現在までの研究 1) シリコン基板埋め込み全固体型マイクロリチウム2次電池 に関する研究[Appl. Phys. Lett., 81, 5066-5068 (2002)]。 2) Si基板上に作成したスピネル型LiMn2O4の原子間力顕微鏡による Li原子列に関する研究 [Appl. Phys. Lett. 76, 2238-2240 (2000)]。 3)LiMn2O4およびLiCoO2の光学物性および電子物性に関する研究 [Appl. Phys. Lett. 77, 4154-4156 (2000)]。 4)低速太陽ニュートリノ検出材料としてのLiInO2の作成と発光特性に 関する研究[J. Appl. Phys. 93, 2691-2695 (2003)]。 5)産業技術総合研究所におけるイオンビームを用いた研究 [Nucl. Instr. And Meth. B190, 869-872 (2002)] シリコン基板埋め込み全固体型マイクロ リチウム2次電池に関する研究 バグダッド電池(世界最古の電池約2000年前) バグダッド電池(BC248~AC226) 電池が人類史上から姿を消した。 ボルタ(ガルバニ)電池(1800年ごろ) 物理・化学の発展。 生物・地学分野からの要請。 現在?? 半導体微細化技術の発展 サブミクロンからナノへ (MEMS、ナノテクノロジー) 電源: 外部からグローバル配線等で 供給 微細化研究: 薄膜電池1~3) スパッタ法や電子ビーム蒸着法を使用 電源部分と素子の一体化 および微細・局所化が課題 1) Park et al., Electrochem. Solid-State Lett. 2, 58 (1999). 2) Neudecker et al., J. Electrochem. Soc. 147, 517 (2000). 3) West et al., J. Micromech. Microeng. 12, 58 (2002). Si基板埋め込みリチウム2次電池 負極 固体電解質 正極 基板 • 電源とシリコンICとの一体化が容易。 • 電源部分のサイズが一義的に決定できる。 (電源設計が容易) • ゾル-ゲル法およびスピンコーティング法との 相性がよい。(低コスト) 基板加工 ポリシリコン (460nm、300Ω) SiO2 (600nm) Si3N4 (1600nm) ドライエッチングにより溝(パターン)を形成 Human-hair-size LiMn2O4薄膜作成法(従来) 電子ビーム蒸着法3 スパッタリング法 4 半導体基板上に容易に 成膜できる(長所)。 生産コストが高い(短所)。 LiMn2O4薄膜作成法(本研 究) ゾルゲル法(低コス ト) + スピンコーティング法 (半導体基板上に容易に 成膜可能) LiMn2O4正極作成法 ゾル液の作成 酢酸リチウム 酢酸マンガン 原子数比 Li:Mn =1:2 少量のクエン酸 メタノールに溶解 (約200mg/ml) ゾル液を基板上にスピンコート 焼成温度:550℃ 焼成時間:30分間 酸素フロー下 LiMn2O4 Mechanical Dry Polishing法で 余剰部分を除去 電解質ガラス膜作成法 SiO2・15at.%P2O5系スピンオングラス 原材料液を基板上にスピンコート 焼成: 450℃、1分間 溶媒を急速に蒸発させる ポーラス化 Li+の伝導パスを意図的に導入 Human hair size Battery arrays まとめ ◆ Al / Li / SiO2-15at%P2O5 / LiMn2O4 / ポリシリコン電池(3個並列) ◆ 電池活性領域はそれぞれ100×200μm2 ◆ 起電力2.8~4.2V、9.6μAhcm-2の容量平坦領域(3.6V) (34.6μWhcm-2を供給可能) ◆ 37時間(100サイクル)の安定した充放電動作 今後 シリコンICへの搭載を目指して さらなる小型化、高性能化。 Si基板上に作成したスピネル型LiMn2O4の 原子間力顕微鏡によるLi原子列に関する研究 表面モフォロジー 電池容量等の電池特性に 影響を及ぼす 原子間力顕微鏡(AFM)による表面モフォロジー観察 リチウム2次電池はリチウムイオンが動いて動作する ナノサイエンスでは原子レベルでの乱れが性能低下を引き起こす。 LiMn2O4膜上のリチウムを直接観察することはできないか? スピネル-LiMn2O4表面の原子レベルでの 評価技術の確立 LiMn2O4膜作成法 LiMn2O4膜の作成 ゾル液の作成 酢酸リチウム 酢酸マンガン ゾル液を(100)‐Si基板上にスピンコート 回転数:3000 rpm 回転時間10 sec 原子数比 Li:Mn =1:2 少量のクエン酸 メタノールに溶解 (約200mg/ml) 焼成温度:300、500、800℃ 酸素フロー下 焼成時間:30分間 原子間力顕微鏡(AFM)像の観察 室温および大気中 コンタクトモードAFMを使用 Si3N4 tipを使用 観察範囲 表面モフォロジー観察 x-y 面 2μm平方 z 軸方向 0.5 μm 原子像観察 x-y 面 20nm平方 z 軸方向 5nm 結論 • ゾル-ゲル法により(100)-Si基板上にLiMn2O4膜を形成した. (焼成温度300、500、800℃.焼成時間30分間) • 作成した膜はspinel-LiMn2O4の単一相(Fd3m)である. • 膜表面は主として棒状結晶部分から形成されており、 焼成温度の増加とともに膜全体に拡大し、やがては台地状結晶 部分が形成される. • 300℃焼成膜表面には原子レベルで平坦な部分が存在し、 spinel-LiMn2O4における(100)面上のLi原子列が観察された. •全固体型マイクロリチウム2次電池の原子レベルでの 評価技術の端緒を開いた。 LiMn2O4およびLiCoO2の光学物性および 電子物性に関する研究 スピネル型LiMn2O4および層状岩塩型LiCoO2 全固体型リチウムマイクロ2次電池の 正極材料として有望 遷移金属酸化物 特有のバンド構造 O d 軌道 eg O O M O O t2g O spinel-LiMn2O4 物性 ・磁気的性質: 室温で常磁性的、約30 K以下で強磁性的 ・電気的性質: 約220 K以上で小さいポーラロンによる ホッピング伝導 ・結晶構造: 約280 K以上でスピネル構造 Mn周囲のわずかな局所歪み(歪み比=1.17程度) 約280 K付近でc軸がわずかに伸長(c/a = 1.011) スピネル構造→正方晶構造相転移 正方晶領域は約260 Kで飽和する(約 60体積%) Mnの電子配置に関する従来の解釈 ・LiMn2O4の結晶構造(スピネル構造) ・整数イオン価数 ・電荷中性条件(Li+[Mn3+Mn4+]O48-) LiMn2O4 = Li[Mn3+Mn4+]O4 eg t2g Mn3+ 1. Mn4+ J. B. Goodenough et. al., Mater. Res. Soc. Symp. Proc. 135, 391 (1989). 光学的手法によるLiMn2O4およびLiCoO2の 3d電子状態 遷移金属酸化物の配位子場分裂 多くは可視光域 光吸収法による3d遷移(t2g → eg)の観察 t2gバンド中のフェルミ準位から二つのegバンドへの 遷移(1.63eVおよび2.00)を観測した。 Liuらの電子構造計算を支持 LiMn2O4中のMn3d電子はt2gバンド中に存在する。 LiMn2O4の物性解釈にはさらに詳細な実験 および電子構造計算が必要。 スピネル型LiMn2O4の電子物性 これまで220K以下の電気伝導データは存在しない。 スピネル型LiMn2O4は小さいポーラロン伝導(室温から220K)。 本研究で作成した試料も小さいポーラロン伝導を示す か? スピネル型LiMn2O4の電気伝導は光に対して クエンチングを起こすか? 小さいポーラロン伝導 結論 220 < T < 300 K: t2gバンド中のEF近傍の局在準位間で (小さいポーラロンによる)ホッピング伝導. • • T<220 K: ポーラロン伝導理論で予測される ホッピング伝導からトンネル伝導への移行 •660nm赤色光照射下でポーラロン伝導が クエンチング 赤色光照射によりヤーンテーラー不安定性が緩和 LiCoO2中のCo3dバンドの結晶構造依存性 LiCoO2 層状岩塩構造(成長温度700℃以上) 変形スピネル型構造(600℃以下) LiCoO2におけるCo3dバンドは結晶構造変化に応じて どのような依存性をしめすのか? 層状岩塩型LiCoO2の3dバンド構造 ◆ 3つのt2g準位と2つのeg準位から形成されている ◆ 6個の3d電子はt2gバンド内で低スピン配置をとる Aydinol et. al., Phys. Rev. B56, 1354 (1997). 層状岩塩型(R3-m) 変形スピネル型(Fd3m) Li面およびCo面において、お互いに 25%ずつの原子を交換 吸収ピークがシャープになるとともに 高エネルギー側にシフトした。 層状岩塩相 変形スピネル相 結晶構造変化 点群:D3d(層状岩塩相)から点群:Ohへ 対称性の向上 Co-t2g、Co-egに関連した状態密度の形状がシャープになる。 相対的にCo-t2gとCo-eg間のエネルギーギャップが増加。 CoO6クラスターが孤立する効果 変形spinel相においてCoO6クラスターは部分的に あるいは完全に孤立している。 Co-t2gおよびCo-egバンドの重なりが それぞれ大きくなると考えられる。 研究計画 1.既存の装置を駆使し、低予算で全固体型リチウム2次電池を
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