人生を経済学で考える

IS-LM分析
マクロ経済分析
畑農鋭矢
貨幣の範囲
通貨
対象
現金通貨(日銀券+
補助通貨)
預金通貨
(普通預金・当座預
金など)
準通貨
(定期預金など)
債券(国債・金融債・
社債など)・信託など
主要銀行・信
用金庫など
ゆうちょ銀行・
信用組合など
主要銀行・信
金など
ゆうちょ銀行・
信用組合など
M1
M2
M3
広義流動性
貨幣需要
• 取引動機
交換手段としての貨幣
• 予備的動機
不確実性に対処するための流動性の確保
• 資産選択動機
価値の保蔵手段としての貨幣
• 利子率との関係
利子率が高いと貨幣保有は不利
⇒貨幣需要と利子率は負の関係(右下がり)
貨幣数量説
• フィッシャーの交換方程式
MV=PY
M:貨幣量 V:貨幣の流通速度
P:物価水準 Y:実質GDP
• ケンブリッジ方程式
M=kPY
k:マーシャルのk
k=1/V
• 貨幣量は名目GDPに比例(k倍)
貨幣市場の均衡と利子率の決定
利
子
率
貨幣供給
貨幣供給の増加(M0⇒M1)
貨幣供給の増加⇒利子率の低下
i0
貨幣需要曲線
i1
M0/P
M1/P
貨幣量
貨幣市場の均衡とGDP
利
子
率
貨幣供給
GDPの増加⇒利子率の上昇
GDPの増加( Y0⇒Y1 )
i1
Y1のときの貨幣需要曲線
i0
Y0のときの貨幣需要曲線
M/P
貨幣量
GDPと利子率の関係(LM曲線)
利
子
率
貨幣供給(M/P)の増加⇒利子率の低下
LM曲線
GDP
IS-LM分析とは?
• LM曲線
貨幣市場の均衡(貨幣需要=貨幣供給)
⇒このときの利子率とGDPの関係を表す。
• IS曲線
財市場の均衡(総需要=総供給)
⇒このときの利子率とGDPの関係を表す。
• LM曲線とIS曲線の交点
貨幣市場と財市場が同時に均衡
⇒このときの利子率とGDPの組み合わせ
総需要・総供給(物価との関係)
物
価
P0
総供給AS
総供給の増加(AS0⇒AS1)
総供給の増加⇒物価の低下
P1
総需要曲線AD
AS0
AS1
GDP
物価の硬直性
物
価
総供給AS
総需要の増加が必要⇒どのように?
P0
利子率の低下⇒消費・投資の増加
利子率の低下⇔GDPの増加
総需要曲線AD
AS0
AS1
GDP
GDPと利子率の関係(IS曲線)
利
子
率
LM曲線
均衡
i0
IS曲線
Y0
GDP
金融政策(貨幣供給の増加)の効果
利
子
率
金融政策⇒GDP増加
利子率は低下
LM1
LM2
i1
i2
IS
Y1
Y2
GD
財政政策(財政支出の増加)の効果
利
子
率
LM
財政政策⇒GDP増加
i2
i1
利子率上昇⇒GDP減少
(クラウディング・アウト)
Y1
Y 2’
IS2
IS1
Y2
GDP
総需要を拡大するには?
• 総需要Y
Y
= C + I +
G
+ (X – M)
総需要 消費 投資 財政支出
輸出 輸入
(家計)(企業) (政府)
(海外)
• 有効需要管理政策
財政支出Gの増加⇒総需要Yの増加?
減税⇒消費Cの増加?⇒総需要Yの増加?
有効需要の原理
• 総需要A
A=C+I+G
(1)
C:消費、I:投資、G:財政支出
• 消費
C=aY+b
(2)
Y:所得、0<a<1(限界消費性向)、b>0
• 有効需要の原理
Y=A
(3)
• (1)(2)(3)の組み合わせ
⇒財政支出の総需要拡大効果(乗数効果)
乗数効果の考え方
Y=A
A
(3)
C+I+G’
E’
I+G’
C+I+G
(1)
I+G C=aY+b (2)
E
Y
財政支出乗数
Y=C+I+G (1)’
• (1)’と(2) C=aYより Y=aY+I+G ⇒ (1-a)Y=I+G
1
1
Y
I
G (4)
1 a
1 a
• 財政支出の変化 G⇒G′
所得の変化 Y⇒Y ′
• (1) A=C+I+Gと (3)Y=Aより
1
1
Y 
I
G
1 a
1 a
(4)
• (4)′-(4)より
1
Gが+1変化すると、
G  G  Yは+1/(1-a)だけ変化する。
Y Y 
1 a
乗数とは何か?
(段階) Y = C+I+G
C= a Y
1
+1
+1
2
+a +a
+a +1
3
+a2 +a2
+a2 +a
4
+a3 +a3
+a3 +a2
・
・ ・
・
・
G:+1の効果 ⇒ Y:+1+a+a2+a3+・・・+a∞
(等比数列の和の公式より)

1 a
1


1 a 1 a
減税乗数
• (2)’ C=a(Y-T)
T:税金
• (1)’ Y=C+I+Gと(2)’より Y=a(Y-T)+I+G
a
1
1
Y 
T
I
G (5)
1 a
1 a
1 a
• 税金の変化 T⇒T′
所得の変化 Y⇒Y ′
a
1
1
Y  
T
I
G (5)
1 a
1 a
1 a
• (5)′-(5)より
a
Tが-1変化すると、
T   T  Yは+a/(1-a)だけ変化する。
Y Y  
1 a
限界消費性向 a と乗数効果
a
財政支出乗数
1/(1-a)
減税乗数
a/(1-a)
0.2
1.25
0.25
0.4
1.67
0.67
0.6
2.50
1.50
0.8
5.00
4.00
0.9
10.00
9.00
均衡財政乗数
• 財政の予算制約
(6) T=G
• (6)を用いて(5)を書き直すと、
a
1
1
a
1
1
Y 
T
I
G
G
I
G
1 a
1 a
1 a
1 a
1 a
1 a
1 a
1

G
I
1 a
1 a
1
G
I (7 )
1 a
• このときの財政支出乗数は必ず1
1
Y   G 
I (7)
1 a
Y   Y  G  G
財政支出乗数の分解
増税
公債発行
支出拡大
財政支出乗数
なし
○
○
減税乗数
-
○
なし
均衡財政乗数
+
なし
○
財政支出乗数=減税乗数+均衡財政乗数
減税乗数と均衡財政乗数を分析すれば十分!
減税乗数への批判
• 減税乗数の想定
減税⇒可処分所得の増加⇒消費の増加
• 公債発行は将来の負担かもしれない
公債発行=将来の増税
⇒可処分所得は不変⇒消費も不変
• 中立命題
公債発行が消費行動に影響を及ぼさない。
均衡財政乗数とクラウディング・アウト
• 支出拡大の想定
財政支出の拡大⇒所得の増加
• 民間投資のクラウディング・アウト
財政支出の拡大に応じて民間投資が減ったら?
⇒所得の増加は期待ほどではない
• クラウディング・アウトの条件
完全雇用下では起きやすい
(財政の利用可能な余剰資源がないから)