[6] 正規分布からの標本 [6-1] 正規分布の復習 [6-2] 分散が既知のときの標本平均の分布 [6-3] 分散が既知のときの標本分散の分布 [6-4] 分散が未知のときの標本平均の分布 [6-5] 標本平均の差の分布 [6-6] 標本分散の比の分布 ※4つの分布表が必要 [6-1]B 正規分布の復習 ●平均 分散 の N ( , ) の確率密度関数 2 は f ( x) 2 ( x ) 2 1 2 2 e 2 2 で 特に、標準正規分布の確率密度関数は 1 f ( x) e 2 x2 2 [6-1a]C 正規分布の復習 ●身長の分布など正規分布で表せる現象が多い。 ●標本サイズが大きい場合の標本平均は、中心極限定 理によって正規分布に従う、とみなせる。 ●確率変数 X が N ( , ) に従うとき、 2 X は N (0,1) に従う。 ●標準正規分布に従う確率変数 X が X u となる確 率 P( X u ) は分布表で与えられる。 [6-1b]B 正規分布の復習 ●たとえば、確率変数 u が 0.25 以上の値をとる確率は 0.40129 であり、これを Z0.40129 0.25 と表記する。 [6-2]B 分散が既知のときの標本平均の分布 ● N ( , ) から選ばれた n 個の標本の平均 X は 2 N ( , 2 / n) に従う。 ●また、 X を次の式により標準化した Z は N (0,1) に従う。 X Z / n [6-2a]B 分散が既知のときの標本平均の分布 [例題 1] ある高校の男子の身長は平均が 172cm で分散 25cm の 正規分布に従っている。この高校のあるクラスの男子 16 人の平均身長が 175cm 以上である確率はいくらか。 [解答 1] N (172,25) から選ばれた 16 人の平均身長 X を標準化 X 172 した Z は N (0,1) に従う。したがって、 25 / 16 P( X 175) P(Z 2.4) 0.0082 [6-3]C 分散が既知のときの標本分散の分布 ●不偏分散 s 2 s 2 {( X1 X )2 ( X n X )2} /( n 1) ●不偏分散の期待値 E(s 2 ) 2 ( は母分散) 2 ●標本から得られる分散の期待値が母分散と一致する ためには、標本の平方和を n ではなく n 1 で割らな くてはならない。 [6-3a]C 分散が既知のときの標本分散の分布 ● 2 (カイ二乗)分布の復習 N (0,1) から無作為に選ばれた確率変数 X1 ,..., X n に おいて、 X X 2 2 1 2 k は 自由度 k の 分布にしたがう。 2 ● 分布に従う確率変数 X が X u となる確率 2 P( X u) は分布表で与えられる。 [6-3b]C 分散が既知のときの標本分散の分布 v は自由度。たとえば自由度2の 2 分布に従う確率変 数が 1.38629 以上をとる確率は 0.5 である。これを 02.5 (2) 1.38629 と表記する。 [6-3c]C 分散が既知のときの標本分散の分布 2 ● N ( , ) からの無作為に選ばれた確率変数 2 ( X1 ,..., X n )に対する不偏分散 s に対して、 2 (n 1) s 2 2 2 X1 X Xn X ● は自由度( n 1 )の (n 1) に従う。 2 2 2 [6-3d]C 分散が既知のときの標本分散の分布 [例題 2] 母平均 4, 母分散 12 の正規分布に従う母集 2 団から大きさ n 10 の標本を抽出する。不偏分散 s が 2 を超える確率が 0.05 となるような定数 の値(小数 第4位を四捨五入して第3位まで)を求めよ。 [解答 2] n 10 なので、自由度9の 分布で確率が 0.05 とな 2 る の値は 16.919 である。 2 2 (n 1) s 2 2 s2 9 16.919 . 12 2 したがって、標本分散 s が 22.559 を超える確率が 0.05 となることから、 22.559. [6-4]C 分散が未知のときの標本平均の分布 ●t分布の復習 N(0,1)に従う確率変数 Z と (k ) に従う確率変 2 数 Y が独立であるとき、次の変数 t は自由度 k の t 分布に従う。 Z t (k ) Y /k ●自由度が大きくなるとt分布は標準正規分布に近づ く。t分布に従う確率変数 X が X u となる確率 P( X u) は分布表で与えられる。 [6-4a]C 分散が未知のときの標本平均の分布 v は自由度。たとえば自由度2の t 分布に従う確率変 数が 1.061 以上をとる確率は 0.2 である。これを t0.2 (2) 1.061 と表記する。 [6-4b]C 分散が未知のときの標本平均の分布 2 ● N ( , ) から得られた n 個の標本の平均 X に対し て、母分散 2 の代わりに不偏分散 s 2 を用いて標準 化すると t X s2 / n t は自由度( n 1 )のt分布に従う。 2 ● X の標準偏差 s / n を標準誤差という [6-4c]C 分散が未知のときの標本平均の分布 [例題 3] ある科目の試験の成績分布は N (70, ) に従っている 2 ことがわかっている。ただし、母分散は未知である。 受験者 20 人を無作為に選んだ標本平均が概ね 90%の 確率で当てはまるのは何点から何点の間か。ただし、 標本分散は 25 点とし、整数で答えよ。 [解答 3] n 20 なので自由度 19 のt分布表における片側 0.05 の t 値を探すと 1.729。したがって、 X 70 1.729 1.729 から 25 / 20 68.06 X 71.93 したがって、68 点以上 72 点以下 [6-5]C 標本平均の差の分布 ~分散が既知の場合~ ● N ( 1 , 12 ) からの m 個の標本平均 X と N ( 2 , 2 ) 2 からの n 個の標本平均 Y との差 X Y は N (1 2 ,12 / m 22 / n) に従う。 ●以下で示されるZは標準正規分布に従う。 Z X Y ( 1 2 ) 12 / m 22 / n [6-5a]C 標本平均の差の分布 ~分散が既知の場合~ [例題 4] 英語のA大学の学生の得点分布は N (70,25) に従い、B 大学の学生の得点分布は N (64,49) に従っている。いま、 A大学から無作為に選んだ学生 20 人の平均得点がB大 学の学生 10 人の平均得点を下回る確率はいくらか [解答 4] 0 (70 64) Z 2.41 25 / 20 49 / 10 したがって、 P(Z 2.41) 0.008 [6-5b]C 標本平均の差の分布 ~分散が未知だが等しい場合~ ● N ( 1 , 2 ) からの m 個の標本平均 X と N ( 2 , 2 ) からの n 個の標本平均 Y との差 X Y の分布を考 える。ただし、 2 は未知とする。 ●次式により合併した不偏分散を求める。 2 2 2 2 {( X X ) ( X X ) } {( Y Y ) ( Y Y ) } 2 1 m 1 n s mn2 ●以下のtは自由度 m n 2 のt分布に従う。 ( X Y ) ( 1 2 ) t s 1/ m 1/ n ●分散が未知で等しくない場合は難解なので省略。 [6-5b]C 標本平均の差の分布 ~分散が未知だが等しい場合~ [例題 5] 母平均は等しく母分散は未知だが等しい異なる母集 団からそれぞれ8個の標本を選んだ。2つの標本平 均が、合併した不偏分散の平方根の 1.3 倍以上ずれ る確率は概ねいくらか。 [解答 5] 合併した不偏分散の平方根を s とすると、 ( X Y ) ( 1 2 ) 1.3s t 2.6 s 1/ m 1/ n s 1/ 8 1/ 8 自由度 14 のt分布の片側1%が 2.624 なので、答は 0.01。 [6-6]C 標本分散の比の分布 ●F分布の復習 2 (a) に従う確率変数 A と 2 (b) に従う確率変 数 B が独立であるとき、次の変数Fは自由度 (a, b) の F 分布に従う。 bA F ( a, b) aB ●F 分布に従う確率変数 X が X u となる確率 P( X u) は分布表で与えられる。 [6-6a]C 標本分散の比の分布 v1 , v2 は自由度。たとえば自由度(2,3)の F 分布に従う確 率変数が 9.552 以上をとる確率は 0.05 である。これを F0.05 (2,3) 9.552 と表記する。 [6-6b]C 標本分散の比の分布 2 ●復習: N ( , ) からの無作為に選ばれた確率 変数 X に対する不偏分散 s 2 に対して、 (n 1) s 2 2 が自由度( n 1 )の (n 1) に従う。 2 ●母集団 N ( 1 , 1 ) と母集団 N ( 2 , 2 ) から無作為に 2 2 選ばれた m 個と n 個の確率変数の不偏分散の比 s12 22 s22 12 は自由度(m-1,n-1)の分布F(m-1,n-1)に従う。 [6-6c]C 標本分散の比の分布 [例題 6] 4 の正規母集団から 10 個の標本をとり、 8 2 1 2 2 の正規母集団から8個の標本をとって、不偏分散の比 s12 / s22 が 1.84 を超える確率を求めよ。 [解答 6] s12 22 s12 8 2 は F(9,7)の分布に従うので、 2 2 s2 1 s2 4 2 1 2 2 2 1 2 2 s s は 0.5 F (9,7) に従う。 が 1.84 を超える確率は s s F(9,7)が 3.68 を超える確率なので、答は 0.05。
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