2015年8月29~9月2日,英国・ロンドン リバーロキサバン服用患者39,052例における重大な出血事象の発現状況:米国PMSよ り 2015.9.3 リバーロキサバン服用中のNVAF患者の重大な出血事象の発現率およびその発現パター ンは,第III相試験の結果との一貫性を示す—8月31日,欧州心臓病学会(ESC 2015)にて, W. Frank Peacock氏(Baylor College of Medicine,米国)が発表した。 ●背景・目的 非弁膜症性心房細動(NVAF)患者の脳梗塞予防に抗凝固療法は不可欠となるが,その 一方で出血事象の増加が避けられない。本研究は,リアルワールドにおける市販後調査 (PMS)として,リバーロキサバンを服用しているNVAF患者における重大な出血事象発現 率の評価を行った。 ●方法 W. Frank Peacock氏 2013年1月1日~2014年12月31日の期間中,国防総省の健康管理システム(軍人とその 家族・親戚を対象とした医療保険制度)の約1千万人の電子カルテ記録より,リバーロキサバンを服用しているNVAF患者 を同定した。重大な出血事象は入院記録よりCunninghamらのアルゴリズム1)を用い同定。重大な出血事象発現例と非発 現例の患者背景や臨床特性について比較するとともに,重大な出血発現率や出血部位,死亡率などについて評価した。 ●結果 対象患者の平均年齢は,重大な出血事象発現例78.7±7.9歳,非発現例76.0±9.9歳,男性はそれぞれ50.9%,55.8%であ った。合併症保有率は重大な出血事象発現例のほうが非発現例より高く,高血圧86.2%,67.4%,冠動脈疾患53.0%, 31.4%,心不全37.4%,19.7%であった。また,腎疾患は23.3%,15.3%,糖尿病は34.4%,26.9%,脳梗塞既往は7.9%, 3.9%,認知症は8.8%,6.0%,静脈血栓塞栓症は8.0%,5.1%に認めた。平均CHA2DS2-VAScスコアはそれぞれ4.5±1.5, 非発現例3.5±1.6であった。 リバーロキサバンの用量は,それぞれ10mg/日が3.7%,5.4%,15mg/日が 32.3%,24.5%,20mg/日が64.0%,70.1%であ った*。 2年間の調査期間中,1回以上の重大な出血事象の発現はリバーロキサバン服用患者39,052例のうち970例に認め,年間 発現率は2.89%/年(95%CI 2.71-3.08)であった。重大な出血事象発現例970例のうち,ICUへの搬送は410例,輸血を要し たのは500例で,出血部位の多くは,消化管,ついで頭蓋内79例であった。 また,死亡に至る出血は35例に認め,リバーロキサバン服用患者39,052例における出血による死亡率は0.10%/年 (95%CI 0.07-0.15)と低値であった。大部分は頭蓋内出血によるもので26例,ついで消化管出血9例であった。 *:米国のNVAF患者における脳卒中予防における承認用量は15mg/日および20mg/日 ●結論 リバーロキサバン服用中のNVAF患者における重大な出血事象の発現率およびその発現パターンは,承認時のランダム 化比較試験時とほぼ同様で,一貫性を示したといえる結果であった。 文献 1. Cunningham A, et al. An automated database case definition for serious bleeding related to oral anticoagulant use. Pharmacoepidemiol Drug Saf 2011; 20: 560-6. Peacock WF, et al. Major bleeding in a post-marketing assessment of 39,052 non-valvular atrial fibrillation patients on rivaroxaban. Eur Heart J 2015; 36(abstract supplement): 687. 抗血栓療法トライアルデータベース
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