2.個別の動向 - 中部経済産業局ホームページ

2.個別の動向
①業況
東海地域の業況は、一部で堅調に推移し、全体として改善している。但
し、地域間・業種間には、ばらつきが窺われる。
【地域別動向】
東海地域を概観すると、西三河地区(豊田市、刈谷市、安城市など)では、昨年秋以降、自
動車関連が一段と活況を呈しており人手不足の状況が窺われる。所得環境も比較的良いことを
受け小売業では新規進出が盛ん。ケーブルテレビなど個人消費関連も好調で概して景況感は良
好である。北勢地区(四日市市、亀山市、鈴鹿市)では、記憶素子や液晶素子など電子デバイ
スが好調なうえ、生産設備の増強や新規工場、関連企業の進出と稼働が相次ぎ、生産面はもと
より住居、宿泊施設増など需要面を含めトータルでの地域動向が注目されている。両地区から
鉄道で1時間以内の中間地点にあたる名古屋地区では、百貨店売り上げが伸び、他地域資本の
大手量販店の進出も相次ぐなど消費面に明るさがみられるほか、名古屋駅周辺には他地域から
大手工作機械メーカーが本社機能を移転するなどビジネス面でも動きがみられ今後が注目され
る。三遠地区(豊橋市、浜松市など)でも、自動車産業関連を中心に改善し今年4月開催の
「浜名湖花博」も期待されている。飛騨地区(高山市など)では観光地としての知名度を生か
し堅調な様子が窺われる。
その様な状況のなか、来年開港予定の中部国際空港や来年開催される「愛・地球博」会場、
東海環状自動車道や都市高速道路などの建設が最盛期を迎えている。
一方、地場産業(陶磁器・繊維など)の状況は、一部に動きがみられるものの引き続き厳し
い。東濃地区(多治見市、笠原町など)の陶磁器では、売り上げ減少と在庫増加のうえ価格が
低下傾向にある。尾州地区(一宮市など)を中心とする繊維や岐阜地区(岐阜市など)のアパ
レル関連では、一部で落ち着きがみられるものの、価格低下など全体として低調となっている。
【製造業について】
製造業は、好調な外需に加え、一段と動きが鮮明となった内需にも支えられ引き続き堅調に
推移している。
東海地域の主力産業である自動車は、昨年秋以降に発表された新型車や欧州向け・アジア向
けの輸出が好調であること、さらに自動車部品では国内需要に加え海外の完成車増産に対応し
た輸出の増加、また、鉄鋼やファインセラミックスなど関連資材も完成車の動向を受け、総じ
て生産設備はフル稼働となり、生産現場では一部で人手不足も窺える状況となっている。収益
面では、一部中堅部品メーカーは厳しい価格競争や海外投資費用の増加など収益圧迫の状況が
窺えるものの、増産に加えコスト削減や高付加価値製品の提案などによる増収増益に努めてい
る、さらに、完成車メーカーや一部大手部品メーカーでは今期過去最高の利益を見込む企業も
ある。
デジタルカメラやカメラ付き携帯電話、液晶テレビなど内外需旺盛なデジタル民生機器向け
の記憶素子や液晶素子など電子デバイスでは、引き合いに応じ切れない状況が続き、製品価格
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も安定しており収益は良好である。加えて、新たな大規模生産設備も稼働した。
一方、化学、鉄鋼では中国向け輸出が好調であり生産は堅調であるものの、原材料(ナフサ
やスクラップ鉄など)価格が高騰しており、製品によっては価格低迷のなか収益面では苦しい
状況。また、陶磁器、繊維では需要減や輸入品攻勢に押され廃業なども多く生産量が低迷して
いるなか、一部では合理化等の進展から業況に落ち着きもみられる。
なお、東海地域ではCSR(企業の社会的責任)やブランド戦略について、輸送機械や電気
機械を中心に新たな活動を展開する企業もみられる。
為替については、円/米ドルレートが$=¥105では生産低下などの影響はみられないも
のの、想定レートを上回っており、この水準以上の円高ドル安では厳しい状況も窺われる。
ユーロ高による差益では補えず、現状ではコスト削減など自己努力での対応が多い。輸入原材
料の値上がりから従来みられた円高メリットが窺えない。なお、円建て等により影響は小さい
とする企業も少なくない。
【非製造業について】
非製造業の業況をみると、建設が悪化しているほか、小売など依然として苦しい業種がみら
れるものの、リース、人材派遣、通訳・翻訳・コンベンションなどの対事業所サービスで、自
動車関連や大型プロジェクト関連の受注を受け改善がみられるなど、全体としては持ち直しの
動きがみられる。
個別にみると、建設は、大型プロジェクト一巡で業況が悪化。他方、運輸は、他地域に較べ
比較的良い状況となっている。
対事業所関連では、リースは、自動車、一般機械の設備投資増加を受けて比較的良い。人材
派遣は、自動車関連中心に改善し、高水準。通訳・翻訳・コンベンションも、愛・地球博、空
港及び自動車関連からの受注増を受け好調に推移している。広告、ソフトウェアは、全体的に
はさほど良くないものの、持ち直しに向けた動きが窺える。
個人消費関連では、通信は、携帯電話に加え、名古屋地区での地上デジタル放送開始の効果
もありケーブルテレビが好調。旅行・レジャーは、全般的に改善の兆しがみられるほか、経営
努力により集客力を向上させている施設がみられる。小売は、一部百貨店等で引き続き動きが
みられるものの、同業態間、異業態間での競争激化により全体としては苦しい。
(企業のコメント)
〈製造業〉
自動車など輸送機械
•
現時点では過去最高の利益を上げている。国内は新型車が好調、海外需要も好調で欧州では目標を前
倒し達成、中国、アジアも良い。国内外でフル生産の状況で期間工員も過去最高の人数となっている。
為替差損はコスト低減、販売増で対応。
(輸送機械・自動車)
•
主力の北米市場でインセンティブ販売が盛んなど競争激化により在庫調整中。さらに円高から収益面
では厳しい状況だが、アジア市場は好調であり、半導体関連に好調な機械事業と合わせると通期利益
では過去最高の見込み。社内の「ブランド委員会」で社名ロゴ使用に一定の歯止めを掛け、CMや広
報活動ではブランドイメージを強く打ち出す方向で取り組んでいる。(輸送機械・自動車)
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•
円高は懸念事項ではあるが、ディーゼル車規制等による特需は平成16年も続くとみられ収益は好調。
製品価格低下には製品の付加価値付けで対応する。生産状況は良く期間工員を増加する予定(輸送機
械・自動車部品)
•
秋口から伸びており、前半の伸び悩みをカバーしている。生産は高い水準で売り上げ好調だが、利益
は若干の伸び。製品価格には厳しい要求があり当社からの提案で付加価値を付け高機能製品を提供し
ている。為替は円建てのため影響はほとんどない。(輸送機械・自動車部品)
•
海外展開と製品の高機能化により増益。生産も高水準であり円高の影響は今のところ出ていない。今
年度は大幅な増収増益を見込め、当面も国内では大きな期待はできないが海外生産は好調なことから
この状況で推移する見込み。(輸送機械・自動車部品)
•
15年前半は前年割れで推移したが、年後半は比較的好調に推移し年間では前年を上回る見込み。生
産も高負荷状態にあり残業で対応している。為替変動の影響は今のところない。CSR活動としては
脱フロン対策、鉛レスハンダの使用、省エネなど。(輸送機械・自動車部品)
•
年明け以降増産体制。工場現場では人手不足で請負を増員するが、人件費が嵩まないよう作業員の能
率向上と製品品質管理に気を付けている。作業員の習熟や定着率の向上のため作業意欲を高める工夫
が必要。定着率は日本人より外国人労働者の方が高い。売り上げは伸びるが国内外での工場建設費用
も増加し収益的には我慢のしどころ。CSRではコンプライアンス強化、納品先の品質チェックが厳
しくなっている。(輸送機械・自動車部品)
•
国内中心に売り上げは増加しているものの、海外展開に費用がかさみ、利益が出ていない。生産増加
に伴い期間工員を増加、国内以上に海外が伸びている。(輸送機械・自動車部品)
•
イラク戦争やSARSの影響でエアラインが低迷していた頃と比べると、厳しいものの底を脱しつつ
あるか。円高の影響は大きく厳しい。新型機種の開発に期待。(輸送機械・航空機)
工作機械
•
国内向けは業種に広がりも出てき、中小企業からの受注も増え良くなってきている。海外向けは中国
が特に良い。但し、部品の供給が追いつかない状況で急激な増産は難しい。人員不足。円高による企
業の投資マインド減退が懸念。(一般機械・金属工作機械)
•
自動車向け工作機械の業況は良い。但し、価格面では厳しい部分もある。受注は、北米向けが徐々に
回復しており、今後も期待。受注全体も伸びている。収益に対する円高の影響は少ない。(一般機械・
金属工作機械)
半導体など電気機械
•
生産はフル稼働で、引き合いの2,3割は断っている状況。デジタル家電の生産拠点になっているア
ジア地区からの需要が伸びている。年度末までに一層の生産能力増強を図る。(電子デバイス・半導体
集積回路)
•
内外の旺盛な需要に支えられ工場はフル稼働。パソコン向けは生産拠点の海外移転が進みアジア向け
が伸びている。また携帯電話市場も海外で伸びている。今後は大型テレビ向けの需要も拡大する見込
み。円高は収益減少だが海外部品の調達拡大で対処。製品価格も安定しており収益は堅調である。生
産能力増強投資も計画どおり進捗。本社にCSR推進室を設置し強化。(電子デバイス・液晶素子)
•
新機種を中心に堅調、今後も継続的に市場拡大の見込み。部品の供給不足についても、一時の半導体
系の価格高騰も収まり現在は大きな懸念はない。韓国、中国のメーカーが市場参入し価格競争が激化、
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収益は厳しい状況。更にコストダウンを強化する。(情報通信機器・デジタルカメラ)
•
液晶テレビ、PDPテレビの売り上げは伸びている。地上デジタル放送も開始されブラウン管のデジ
タルテレビも動きは良い。但し、アナログのブラウン管テレビは不振。北米でのクリスマス商戦は大
型テレビで動きがあり中国も悪くない。今後、夏のアテネオリンピックに向けて各社から大量に市場
投入されれば、価格低下するものの市場規模の拡大が見込まれ期待。価格低下には部品の調達コスト
削減で対応する。CSR活動として無鉛ハンダの使用やリサイクルできる設計の実施など。(情報通信
機器・テレビ)
•
ICパッケージは携帯電話向けパソコン向けともに好調。中国などで需要が伸びている。収益は堅調
だが為替水準が$=¥105 では苦しい状況。(電子部品・ICパッケージ)
•
パソコン、携帯電話向けともに伸びておりITバブル崩壊から脱した感がある。フル稼働状況で米国、
中国、マレーシア等へ出荷している。携帯電話の高機能化は日本から世界へ広がっている。今後も伸
びる見込みだが、現在の為替水準ではかなり苦しい状況。今年から全国的知名度を上げるため公共交
通機関への広告を行う。(電子部品・ICパッケージ)
•
景況感は持ち直している。緩やかではあるが回復傾向が鮮明となっており、来年度上期まで受注も確
保し堅調。受注残もあり生産は一層伸びる。液晶関連では国内も増加しているが韓国での関連投資が
底固くマインドが高い。自動車関連では中国が伸びている。(電気機械・制御機器)
ファインセラミックスなど窯業土石
•
情報通信機器向けセラミックスは、ITバブル崩壊から回復しており今後上向きになると思われる。
また、自動車関連向けセラミックスは、排ガス規制強化の流れのなかで安定的で好調な状況。(窯業土
石・ファインセラミックス)
•
飲食器関連は、国内では、家庭用、業務用ともに回復が遅れている。輸出では米国向けが円高も影響
もあり苦戦、アジア向けには大きな変化はない。航空用食器は多少回復傾向にある(窯業土石・陶磁
器)
•
陶磁器業界は以前と同様、大変厳しい状況。年明けの見本市をみてもさほど動きはない。消費者の価
値観も変わり市場は縮小しているのに量販店は出店攻勢をかけ、オーバーフロア状態、産地もオー
バーサプライ状態。美濃焼は東京、大阪、名古屋の消費地に近く量産の産地としてきたが、かえって
小ロット化に対応できていない。(窯業土石、東濃・陶磁器)
•
前年比マイナスで推移。在庫が増える傾向にあり、単価は下がっている。大手ゼネコンからの価格要
求が厳しい。笠原のタイルは原材料メーカー、タイルメーカー、機械設備メーカー、加工業が地域に
集中していることが強み。
(窯業土石、東濃・陶磁器)
•
公共工事の減少から冷え込んでおり、中部圏でも徐々に低迷してきた。生産は抑制中であるが価格が
適正価格を下回り収益はかなり苦しい状況。(窯業土石・セメント)
薄板など鉄鋼・金属
•
自動車中心に量は出ていてフル生産だが、製品単価が低い。国内は自動車向け中心に堅調、海外は中
国の旺盛な需要に支えられ薄板中心に好調、生産が追いつかないほどの需要。高機能化のため設備投
資をしたいがフル稼働状態でタイミングがない、人員不足気味。原材料の鉄鉱石、石炭、コークスま
で中国へ流れ価格が高騰している。(鉄鋼)
•
中京圏向け建設材は低位横ばい。瀬戸内、九州向け造船材は大型形鋼など好調。海外では韓国、中国
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向けに造船材が動くが、特に中国は造船材に加え土建機向けが特需状態。人員不足気味で協力会社に
応援を依頼している。収益は原材料スクラップ値が上昇し、販売価格が追いつかないことから厳しい
状況。(鉄鋼)
•
国内は10月以降、量が増えてきた。しばらくこのまま推移する見込み。中国セーフガード解除の影
響は若干ふえるかもしれない程度。収益面では現在製品価格の交渉中だが足下悪化の気配。円高の影
響は大きい。
(鉄鋼)
•
家庭用刃物は数年間弱含みであったが、今年辺りが底とみている。品目によってはフル稼働。医療用
刃物では年1割弱は伸びている。関の最盛期の頃はプレス屋、研ぎ屋、組み立て屋、包装屋、問屋、
運搬屋など集中しており地域内で上手く分業されていたが、今は高齢化や後継者難で分業の輪が途切
れ、集積は崩れ地域が衰退した。現在の関では、物は上等(技術面)だが販路がない。個々のメー
カーが、消費ニーズを見ず自分都合で生産している、それでは売れない。商品企画力が足りない。(金
属、中濃・刃物)
プラスチックなど化学
•
国内は持ち直しの気配もみられるが弱い。海外は建設向け等の塩ビ樹脂など中国向けが好調。需要も
旺盛で今後も引き続き好調を維持する見込み。原材料(ナフサ、エチレン)価格が上昇しており国内
では収益を圧迫しているが、海外向けは製品価格も上昇しており採算が取れている。(化学・石油化
学)
•
シュガーエステル、IT向け樹脂は引き続き好調。カーボンブラックは中国、北米向け好調でフル生
産。円高もあり輸入品が安価で、これに対抗するため業務集約を全社的に実施。原材料(ナフサ)高
騰により製品価格とのバランスが崩れている製品もあり価格面は課題。(化学・石油化学)
•
建設材樹脂は、国内ではリニューアル市場向けに、また海外では特に中国の現地邦人企業向けに堅調。
但し、製品単価は低調。(化学・樹脂)
紙・繊維
•
一昨年来続いた安価な輸入品攻勢は一段落し落ち着いてきている。堅調な売り上げとコストダウン、
合理化努力により利益を確保。円高は原材料(チップ)の値下がり要因でプラスに働くが、むしろ豪
州ドル高などが懸念。(紙パルプ・製紙)
•
減収増益、足下前期並。今後も良い見通しはあまりなく先行き不透明。婦人服地ではウール回帰の動
きが出るとの話もあり期待。紳士服地はあまり良くない。価格面での要求が厳しい。(繊維、尾州・毛
織物)
•
繊維産業、衣料品の消費動向は引き続き厳しい。顧客である量販店は、売上高が減少する一方で店舗
数、売り場面積は増加しているため、好転する材料がない。(繊維、岐阜・アパレル)
•
綿の染色中心で、春夏物が主力であり繁忙期。昨年夏以降持ち直し足下フル稼働状態。消費税の総額
表示の影響を懸念する(実質値引きを迫られる恐れあり)。(繊維・染色)
食料品
•
海外での日本食ブームもあり輸出は順調に伸びているが、全体では需要が落ちているのか業界でも前
年割れで推移している。厳しい状況で今後1年間は変わらない見込み。(食料品・調味料)
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〈非製造業〉
•
現在は、大型プロジェクト関連等で施工量は減少していないが、受注ベースでは、愛・地球博、中部国際空港
関連の受注は出尽くしており、低迷している。今後も官需には期待できないため、民需へのシフトを進めている。
民需では小規模の都市開発や特区のようなものからの受注がある。また、名古屋駅周辺地区のプロジェクトに
は期待している。(建設)
•
東ブロック、西ブロックはあまり良くないが、中部ブロックは好調。(運輸)
•
全国的にもみて、東海地区が一番良い状況。首都圏では、物量が減って物流費が下落傾向。また、関西は良
くない。電器メーカーの海外進出に中小下請がついて行けず、ものが流れていないことが原因のようだ。(運
輸)
•
昨年は業績が芳しくなかった。設備投資は上向いているものの、それがリース業界に反映されていない。業界
全体で取扱額は3年連続前年比割れ。ただ、中部地域は自動車、工作機械関係の設備投資が増加して底堅
い。自動車メーカーの設備投資の影響があり良好に推移。(サービス・リース)
•
引き続き自動車関連を中心に業況は良い。(サービス・技術者派遣)
•
景気が上向き基調になってきたことに伴い、昨年のはじめから人材需要に明るさが見られる。特に自動車関連
企業の好調さから売り上げが伸びている。(サービス・人材派遣)
•
総広告費は3年くらい前から伸びていないが、首都圏を中心に好調な業種が出てきて少しずつ回復している。
先行きも緩やかな回復基調を予想。(サービス・広告)
•
広告代理店業界では、東京の大手代理店の一人勝ちの状況。この状況は名古屋でも変わらない。(サービス・
広告)
•
一時に比べ悪いという話は聞かなくなったが、業況が良くなってきたかどうか確信はない。業界における企業合
併の動きは今後も続くだろう。(サービス・ソフトウェア)
•
業況は良いが、業界としては安定期を迎えており、年間契約の純増数では苦戦している。パケット定額等の付
加サービスが支持されている様子。(通信・携帯電話)
•
全体として好調。特に当地域では、デジタル放送の開始にともない好影響を受けている。(通信・ケーブルテレ
ビ、インターネット接続サービス)
•
スキル向上や資格取得に対する関心は引き続き高まっており、業界全体の需要はある。(サービス・社会人教
育)
•
堅調に推移している。主な受注先である自動車メーカーをはじめとする製造業の業績が堅調に推移しているこ
とが大きい。また 「愛・地球博」の開催と中部国際空港開港の影響が大きく、語学研修が増加傾向。製造業
の海外進出や地域経済の国際化を背景に、英語力の底上げを意図する企業ニーズもある。(サービス・通訳・
翻訳・コンベンション)
•
数値の上では景気は回復してきているように見えるが、実態はまだ厳しいのではないか。それでも旅行に行き
たい人が安いプランを探して行くという状況。(サービス・旅行)
•
昨秋以降、経営努力が奏功し、一部施設を除き持ち直し、比較的堅調に推移。ただし、客単価は前年比で10
円程度下がっており、レジャー消費の回復はまだまだの感じ。また、スーパーが室内遊園地を開設する動きも
あり、競合が激化。(サービス・遊園地、テーマパーク等)
•
この業界全体に言えることだが、冬場は非常に良くない。また、若者の消費活動が車、パソコン、携帯等に偏り
がちなど、恒常的な要因もあり、経営難に陥っている企業もある。(サービス・遊園地等)
•
デフレ不況はまだまだ続いており、厳しい状況には違いない。しかし、取引先の話などを聞くと、名古屋は、例
えば近畿地区等と比較すれば元気だそうだ。消費を控える層と、控えない層とが2極化している感もあるが、
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「名古屋嬢」を筆頭とする層の購買力はやはりまだまだ凄い。(商業・百貨店)
•
デフレ脱却はまだまだ先の話。恒常的にオーバーストア状態にあり、価格競争も絡んで、小売業を取り巻く環
境は厳しい。消費者の購買力も伸びて来ない。(商業・スーパー)
•
医薬品市場が頭打ちになっており、パイの奪い合いになっている。少子高齢化、国民の医療費負担の増加な
どを考えるとこれ以上市場が大きくなる見込みはないと考える。2年に1度見直される薬価が今回の見直しでも
4.2%低下。薬価が下げられても、医療機関への卸値はそこまでは下げられない為、医療機関・薬局では利
幅が低下し、経営難・倒産へ追い込まれる所もでてきている。(商業・医薬品卸)
•
業界全体の、事業別取扱高は、クレジットカード、オートローンが増加。ショッピングクレジット、キャッシングは
マイナスの傾向。(信販)
•
介護ビジネスは、高齢社会の進展に伴い需要は順調に推移しているが、参入企業が増えており競争が激化し
ている。(サービス・介護サービス)
【今後の動向】
製造業では、着実な回復が窺われる米国経済や、好調な中国の経済情勢などを背景に、輸出
関連は引き続き好調な展開が見込まれる。更に、堅調な受注動向から設備投資関連も一層の改
善が期待されるほか、電子デバイス関連の増産設備の本格稼働などにも支えられ、生産面は引
き続き堅調に推移し拡大傾向での展開が見込まれる。但し、価格競争は激しく、原材料が上昇
している素材系産業や、加工型産業でも価格低下に加え円高もあり収益環境は楽観できず一層
のコスト低減、付加価値創出などの対応が求められている。円レート$=¥105は、多くの
企業で既に想定レートを上回っており、これ以上の円高ドル安は収益悪化や設備投資意欲の減
退、海外生産シフトなど影響が窺われ、動向が懸念される。
非製造業では、対事業所サービスでは、顧客となる自動車関連を中心とする製造業の業況を
受け、多くの業種で横ばい又は緩やかな改善が見込まれる。他方、建設等では、改善に向けた
動きはみられない。
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為替について
円 /米 ドルレートの水 準 ($=¥105前 後 )について
○収 益 にマイナス
業 種 を問 わ ず 多 くの 企 業 では 、想 定 を$=¥110前 後 に 設 定 しており、この ところの
水 準 では収 益 面 でマイナスとなっている。
需 要 が好 調 な輸 送 機 械 や電 子 部 品 関 連 では、生 産 量 の増 加 もあり、コスト削 減 や
高 付 加 価 値 製 品 へのシフトによって差 損 を補 う対 応 が多 い。
なお、北 米 、欧 州 の両 方 面 へ輸 出 している場 合 でもユーロ高 により差 益 が出 ているが、
多 くの企 業 では円 高 差 損 を補 うことはできない。
○収 益 にプラス
原 材 料 を輸 入 する素 材 系 産 業 では歓 迎 する声 がある。但 し、化 学 や鉄 鋼 では原 材
料 価 格 や燃 料 価 格 の上 昇 があり、円 高 ドル安 によるメリット効 果 は窺 えない。
○ その他
自 動 車 部 品 では 、円 高 ドル 安 に よる完 成 車 や部 品 調 達 の 海 外 シ フト、海 外 での 値
上 げに よ る 売 れ 行 き 減 少 な ど 間 接 的 な 影 響 を 懸 念 す る 声 が 多 い 。 また 、 設 備 投 資
関 連 では、産 業 界 の収 益 悪 化 が投 資 マインド低 下 につながることを懸 念 している。
為 替 予 約 や 円 建 て 輸 出 など の 対 応 も少 な く な く、現 状 で は 影 響 が大 きい と す る声 は
少 な い 。 但 し 、 既 に 多 くの 企 業 の 想 定 レ ー ト を 上 回 っ て お り 、 これ 以 上 の 円 高 ドル 安
では、収 益 面 や生 産 面 にも影 響 が懸 念 される。
(企業のコメント)
•
上期は120円、下期は110円を想定、昨今の105円は苦しい(窯業土石)
•
社内レートは110円を想定。マイナスの影響が出ている。(金属製品)
•
平成16年は110円を想定するが、米国大統領選挙までは様子見。(一般機械)
•
社内では110円を想定、105円は行き過ぎとみている。円建てなどにより現状の影響は少ない。
(一般機械)
•
105∼106円が限界とみている。ユーザーの投資マインドの低下が一番懸念される。(ユーザー各
社は1年かけて100円を切る推移なら耐えられるかもしれない)自社の現地価格競争力も若干弱ま
る。(一般機械)
•
当初110円を想定し、105円ではマイナスでかなり苦戦。(電気機械)
•
円高は収益減少だが、海外調達を拡大するなどで対応。想定は110円。
(電気機械)
•
為替差損はコスト低減、販売増等で対応。(自動車)
•
直近は105円で想定、その動向は懸念材料でもある。(自動車部品)
•
円建てのため、ほとんど影響ない。(自動車部品)
•
社内レートは115円だが、生産増加で影響は出ていない。(自動車部品)
•
完成車メーカーが現地調達率を高めることが懸念される。(自動車部品)
•
メーカーとしては、ドル安は原材料(チップ)面でプラスになる。むしろ、豪州ドル高やニュージー
ランドドル高が懸念される。(製紙)
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主要品目
現在(2月)の業況
(1)半導体
内外のデジタルカメラ、メモリーカード、DVD、カメラ付き携帯電話向
けに好調でありフル生産の状況が続く。今後も、生産増強など引き続き好
調に推移する見込み。
(2)デジタルカメラ
新製品を中心に堅調、生産はフル稼働。今後も市場は拡大する見込み。但
し、価格競争が激しく収益は悪化している。
(3)液晶・PDPテレビ
需要動向は良好。地上デジタル本放送開始で動きあり。北米向け輸出も好
調に推移。夏のアテネオリンピックに向けて各社参入から価格低下もあろ
うが、一層の市場拡大に期待。
(4)携帯電話向け電子部品、
パソコン向け電子部品
(ファインセラミックス)海外携帯電話向け、パソコン向けともに中国需
要などで増加。但し、円高で収益はやや苦しい。
(液晶素子)フル生産の状況。大型テレビ向け需要の増加が見込まれ、新
設工場の稼働など生産を拡大。
(5)自動車、自動車部品
完成車はコンパクトカーが弱含みながら、普通車が新型車効果で増加。輸
出は欧州向け、アジア向けが堅調。自動車部品は国内完成車向けに加え、
海外の完成車増加に対応して生産増。総じて堅調。特に昨年秋以降の伸び
が大きい。
(6)産業用工作機械
工作機械は自動車向け、液晶・半導体向けに加え中小企業向けにも動き堅
調に推移。受注も伸びており当面は引き続き堅調に推移する見込み。
(7)鉄鋼
自動車向け薄板や特殊鋼鋼材が好調。輸出も中国、アジア向けに堅調。原
材料(鉄スクラップや鉄鋼石など)の価格上昇から収益は生産状況ほどで
はない。
(8)化学
中国向け輸出が建設資材塩ビなど好調。IT向け樹脂なども堅調。但し、
原材料(ナフサ、エチレン)の価格上昇から収益は生産状況ほどではな
い。
(9)紙・パルプ
一時の廉価な輸入品攻勢は一段落。事業再編と合理化で業況好転。
(10)セメント
中部国際空港など大型プロジェクトの最需要期は峠を越え、中部圏の公共
工事は減少しているため、生産減少。
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