自動車事故防止のための運転方法

Kyushu Univ. ISEE
安全運転講習資料
九州大学大学院
システム情報科学研究院
志堂寺 和則
Kyushu Univ. ISEE
概 略
1.
動機づけ
2.
コーチング
3.
ホメオスタシス
4.
事故の特徴
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1.動機づけ
• 生理的動機
• 社会的動機
• 外発的動機づけ
• 内発的動機づけ
• 動機づけ(モチベーション)理論
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生理的動機
• 摂食動機
• 摂水動機
• 睡眠動機
• 保温動機
・
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ホメオスタシスに基づいている
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社会的動機
• 親和動機
• 達成動機
• 顕示動機
• 支配動機
• 追従(服従)動機
• 攻撃動機
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外発的動機づけと内発的動機づけ
動機づけ 誘因
具体例
外発的
賞罰
競争
嫌々やる勉強や仕事
内発的
課題自体 趣味
やりたい仕事
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外発的動機づけ
ワトソン (1919)
行動主義心理学
誘因、強化子あるいは罰を使って動機づける
誘因、強化子あるいは罰がないと動機づけられない
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内発的動機づけ
ハーロー (1950)
子ザルの知恵の輪遊び
デシ (1971)
ソマ・パズルの実験
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アンダーマイニング効果
物的報酬が内発的動機づけを阻害する
エンハンシング効果
言語報酬が内発的動機づけを高める
ほめる
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ピグマリオン効果
教師の期待によって学習者の成績が向上する
内的動機づけを高める要因(デシ)
• 自律性
• 有能感
• 人との絆
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動機づけ(モチベーション)理論
• マズローの動機階層説
• マクレガーのX理論Y理論
• ハーズバーグの二要因理論
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マズローの動機階層説(1954)
自己実現動機
承認と尊重の動機
愛情と所属の動機
安全の動機
生理的動機
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マクレガーのX理論Y理論(1960)
• X理論:低次欲求を比較的多く持つ人間のモデル
「アメとムチ」によるマネジメント
性悪説
• Y理論:高次欲求を比較的多く持つ人間のモデル
「機会を与える」マネジメント
性善説
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ハーズバーグの二要因理論(1968)
• 動機づけ要因:仕事に対する満足要因
達成、承認、仕事自体、責任、成長
仕事の充実化
責任を重くする、権限を拡大する
• 衛生要因:仕事に対する不満足要因
会社の方針と管理、監督、労働条件、給与
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2.コーチング
対話を通して、クライアントが目標を達成するために
知識やスキル等を獲得することを支援する技法
やる気を引き出す
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コーチングの重要ポイント
• 信頼関係を築く
• クライエントの話を聞く(聞き出す)
• クライエントに気づきを与える
• 継続させる
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HERMES プロジェクト
EUで実施されたドライビング・インストラクターのための、
コーチング技法の習得を目的とした教育技法開発プロ
ジェクト
http://www.alles-fuehrerschein.at/HERMES/
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HERMES コーチングの原理
1. コーチと学習者は対等
2. 学習者を積極的な関与者にする
3. 学習者の目標を明確にし、目標に向かわせる
4. 学習者の気づき、責任感、自己受容を養成する
5. 気づきを論理的思考を通してだけでなく、感覚や感
情も通して与える
6. 学習者の目標達成を阻害する内部要因を取り除く
7. 学習者の事前知識や経験を活かす
8. コーチはコーチングにおける自分の役割を守る
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9. コーチは誠実、中立的に振る舞い、独断的であって
はならない
10. 効果的で適切な質問、傾聴、リフレクティングバック
をおこなう
11. コーチングと指導を混用してはいけない
12. コーチングはできるかぎり自然な流れの中で実施さ
れるものとする
13. コーチングは単に質問をすることではない
(EU HERMES Project Final Reportより)
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3.ホメオスタシス
外界の変化に関わらず、
生体の状態が一定に保たれる。
心理学では、
• 生理的動機
• リスク・ホメオスタシス説
少し似たものに、知覚の恒常性(コンスタンシー)
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リスク・ホメオスタシス説(ワイルド, 1982)
• 運転者行動のタスク分析モデル
• 事故率とドライバー行動に関する
ホメオスタシス・モデル
安全対策は、リスクの目標水準を引き下げるように
動機づけること。
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背景的変数
長期(文化、年齢、性別…)
特定状況(体調、運転目的…)
短期(ストレスとイライラに対する耐性の変動…)
認知的状態
長期(技能…)
特定状況(注意容量の余裕…)
短期(注意の妨害…)
動機的状態
長期(刺激要求…)
特定状況(急用…)
短期(遅刻しそうだ…)
リスクの目標水準
情報摂取
状況の予測
知覚された
リスク水準
-
+
意思決定
交通状況
車両の反応
車両操縦操作
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事故率とドライバー行動に関するホメオスタシス・モデル
期待される
リスクの
必要な
効用
目標水準
調節量
意思決定
技能
知覚的技能
知覚された
リスク水準
調節行動
車両操縦
技能
遅れ
結果として発生する
フィードバック
事故率
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知覚の恒常性
大きさの恒常性
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形の恒常性