昨年度から会長になって2年目となりました、まだまだ勉強中ですが - nifty

平 成 21年1 0 月 21日 発行
所沢 市手をつな ぐ親の会広報紙
昨年度から会長になって2年目となりました、まだまだ勉強中ですが私なりの考えを述べます。
私は「所沢市手をつなぐ親の会」を魅力的で楽しい会にしたいと思います。各地の親の会の活動は苦
労しているところが多くなっています。会員数の減少を始めとして、その存在価値を問われています。
今年度は、例年より1ヶ月遅れて定期総会を開催しました。昨年度分から税務申告を始めており、そ
の決算手続のため4月開催は難しくなったのです。激動の年度を予感させる始まりでした。総会の時に
私が触れたタクシー券問題は、県会議員や国会議員の方たちも挨拶で触れて下さいました。そうした皆
さんの注目を集めたこともあって、市の素早い対応につながったのだと思っています。
年度の行事予定を決める際に、他の行事と重複するのを避ける必要があります。昨年度のバス旅行は
サンダーバードの行事と重なったので、本年度は気をつけました。講演会についても、とんからりんと
重複していた回のうち2回は修正しました。募集期限は守る必要がありますが、希望する場合なるべく
多くの人に参加して貰いたいと思っています。大まかな行事予定は例年と変わりませんが、市民フェス
ティバルについては当会の存在をPRするために、もっと大々的に活動したいと思っています。
昨年度において私が進めたのは講演会・勉強会等の開催です。年間10回の開催には異論も出ました
が、とにかく参加して聞いてから言って欲しいとお願いしました。今年度も少なくするつもりはありま
せんが、内容についてバラエティを持たせるようにしています。夏休み等の期間や平日での開催も予定
しています。全部とは言いませんが、興味のあるものだけでも是非参加してほしいと思います。
今年度についても、埼玉西武ライオンズさんからシーズンチケットを提供頂きました。総会までのチ
ケットについては希望者に、総会以降のチケットについては総会参加者に抽選で渡しています。外れる
人もいますが、当たる確率は結構高いのです。私は二人の子供と一緒に西武ライオンズのファンクラブ
に入って応援していますが、皆さんも出来るだけ応援に行って下さい。その応援によって活躍した選手
がクリスマス会にまた来て頂けると思うと、
今から楽しみです。
地域の色々な団体との協調については、
譲れる部分は譲って、そうでない部分はきちんと話し合って進めていきたいと思っています。
2009 年 5 月 16 日(日)
松井公民館ホール
所沢市長をはじめとしたたくさん
の方を来賓に迎え、今年度で 54 回目
を数える定期総会が行われました。
多少の資料内の訂正事項はありま
したが、議事は滞りなく進み、予定
どおりに終了しました。
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所沢市手をつなぐ親の会広報紙
平成 21年10月21日発行
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6月21日、あじさいまつりがサン・アビリティーズで行われました。
当日は、あいにくの雨模様の天気でしたが、始まる頃には少し快復し、
無事終了することができました。
最近はリサイクルショップやフリーマー
ケットが常にあり、献品・来客とも以前と
比べると少なくなりましたが、開店前には
行列もできていました。
今年は終了時間が早くなりましたが、完
売の部署もあったり、心配していた食事も
スムーズに取ることができて安心しました。
また祭りには子供達も参加し、サイフ片
手に買い物を楽しむ姿もあったり、久しぶ
りに逢った会員同志の交流も見られたり、
あじさい祭りらしさを感じることができま
した。
祭りでは前々日の搬入、根付け、そして当日も朝早くからと、理事を
はじめ会員の皆様にはご協力をいただき、ありがとうございました。
(副会長:渡辺 球子)
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『親の会のバザーを終えて』
最初に参加した方々、特に役員の方々おつかれさまでした。
親の会のバザーに参加したのは,久しぶりでした。前回参加したのはい
つだったのか忘れてしまうほどかも知れません。ずいぶん様変わりして
いました。
以前はバザー荒しのようなおばさんがスタートと同時にダッシュし
て目的のお店に一目散でしたが・・・今回はそのような方はいらっしゃ
いませんでした。お客様も少なくなった気がします。これだけをみても
近隣の方々からの必要性はどうなのでしょうか?
また会場の様子を見ていると親の会の方々がお店屋さんごっこのように買い物をしている・・・。
今後の課題を感じました。バザーをやり続ける必要性
やバザーをやることの親の体力や時間の負担を私は考え
てしまいます。親の会の活動をする時に、子供をつれて
こなければお手伝いが出来ない家庭環境の方や、お金を
払って子供を預けて参加している人様々です。このよう
なことにおいて今後バザーの内容や是か否かも含めて話
しあって欲しいと思うのは私だけでしょうか?
(泉山 多賀子)
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平 成 21年1 0 月 21日 発行
所沢 市手をつな ぐ親の会広報紙
今年度の県大会は鴻巣市でした。
「日本一熱い」とい
われる熊谷市の近くにある鴻巣市は『いがまんじゅう』
がおいしいところ。春にはポピーが咲き、そして秋に
はコスモスが3kmに亘って咲く『コスモス街道』が
あり、秩父連山はもとより、浅間・筑波・日光連山の
パノラマが広がりを見せ、その景観は壮大です。
忘れてはいけないのが『元荒川の桜並木』
。春になる
と元荒川の両岸2.53kmにソメイヨシノを中心に
約500本の桜が咲き乱れ、花見客で賑わいます。夜
桜も素晴らしく、提灯の灯りが一層桜を引き立てます。
鴻巣は所沢からは結構遠いです。そこで社会福祉協議会さんにお願いしてバスを出して頂きました。
役員・理事を中心とした会員とその家族、総勢25人で参加しました。
内容は今回も盛り沢山でしたが、長崎県のコロニー雲仙・南高愛隣会の田島良昭理事長の話が印象的
でした。今までの福祉が本人たちの幸せを第一に考えておらず、
「誰のための福祉なのか?」を改めて
考えさせられました。
「普通の場所で普通に安心して暮らせる仕組み」を作ることは簡単ではありませ
んが、田島さんの30年間の活動は素晴らしいです。
コロニー雲仙では現在の利用者が1,400人もいますが、近年では「結婚」
「ペア生活」
「家族との
同居」等 多様な形態での「愛する人との暮らし」を推進しているそうです。所沢ではグループホーム・
ケアホームの数を増やすだけでも至難の業ですが、ここでは「グループホームは止まり木」という理念
から、グループホームを解体して更に普通の暮らしを目指しています。
田島理事長と仲の良い副島洋明弁護士との話も興味深かったです。
「親亡き後をどうするか」という
問題は私たちにとって大命題ですが、出来る限りの準備をすることが大切です。成年後見制度を含めた
仕組み作りも推進して行く必要がありますね。
*** クリスマス会の予告です ***
と き:2009年12月13日 (日) 10:00 ~ 12:30
ところ: 所沢市立松井公民館ホール
*…‥プログラム(10 月現在の予定です)‥…*
① 開会挨拶
② クリスマスソング特集
③ クリスマスミニコンサート
④ 今年も来てくれるかな?西武ライオンズの選手
⑤ お待ちかねの抽選会
⑥ 閉会挨拶
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所沢市手をつなぐ親の会広報紙
平成 21年10月21日発行
今年の行き先はお台場。お馴染みのフジテレビや船の科学
館があるところです。等身大ガンダムでもにぎわいを見せ
たお台場での一日は、とーっても天気が良くて、青い海も
きれいでした。
☆…‥「初めての船の科学館」‥…☆
由井 由美子(就労分会)
毎日会う顔も久し振りの顔も笑顔いっぱいに打ち解けてさ
ぁ出発。
道路渋滞も無く車窓からの都心見物を楽しみながら進みました。
現地では、仲良しの親子4人で、まず科学館内を見学。続
いて海上に展示保存の宗谷丸や羊蹄丸に乗船。50年近く
も前に大活躍した船内をじっくり見るのも見応えがありました。ちなみに宗谷丸に設置の消火器の
納入業者は、私達のお仲間でもあるそうです。
次は、科学館の展望台へ。60㍍とはいえ、予想以上の絶景。眼下にガンダム、光る海、居ながらに
して遠近の眺望を満喫しました。
休憩もゆったり。片道1時間半の行程は疲れも無く、係の理事さん方、お世話様でした。
嶌崎 尚美(学齢分会)
9月6日(日)
、親の会のバス旅行で船の
科学館に行って来ました。今回が初めての
参加でしたので、バスに乗り込むまではち
ょっとドキドキしていました。今回は4台
のバスに分かれていたので、みなさんゆっ
たりと座れたのではないでしょうか。
乗った後はとても順調で、窓の外の景色
を楽しんでいるうちに着いてしまった感じ
でした。
ちょっと早めのおいしいお昼ごはんの後
の自由行動では、みなさんそれぞれ楽しん
でいたようです。
私は子供と館内をフラフラしていました
が、ゆりかもめに乗って足をを伸ばされた方も多かったようです。
今回のバス旅行は移動時間が短かったので、早めに帰宅でき、子供
もさほど疲れずに済んで次の日も元気に学校に行けました。
ちょっと気が早いですが、来年
のバス旅行が今から楽しみです。
↑等身大
ガンダム
さすがにこれには外国人観光客も
ドギモを抜かれているようでした。
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平 成 21年1 0 月 21日 発行
講演会の報告
所沢 市手をつな ぐ親の会広報紙
*4月~9月の講演会等の記録です。
4月18日
5月 9日
5月30日
6月 6日
(土)
(土)
(土)
(土)
福岡寿氏講演会
橋本創一氏講演会
横田肇人氏講演会
村山智氏講演会
6月27日
7月18日
8月27日
9月 5日
(土)
(土)
(木)
(土)
本人と父兄の座談会
又村あおい氏講演会
瀧映子さんワークショップ
山本良典さん講演会
『地域支援はバームクーヘン』
『発達障がいと知的障がい』
『障がいがあっても働いています1』
『被災地の現状と課題』
~中越沖地震の対応から~
『障がいがあっても働いています2』
『障害者自立支援法③見直し後は?』
『アートに挑戦!①みんなで絵を描こう!』
『マナーとエチケットと性教育④』→延期
小手指公民館
所沢サンアビ
松井公民館
松井公民館
所沢サンアビ
所沢サンアビ
所沢サンアビ
所沢サンアビ
<その感想です>
福岡寿さんは有名な方ですので、今更説明する必要はありませんね。県単位の行事には来て頂けますが、市単
位の行事にはなかなか来て頂けない方です。それにも関わらず参加者は45名で、これは残念でした。
橋本さんや横田さんの話は面白かったですね、また聞きたくなりました。橋本さんについては専門がダウン症
なのですが、参加したUP(アップ・ダウン症親の会)の川野さんが動いて頂いて保健センター主催の講演会が検
討され、11月4日の午前中の開催が実現することになりました。
新潟県柏崎市から村山さんに来て頂き、大規模災害時の対応について勉強しました。その後、7月の中国・九
州北部豪雨では多くの死傷者をはじめとした被害者が出ました。これは地震発生時の対応についても共通すると
ころです。最近多発している自然災害のニュースを見ても、日頃からの備えが如何に大切かを再認識しました。
障害者自立支援法の又村さんと性教育の山本さんは、昨年に引き続いての登板です。1回で終わるテーマでは
ないので今年度も開催させて頂きました。但し自立支援法は総選挙の結果で大きく変わります、楽しみに。
「アートに挑戦!」は本年度から始めました。夏休み・冬休み・春休みの期間中に主に学齢期の子供を対象に
したものですが、大人が参加しても楽しいと思います。瀧さんは長い間県内を中心にボランティア活動を続けて
いる方で、長野のスペシャルオリンピックスでも期間中ずっと活動していました。その時に習ったパン作りの腕
で、一昨年「リトルスマイル」という喫茶・ギャラリーを花園インター道の駅付近にオープンしています。12
月に予定している井上リエさんは、瀧さんの友人でカルディコーヒー等のデザインを手掛けている方です。
今後も会員の皆さんから意見を聞きながら講演会等の企画を進めて行くつもりです。但し今年度中の予定しか
立てていません。来年度以降は開催するかどうかも未定です、これは今後の理事会で話し合ってから決めたいと
思っています。
今後の講演会の予定
平
成
21
年
平
成
22
年
*10月以降の講演会等の予定
※(手をつなぐ親の会主催・共催分、予定は変更になる場合があります)
10月21日 (水) いきいきネット
成年後見制度支援員説明会
松井公民館
11月 7日 (土) 地域福祉シンポジウム 映画上映会
松井公民館
2
「ぼくはうみがみたくなりました」
11月 7日 (土) 地域福祉シンポジウム
松井公民館
お心主義の個別支援
2 宮下智氏講演会
11月29日 (日) 又村あおい氏講演会
障害者自立支援法④最新情報!
所沢サンアビ
12月23日 (祝) 井上リサさん
アートに挑戦!②
所沢サンアビ
「楽器を作ろう!」
1月30日 (土) 山本良典さん講演会
『マナーとエチケットと性教育④』 所沢サンアビ
2月19日 (金) DVD学習会②
(内容未定)
所沢サンアビ
3月 6日 (土) 明石洋子さん講演会
お仕事がんばっています
松井公民館
(仮題・内容未定)
3月30日 (火) 瀧映子さん
アートに挑戦!③
所沢サンアビ
「何かをを作ろう!(内容未定)」
*講演会等でご協力頂いた講師の方・スタッフの方、ありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
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所沢市手をつなぐ親の会広報紙
平成 21年10月21日発行
「今 僕は こうしてここに立っている」 明星学園 宮下 智
僕は、「みんなとおんなじ」が大嫌いだ。そしてこれは解
りづらいかもしれないのだけれど、それと同じベクトルの方
向で「ものごとを自分の言葉で説明できるようになる」こと
が大好きだ。
今から20年前、地域の自閉症児の療育グループにボラン
ティアとして一生懸命通い続けていた自分がいる。みんな大
学を卒業すれば抜けていくボランティア仲間にあって、30
才近くまで係わりを持っていた自分は明らかに異端だった。
「どうしてそんなにグループに通うの?」その質問には、い
つも「彼らとの約束だから」と答えるようにしていた。<裏
切ること><裏切られること>に妙に過敏な自分がいた。
SMAPの「夜空ノムコウ」が流れる。-あれから僕たち
は、何かを信じてこれたかな-と何回もリフレインされるこ
の冒頭のメロディーと詩がたまらない。一緒にコーラスをす
るといつでもこの「信じて」という部分で止めどもなく涙が
こぼれ落ちてしまう。
こんな僕が、知的障害者と呼ばれる方々と入所施設という
形の中で係わり合いを持ってから十数年が過ぎようとして
いる。そして今(現在進行形という意味で)たどり着いたと
ころが「向かいあう心の支援」という方法論であり、あるい
は「物語としての人生」という理解方法である。
ねえ、人間って年を重ねてもちっとも変わらないってことこ
れで良く解りますよね。「信じる」とか「裏切る」とかの延
長線上にきっと「向かいあう心の支援」があり、「みんなお
んなじ」が嫌で、「自分の言葉で語りたい」ところの延長に
「物語としての人生」という理解方法があるわけですから。
僕は、「みんなとおんなじ」が嫌なので、きちんと流れの本
流に入ってしっかりと勉強したという経験がありません。勉
強したいなということがあると、ふらっと出向いて行き、ち
ょこっと勉強させて頂いて、また次のところへというのがい
つものスタイルになっています。(いまだに治っていないか
もしれません。)
いちばん初めは、20才台を過ごさせて頂いた自閉症児の
療育グループの主催者だった、その当時、国立精神衛生研究
所の山本和郎先生。「心理学者は研究室の中にいたんじゃ駄
目だ。芸者のように必要とされれば、お声が掛かればどこへ
でも出向いていくようなフットワークが必要なんだ。芸者心
理学者だよ、これからは」今、自分が施設長というような立
場となって自分のアイディアの出方、動き方を振り返るとき、
この芸者心理学者論に強く影響されていることを感じせざ
るを得ません。
個別認知課題学習について教えて頂いたのは、当時東京学
芸大学にいらした飯高京子先生。週1回、3~4年通わせて
頂いたのですが、ここで学んだのは、今でいう言語発達遅滞
児への個別教育プログラムの在り方という以外に、どんなに
遅刻して行っても、どんなに二日酔であっても、いつもにこ
やかに迎えてくれる先生の懐の大きさでした。「その人を大
切にする」ということの意味が自分が大切にされることで大
いに実感されました。(実感したのは、実はずっと後のこと
で、20才台の当時は、生意気の盛りです。)
同時に、どんな未熟なレポートでも「すばらしい」と言っ
て誉め続けてくれた先生がロールシャッハテストの分析を
教えて頂いていた当時国立精神衛生研究所の田頭寿子先生
です。ポジィティブメッセージの大切さは、今でも身にしみ
ます。ずいぶんいろんな面で心が癒されていたのではないか
と想像するわけです。
そして、それから20年が経ち、今、施設で仕事をしてい
くときに具体的に手助けになっている係わりの方法の柱は、
大きく分けて、マカトン法、臨床動作法、抱っこ法、TEA
CCH、乳幼児精神分析です。こうしてあげてみるとみんな
バラバラで無節操のように感じられる方がいると思います
が、宮下の中では、話はかなり一貫しています。それは、「上
手にしゃべれなくてもいいんだよ、伝わりさえすれば。それ
が手話でも動作でも視覚的な情報提供であっても、果ては以
心伝心でも筆談でも関係ないじゃないか」という視点です。
もちろん、そうは言っても彼らへの対応が行き当たりばっ
たりの思いつきの係わりではどうしようもありません。豊富
な専門的な知識と論理的な思考が不可欠です。それは、弘済
セミナー(年1回開催される神奈川県秦野市にある弘済学園
が主催する研修会)で教わることができました。またそこで
出会うことができた現東京町田かたつむりの家のスタッフ
である森公男氏には、学会レベルの知識をどうすれば現場に
下ろすことができるのかという僕らの担わされた課題の重
さを常に教えられています。視覚的な情報処理は人並みで、
日常生活場面ではほとんど困らないレベルなのに、聴覚的情
報の処理がまったく苦手で、パンツすらも言語指示だけでは
持って来れないダウン症の方との出会いが「マカトン法」学
習のきっかけでした。
「臨床動作法」に係わるようになったのは、視覚障害と知
的障害を併せ持ち、心理的な緊張が高く、1分たりとも音楽
なしには生きていくことができない方に為す術がなかった
時からです。待つこと大切さ、イヤを受け止めることの大切
さを今でも教えてもらっています。
TEACCHは、北海道おしまコロニーの実践が全てです。
わからなくてがまんすることと見通しを持ってがまんする
こととの違いから始まって、自立や自律の意味を考えさせら
れることになりました。
よく療育には、冷めた頭と熱い心が必要だなんて言われま
すよね。宮下の言葉でいえば、科学的な仮説と向かう心とい
うことになるのですが、この熱い心を教えて頂いているのが、
「抱っこ」ということになります。(やっと抱っこの話にな
りました。)
「抱っこ」との出会いは、自分たちの力ではどうしように
も壁を越えることができないと判断したある強度行動障害
を併せ持つ自閉症者の抱っこを阿部秀雄先生にお願いした
時に始まります。そしてその抱っこがその理解方法に精神分
析的な背景があることで今、多大な影響を受けているのが乳
幼児精神分析の世界ということになります。
そして、この奥深い精神分析の世界を教えてくれているの
が、D.N.スターンの書いた「乳幼児精神分析」を訳され
ている神庭靖子先生ということになります。人生を物語ると
いう発想は、この精神分析から頂いています。しかし、今、
宮下にとって、この物語るという方法は、目の前にいるこの
人たちを理解していくのに無くてはならぬ方法になってし
まいました。
相当の駆け足ですが、これが宮下個人の「物語としての人
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平 成 21年1 0 月 21日 発行
所沢 市手をつな ぐ親の会広報紙
生」ということになります。 さて、こんな宮下がどんな実
践をしているかというのが次の一文に代表されています。読
者の方はお分かりだと思いますが、施設というのは、チーム
として仕事をしているところで、いかなる実践でも個人の実
践ではないのですね。また、濃密な係わりを必要とするよう
なときには、その陰でじっと自分の順番がやってくるのを待
って下さっている他のメンバーさん方がいるわけですから、
厳密に言えば職員だけの実践でもないのですね。この辺のと
ころを実感しながら読んで頂けるとうれしいです。
『幸福のかたち』
A子さんは、学園祭を前にしたある日、服を脱ぎ続けまし
た。職員が数えただけでも13回だというから、1時間に1
回以上のハイペースだったのです。もちろん、A子さんの服
脱ぎには理由があり、歴史もあります。そして、それは、A
子さんが求める『幸福のかたち』と大いに関係しているので
す。
僕らがA子さんと付き合い始めた2年前の冬、やっぱり服
を脱ぐ彼女がいました。緑ヶ丘中学の生徒が訪ねて来たとい
っては脱ぎ、施設見学の人が来たからといって服を脱ぎまし
た。突然の出来事がある度に脱いでいたのですが、それは、
「私、こんなこと聞いていないわよ。ちゃんと教えてよ。び
っくりしちゃうじゃない。」とでも言っているかのようでし
た。そんなA子さんの気持ちを推察する僕らの対応はこうな
ります。
1つには、絵カードを使って、彼女に解りやすいように1
日の日課の流れを事前に説明します。そして2つ目には、特
に彼女が気にしていると思われる外来者の来園については、
口頭で何回も予告をします。
さて、この方法でどうなったかというと、ちゃんと服脱ぎ
は、少なくなっていくわけです。きっと1日の見通しが立つ
ようになってくるんですね。僕らもちょっと安心し、A子さ
んもちょっと穏やかな気分になっていたに違いありません。
さて、年が明けて、しばらくたったある日、また彼女の服
脱ぎが頻繁に見られるようになりました。前段のような働き
かけは続けているのですから、今度の服脱ぎには、きっと違
う理由があるはずです。今度は解明のヒントを彼女がくれま
した。「ひーつけるのー」と何回も言うのです。最初は何を
伝えようとしているのかが解らなかった職員にも、度重なる
服脱ぎにぴんと来るものがありました。『どんど焼きに行く
のイヤだよー』彼女はそう言い続けていたのでした。(明星
学園のどんど焼きは、毎年1月15日です)ライターの火で
も恐い彼女にとって、どんど焼きの火は想像を超える恐ろし
さでしょう。
しかし、「A子さん、どんど焼き行かなくてもいいんだよ」
との職員の声かけだけでは、服脱ぎは少なくなりません。ど
んど焼きだけでなく、今までの人生のあらゆる場面で、イヤ
なのに、心から本当にイヤなのに、無理矢理にやらされた苦
い経験があるのでしょウ。なかなか僕らの言葉を信用してく
れません。そこで彼女の部屋に「どんど焼きに行きません」
と書いた紙を貼り、どんど焼き×と書いた紙を貼りました。
これで少し安心してくれたのでしょうか。服脱ぎは少しづつ
少なくなっていきました。
この2つの出来事を通じて、僕らにはA子さんのお心のあ
り方が少しづつ解ってきました。まず『イヤ』と思うことが
あって、それが職員を中心とした回りの人間に伝わらないと
いう状況があると服を脱ぐという起こるということです。
A子さんには、発語があります。「交流会イヤなの」とか
「どんど焼き行かないの」レベルの発語はしゃべろうと思え
ば可能なのです。しかし彼女はそうしません。服脱ぎという
持って回ったような、しかも強硬手段で自分の思いを伝えよ
うとします。そしてそれは、とても危険な賭けです。だって
普通だったら「服を脱ぐ」という行為を叱られるだけで、彼
女の本当の気持ちに気づくことは難しいからです。余計に自
分が傷つくことになりかねないのです。<叱られる>という
悲しさと<わかってもらえなかった>という二重の悲しみ
で。とにかくこの時も、僕らの係わりは効を奏して服脱ぎは
無くなりました。
それから1年、彼女の服脱ぎは、消えたかと思うと現れ、
消えたかと思うとまた現れるというようなことを繰り返し
ています。
次の服脱ぎは、ある晩、30幾つものおやつの名前を一気
に「たべたいのー」と言った次の日から始まりました。それ
は『ずーと私、いろんなおやつを自由に食べたかったんだよ
ー』と言っているかのようでした。さっそくカレンダーに一
日1つづつ彼女の希望のおやつの絵を描き、約束どうり提供
することで服脱ぎは無くなりました。
それが解決した頃、次の服脱ぎは担任の職員がA子さん以
外のメンバーさんと係わっている姿を見ながら始まりまし
た。『自分だけの先生じゃないの?私を一番に見てよ』これ
が彼女の本当の気持ちでした。
そして今回の一日13回の服脱ぎ。これは『学園祭の花火
イヤだよ』という訴えだということが段々解ってきて、僕ら
の対応も決まりました。1年半前のどんど焼きの時と同じよ
うに「花火いきません」と書いて貼りました。しかし状況は
変わらないのです。
『突然の出来事イヤなの』から『イヤって言ったら本当に
やめてよ』へ、そして『いろんなおやつが自由に食べたいな』
へ。それから『誰よりも自分のことを大切にしてよ』という
お願いに。彼女の求める幸福のかたちは、次々と質の高いも
のに変わっていきます。
そして今回の花火イヤイヤ事件、お母さんと「絶対に花火
には行かない」と電話で約束ができたことでぴったりと止ま
りました。
本当の気持ち?それは『私の大好きなおかあさん、私のイ
ヤなこと、ちゃんと解っていてよ』かな。
僕がまだ若かった頃、そしてこの仕事についてからも僕は
いつでもなんとか幸福になろうとして懸命だったように思
う。そして、そうなるために、その場所にも人にも僕は訪ね
ていくことができた。(本当に感謝です)今、僕の目の前に
は、幸福になりたいと手を差し伸べている何人もの人がいる。
僕が幸福になりたいと思ったと同じように。しかし、残念な
がら彼らは自分の力だけでは幸福がどこで得られるのかも
すぐには解らないのだ。だから僕らにできることは、勇気を
出して、まずその差し伸べられている手を握り返すことだ。
みんなが幸福になるために。
明星学園の宮下智さんは、本年11月の地域福祉シンポジウム2で講演する予定です。
*ホームページ「知的障害者入所施設明星学園における心のケア」より転載しました。
http://homepage3.nifty.com/myojo-satoru
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所沢市手をつなぐ親の会広報紙
平成 21年10月21日発行
他市の育成会の活動です。
ずっと狭山(地域)で暮らすために
明日の事これからの子と、今、みんなで話そうよ!
(巡回相談支援事業)
主催
開催月日
場所
全日本育成会、狭山手をつなぐ親の会
2009年10月20日(火)10:30~12:30
社会福祉会館(狭山市社会福祉協議会)
大会議室3階
(住所:狭山市入間 2-4-13
TEL 04-2954-0294 )
西武新宿線 狭山市駅 徒歩7分
駐車場が狭いので、お車で来場はご遠慮くだ
さい。
主催
開催月日
場所
全日本育成会、狭山手をつなぐ親の会
2009年11月27日(金)10:00~15:00
社会福祉会館(狭山市社会福祉協議会)大会
議室3階
(住所:狭山市入間 2-4-13 TEL
04-2954-0294 )
西武新宿線 狭山市駅 徒歩7分
駐車場が狭いので、お車で来場はご遠慮くだ
さい。
内容
『暮らす』をテーマに地域巡回相談支援事業
を行います。障害のあるわが子が地域で暮ら
すためには、どのような選択肢があるか、考
えてみませんか?
内容
~子どもさんの将来考えていますか~
講師紹介
今回は逗子市で1998年からグループホー
ム体験事業を実施されている『湘南の凪』 の
稲木俊夫さんをお迎えしての勉強会です。ぜ
ひ、ご参加ください。
稲木 俊夫 氏
(社会福祉法人 湘南の凪 常務理事)
☆ずっと自分の家で暮らしたい。
☆地域で仲間と暮らしたい。(グループホー
ムなど)
☆支援を受けながら一人で暮らしたい。
講師紹介
森山 千佳子氏
(NPO 法人 パーソナルアシスタント・サービ
スのっく 代表理事 )
≪プロフィール≫
1995 年任意団体として、レスパイトハウスの
っくを設立。
その後改名し、2005年には NPO 法人を設
立し、代表理事に就任、現在に至る。
全日本手をつなぐ育成会「手をつなぐ」前編
集委員
埼玉県生活支援サービスネットワーク代表
≪プロフィール≫
養護学校卒業後の支援が課題となり、新設
法人の設立、知的障害者通所更生施設「もや
い」の建設に関わる。法人の常務理事と県受
託の横須賀・三浦障害保健福祉圏域相談支
援等ネットワーク形成事業の業務を行い、市
町村の障害者自立支援協議会に関わってい
ます。
参加費
無料
参加費
お弁当代
申込方法
狭山手をつなぐ親の会事務局へご連絡、
お申し込みください。
狭山手をつなぐ親の会/TEL 04-2954-1767
申込方法
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アドバイザーとして、野崎陽弘氏(狭山市生
活支援センター日向職員) 狭山市知的障害
者相談員の方々が参加します。
無料
550円(ご希望の方は参加申し込み時に
ご予約ください。 代金は当日集金します)
FAX にて11月5日(木)までに
狭山手をつなぐ親の会事務局へご連絡、
お申し込みください。
狭山手をつなぐ親の会/TEL 04-2954-1767