式のみ
あとは解き方を覚えておけばよい
2. オイラーの公式
2.1 オイラーの公式
電気,電子系で最も使われる公式の一つ
オイラーの公式
e
e
 j
j
 cos  j sin 
 cos( )  j sin( )
 cos  j sin 
以下ではオイラーの公式を用いて
三角関数の公式を導出してみよう
2.2 オイラーの公式を用いた三角関数の公式の導
出(1)
j (   )
を計算する.
1.オイラーの公式より
e j (  )  cos     j sin   
e
2.オイラーの公式より
e j (   )  e j e j  cos  j sin  cos   j sin  
 cos cos   sin  sin 
 j sin  cos   sin  cos 
1と2の右辺の実部,虚部を比べて
sin(   )  sin  cos   sin  cos
cos(   )  cos cos   sin  sin 
2.3 オイラーの公式を用いた三角関数の公式の導
出(2)
先と同様に
e
j (   )
を計算すれば,以下の公式が
導出される
sin(   )  sin  cos   sin  cos
cos(   )  cos cos   sin  sin 
2.4 オイラーの公式を用いた三角関数の公式の導
出(3)
さらに e j (   )  e j (  ) を計算する
1.e j (  )  e j (  )  cos     cos     jsin     sin   
2.e j (   )  e j (  )  e j e j  e  j 
 cos  j sin  2 cos 
 2 cos cos   2 j sin  cos 
1,2より実部と虚部を比較して
cos      cos    
cos  cos  
2
sin      sin    
sin  cos  
2
2.5 オイラーの公式を用いた三角関数の公式の導
出(4)
e j (   )  e j (  ) を計算する
1.
e j (  )  e j (  )  cos     cos     jsin     sin   
2.


e j (   )  e j (   )  e j e j  e  j
 cos   j sin  2 sin  
 2 cos sin    j 2 sin  sin  
1と2より,虚部を比較すると
sin(   )  sin(   )
sin  sin  
2
2.6 オイラーの公式を用いた三角関数の公式の導
出のまとめ
e
e
e
e
左の式をオイラーの公式を
用いて計算する
(実部と虚部を比較する)
j (   )
j (   )
j (   )
j (   )
e
j (   )
e
j (   )
1.7の三角関数のすべて
の公式を導出できる
3.微分積分
3.1 基本的事項
微分
d
S  0 ( S: xに関係ない定数 )
dx
d n
x  nxn 1
dx
d
1
log x 
dx
x
d ax
e  aeax
dx
d jax
e  ajeax
dx
積分

Sdx  Sx  c1 ( S: xに関係ない定数 )

1 n 1
x dx 
x  c1
n 1
1
dx  log x  c1
x
1 ax
ax
e dx  e  c1
a
1 jax
jax
e dx  e  c1
aj



n
ただしc1は積分定数
3.2 三角関数の微分積分

ここでは主に三角関数の微分積分を扱う.
微分
積分
d
sin(ax)  a cos(ax)
dx
d
cos(ax)  a sin(ax)
dx


1
sin(ax)dx 
cos(ax)  c1
a
1
cos(ax)dx  sin(ax)  c1
a
c1は積分定数
符号を間違えないように
3.3 オイラーの公式を用いた三角関数の微分積分

オイラーの公式を用いれば符号を考えずにすむ
微分
積分
d jax
e  jae jax
dx

e jax dx 
1 jax  j jax
e 
e
ja
a
実部虚部を比べると,3.2の内容と一致
d
cos(ax)  a sin(ax)
dx
sin(ax)  a cos(ax)


1
sin(ax)dx 
cos(ax)
a
1
cos(ax)dx  sin(ax)
a
よって,複数の微分積分を含む式を解く場合,青の枠線で囲った式を用
いると便利である.(符号を気にする必要がないので)
3.4 微分に関する諸事項

掛け合わさった関数の微分について
d
d
d
f ( x) g ( x)  g ( x)
f ( x)  f ( x) g ( x)
dx
dx
dx
そのまま


微分
そのまま
微分
片方ずつ微分して,足し合わせる
偏微分(複数の変数が入っている場合)
d
d
d
f ( x) g (t )  g (t )
f ( x)  f ( x) g (t )
dx
dx
dx
d
g(t)は,変数xを含まないので,
 g (t )
f ( x)
xから見ると定数である.
xとは独立な変数tの関数
dx
定数の微分は0
3.5 積分に関する諸事項


積分はすべての関数で解けるとは限らない.
掛け合わさった関数の積分について
まず,以下の微分を考える.
d
d
d
f ( x) g ( x)  g ( x)
f ( x)  f ( x) g ( x)
dx
dx
dx
移項する
f ( x)
d
d
d
g ( x) 
f ( x) g ( x)  g ( x)
f ( x)
dx
dx
dx
両辺をxで積分する.
(定積分を仮定して積分定数を省略する)

f ( x)
d
d
g ( x)dx  f ( x) g ( x)   g ( x)
f ( x)dx
dx
dx
この公式を用いれば,掛け合わさった関数の積分を解くことができる.(場合もある)
3.5の続き

例)


0
x sin(x)を解け
ここで先ほど求めた公式を思い出す

f ( x)
d
d
g ( x)dx  f ( x) g ( x)   g ( x)
f ( x)dx
dx
dx
f ( x)  x, g ( x)   cos x
sin(x) とする
x
よって


0
x sin(x)dx  x cos(x)0    cos(x)1dx


0
 x cos(x)0  sin(x)0



4.微分方程式
(定数係数の2階線形微分方程式のみ)

ここで扱うのは定数係数の2階線形微分方程式のみ.係
数が変数の場合はもっと複雑な計算となるので,これを計
算したい場合は専門的な数学の教科書を参考にされたし.

定数係数の2階線形微分方程式の形

一般的な形
d2y
dy
a 2  b  cy  0
dx
dx
a  0, bおよび cは定数
について計算する.
微分方程式の解法1-1
次の微分方程式を解く
d2y
dy
a 2  b  cy  0
・・・(式A)
dx
dx
a  0, bおよび cは定数
2
2


a

 b  c  0

まず, と に置き換えて, の2次方程式
の根の性状に応じて三つの場合を区別する.
(1) b2  4ac  0の場合
a 2  b  c  0の実根を  , とすると
(式A)の一般解は
y( x)  Aex  Bex ( A, Bは定数)
微分方程式の解法1-2
(2) b2  4ac  0の場合
a 2  b  c  0は,共役な複素数の根 を持つ


その根を h  kj j   1 とすると
(式A)の一般解は
y( x)  Ce ( h  kj) x  De( hkj) x (C , Dは定数)
 e hx  A cos kx  B sin kx ( A, Bは定数)
(2) b2  4ac  0の場合
a 2  b  c  0の重根  b / 2aとすると
(式A)の一般解は
y( x)  ex  Ax  B
注意
A, Bは定数
微分方程式の解法1-3

例題)
d2y
 x  0の場合 y  0
2

k
y
ただし 
5k
5 k
dx2
 x  5の場合y  5 e  e

2
解答) d を と置き換えて
2

 2  k 2    k
dx
一般解は y  Aekx  Be kx
 x  0の場合 y  0
さらに, 
を代入する.
5k
5 k
 x  5の場合y  5 e  e
0  A B
A5
B  5
5e5k  e 5k   Ae5k  Be5k

したがって
y  5ekx  5ekx

付録
Taylor(テーラー)展開とオイラーの公式1

Taylorの公式

定理28 或る区間において,f(x)は第n階まで微分可能とす
る.然らばその区間において,aは定点,xは任意の点とす
るとき
( n 1)
( n)
f ' (a)
f
'
'
(
a
)
f
(
a
)
f
( )
2
n 1
n
f ( x)  f ( a )  ( x  a )
ただし,
1!
 ( x  a)
2!
...  ( x  a)
(n  1)!
 ( x  a)
  a   ( x  a), 0    1
すなわち  はaとxとの中間に或る値である.
「解析概論」61ページ
n!
Taylor(テーラー)展開とオイラーの公式2
マクローリンの級数

テイラーの公式よりa=0の場合を特別にマクローリンの
級数と呼ぶ
( n 1)
(n)
f ' (0)
f
'
'
(
0
)
f
(
0
)
f
(0)
2
n 1
n
f ( x)  f (0)  x
x
... x
x
1!
2!
(n  1)!
n!
x
1.e をマクローリン展開しよう
d x
(n)
f  n e  ex
1
1 2 1 3
x
e  1  x  x  x .....
dx
1
!
2
!
3
!
(n)
f ( 0)  1
マクローリン級数の続き
2. cos x をマクローリン展開しよう
f 0 (0)  cos0  1, f 1 (0)   sin 0  0, f 2 (0)   cos0  1
f 3 (0)  sin 0  0, f 4 (0)  cos0  1, f 5 (0)   sin 0  0......
1 2 1 4 1 6
cos x  1  x  x  x ....
2!
4!
6!
3.
sin x
をマクローリン展開しよう
f 0 (0)  sin 0  0, f 1 (0)  cos0  1, f 2 (0)   sin 0  0
f 3 (0)   cos0  1, f 4 (0)  sin 0  0, f 5 (0)  cos0  1......
1
1 3 1 5 1 7
sin x  x  x  x  x ....
1!
3!
5!
7!
オイラーの公式の導出
ここではお馴染みオイラーの公式を導出する.
スライド26の1より
x  jx
1
1 2 1 3
e  1  x  x  x .....
1!
2!
3!
x
と置き換える
1
1
1
2
e  1  ( jx)  ( jx)  ( jx)3 .....
1!
2!
3!
1 2 1 4 1 6
1 1 1 3 1 5 1 7 
 1  x  x  x ..... j  x  x  x  x .....
2!
4!
6!
3!
5!
7!
 1!

jx
実部と
虚部に
分けて
前ページの2より
cos x  1 
1 2 1 4 1 6
x  x  x ....
2!
4!
6!
前ページの3より
sin x 
1
1
1
1
x  x 3  x 5  x 7 ....
1!
3!
5!
7!
オイラーの公式の導出
したがって,皆さんお馴染みのオイラーの公式が
導出される
e  cos x  j sin x
jx
sinc関数について
光の干渉波形を求めるときなどに良く使われるsinc関数について
定義
sin x
sinc x 
x
このsinc関数の limx0 sinc x を求めるには?
(このままでは分母分子が共に0となるので計算できない)
1
1!
1
3!
1
5!
1
7!
マクローリン展開を使おう. sin x  x  x 3  x 5  x 7 ....
これを使うと
1 1 2 1 4 1 6
sincx   x  x  x ....
1! 3!
5!
7!
したがって
limx0 sinc x  1
sinc関数について –別の解法–


ロピタルの定理を使っても,sinc(0)の計算ができる.
ロピタルの定理
f(x),g(x)が微分可能で,f(a)=g(a)=0の場合
lim f ( x)
xa
lim g ( x)

xa
lim f ' ( x)
xa
lim g ' ( x)
が成立する
xa
ロピタルの定理を用いると
limsinc(x) 
x 0
limsin(x)
x 0
lim x
x 0

limcos(x)
x 0
lim1
1
となる.
x 0
前頁の結果を参照