VOL.26 CHEMOTHERAPY S-2 PC-904に 青 河 479 関 す る 研 究 寛 次 ・皆 川 正 雄 社会保険神戸 中央病院産婦人科 山 路 邦 彦 ・杉 山 陽 子 近畿母 児感染症 センター 新 し く開 発 さ れ た 半 合 成 ペ ニ シ リ ソ で あ るPC-904の 臨 床 意 義 を 明 ら か に す る た め,そ に つ い て 検 討 し,さ 臨 床 分 離 した168株 plate法 作 に よ り,接 1お 21株 6株 広 く分 布 し あ り,E. い ず れ も な だ らか で 幅 の うちPr. aeruginosa: 示 し,合 範囲 coli 30株 相 当 し た 。Ente4o- Proteusは mirabilis 9株,Pr. 中66.6%が,≦12.5μg/mlで 方,Pseudomonas m1のMICを あ る が, は1.56∼>100μg/mlの ≦6.25μg/mlに Serratia, 広 い 分 布 を 示 す が,こ rganii 鋭 いMICで ≦12.5μg/mlで も 同 様 に53.0%が mo- あ った 。 一 12株 は す ぺ て ≦25μg/ 成 ペ ニ シ リ ン と し て きわ め て 注 目 Table 1 16株 中87.5%が Comparative inhibitory concentrations PC-904 of various organisms 示 した。 は0.4∼>100μg/m1に spp. に あ る が,66.7%が bacter, Fig. 1 種 菌 量10scells/m1でPC- よ びFig.1に 26株 た 。Klebsiella あ り,Bacteroides 本 剤 の 特 徴 と 考 え ら れ る。 測 定 した。 Str. pyogenesは0.1μg/mlの Staph. aureus ≦0.78μg/mlで 認 はす ぺ て 用 に つ い て 化 学療 法学 会 標 準 法 に 準 対 す るMICを 結 果 はTable 菌 気 性 菌 に も 鋭 いMICを め る 菌 株 が 多 く,Peptostrept. anaerob,5株 ≦6.25μg/mlで の 成 績 を 報 告 す る。 1.抗 じAgar す べ き 所 見 で あ る 。 な お,嫌 体 内濃 度 らに 産 婦 人 科 領 域 に お け る 各種 の感 染 症 に 使 用 し た の で,そ 904に の抗菌作凧 Susceptibility of clinically isolated organisms to PC-904 to 480 APR. CHEMOTHERAPY II.吸 M. luteus ATCC 収 ・排 9341を を 用 い た カ ッ プ 法 に よ り,ヒ 準 液 希 釈 は1/15Mリ 均28,5 (24.7∼35.2) ∼47.0) μg/m1,点 注 し,ま シ リ トー shot静 婦13例 齢54歳 鼠 体 重41kg, μg/m1と に 本 剤2,0gを over testに よ μg/mlと 値 は 平 均92.6(70.3∼138.5) 低 下 し,1時 後 に は54.0(39.4∼ 間 値 で は24.7(17.6∼30.2) ピ ー ク の1/3∼1/4で (9.7∼17.4)μg/m1と あ る 。2時 減 少 し,3,4時 30.5)μg/ml,4時 間 値13.0 shot静 Blood PC-904 Fig.3 Urinary level of 間 値 は13.8 間値 はそ れ ぞ れ 間 値24.0(19、8∼ (9,6∼17.6) μg/m1と 2.子 与0∼2 点 滴静 注 間 尿 で は420μg/mlと 中 排 泄 は,0∼8時 中 回 収 率 はone 滴 静 注 時28.5%で 逆 間 でみ る と両 shot静 注時 あ っ た(Fig.3)。 宮 癌 患 者 に お け る体 内 濃 度 ク レ ア チ ニ ン ク レ ア ラ ン ス(Ccr.)が42, 27ml/min に 低 下 し て い る 子 宮 癌 末 期 患 者2例 に 対 し,PC-904を 2.0g点 示 し た よ うに,30分 滴 静 注 し た と こ ろ,Fig.4に あ り,1時 Fig. 4 of PC-904 な り, あ った。 間 値29.7μg/m1,2時 PC-904 2.k thccretion 間 値42.9(365 注 群 が2160μg/m1と 転 し て い る 。 結 局,尿 30.2%,点 値 の平 間 値 が ピ ー ク で51.8 (2.5∼4.2)μg/m1で 値 平 均21.4μg/m1で Fig. 2 あ る が1時 群 よ り も や や 高 い が,2∼4時 投 与 し,one あ り, あ る。 こ の よ うな比 較 的 高 い値 群 に と くに 差 は な く,尿 注15分 高 レ ベ ル で あ る が,30分 75.8)μg/mlと μg/mlで 尿 中 濃 度 は 上 述 し た 血 中 濃 度 を 反 映 し て,投 注 と点 滴 静 注 時 の 成 績 をcross shot静 な った 。 滴 絡 了 時 の2時 μg/m1で 時 間 尿 で はonc 康 婦 人 に お け る体 内濃 度 り比 較 し た(Fig2)。 One (43.1∼57.3) 6時 間 値3.1 で あ る。 健 康 人 ボ ラ ン テ ィ ア5例 shot静 齢19∼26歳,体 μg/m1で μg/m1と は 点 滴 終 了 と 共 に 急 速 に 低 下 し,3時 点 滴 静 注 した。 宮 殖i末 期 患 者2例(年 体 重51kg),娩 1.健 た は5%キ 3.9(2.8∼6.1) 滴 静 注 時 の 血 中 濃 度 は,30分 溶 解 し, 被 検 対 象 は 健 康 非 妊 婦 人5例(年 55歳 こ れ に 対 し2g点 使 用 した 。 溶 解 し120min.で 47∼54kg),子 μg/m1, 6時 間 後 に は0.8(0.3∼1.9) シ リ トー ル20m1に ン酸 緩 衝 液(pH7,0)を け てone ル500mlに 6.3(4.6∼8.5) (pH7,2) ト体 内 濃 度 を 測 定 した 。 標 PC-904は2.0gを20%キ 5min,か 泄 被 検 菌 と し,HIA 1978 Fig. 5 Blood level Urinary of PC-904 excretion of PC-904 VOL.26 Fig. 6 CHEMOTHERAPY S-2 Transfer of PC-904 into blood and amniotic fluid (ƒÊg/ml)PC-904 2 .0g umbilical cord 481 Table 3 Clinical effects of PC-904 d. Table 2 Clinical effects of PC-904 * replaced (Proteus) 482 CHEMOTHERAPY Fig. 7 Case 26 y F 58 kg Lochiometra APR. Fig. 9 Case 31 y F 47 kg Ectopic 1978 pregnancy?•¨ Adnexitis Fig. 10 Case Fig. 8 Case 24 y F 45 kg Early →Protmacted delivery; 間 値44.0μg/m1で rupture Lochiometra infection. これ 以後 もprolongationの 4時 間 値16.4μg/m1,6時 間 値5.2μg/mlで 尿 中濃 度(Fig.5)は,0∼2時 840μg/ml,4∼8時 Bedsore UTI 間値は 1.0∼2.0gず あ った。 間 値460μg/mlで,こ つ4∼17日 間 静脈 内投 与 した と ころ,悪 露 停 溜 症,子 宮 癌 術 後 慢 性 尿 路 感 染 な ど11例 間 値 平 均1430μg/ml 間値 れ以後は逆に を 示 し,1例 1.産 に 臨 床 効果 は発 熱 のた め 投 与 を 中 止 した(Table 2,3)。 科 的 子 宮 内感 染 感 染 流 産,悪 露 停 溜 症,早 期 破 水 を 伴 な う遷 延 分 娩 の や や 高値 を示 した 。 尿 中 回 収率(0∼8時 間 平均)は26.1%で あ り,健 3例 に 本 剤2.0∼4.0g/day,4∼6日 間 投 与 した と ころ, いず れ も 明 らか に 下 熱 効果 を認 め た 。 康 人 よ りも少 し低 い程 度 で あ った。 児側移行 分 娩 第1∼2期 Chronic colli relapse SLE. 傾 向 を呈 し, で 初期 に は対 照 健 康 人 に比 べ や や 低 く,2∼4時 3.胎 carcinomatoa; あ るか ら,こ れ は 健 康 人 ボ ラ ン テ ィ ア の血 中 濃度 に比 べ や や 低 か っ た。 しか し,3時 26.2μg/mlで 54 y F 41 kg Carcinoma →Peritonitis of bag 悪露 停 溜症 例は,子 宮 内 容 か らBacteroidesとStaph. aureusを 同時 に 検 出 し,本 剤2.0gず の 妊婦 にPC-9042.09/500m1/120min つ朝 夕 の点 滴 静注 点 滴 静 注 し て,児 娩 出時 の膿 帯 血,羊 水へ の移 行 を 観 察 に て6日 後 す ぺ て の症 状 が 消 退 し,嫌 気性 菌 感 染 に 対す した(Fig.6)。 る有 効 性 を 裏 付 け る も の で あ る(Fig7)。 症 例 に よ りか な り大 きい差 が あ るが,負 荷1∼5時 ま で は5∼10μg/ml程 く,5∼7時 間 度 の膀 帯血 濃度 を 示 す こ と が 多 間値 は ≦2μg/mlで 間1/2∼2/3,3時 間1/3,4時 の 発熱 を呈 し 間 静 注 で 無 事 分 娩 を終 え る こ とが で きた(Fig.8)。 あ った 。 贋 帯血 濃 度/母 体 血 濃 度 は 負 荷1時 間 頃 に は1/6∼1/7 で あ り,2時 早 期 破 水 を 伴 な う遷 延 分 娩 例 は38.0℃ た が,本 剤1.0g×2/day4日 間1/2の 例 2.骨 盤 内感 染 な ど 下 腹 痛,性 器 出血,発 熱 を 主 訴 と し,ダ グ ラ ス窩 穿 刺 が 多 か った 。5時 間 頃 に は,母 体 血 と鵬 帯 血 がほ ぼ 等 し 陽 性 の症 例 は,そ の 後 子宮 付属 炎 の診 断 で本 剤2.0g/day くな り,そ れ 以 後 は 逆転 傾 向 で あ った 。 羊 水移 行 は負 荷 8日 間静 注 して 炎 症 所 見 の順 調 な 回復 を 示 した(Fig.9)。 後,時 37.5℃ 間 を経 過 して か ら認 め られ た 。 III.臨 産 婦 人科 感 染14例 床 成 績 に対 し,PC-904を12時 前 後 の発 熱 が2週 間 来続 い て いた 骨 盤 腹 膜 炎 例 は,4.0g/day点 間間隔で 滴 静 注 で 発 熱,下 腹痛 膿 性 分 泌 の 好 転 を8日 後 に は認 め たが,再 発 防 止 の た め,さ らに堤 与 VOL.26 483 CHEMOTHERAPY S-2 Fig.11 Fig. 12 Fig. 13 Case 67 y Case 26 y F 54 kg F 38 kg Pyelonephritis•¨Sepsis Asmyptomatic Case 55 y F 51 kg Cervical cancer bacteriuria (IV); Puerperal cystitis Chronic UTI; Anemia 484 APR. 1978 CHEMOTHERAPY Table Table 5 4 The The laboratory results of liver findings of blood and kidney tests function tests VOL.26 CHEMOTHERAPY S-2 Table 6 The laboratory 子 宮癌 再 発 に よ る癌 性 腹 膜 炎 併発 例 は,腹 検 出 し,PC-904 4.0gず 点 滴 静注 した が,下 熱 効 果 な く,Proteus 水 か らE つ6日 間 Indole (+)に tests 間 投与 し て 明 らか な下 熱 を 呈 した 。 ま た,膣 会 陰 裂 傷 部 に膿 瘍 形 成 を 来 た した 例 で も 本 剤 投 与 に よ り膿 性 分 泌 の減 少 を来 た した。 術 後 気 管支 肺 炎 例 は,薬 剤投 与2∼3時 5.尿 血症 2週 間 来38∼40℃ of urine 間後 に発 熱 を 呈 した た め,副 作 用 と考 え投 与 を中 止 した。 菌 交 代 した(Fig.10)。 3.敗 findings 発 熱 例 に,4.0g/day×5日 を続 け渇 もの で あ る 。 coli, Staph. aureusを 485 発 熱,悪 寒 戦 標 の持 続 で 腎 孟 腎 炎 か ら敗 血 症 に 進 展 した と診 断 され て転 医 入 院 し た1例 は,は じめ 尿 か らKlebsiella xine内 服,Thiophenicol筋 sp.を 分離 し,Cefale注 を受 け た が,臨 床 効果 の 認 め られ な か った もの で あ る。 本 院 入 院 直 後 は,化 療 を 行 なわ な い で 輸 液 だ け で起 炎 菌 の検 出に つ とめ た。 しか し,血 液,尿 の いず れ か らも菌 を分 離 しな い ま ま,下 熱 傾 向を 示 しは じめ た。 本 例 は既 往 の経 過 や 一 般 状態 か ら 判 断 して,た ま た ま こ の時 期 に一 致 してPC-904の 投与 路感 染 術 後 尿 路 感 染,産 褥 膀 胱 炎 の 分離 菌 はEcoli 1例 で あ るが2.0∼4.0g/day静 3例, Proteus mirabilis 4∼5日 間 で,細 菌 尿 ・膿 尿 な ど の所 見 は 急速 に 消失 し 注 た(Fig.12,13)。 6.薬 剤投 与 の生 体 に 及 ぼす 影 響 副 作 用 と して は,症 例4に ア レル ギ ー反 応 と思わ れ る 38℃ 前 後 の発 熱 を,本 剤 静 注 また は筋 注2∼3時 間後 に 呈 した 例 が あ るが,皮 内 反応 は陰 性 で あ った。 し か し こ の例 はMezlocillinやT-1220の よ うな 他 の合 成 ペ ニ を開 始 し完 全 に下 熱 を 認め た も ので あ る。 一 方,投 与 中 シ リンで も同 様 な発 熱 を み た。 投与 時 の副 現 象 と して腹 に 菌 交 代 と思わ れ るSerratiaを 水,尿 内 にProteus, 分 離 した 点 を 併せ 考 え る と,本 例 の 効果 判 定 は無 効 と考 え られ る(Fig.11)。 4.術 後感染 子 宮 筋 腫 の ため 子 宮 全 別 術 後5日 Serratiaが 交 代菌 と して 出 現 した 。 一 方 ,薬 剤 投 与 前 後 に お け る臨 床検 査 成 績 で は と くに 薬 剤 の 影響 に よる と考 え られ る変 化 はみ られ な か っ た 目 に37.6∼38.4℃ (Table 4,5, 6,7)。 486 CHEMOTHERAPY Table 7 Change IV.む of laboratory す findings before し,以 下 の結 果 を 得 た。 嫌気性 菌 に対 す るす ぐれ た 抗 菌作 用 が 目 立 っ た。Klebsiella E. coli 53.9%, Bacteroides 82.5%が 2)本 剤2.0g静 Ps. aeruginosa 58.3%, ≦6.25μg/mlのMICを 脈 内 投 与す る と,ヒ one shotで92.6μg/ml,点 え た。 ト血 中 濃 度 は 滴 静 注 で51.8μg/mlの ー ク レペ ルを 示 した。 尿 中排 泄 は30%前 ピ 後 で あ った 。 胎 児側 移 行 は 他 の 合成 ペ ニ シ リンに 近 似 した 良好 な結 果 を示 した 。 3)産 婦 人 科 感 染14例 に2.0∼4.0g/day4∼17日 間 静 脈 内投 与 した と ころ,悪 露 停 溜 症,子 宮癌 術後 尿 路 感 染 な どの11例 1) administration に 臨 床 効果 を示 した 。 副 作用 と して は1 例 に発 熱 がみ られ た が,こ れ以 外 は 薬 剤 投与 に よる影 響 青 河 寛 次: motherapy 2) の感 受 性 分 布 で はGNBと sp. 61.9% after of PC-904 文 っ い て,そ の抗 菌 作 用,体 内移 行 お よび臨 床 成 績 を 検 討 床 分 離168株 and 1978 は何 ら認 め られ な か った 。 び 新 し く開 発 され た 半 合成 ペ ニ シ リンで あ るPC-904に 1)臨 APR. 第25回 ムII, 献 Piromidic 19; acidに 557∼561, 関 す る 研 究 。Che1971 日 本 化 学 療 法 学 会 総 会, PC-904, 1977 新 薬 シ ンポ ジ ウ VOL.26 487 CHEMOTHERAPY S-2 THE STUDIES ON PC-904 KANJI SEIGA and MASAO MINAGAWA Department of Obstertics and Gynecology, Kobe Social Insurance KUNIHIKO YAMAJI and In order to arized 1) good as Clinically of Human injection, at 6 to 3) E. coli, The side effects and of clinical 51. hrs. be bacteria well of levels 8 Ag/m1 About a new effects semisynthetic were effects aeruginosa PC-904 after of 2 efficacy or penicillin, studied, and effective to or adverse 11 PC-904, the results the antibacterial obtained were summ- cases susceptibility a to peak infusion of was recovered 6. 25 of each For 92. to example, pg/m1 or 6 xiglml 2g of PC-904. in the urine PC-904. 61. less after Its 9% of It of the a exhibited activity intravenous was 8 sp., drug. single within a Klebsiella hrs. detectable PC-904 was organs. the reactions dose for bacteria. sensitive to drip tested anaerobic were given drip were and attained fetal of B. hours' the to intravenously was Ps. 30% strains) G. N. of transferred therapeutic (168 against 58. 3% serum given PC-904 clinical activity and found No isolated antibacterial 2) were the excretion Infection Center follows; 53. 3% even evaluate absorption, Hospital YOKO SUGIYAMA Kinki Mothers and Children activity, Central drug infusion of was for evaluated 4•`47 lochiometra, on labolatory in gynecological fields. PC-904 2-4 g a days. post-operative findings urinary were noticed infection except and a case others with fever. day
© Copyright 2024 ExpyDoc