Kyushu Univ. ISEE 自動車運転事故防止教育 九州大学大学院 システム情報科学研究院 志堂寺 和則 Kyushu Univ. ISEE 概 略 1. 事故の特徴 2. 若年運転者/初心運転者の事故特徴 3. 事故傾向者・事故頻発者の特徴 4. 人間のエラー 5. 知っているが守れない交通ルール Kyushu Univ. ISEE 2.若年運転者/初心運転者の事故の特徴 Kyushu Univ. ISEE 若年ドライバーの運転意識 自動車安全運転センター(1987) • 違反を容認する態度 • 運転を軽視する意識 • 危険性を容認する態度 • 運転に対して低慎重 Kyushu Univ. ISEE 何故、若年運転者/初心運転者の事故が多いのか • 運転が下手 • 自分の運転技能を過信している • 刺激を求める • 運転に遊びの要素を求める • 危険に対する感受性が低い • 身体的、精神的に不安定である Kyushu Univ. ISEE 3.事故傾向者・事故頻発者の特徴 Kyushu Univ. ISEE 事故傾向者の性格特性1 ドレイクの仮説 知覚機能より運動機能が優れてい る人は事故を起こしやすい。 Kyushu Univ. ISEE 事故傾向者の性格特性2 丸山欣也(1995) • 軽信傾向 • 軽率傾向 • かっとなる傾向 • 自分本位傾向 Kyushu Univ. ISEE 事故傾向者の性格特性3 松永勝也 • 不安定傾向 • 先急ぎ傾向 Kyushu Univ. ISEE 事故傾向者の性格特性4 Big Five(基本的特性) • 外向性 • 情緒安定性 • 経験への開放(教養・知性) • 勤勉性(良心性・誠実性) • 協調性 Kyushu Univ. ISEE 4.人間のエラー • 視認の間違い • 判断の間違い • 行為の間違い Kyushu Univ. ISEE 視認の間違い • 歩行者や車両の見落とし • 距離や速度の見積り間違い 見えのエラー 注意集中/配分の失敗 Kyushu Univ. ISEE ネッカーキューブ Kyushu Univ. ISEE 垂直・水平錯視 Kyushu Univ. ISEE ポンゾ錯視 Kyushu Univ. ISEE Kyushu Univ. ISEE 線遠近法の効果 Kyushu Univ. ISEE エビングハウス錯視 Kyushu Univ. ISEE 円弧の錯覚 Kyushu Univ. ISEE 勾配の錯視 Kyushu Univ. ISEE 色相対比 Kyushu Univ. ISEE 色相同化 Kyushu Univ. ISEE 明度対比 Kyushu Univ. ISEE 明度同化 Kyushu Univ. ISEE 距離知覚の誤り 距離18m 10 人 数 ( 人 ) 8 6 4 2 0 -10 -15 -20 -25 -30 -35 -40 41- 推定距離(m) (志堂寺、2003、未発表資料) Kyushu Univ. ISEE 追越距離の見積りエラー 追越が完了できる距離を評定 実際に完了できる距離よりも20~50% 短い距離で判断 (ゴードン&マスト, 1970) Kyushu Univ. ISEE 判断の間違い • だろう運転 間違った構えの形成 • しながら運転 多重課題状況下の作業成績 Kyushu Univ. ISEE 水がめ問題 問題 A B C 汲み出す量 1 2 3 21 28 15 127 76 39 3 3 3 100 25 18 1:B-2C-A 2:A-C 3:A+C Kyushu Univ. ISEE ストループ効果 Kyushu Univ. ISEE ストループ効果 青 青 緑 赤 赤 黄 青 青 赤 緑 黄 赤 青 黄 緑 緑 Kyushu Univ. ISEE 行為の間違い 操作ミス アクション・スリップ Kyushu Univ. ISEE 急速反復書字法 Kyushu Univ. ISEE 5.知っているが守れない交通ルール Kyushu Univ. ISEE 知っているが守れない交通ルール • 一時停止 • 車間距離 Kyushu Univ. ISEE 一時停止 一時停止の標識があるときは、停止線の 直前(停止線がないときは、交差点の直 前)で一時停止をするとともに、交差する 道路を通行する車や路面電車の進行を妨 げてはいけません。(交通の教則より) Kyushu Univ. ISEE 一時停止 • 路上観察 完全に停止して安全確認を行っている人 は約3-8% (小森ら, 1996) 。 • 意識調査 一時停止を行っていると回答する(志堂寺ら, 1998)。 Kyushu Univ. ISEE 一時停止 徐行で安全確認ができるか Kyushu Univ. ISEE 刺激位置と誤反応 若年者 中年者 高齢者 4 3.5 誤 3 反 応 2.5 回 2 数 ( 1.5 回 1 ) 0.5 0 左80度 左60度 左40度 左20度 右20度 右40度 右60度 右80度 刺激位置 (志堂寺ら, 1997) Kyushu Univ. ISEE 車間距離 停止距離を考えて、危険が発生した場 合でも、安全に停止できるような速度で運 転しましょう。 天候、路面やタイヤの状態、荷物の重さ などを考えに入れ、前の車が急に止まっ ても、これに追突しないような安全な車間 距離をとらなければなりません。(交通の 教則より) Kyushu Univ. ISEE 何故、車間距離が短いのか • 車間を開けると割り込まれる • 急いでいる • スピードを出すと気持ちがいい • 他の人もこの程度である Kyushu Univ. ISEE なぜ知っていても実行しないのか • 急いでいる。 • 追い越されるとムカッとくる。 • 他の人も守っていない。 • 事故はめったに起きない。 Kyushu Univ. ISEE なぜ知っていても実行しないのか 急いでいる。 心理的背景 急げば早く着く。 Kyushu Univ. ISEE 移動効率 30 平 25 均 所 20 要 15 時 10 間 予測所要時間 体感所要時間 実測所要時間 5 [分 ] 0 40 50 設定最高速度 60 [ km/h] 70 (松木ら,1998) Kyushu Univ. ISEE 移動効率 朝 所 要 時 間 ( 分 ) 昼 夜 24 23 22 21 20 19 18 17 16 40km/h 50km/h 60km/h 最高速度 (渡邉ら,2004) Kyushu Univ. ISEE 朝の走行速度の分布 60km/h 50km/h 40km/h 60~70km/h 50~60km/h 40~50km/h 30~40km/h 20~30km/h 10~20km/h ) 最高速度 1~10km/h ( % 0km/h 割 合 40 35 30 25 20 15 10 5 0 (渡邉ら,2004) Kyushu Univ. ISEE なぜ知っていても実行しないのか 追い越されるとムカッとくる。 心理的背景 先急ぎの衝動/本能 食料獲得のための衝動/本能 Kyushu Univ. ISEE なぜ知っていても実行しないのか 他の人も守っていない。 心理的背景 同調行動 Kyushu Univ. ISEE なぜ知っていても実行しないのか 事故はめったに起きない。 心理的背景 統計的には、ある個人にとって7~70年 に1回 交通事故:約100~1,000万件/年 免許人口:約7,500万人 自動車保有台数:約7,500万台 Kyushu Univ. ISEE ではどうすれば良いのか • 正しい知識を与える。 • 徐行で確認すれば十分? • スピードを出せは早く着く? • 流れにのった運転は安全? • できる限り具体的な内容とする。 • 「注意せよ」って、何に?どう? • 「余裕を持て」ってどういうこと? • 教育ツールを用意する。
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