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宮崎大学学術情報リポジトリ
Title
Author(s)
臍帯出血を主徴とする黒毛和種牛の出血性疾患
杜, 杰憲; 池谷, 昌久; 和田, 猛; 後藤, 美文; 野中,
いずみ; 三川, 和博; 伊東, 輝夫; 内田, 和幸; 山口,
良二; 村上, 隆之; 加世田, 雄時朗; 小川, 博之; 大塚,
宏光
Citation
日本獣医師会雑誌, 49(4): 237-240
URL
http://hdl.handle.net/10458/4002
Date of Issue 1996-04-20
Right
Description
臍 帯 出 血 を 主 徴 と す る 黒 毛 和 種 牛 の 出 血 性 疾 患
杜
悉憲
池谷 昌久
三川和博
和田 猛
伊東輝夫
後藤美文
内田和幸
加世 田雄 時朗
野中いずみ
山口良二
小川博之
村上隆之
大塚宏光
宮崎大学農学部(〒889-21宮 崎市学園木花台西1-1)
要
約
南 九 州 の 黒 毛 和 種 牛 に散 発 す る出 血 牛 の うち,Chediak-Higashi症
重 篤 な 臍 帯 出血 を示 した33例
候 群(C-HS)や
血 友 病 様 疾 患 で は観 察 さ れ な い
につ い て検 討 した と こ ろ,(1)発 生 状 況,血 統 調 査 お よ び試 験 交 配 の 結 果 か ら,遺 伝 性
疾 患 の可 能 性 が 高 く,(2)大 部 分 が 臍 帯 出血 や血 腫 に よ る多量 出血 で死 亡 し,(3)止 血 ス ク リー ニ ング検 査 で は,血 小 板
ADP凝
集(中 等 度 の 低 下)以 外 に異 常 を 示 さ な い こ とが 判 明 した.本 症 はC-HSや
疾 患 とは異 な る遺 伝 性 出血 性 疾 患 と推 測 され た.-キ
第VIII因
子 の 著 減 を示 す血 友 病 様
ー ワー ド:出 血 性 疾 患,黒 毛 和 種 牛,臍 帯 出血.
日獣 会誌
牛 の先 天 性 出血 性 疾 患 に関 す る報 告 は少 な く,Chediak-Higashi症
候 群(ヘ
レ フ ォー ド種[9],黒
ブ ラ ン ガ ス 種[1])第XI因
[5])な
子 欠 乏 症(ホ
毛 和 種[10],
ル ス タ イ ン種
ら び に第VIII因子 の 著 減 を 示 す 血 友 病 様 疾 患(黒
毛 和 種[8])が
知 られ て い る の み で あ る.人,動
物 のい
ず れ に お い て も,先 天 性 出血 性 疾 患 はそ の 原 因 に よ り異
止 血 ス ク リ ー リ ン グ 検 査:血
Kronkite法
集 能,プ
っぽ う,近 年 南 九 州 の黒 毛 和 種 牛 に,重 篤 な臍 帯
Thromboplastin
Time;APTT),お
Chemie)お
50μg/ml,10μMで
血 ス ク リー ニ ング検 査 所 見 につ いて 検 討 した.
て,最
遠 心 して得 られ た 多 血 小 板 血 漿
集 惹 起 物 質 は コ ラ ー ゲ ン(Hormon
よ びADP(Sigma)と
し,そ
加 え,血
ま で に,本 学
の う ち重 篤 な 臍 帯 出 血 が認 め
調査
き取 り調 査4例)
遠 心 し て 得 ら れ た 乏 血 小 板 血 漿 を 用 い た.プ
ロ ト ロ ン ビ ン 時 間(PT)と
ン時 間(APTT)は
活 性 化 部 分 トロ ン ボ プ ラ ス チ
そ れ ぞ れ 市 販 試 薬c)を 用 い て 用 手 法 で,
血 漿 ブ イ ブ リ ノ ゲ ン 量 は 重 量 法 で 測 定 し た.ま
出 血 時 間 は 牛 を 枠 場 に 保 定 し,尾
に つ い て は,18ゲ
ージ
の注 射 針 を取 り付 け た デ イ ス ポ ーザ ブル シ リン ジを用 い,
の ち,マ
病 理 学 的 検 査:死
た血 小 板凝 集 能 用 に は
4.6%,凝
ク エ ン酸 ナ ト リウ ム を そ
固 検 査 用 に は3.8%の
間 以 内 に は す べ て の検 査
を 完 了 した.採 血 や 検 査 に はす べ て プ ラス チ ック製 の器
具 を 使 用 した.
49
後 搬 入 さ れ た8例
血 統 調 査:す
圧 を加 え な
法 に よ り 測 定 し た.
と経 過 観 察 中 に死
に つ い て 肉 眼 的 検 査 を 行 っ た.
べ て の 例 に つ い て,母
牛 の血 統 書 を収 集
し分 析 した.
使 用 した.血 液 は 注 射 筒 の ま ま,
4℃ で 保 存 運 搬 し,採 血 後10時
日 獣 会 誌
用 い てIvy変
亡 し た9例,計17例
小 板 凝 集 能 お よ び凝 固 検 査 用 血 液 を 採 取 した.抗 凝 固剤
に は血 球 検 査 用 にEDTA,ま
a)
Sysmex
b)
HEMA
TRACER
c)
Dade,
U.S .A.
d)
237∼240
(1996)
―237―
固
根 部 腹 側 を剃 毛 した
ン シ ェ ッ トを 装 着 し,40mmHgの
が ら,Simplate IId)を
頸 静 脈 よ り欝 血 を避 けて 血 球 検 査 用 の血 液 を採 取 した の
ち,針 を血 管 内 に残 した ま ま シ リン ジを 付 け替 え て,血
た,凝
因 子 の 定 量 に は 市 販 の 凝 固 因 子 欠 乏 血 漿c)を 使 用 し た.
した.
れ ぞ れ 血 液 の1/9量
れ ぞ れ終 濃度
小 板 凝 集 メ ー タ ーb)を 用 い
大 凝 集 率 を 求 め た[6].
4℃,15分
ら れ た 黒 毛 和 種 牛33頭(雄17頭,雌16頭)を
採 血:生 前 に 診 察 し得 た21例
Partial
よ び血漿 フ ィブ リ
凝 固 検 査 に は 採 取 し た 血 液 を3,000rpm(約1,700G),
材 料 お よ び 方 法
亡 後 搬 入8例,聞
Time;PT),
血 小 板 凝 集 能 の 測 定 に は 採 取 し た 血 液 か ら900rpm
(約150G),15℃,10分
る 出血 牛 につ い て,そ の発 生 状 況,症 状,病 理 所 見,止
(生前 検 査21例,死
小板凝
ノ ゲ ン量 を 測 定 し た.
る よ うに な っ た.そ こで,こ れ らの 臍 帯 出 血 を主 徴 とす
に上 診 さ れ た 出血 牛107頭
小 板 数(Brecher-
ロ ト ロ ン ビ ン 時 間(Prothrombin
を 用 い た.凝
か ら1991年12月
(1996)
あ る い は 自 動 血 球 カ ウ ン タ ーa)),血
出血 を呈 し,多 くが 致 死 的 経 過 を と る出 血 牛 が 散 見 さ れ
対 象 牛:1986年8月
237∼240
活 性 化 部 分 ト ロ ン ボ プ ラ ス チ ン 時 間(Activated
な る症 状 を呈 す る が,臍 帯 出血 を認 め る こ と はま れ で あ
る.い
49,
F-800,東
亜 電 子,神
Model
戸.
PAT-2A,二
ワ ー ナ ー ラ ン バ ー ト ・三 共 ,東
京.
光 バ イ オ サ イ エ ン ス,東
京 .
臍 帯 出 血 を 主 徴 とす る黒 毛和 種 牛 の 出血 性 疾 患
結
漿 輸 血 に よ る治 療 に 反 応 した が,12例
果
亡 した.1年
発 生 状 況:臍 帯 出血 を 呈 す る出 血 牛 の発 生 は宮 崎 県 の
以 上 生 存 した5例
を除 き,全 例 が4年 以 内 に 出血 で死 亡 した.こ の うち の
中部 以 南 に広 範 囲 に認 め られ,そ れ らの 患牛 の 種雄 牛 は
1例 は3歳 時 に種 雄 牛Aと
4頭 で あ っ た.ま
た,種 雄 牛A(17例)と
した後 出 血 を 繰 り返 し,産 後7ヵ
雄 牛B(13例)が
合 わ せ て30例
占 め た.こ れ ら出 血 牛 は種 雄 牛Bの
増 加 し,C-HSや
そ の子 の種
と全 症 例 の90%以
上を
が1年 以 内 に死
も,食 滞 で 死 亡 した1例
病 理 解 剖 所 見:1週
の交 配 で 臍 帯 出 血 牛 を 出産
月 目に死 亡 した.
齢 まで に死 亡 した8例 で は,腹 腔
供用 開始 とともに
血 友 病 様 疾 患 の発 生 と時期 が 異 な っ て
い た(図1).
症 状:全
例(33例)で
臍 帯 か らの持 続 出血(滴
下),
臍 部 の腫 脹(ゴ ル フ ボ ー ル大 ∼ ソ フ トボ ー ル 大)(図2),
腹 部 膨 満 や 虚 脱 が 認 め られ,う
週 齢 まで に,ま た,4例
ち10例
は急 性 出 血 で1
は臍 帯 出 血 に継 発 した腹 膜 炎,
臍 炎 で1カ 月 齢 ま で に死 亡 あ る い は廃 用 とな った.生 存
した19例
の うち 経 過 を 追 跡 で き た17例
で は,1∼3カ
月 後 か ら波 動 感 を有 す る皮 下 血 腫(特 に 轡部,大 腿 部 に
認 め られ,拳 大 か ら人 頭 大)を 繰 り返 し,一 時 的 に は血
図2 -臍
帯 出 血 牛
-----血
友 病 様 疾 患
ソー セ ー ジ様 に腫 脹 した臍 部 の写 真
----C-HS
図1 宮崎人学 に上診 された出血牛の年 度別頭数
図3 臍 帯 出血 の メ カ ニ ズ ムを 示 す 模 式 図
表1 臍 帯 出 血 牛 に お け る止血 ス ク リー ニ ング検 査 成 績
a)平
均 士標 準 誤 差
* t-検 定 で 対 照 牛 と 有 意 差 あ り
有 意 差 あ り.(P<0.05);ND:測
.(P<0.05);**
t-検 定 でC-HS牛
定 デ ー タ な し
―238―
と 有 意 差 あ り.(P<0.05);***
t-検 定 で 血 友 病 様 疾 患 牛 と
杜
杰憲
池谷昌久
表2 臍帯 出血牛 の凝固因子量
和田
猛
他
か らは収 縮 に差 は認 め られ な か った.ま た,本 例 で観 察
さ れ る血 腫 は軟 らか く,時 間 の経 過 とと もに皮 下 を伝 っ
て下 方 に下 が って く る こ と,さ らに,一 次 止 血 異 常 を疑
わせ る紫 斑 や 斑 状 出血 あ るい は注 射 部 位 か らの 出血 な ど
の症 状 が 認 め られ な か った こ と,症 状 の軽 減 に血 漿 輸 血
* 正 常 牛 を100%と
して算 出.
が有 効 で あ っ た こ とか ら判 断 して,本 疾 患 に は ブ イ ブ リ
ン形 成 異 常 あ るい は線 溶 亢 進 が 関与 して い る も の と推 測
内 に退 縮 した臍 動 脈 断 端 か らの 出 血 が 羊 膜 鞘 内 か ら腎臓
後 部 腹 膜 下 に まで 及 び,腹 腔 内 に は羊 膜 鞘 の 破裂 部位 か
ら流 出 し た多 量 の 血 液 が 認 め ら れ た(図3).ま
た,臍
さ れ る.
い っ ぽ う,止 血 ス ク リー ニ ング検 査 の結 果 か ら,一 次
止 血 の検 査 の うち 血小 板 数 で は5例 で著 明 な増 多 が 認 め
動 脈 の 収 縮 は 正 常 牛 と差 を 認 め な か っ た.血 腫 例(11
られ た.こ の 増 多 は出血 に対 す る反 応 と考 え られ た.ま
例)で
は,皮 下 ま た は筋 間 出血 を呈 し,関 節 内 出血 や血
た,本 例 で認 め られ たADP凝
集 の 中等 度 の低 下 は血 小
友 病 様 疾 患 の 出血 牛 に特 徴 的 な筋 肉 内 出血 は認 め られ な
板 無 力 症 で認 め られ るADP受
容 体 異 常 で はな く,増 加
か った.
した血 小 板 の 性 状 に起 因 す る可 能 性 が高 い.し か し,本
止 血 ス ク リー ニ ング検 査 所 見:血 小 板 数 は230∼1930
×103/μlと変 動 幅 が 大 きか った が,重 度 の 低下 を示 す例
例 に お け る 出血 は,ADP凝
集 能 低 下 の 著 しい他 の 疾 患
で観 察 され る出 血 と比 較 して重 篤 で,凝 集 能 低 下 が 出血
は認 め られ な か った.ま た,血 液 塗 抹 上 で 白血 球 や血 小
の 原 因 と は 考 え に く い.二 次 止 血 の 検 査 で あ るPT,
板 の形 態 に異 常 は観 察 さ れ なか っ た.血 小 板 凝集 能 で は
APTTに
出血 牛 の コ ラー ゲ ン最 大 凝 集 率(88.9±3.2%)は
特 徴 とす る血 友 病 様 疾 患 と は異 な って い る.ま た,凝 固
対 照牛
と比 較 して 差 は な く,C-HS牛
で認 め られ る低 下 は観 察
さ れ な か っ た.ま た,ADP凝
集 率(52.1±3.6%)は,
対 照 牛,C-HS牛
は対 照 牛 と差 は 認 め られ ず,APTTの
因子 につ いて も,低 下 は認 め られ な か った.
人 で は止 血 ス ク リーニ ン グ検 査 で異 常 を示 さ な い疾 患
と比 較 して,中 等 度 で は あ る が有 意 な
低 下 が認 め られ た.
と して,一 次 線 溶 の 亢 進,第XIII因 子 欠 乏 症,α2-PI欠 乏
症 な どが[7],ま
血 液凝 固 検 査 で は3例 でPT,APTTの
認 め られ た が,測 定 した16例
延長 を
著 明 な延 長 が
and病
の平 均 で は対 照 牛,C-HS
た,臍 帯 出血 の 原 因 と して 無 フ ィブ リ
ノ ゲ ン血 症,第II,X,XIII因
子 欠 乏 症,von
が 知 られ て い る[3,4].線
Willebr-
溶の亢進時 に はフィブ
牛 と比 較 して差 は認 め られ なか っ た.ま た,血 友 病様 疾
リノ ゲ ンの低 下 が 認 め られ るが,本 疾 患 で は フ ィ ブ リノ
患 牛 に認 め られ るAPTTの
ゲ ンの低 下 が 認 め られ ず,高 度 の線 溶 亢 進 が あ る とは考
延 長 も観 察 され な か った.
血 漿 ブ イ ブ リノゲ ン量 に お い て は,対 照 牛,C-HS牛,
え られ な い.ま た,無 フ ィ ブ リノゲ ン血 症,第II,X因
血 友 病様 疾 患 牛 の い ず れ と比 較 して も,差 は認 め られ な
子 欠 乏 症,出 血 時 間 の 延 長 を 特 徴 とす るvon
か った.
and病
4例 で 実 施 した 出血 時 間 に は,対 照 牛 に比 較 して 延 長
で 定 量 した第II,V,VII,VIII,IX,X,XI
頭 蓋 内 出血,外 傷 後 の重 篤 な出 血,創 傷 治癒 の遅 延 を特
お よびXII因子 に も著 明 な 差 は認 め られ なか っ た(表2).
考
の原 因 で は な い.
い っぽ う,人 の第 皿 因 子 欠 乏 症 は新 生児 期 の臍 帯 出血,
は認 め られ な か った.
ま た,2例
Willebr-
は,上 記 ス ク リー ニ ン グ検 査 の 結 果 か ら本 疾 患
徴 とす る.ま た,本 症 は安 定 化 フ ィ ブ リン形 成 障 害 に よ
りル ー ズ な凝 血 塊 をつ くり,こ の 凝血 は プ ラス ミンに よ
察
臍 帯 出血 を 主 徴 とす る出 血 牛33例
る分 解 を受 け易 く,相 対 的 な線 溶 亢 進 を 示 す[2,3].し
に は,い ず れ に つ
た が って,本 疾 患 は,そ の 臨 床 症 状,止 血 ス ク リー ニ ン
い て も後 天 的 な要 因 は見 当 た らな か った.こ れ ら出 血 牛
グ検 査 な どか ら考 えて,動 物 で は報 告 され て い な い 第XIII
の 種 雄 牛 は4頭
因子 欠 乏 症 で あ る可 能 性 が 高 い もの と考 え られ る.ま た,
と少 な く,中 で も2頭 が90%以
上を占
め,さ ら に この 種 雄 牛 の使 用 状 況 と発 生 の地 域 や 時 期 が
一 致 して い た.ま た,発 症 牛 と種 雄 牛Aの 交 配 に よ っ
定 性 的 で はあ るが,2例
で 第XIII因
子 欠 乏 症 の ス ク リー ニ
て 生 まれ た 子 牛 は同様 の 出血 性 疾 患 を発 症 した こ とか ら,
を示 す酸 可 溶 性 フ ィブ リ ンを 認 め た(未 発 表 デ ー タ).
ン グ検 査 を実 施 した と こ ろ,安 定 化 フ ィ ブ リン形 成 障 害
本 症 例 中 に は数 例 で は あ るが 種 雄 牛 の異 な る例 あ るい
本 疾 患 は先 天 性 の 出血 性 疾 患 と推 測 さ れ る.
本 症 の 主 た る症 状,病 理 所 見 は臍 帯 動 脈 断 端 か らの 大
は凝 固 時 間 の延 長 した例 も含 まれ,全 例 を 同一 疾 患 とす
量 出 血 と皮 下 や筋 間 に で き る体 表 血 腫 で,出 血 は重 篤 で
るに は 多少 問題 も残 され て お り,今 後 さ らに詳 細 に検 討
あ り,33例
す る必 要 が あ る.し か し,南 九 州 の 出 血 性 疾 患 に は
中,経 過 観 察 が で きな か った2例
を 除 く全
例 が 死 亡 した.臍 動 脈 出血 の止 血 に は血 管 の収 縮 が 大 き
C-HS,第VIII因 子 の低 下 を 示 す血 友 病 様 疾 患 の 他 に,第
な 役 割 を 果 た す と推 測 さ れ て い る が,剖 検 時 の肉 眼 所 見
XIII因
子 欠 乏 症 が存 在 す る可 能 性 が あ る もの と推 測 され る.
―239―
臍帯 出血 を主 徴 とす る黒 毛 和 種 牛 の 出 血 性疾 患
出 血 牛 の収 集,調
由 地 裕 之,川
啓 文,篠
原 真 一,園
桐 木 康 充,川
雄,高
田 勝 美,古
元
塚 安 広,前
田 由 郎,上
宏,柏
薫,下
木
別府
功,山
田逸 郎,隈
山 和 文,山
島 政 範,吉
場 俊 二,宮
甲 正志,椎
勲,池
村 茂 美,宮
川 英 幸,立
淳,亀
越 保 志,馬
蔵 俊 一,福
河野
野 浩 史,中
越 久 徳,林
橋 善 博,川
mals, Kaneko JJ ed, 4th ed, 209-212, Academic
Inc., San Diego (1989)
査 に多 大 な ご協 力 を い た だ い た 山元 敏 進,
野 智 賀 夫,上
田 正 人,釜
信 義,矢
元 哲 朗,
原 信 一,菊
之 口 公 浩,薄
元
崎
野 安 正,土
誠,海
Fogh JM, Fogh IT: Vet Clin N Am Sm Anim Pract,
231-244, WB Saunders Company, Philadelphia (1988)
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Thromb
目
護,
亀 康 雄 の各 氏 を初 め 多 く の方 々 に 感 謝
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文
献
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Clinical Biochemistry
Bleeding
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野 村 武 夫, 古 沢 新 平,
長尾
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大: 血 小 板, 76-97,
中学医
学 社, 東 京 (1994)
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Genetics,
Jpn J Vet
Cord Bleeding
Chieh-Hsien TU, Masahisa IKEYA, Takeru WADA, Mifumi GOTO, Izumi NONAKA,
Kazuhiro MIKAWA, Teruo ITO, Kazuyuki UCHIDA, Ryozi YAMAGUCHI,
Takayuki MURAKAMI, Yuzirou KASEDA, Hiroyuki OGAWA and Hiromitu OTSUKA
Faculty of Agriculture,
Miyazaki University. 1-1, Gakuen-Kibanadai,
Miyazaki 889-21, Japan
SUMMARY
Bleeding
from
umbilical
cord
stump,
which
had been
a rare
symptom
in the
Chediak-Higashi
syndrome
(C-HS) or hemophilia-like
disease, has been found in 33 Japanese
Black cattle in the South Kyusyu
area,
Japan.
We found that 1) the disease could be inherited
by the enzootic study, the pedigree
analysis
and the
result of a test mating; 2) most of those affected animals died within an year due to umbilical
cord bleeding
or recurrent
hemorrhage;
3) the results of screening
tests had no prominent
abnormalities
except the moderately low ADP-induced
platelet
aggregation.
According
to the results
above,
the hemorrhagic
disease
characterized
by umbilical
bleeding
was considered
to be a new
different
from the C-HS and the hemophilia-like
disease.
Key words:
bleeding
disorder, Japanese
Black- cattle,
umbilical
inherited
disorder
which
is totally
bleeding.
J. Jpn.
―240―
bleeding
Vet.
Med. Assoc.,
49,
237∼240
(1996)