マンション管理組合 役員入門

マンション管理組合
入門講座(その1)
・何から手をつけるの?
・心構えはどうすれば?
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神戸高専 森田二朗
管理組合運営で一番重要なこと
・共同所有,共同居住,共同管理
・住民(区分所有者)自治が基本
・様々な意見を尊重しつつ合意形成を進める鍵
は?
○正確な情報開示
○共通認識であるルール
(管理規約,区分所有法)に従う
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理事会では何をするの?
・理事会は総会決議事項を執行する執行機関
・規約に定められている管理組合業務の執行
・通常は理事長が管理者(責任者)となり業務
執行を行う。各担当理事が補佐役となること
や業務内容の一部を管理会社に委託や請負
させての執行も可能
・理事長は年一度の総会の招集する義務あり
3
管理組合の業務内容は?
1)管理費等の徴収(アウトソーシング可能)
2)敷地,共用部分等の保安,保全,保守,清掃,消毒及びごみ処理(アウトソー
シング可能)
3)組合管理部分の修繕
4)共用部分等に係る火災保険その他損保に関する業務
5)日常管理している専用使用部分について管理組合が適切であると認められ
る行為
6)敷地及び共用部分の変更,処分及び運営
7)修繕積立金の運営および長期修繕計画の作成及び変更に関する業務
8)官公署,町内会等の渉外業務(前半はアウトソーシング可能)
9)風紀,秩序及び安全の維持に関する業務
10)防災に関する業務(半分はアウトソーシング可能)
11)広報及び連絡業務(事務連絡はアウトソーシング可能)
12)その他組合員の共同の利益を増進し,
良好な住環境を確保するために必要な業務
4
要点を教えて
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5
管理会社にアウトソーシングする事項以外の
共用部分の管理,保守,保全,修繕,修繕計
画,共通認識を得られるようなルール作り(細
則等),正確な情報開示活動など
管理会社,各種業者との交渉,折衝
自分たちの財産(安全,快適,住環境,管理
費等の使用の適正判断等を含む)を自分た
ちで管理していると認識をもつこと
上手な運営方法は
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6
総会運営,理事会運営に関しては先輩理事に聞く,
できれば複数年経験理事が理事に混じることが望
ましい
規模に依りますが,100戸規模以上であれば月一
度の理事会は必要,小規模であれば,3ヶ月に1度
のペースで年4回の理事会と1回の総会のところが
多い
大規模修繕工事や規約改正など大きなプロジェクト
の場合は,諮問機関である専門委員会の設置する
場合が多い。具体的には,理事会への答申よりも具
申の場合が多い。
誤解(勘違い)を無くするために
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管理会社が共用部分(自分の部屋以外)の管理す
る大家さんとの思い込んでませんか?(賃貸M)
管理費,修繕積立金等だけで義務を果たしていると
思い込んでませんか?(賃貸M)
役員になっても全部のお膳立ては管理会社がやる
ものだとの思い込んでませんか?(管理するのは組
合員全員です,執行するのは理事長です)
購入時の規約(細則も含めて)が全てであると思い
込んでませんか?(管理会社はアウトソーシング)
管理組合と自治会を混同してませんか?
年一度程度は共通認識ルール
(規約,法律)の再確認が必要
規約の中身の要点確認
□中高層共同住宅標準管理規約との違い(理事会の部分)
□団地型(複数棟による管理組合)であれば,棟別修繕積立金と団地積立金
とが区別されているか
□ 「書面または代理人によって議決権を行使する者は,出席組合員とみな
す」という規定を設けているか?(標準の45条第5項)
□誰が区分所有者かの確認が必要。本来は登記名義人の確認が必要です
が,「自己申告をもって信用」する場合が多い。注意点は,滅失による復
旧や建て替えの特別決議など各区分所有者の賛否を記載する必要があ
る場合。(区分所有法61条第6項)
□普通決議事項と特別決議事項の区別及びその採決方法
□専有部分,共用部分,専用使用部分の違い
□総会での議決できること,できないこと。
□総会招集手続き(議題と議案の違い)
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自分の住んでる管理組合は大丈夫
か?
役員(理事,監事編)
□管理会社からの毎月の収支報告があるか?滞納状況報告も理事長,会
計担当理事へあるか?
□管理員業務,日常清掃の執行は適切にされているか?
□緊急時(主に火災)の非常時連絡網はできているか?(危機管理)
□総会での業務計画,規約の業務内容に沿って理事会が執行している
か?
□総会議事録,理事会議事録の回覧等,必要であればニュース配布,住民
アンケートによる意識確認などの作業を怠って居ないか?(総会決議事
項以外の緊急を要する事項に関しては,アンケートによる意識調査が望
ましい,総会には理事長権限で事後承認議案を提出する必要あり,監査
は監事の担当)
□公平,公正な運営のチェック機能を果たしているか?(入札や見積もり合
わせによる業者の選定など,監査は監事の担当)
□常に共通認識であるルールに従った業務執行と適正な情報開示活動をし
ているか?(役員全員の責任,非作為行為の疑いが出ないように)
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自分の住んでる管理組合は大丈夫
か?
一般区分所有者編
□総会議案書および案内書が規約に定められた日程になっているか?
□会計報告の中の予備費での執行詳細がきっちりと書かれているか?
□共用部分の変更,規約変更等の特別決議案件は正しくルールに載った処
置をしているか?
□総会での業務計画,規約の業務内容に沿って理事会が執行しているか?
□総会議事録,理事会議事録の回覧等,必要であればニュース配布,住民
アンケートによる意識確認などの作業が出来ているか?
□公平,公正な運営のチェック機能を果たしているか?(総会での会計報告
で必ず質問して欲しい)
□常に共通認識であるルールに従った業務執行と適正な情報開示活動をし
ているか?(役員全員の責任,非作為行為の疑いが無いですか)
□理事会が個人攻撃のようなことをしていないですか?
□監事の役員が適正な監査(会計監査および業務監査)をしているか
(できれば,監事からのお知らせも中間期には欲しいところ)
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こんなのはまずいよな
□鉄部塗装の業務計画の議決が理事会一任でなさ
れた。予算は管理会社からの見積もり額。執行金
額も,そっくりそのまま。さて,これは誰から文句が
出る。
☆:業務仕様書は前年度理事が作っているはず。ですから,新
役員は手分けして別の業者へ見積依頼と書類審査やヒヤリ
ング審査の実施が必要。それを怠ると非作為行為だと総会
で避難されることもあり得る。理事会一任決議と言うのは,
理事会での決定手順および実施時期を議事録でお知らせし,
さらに,重複広報となるようにニュースや掲示板等での広報
も必要でしょう。
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特別決議案件があるのが良い??
□区分所有法で年1度の総会の義務がある。議案に
は事前案内した内容のものしか議決出来ないのが
原則。
□書面投票,理事長への白紙委任状,出席者の大半
が役員であるような状態は,集会主義という総会運
営の基本思想から外れるので望ましくない。その対
処として毎年無理に規約変更議案などを提案する
ことや駐車場抽選会等も総会直後に実施するような
ことなども考えられる。
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議案書の中に特別か普通かの区分説明
□総会議案書の議題の横当たりに特別決議か普通決議の区
分説明や規約の提案理由の条項抜粋もあれば親切だ
□議案の順番は
1)業務報告,2)会計報告,3),4),5)の当たりに規約変更議
案や共用部分変更議案,細則変更議案等,6)次年度業務
計画,7)次年度予算案,8)次年度役員選出議案
のような時系列及びメリハリが明確になるような工夫も欲しい
□区分所有法では総会議長は管理者を標準とする考えがある
が,規約を「議長は出席区分所有者から選出する」に改正す
ることによって提案者の管理者(理事長)と会場責任者(議
長=管理者=理事長)の2重権限行為から外すことによって
公平,公正さが保たれる
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プロとアマチュア
□管理会社と理事会の関係は,良きパートナーであることが望ましい。
□管理をする上では管理会社は知識と経験は豊富であり管理のプロです。
□その面に関しては管理組合理事はほとんど誰も教育を受けたわけでは無い
ですから素人です。
□しかし,理事はそこに住んでいるのですから,住み方のプロとなり,管理組合
が主体を握って運営しているのですから,管理会社はアウトソーシングの殻
から出てきて余分な利益誘導の行為をしてはなりません。
□専門的なアドバイザーとしての役割を管理会社も担い,理事でもできること,
例えば議事録作成補助のような事をすれば役員の自覚を無くし余計に育た
ない。
□管理組合が主体という共通認識が前提である。
□M管理士のような第3者アドバイザーの協力によって,正確な情報開示活動,
共通認識ルールを理解し,住民意識を高めることも1つの住み方かも知れ
ない。
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教科書にないトラブル相談は
□最近ではITを利用した無料のM問題の情報交換の
掲示板がたくさんあるので,そこでヒントをもらう。
□同時に高住協,マンション管理センターへの無料メー
ル相談に同じ内容を出す。
□行政が実施しているマンショントラブル相談や管理組
合団体が実施している雑談会に出席によって,複数
の先輩達からアドバイスを受ける。
□プロのアドバイザーであるM管理士に相談に行く。
□プロのコーディネータであるマンション問題のコンサ
ル事務所(NPO管理組合サポートセンターなど)に
相談に行く。
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まとめ
管理組合運営で一番重要なことは
・共同所有,共同居住,共同管理
・住民(区分所有者)自治が基本
・様々な意見を尊重しつつ合意形成を進める鍵は?
○正確な情報開示
○共通認識であるルール
(管理規約,区分所有法)に従う
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