産業連関分析について

産業連関分析
吉岡完治研究会
はじめに
近年,さまざまな分野で数量的な経済分析
の必要性が高まってきている.『経済白書』に
代表される官庁のレポートにも,計量経済学
の分析手法が頻繁に活用され,民間企業に
おける事業活動にもこうした手法の有用性が
認識されつつある.
産業連関分析
産業連関表
中間需要
最終需要
第1産業 第2産業 第3産業
消費
投資
輸出
輸入
国内生産額
第1産業
x 11
x 12
x 13
C1
K1
E1
M1
X1
中間投入 第2産業
x 21
x 22
x 23
C2
K2
E2
M2
X2
第3産業
x 31
x 32
x 33
C3
K2
E3
M3
X3
雇用者所
得
v11
v12
v13
付加価値 営業余剰
v21
v22
v23
v31
v32
v33
X1
X2
X3
その他
国内生産額
例えば...
(単位:億円)
中間需要
最終需要
農家
製粉
輸入
パン屋
国内生
産額
農家
20
30
10
34
-25
69
中間投入 製粉
15
20
5
53
-20
73
パン屋
30
10
50
85
-20
155
雇用者
所得
1
3
30
営業余剰
2
9
40
その他
1
1
20
69
73
155
付加価値
国内生産額
投入係数表
中間需要
中間投入
付加価値
農家
製粉
パン屋
農家
0.2899
0.4110
0.0645
製粉
0.2174
0.2740
0.0323
パン屋
0.4348
0.1370
0.3226
雇用者所得
0.0145
0.0411
0.1935
営業余剰
0.0289
0.1232
0.2581
その他
0.0145
0.0137
0.1290
1.0000
1.0000
1.0000
国内生産額
レオンチェフの逆行列
AX  F  X
を行列表示すると、次 のようになる。
 a11 a12 a13  X 1   F1   X 1 

     
 a21 a22 a23  X 2    F2    X 2 
 a a a  X   F   X 
 31 32 33  3   3   3 
レオンチェフの逆行列
式の展開をしてみる.
AX  F  X
F  X  AX
F  X 1  A
X  F 1  A  F 1  A1
ここで、
1 0 0


1  単位行列   0 1 0   I
0 0 1


とおくと、
X  I  A1 F
逆行列係数表
農家
製粉
パン屋
行和
農家
1.892693
1.115529
0.233408
3.24163
製粉
0.626451
1.759139
0.143529
2.529119
パン屋
1.341551
1.071795
1.655077
4.068423
列和
3.860696
3.946463
2.032013
環境分析用産業連関表の概念図
A 金額表
(単位:金額表示)
付加価値
生産額
B 物量表
(単位:kl,t,1000m3)
C 熱量表
(単位:Tcal)
D CO2排出量
(t-CO2)
E CO2排出量ベクトル
kg-CO2 /100万円
最終需要
生
産
額
誘発CO2排出量の計算
1
fuel
ˆ
C j  c  ( I  ( I  M ) A) F j  c  F j
C j :j財への1単位の最終需要が国内に誘発するCO2排出量
c :CO2排出係数ベクトル
A :投入係数行列
M̂ :輸入係数を示す対角行列
I
:単位行列
c fuel :j財がエネルギー財の時、その単位あたり消費から発
生するCO2の量を示すベクトル
F j :j部門の最終需要だけを1とするベクトル
農林水産業及び同製品の誘発CO2排出量(kg)
米
麦類
雑穀
いも類
豆類
野菜
果実
酪
採鶏卵
肉鶏
養豚
肉牛
養蚕
育林
素材
特用林産物
沿岸漁業
沖合漁業
遠洋漁業
海面養殖業
内水面漁業
内水面養殖業
0
2000
4000
6000
8000
10000
食料製品の誘発CO2排出量(kg)
と畜
畜産びん・缶詰
肉加工品
動物油脂
酪品
冷凍魚介類
塩・干・薫製
水産びん・缶詰
製穀
麺類
パン・菓子類
砂糖
澱粉
ぶどう糖など
植物油脂
塩
調味料
レトルト食品
冷凍調理食品
清酒
ビール
添加用アルコール
ウィスキー類
その他の酒類
茶・コーヒー
清涼飲料
0
5000
10000
15000
20000
25000
30000
35000
窯業、金属製品による誘発CO2排出量(kg)
ガラス繊維・同製品
セメント
生コンクリート
セメント製品
陶磁器
銑鉄・鉄屑
フェロアロイ
粗鋼
熱間圧延鋼材
鋼管
冷間仕上鋼材
めっき鋼材
鋳鉄品及び鍛工品(鉄)
鉄鋼シャースリット業
アルミニウム
電線・ケーブル
アルミ圧延製品
非鉄金属鋳鍛造品
建設用金属製品
建築用金属製品
0
10000 20000 30000 40000 50000 60000 70000 80000 90000
最終需要部門別誘発CO2排出量
輸出
19.9%
家計外消費支出
2.7%
在庫純増
0.6%
家計消費支出
44.9%
民間総固定資本形
成
17.5%
公的総固定資本形
成
8.6%
一般政府消費支出
5.4%
民間非営利団体消
費支出
0.4%
まとめ
この表を用いて色々なシミュレートができる。



省エネ住宅のCO2削減効果
産業廃棄物リサイクルの環境への影響
発電の電源構成の変化の影響
環境分析用産業連関表はこれらの分析に
非常に役立つものである。