5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 財政政策マンデル=フレミング・モデル(変動相場制) IS曲線: Y C0 c (Y T ) I (i Π, r e ) G CA(e, Y , Y * ) LM曲線: M L(i, Y ) 1 資産市場の均衡式: e e* (i* Π * ) (i Π ) 拡張的な財政政策をとる: 例えば,政府支出Gを増加する。 IS' i G↑ → IS曲線が右上へ IS (クラウディング・アウトの効果を含めて) → i↑(i=i1),Y↑ → e↓(自国通貨高) → CA↓ F →IS曲線は左下へ→ i↓(i=i0) i0 均衡点FからEへ →Yは元に戻る E i0 変動為替相場制の下では財政 政策の効果は打消される。 マクロ経済学(Ⅱ) 0 LM Y 1 5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 財政政策マンデル=フレミング・モデル(変動相場制) IS曲線: Y C0 c (Y T ) I (i Π, r e ) G CA(e, Y , Y * ) LM曲線: M L(i, Y ) 1 資産市場の均衡式: e e* (i* Π * ) (i Π ) 拡張的な財政政策をとる: 例えば,政府支出Gを増加する。 G↑ | クラウディング・アウト ↓ Y↑-→ L↑→ i↑ -→ e↓ ↓ ↓ CA↓ Y↓ ← I↓ ↓ CAの減少が総需要に Y↓ 対する負の効果が,乗数 過程を経てYの増加を打 消すことになる。 マクロ経済学(Ⅱ) LM IS' i IS i0 i0 0 F E Y 2 5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 金融政策マンデル=フレミング・モデル(変動相場制) IS曲線: Y C0 c (Y T ) I (i Π, r e ) G CA(e, Y , Y * ) LM曲線: M L(i, Y ) 1 資産市場の均衡式: e e* (i* Π * ) (i Π ) 拡張的な金融政策をとる: 例えば,マネーサプライMを増加する。 IS' M↑ → LM曲線が右下へ i IS → i↓(i=i1),Y↑ → e↑(自国通貨安)→ CA↑ → IS曲線が右上へ → i↑ → 均衡点FからGへ → i=i0 → Yが増える 変動為替相場制の下では金融 政策効果は更に大きい。 マクロ経済学(Ⅱ) i0 i1 0 E LM LM ' G F Y* Y'* Y 3 5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 金融政策マンデル=フレミング・モデル(変動相場制) IS曲線: Y C0 c (Y T ) I (i Π, r e ) G CA(e, Y , Y * ) LM曲線: M L(i, Y ) 1 資産市場の均衡式: e e* (i* Π * ) (i Π ) 拡張的な金融政策をとる: 例えば,マネーサプライMを増加する。 IS' i LM LM ' IS M↑-→ i↓-→ I↑-→ Y↑ e↑-→ CA↑-→ Y↑ i0 i1 マクロ経済学(Ⅱ) 0 E G F Y* Y'* Y 4 5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 マンデル=フレミング・モデル(変動相場制) IS曲線: Y C c (Y T ) I (i Π, r e ) G CA(e, Y , Y * ) 0 LM曲線: M L(i, Y ) 資産市場の均衡式: e e* 1 (i* Π * ) (i Π ) 拡張的財政政策の場合 拡張的金融政策の場合 G↑ | ↓ 効果が弱まる Y↑-→ 効果が強まる M↑-→ i↓-→ I↑-→ Y↑ e↑-→ CA↑-→ Y↑ 経常収支の 黒字拡大 経常収支の 黒字縮小 L↑→ i↑ -→ e↓ ↓ ↓ CA↓ Y↓ ← I↓ ↓ Y↓ 国内の景気(Yのレベル)だけではなく,経常収支CAについても政策的配慮が必要 マクロ経済学(Ⅱ) な場合には,財政・金融2つの政策を組合わせるポリシー・ミックスが必要になる。 5 5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 マンデル=フレミング・モデル(変動相場制) IS曲線: Y C c (Y T ) I (i Π, r e ) G CA(e, Y , Y * ) 0 LM曲線: M L(i, Y ) 資産市場の均衡式: e e* 1 (i* Π * ) (i Π ) 拡張的金融政策の場合 M↑-→ i↓-→ I↑-→ Y↑ e↑-→ CA↑-→ Y↑ 引締め的金融政策の場合 M↓-→ i↑-→ I↓-→ Y↓ e↓-→ CA↓-→ Y↓ 自国通貨の増価 金融の引締めが生み出す自国通貨の増価は,輸入品価格を引下げ,国内のイン フレーションを抑制する効果を持つ。(詳細について第6章で説明する。) マクロ経済学(Ⅱ) 6 5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 期待利潤率の変動 IS曲線: Y C0 c (Y T ) I (i Π, r e ) G CA(e, Y , Y * ) LM曲線: M L(i, Y ) 1 * * e e (i Π * ) (i Π ) 資産市場の均衡式: 民間の投資 I を左右する「期待利潤率」 re が好転した場合 IS' 投資ブーム I↑ → IS曲線が右上へ i IS (iが上昇しても,I は増大する) → i↑(i=i1),Y↑ → e↓(自国通貨高) → CA↓ F →IS曲線は左下へ→ i↓(i=i0) i0 均衡点FからEへ →Yの拡大を打 E i0 消す 拡張的財政政策が採用された ときと基本的に同じことが起きる。 i↑,e↓,CA↓ 0 マクロ経済学(Ⅱ) LM Y 7 5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 外国の景気変動の波及 IS曲線: Y C0 c (Y T ) I (i Π, r e ) G CA(e, Y , Y * ) LM曲線: M L(i, Y ) 1 * * e e (i Π * ) (i Π ) 資産市場の均衡式: 外国の景気が上昇した(Y*が上昇した)場合 i Y*↑ → (輸入増加によって)CA↑ IS →IS曲線が右へシフト → i↑(i=i1),Y↑ → e↓(自国通貨高) しかし,これにもかかわらず輸 i0 出の拡大によってCAは必ず拡大 するので,国内景気も拡大する i0 (Y↑)。 LM IS' F E 景気は国際的に連動している。 マクロ経済学(Ⅱ) また,Y*↑→ i*↑→ e↑ 0 Y 8 5: オープン・エコノミーのマクロ経済学 外国の景気変動の波及 IS曲線: Y C0 c (Y T ) I (i Π, r e ) G CA(e, Y , Y * ) LM曲線: M L(i, Y ) 1 * * e e (i Π * ) (i Π ) 資産市場の均衡式: 外国で拡張的なマクロ政策(G*の拡大,M*の増大)が採用された場合に,日本 のYも上昇する。 Y Y ただし, 0 M * G* が成立する。すなわち,金融政策よりも,財政政策が変更された方が,景気の国 際的伝播は密になる。 理由: G*↑→ Y*↑→ (i*-i)↑→ (e*↓)e↑(円安) M*↑→ (e*↑)e↓(円高) 外国の政策によって,日本の景気に与える影響は異なる。 マクロ経済学(Ⅱ) 9
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