自動車事故防止のための運転方法

Kyushu Univ. ISEE
講習資料
九州大学大学院
システム情報科学研究院
志堂寺 和則
Kyushu Univ. ISEE
概 略
1.
ヒューマンエラー分類
2.
ヒューマンエラー要因
3.
ヒューマンエラー対策
志堂寺 交通事故防止講習資料
検索
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To err is human, to forgive divine.
“An essay on Criticism” Alexander Pope 1711
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1.ヒューマンエラー分類
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情報処理段階による分類
認知
判断
認知エラー 判断エラー
操作
操作エラー
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不安全行動の分類(リーズン)
スリップ
注意の失敗
意図しない行動
ラプス
記憶の失敗
ミステイク
規則ベース
知識ベース
の失敗
不安全行動
意図した行動
違反
(『Human Error』)
常習犯
例外的違反
サボタージュ
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発生機構による分類(ラスムッセン)
認知的階層モデル
知識ベースの行動
ミステイク
規則ベースの行動
ミステイク
技能ベースの行動
スリップ、ラプス
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発現構造によるスリップ分類(ノーマン、仁平)
意図の形成
記述エラー
モードエラー
スキーマの活性化
乗っ取り型エラー
連想活性化エラー
活性化消失エラー
スキーマのトリガリング
順序エラー
データ駆動エラー
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ATSモデル
Activation-Trigger-Schema System Model
行為はスキーマから構成されている
スキーマは以下のように実行される
1. 意図の形成
2. スキーマの活性化
3. スキーマのトリガリング
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スキーマの階層構造
上位スキーマ
下位スキーマ1
さらに下位スキーマ1
下位スキーマ2
さらに下位スキーマ2
下位スキーマ3
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スタート
右折
直進
無信号交差点通過
有信号交差点通過
駐車場駐車
ゴール
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無信号交差点通過
徐行接近
一時停止
前方確認
徐行進入
顔を右へ
右方確認
注 視
徐行通過
前方確認
左方確認
右方確認
体を前へ
一時停止
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2.ヒューマンエラー要因
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フロイトの精神分析理論
外 界
意 識
錯誤行為
前意識
超
自
我
自
我
無意識
エス
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ホーキンスのSHEL(L)モデル
S:Software(ソフト)
H
H:Hardware(ハード)
E:Einvironment(環境)
S
L
L
E
L:Liveware(人)
事故
• SHEL接点
• 人間の情報処理
(『ヒューマンファクター』)
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4M(5M)
• Man(人)
• Machine(機械)
• Media(環境)
• Management(管理)
• (Mission(目的))
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交通事故の人間要因(直接原因)
人間要因
直接原因
非事故
危険な非操作
自殺
故意の衝突
気絶
居眠り
誤仮定
誤判断
不適切な
運転方略
操作エラー
パニック
行為凍結
他の原因
による遅延
車内への
注意散漫
不適切な
運転技術
判断エラー
不適切な
操舵制御
遅延
非注意
認知エラー
車外への
注意散漫
過度な速度
不適切な
防衛運転技術
過補償
脇見
その他
不適切な
ウィンカー
先行車への
密着
急加速
灯火の
不点灯
不適切な
回避操作
歩行者の
飛び出し
その他
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交通事故の人間要因(間接原因)
事故原因となる
人の状態・状況
精神的
情緒的
身体的
生理的
情緒的混乱
飲酒による
機能低下
他の運転者
からの圧力
他の薬物による
機能低下
身体的
ハンディキャップ
経験
危険を受ける度合い
急ぎの気持ち
疲労
精神的欠陥
疾病
視力低下
運転者の
経験不足
車に不慣れ
道に慣れすぎ
道に不案内
(Treat et al. ,1977)
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2分間、急いで「お」を書いてみる
初回の講習の結果
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3.ヒューマンエラー対策
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ハインリッヒの法則
重い傷害
1
軽い傷害
29
傷害のない災害
300
不安全行動
数千
(『産業災害防止論』)
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リーズンのスイスチーズモデル
失敗可能性
局所的トリガー
本質的欠陥
異常状況
心理的予兆
不安全行動
(『Human Error』)
多重防護
事故機会の出現
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4M-4E
事故要因分類
対策立案
• Man
• Education(教育)
• Machine
• Engineering(工学)
• Media
• Enforcement(規制)
• Management
• Example(規範)
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4M−4E分析シート
Man
具体的要因
対 Education
策 Engineering
Enforcement
Example
Machine
Media
Management
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メタ認知(海保)
自己モニタリング
• こころの日記を書く習慣を持つ
• ヒヤリハットやミスの体験を生かす
• 心理学用語や知識を豊富にする
(『「ミス」をきっぱりなくす本』)
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自己コントロール
• 目標の取り違いエラーを防ぐ
目的の意識化、安全第一、自己顕示欲を抑える
• 思い込みエラーを防ぐ
知識の高度化、判断停止、現場を一時離れる、
コミュニケーションを心がける、他人と考える、
異質な人をいれる
(『「ミス」をきっぱりなくす本』)
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• うっかりエラーを防ぐ
慌てない、認知的葛藤を避ける、多重課題にしない、
割込に注意、管理用注意を残す、休憩、感情の安定
• 確認エラーを防ぐ
確認の大切さの認識、確認行為の意識化
(『「ミス」をきっぱりなくす本』)