2013年12月13日 神奈川県知事 黒岩 祐治 殿 日本共産党神奈川県委員会 委員長 小池 2014年度県予算・施策に関わる要望書 1 潔 日頃の県政へのご尽力に敬意を表します。 今、神奈川県民は、連続する所得減、雇用の不安定化、子育てや介護の厳しい実態に 苦しめられています。 「株価は上がって景気は回復」と政府は強調していますが、アベノミクスの効果が感 じられないのが国民の実感です。安倍政権の施策は、消費税の引き上げ、年金切り下げ、 生活保護切り下げなど国民の生活を一層困難にしています。秘密保護法の強行など人権 と民主主義の不安も高まっています。 こうした時こそ、県政が国の悪政からの防波堤となって、県民福祉の向上という地方 自治体本来の役割発揮をすることが求められています。 県政が、県民生活を守り、地域経済の振興、憲法を活かし核も基地もない平和な神奈 川づくりをすすめられることを願い、以下の要望を提出するものです。 1 子育て支援策の充実・強化 (1)小児医療費助成 ① 小児医療費助成制度の補助対象を中学校卒業まで拡大すること。 ② 通院医療費助成の所得制限をなくすこと。通院、入院時の一部負担金を撤廃するこ と。 就学前までの通院費を無料にする県の補助金を土台に 8 つの自治体が中 3 まで医 療費を無料化するなど制度として根付いてきている。緊急財政対策で削減・廃止な どの見直しを行えば県民への影響が大きい。13 年度に横須賀、小田原、茅ヶ崎の 3 市、葉山町が対象年度を拡大した。県民の切実な要求であり拡充こそが流れである。 ③ ひとり親家庭等医療費助成事業を削減・廃止しないこと。 (2)保育の充実 ① 2012 年度限りで民間保育所設置促進事業費補助金を廃止したことが、施設の運営 や利用者サービスに多大なマイナス影響を与えている。この補助金を復活すること。 ② 民間保育所運営費補助金について、これ以上の削減・廃止の見直しをやめ制度を拡 充すること。 2012 年に行った、補助基準の非常勤保育士への引き下げに対して関係者から批 判の声があがっている。 第一回子ども・子育て会議では、県の保育所整備率が全国最下位、出生率もワー スト 5 であることが示され(県民局提出資料)、委員に驚きが広がった。黒岩知事 が同会議(第一回)で主張した「子どもを産むなら神奈川」「子育てするなら神奈 川」を実現するなら、待機児童解消こそが課題である。それならば保育所に関する 補助金を削減・廃止の対象からはずし、国の安心こども基金だけに頼るのではなく 県として市町村・団体補助を強め、認可保育所の増設を推進すること。 (3)学童保育の充実 2 ① 財政措置により県費補助の執行額が国庫補助基準を下回らないようにすること。 ② 指導員賃金について国の補助では不十分である実態をふまえ県独自の補助を行 うこと。 補助金交付要綱で県の補助金は国庫補助基準と同額になったが、実態は県費補助 要綱の 8 割を下回っている。保育内容を低下させ、事業を後退させ、保護者負担の 増加させることになる。 (4)県の児童福祉関係施設再編について ① 県直営施設である中里学園、ひばりが丘学園の「児童自立支援施設へ集約」をや めること。 ② 当該地域の利便性を減ずる県北地域児童相談所(相模原市中央区・大和市所管) の廃止をやめること。 2 ゆきとどいた教育の推進 (1)義務教育の充実 ① ゆきとどいた教育の基本となる「30 人以下学級」をすべての学年で実施するこ と。 学力向上、いじめの早期対応や不登校引きこもりの低減に奏功することは実証済 みである。 ② 青年の雇用問題解決の観点からも、定数法に基づいて教職員は正規雇用とするこ と。 定数内臨任が増え、正規雇用の教職員に過重な負担がかかり学校運営にも支障を きたしている実態がある。 ③ 少人数配置でも高い教育的効果が望める司書教諭、学校図書館担当職員を専任で 配置するための市町村への助成制度を創設し、その配置を促進すること。 国からは専任の学校司書(時給 1000 円、年 35 週、週 5 日、1 日 6 時間)を配置 する予算が地方交付税で措置されているが、専任の職員未配置の市町村が多い。 (2)高等学校教育の充実について ① 全国最低の全日制高校進学率は子どもたち・保護者に大きな不安と過度の競争心 をあおり、全国最高位の神奈川のいじめ、不登校、暴力行為の原因の一つともなっ ている。希望する子どもたちが全日制高校に進学できるように、公立全日制高校の 定員を増やすとともに、私学の学費補助の増額で学費の公私間格差を解消すること。 ② 国際人権規約の規定の「留保」を撤回しながら高校授業料無償化に所得制限を設け る日本政府の方針に反対すること。私立高校の授業料全額無料の実現にむけて、高等 学校就学支援金制度の維持・拡充を図るよう国に要求すること。当面、県として年収 500 万円まで全額、年収 800 万円まで半額を助成すること。 (3)私学助成の充実 ① 神奈川県の私学助成は全国最低レベルとなっている。私学経常費補助金を大幅に増 額すること。標準的運営費については住宅手当、交通費、扶養手当などを教職員割に 3 含めるよう見直しを早急に行うこと。 ② 私立学校(幼稚園、小学校、中学校、高等学校、専門学校)の経常費助成を公立学 校運営費の 2 分の 1 に拡充すること。 (4)特別支援学校の充実ついて ① 特別支援学校を増設し、その過大規模・過密化を解消し、適正規模・適正配置を図 ること。そのための再編整備計画をただちに策定して推進すること。 ② 県立特別支援学校の過大規模化解消にむけて新規整備をすること。とくに横浜北部 方面ですすめること。 ③ 県立座間養護学校への知的障害の小学部、中学部を設置すること。 ④ 県立相模原養護学校へのスクールバスを増便すること。 (5)県立高校の耐震化、老朽化対策について ① 文科省は、児童・生徒たちが生活し、災害時には避難場所ともなる公共的建物であ る学校の役割として、耐震化に「Is 値」0.7 以上を求めている。しかし神奈川の県立 高校は耐震化工事完了済みの学校を含めたほとんどが、文科省基準(Is 値 0.7)を下回 っている。県立高校の耐震基準を見直し、耐震化・老朽化対策工事促進を図ること。 ② 老朽化、設備劣化が著しい県立高校の改修、改築を急ぐこと。 (6)中学校給食施設整備助成について 中学校給食の施設整備に対する県独自の助成制度を創設し、全国最低の実施率とい う不名誉な中学校給食の実施を促進すること。安全で豊かな学校給食のために、地産 地消、自校方式、直営方式で、災害時にも対応できるよう指導すること。 (7)全国学力テスト結果の学校ごと公表の撤回を 全国いっせい学力テストは、全国的には平均点競争で「ドリルばかりで本来の知育 がおろそかになる」など学力形成に有害、と問題になっている。競争教育の弊害から 子どもたちを守り、子どもたちが助け合いともに伸びる教育への転換をはかるために、 その中止を国に求めること。その弊害を加速する結果公表を行わないよう県としてす すめること。 (8)教科書採択の改善について 小中学校の教科書採択については、採択地区の小規模化を図るとともに、政治的介 入を排除し憲法に基づく教育を保障し、学校・教員の意向や保護者の意向がより反映 されるよう改善すること。 (9) 学校図書館は各学校の自主的運営に任されるべきである 生き証人が自らの体験を綴った「はだしのゲン」は、戦争の悲惨さ、核兵器の非人 道性を伝える平和図書として国際的にも高い評価を受けている。一部の政治的圧力に 屈して、それを子どもたちが自由に読めなくする措置等をとることは断じて許されな い。それは、人権またはプライバシーを侵害するもの、わいせつ出版物と確定したも の以外で提供の自由を制限し、子どもたちの知る自由をも制限し、検閲に当たる。ま た、文化問題、表現の自由にもかかわる重大な問題であり慎重な対応がもとめられる。 (10)朝鮮学校への補助金について 4 朝鮮学校への県補助金を復活すること。 そもそも植民地支配で失われた言語と民族の誇りを取り戻すために創設された朝鮮 学校である。従来交付されていた県の補助金 6300 万円は運営費の 3 分の1を占める。 補助金カットによって、小中学生の保護者が月に約 3 万円を負担し、ただでさえ日本 人教職員よりはるかに低い賃金の教職員の給与未払いが続いているという。 朝鮮学校の保護者もまた納税者である。授業内容に問題がないことも県による授業 参観で明らかになっている。北朝鮮が核実験など国際的非難を浴びる諸問題は厳然と してある。しかし、国どうしの関係が困難な時にこそ交流の役割を果たしてきたのが、 神奈川の民際外交推進の立場である。そもそも子どもの権利条約に照らしても子ども の学習権は国籍とは別問題で尊重されるべきである。 (11)「神奈川の教育を考える調査会」答申の具体化について その具体化にあたっては、現場実態をよく調査し、関係当事者や子どもたち・保 護者・学校・教職員・県民の意見を十分に聞いてすすめること。知事の成長エンジ ンを回すために「百年の計」たる子ども・教育を犠牲にする等は絶対に許されない。 「神奈川の教育を考える調査会」答申は、神奈川の今後の教育のあり方を基本に すえることなく、全国最低レベルの県教育予算をさらに縮減することを原則として いる。特に人件費縮減、膨張する特別支援教育費縮減、学校統廃合等による学校数 削減、ニセのインクルーシブ教育推進等、子どもたちに夢と希望を育む豊かな教育 に逆行する内容が多い。 (12)夜間中学校について 夜間中学については、当該自治体任せにせず、東京都のように、教員配置など県 が責任をもつこと。 (13)卒業式・入学式における「日の丸」「君が代」の強制をやめ、「国歌斉唱」時の起 立が強制ではないことを広く県民に知らせること。 (14)相原高校存続について 県立相原高校は地域に親しまれており、現在の場所で存続させること。 (15)大磯町立国府小中分校になった県教育施設において、教育費の負担増を町に求め ないこと。 3 高齢者、障害者福祉と医療の拡充 (1)高齢者福祉の充実について ① 高齢者を年齢で差別する後期高齢者医療制度の早期廃止を国に求めること。保険 料の負担軽減のため県としての財政支援を行うこと。 生活費にあたる年金を差し押さえて保険料を徴収することをやめるよう指導す ること。 ② 入所者の処遇の劣化や経営基盤の衰退につながる軽度老人ホームなどの高齢者 にかかわる民間福祉施設運営費などの県補助金の削減をやめること。 ③ 介護施策の充実 5 ア 特別養護老人ホーム整備費は 2012 年度 5 億 6100 万円に対し、13 年度 12 億 1227 万円と増えたが、待機者は 24,629 人(13 年 4 月 1 日現在)もいて保険あって介 護なしの状況である。早期に待機者ゼロにすることをめざし、いっそうの増額を 行うこと。県有地の活用をすすめ用地の確保を急ぐこと。 イ 特別養護老人ホーム整備への国庫補助を復活・充実するよう国に求めること。 介護施設やグループホームなどの用地取得への支援を行うこと ウ 介護保険料と利用料の負担の軽減をはかるよう、国に対して要望すること。 県として市町村に財政支援をはかること。 エ 要支援向け費用の 6 割をしめる訪問看護と通所介護を市町村の事業に押しつ ける国の方針に対し、県として撤回を求めること。 介護保険部会で「財源がない市町村ではできない」 「地域格差が生まれる」 「ボ ランティアにサービスができるのか」 「事業者が撤退せざるをえなくなる」など 見直しを求める意見が噴出している。 オ 介護・福祉労働者の処遇改善のため、3 年の期限が切れる補助制度の恒久化を 国に求めるとともに、県独自の支援を行うこと。 国に対し、介護報酬の引き上げとあわせた国庫負担割合引き上げを行い、利用 料・保険料の値上げにつながらない対策を求めること。 (2)障害者福祉の充実について ① 県民、市町村への影響が大きい重度障害者医療費給付補助事業を削減・廃止の見 直し対象からはずすこと。 ② 精神障害者の通院費助成を 1 級も対象にした(2012 年)ことは重要な前進だが、 さらに入院費も含め 2 級まで広げ、2 級までを重度とする身体障害者との均衡をは かること。 ③ 新たに導入された 65 歳以上に新規に重度障害者となった人を助成の対象外にす る年齢制限を撤廃・是正すること。同じく所得制限も撤廃すること。 通院一回 200 円を市町村に押しつける負担金制度をやめること。直接障害者と接 する市町村の多くは障害者に押しつけず市町村が負担している。 ④ 在宅重度障害者手当のさらなる「見直し」による支給対象者削減をやめること。 在宅重度障害者手当を 2010 年までの制度に戻すこと。所得制限をやめること。 「見直し」による支給対象者を重複障害者にせばめたため 2010 年度には13万 2012 人いた対象者が2012年度には 15 分の 1 の 9000 人に減らされ、補助額で年額 35000 円、25000 円を支給されていた方が、制度から外された。 ⑤ 障害者 11 団体が見直しに反対している中井やまゆり園(知的障害者更生施設)、 さがみ緑風園(身体障害者療護施設)など県立障害者福祉施設について、指定管理 者制度の導入の検討をやめ、直営を維持すること。また指定管理者支援施設である 「秦野精華園」「津久井やまゆり園」など 5 施設の民間移譲をやめること。県立三 浦しらとり園の指定管理者制度をやめ、直営に戻すこと。 ⑥ 夜間の受け入れのための精神科救急医療基幹病院運営費補助、ショートステーが 6 満杯で困るとの要望で実現した病院などが受け入れる短期入所強化事業費補助 ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ 金の削減をやめること。 障害者の社会参加をすすめる社会福祉協議会運営費、精神障害者家族会活動奨励 補助金削減をやめること。 2012 年度限りで廃止された「かながわ福祉推進センター事業費補助金」 (県社会 福祉協議会への補助)を元に戻すこと。 障害者地域生活支援事業の交付金化は、事業費削減につながるためやめること。 同事業の内訳は、障害者地域訓練事業費、在宅障害者福祉対策推進事業(地域 就労援助センター・地域活動支援センター事業)、障害者福祉サービス等地域拠 点事業所配置事業費、障害者グループホーム等運営費と全面的に渡っている。 川崎市は障害者入所施設が足りず、市議会においても増設を求める請願を何度 も採択している。とりわけ南部地域で不足している。入所施設の定数は県の障 害者福祉計画で定められており、現状では定数を増やさないこととしている。 2015 年度に改定される新しい障害福祉計画においては、この川崎市の現状を鑑 みて定員増をはかること。 ⑪ 視覚障害者の参政権を保障するために、投票所に、書きやすい点字器を備える こと。 (3)医療の充実について ① 重度障害者医療費助成をはじめとした福祉施策を元に戻すこと。 ② 子宮頸ガン予防ワクチン・ヒブワクチン接種に国の財政支援の恒久化を求める とともに、県の補助制度を創設すること。 ③ 肺炎球菌ワクチン接種に対する市町村への県の助成制度を新設すること。高齢 者の肺炎球菌ワクチン接種を予防接種法で認定するよう、国に申し入れること。 ④ がん検診の公費負担に対する支援を国に要求すること。 ⑤ 妊婦健康診査制度の公費負担制度を充実するよう国に要求すること。 (4)国民健康保険について ① 市町村国保・業種国保への県の補助金を設け、保険料の引き下げ等、県民の負 担の軽減、地域格差解消のための施策を講ずること。 また、国に対して財政措置をとることや削減された補助金を元に戻すことを求め ること。 市町村国保は、40 歳以上の夫婦と子ども 2 人(16 歳未満)、夫の所得 300 万円で 妻が控除対象配偶者の場合、所得の2割の 60 万 510 円に達した湯河原町をはじめ 葉山、横浜、小田原の3市が 55 万円を越え、藤沢市では 20 万円以上あがるなど多 くの自治体で引き上げがされ、悲鳴が殺到している。高すぎる国保料(税)のため 滞納率が増加し、さらに国保料(税)の引き上げという悪循環にも陥っている。 ② 市町村に対して、資格証、短期証の発行をしないよう求めること。 ③ 横浜市で広範に行われている、市税外債権回収機構が国保料分納を誠実に履行し ている人に一方的に一括納付を求め、できなければ財産差押で対応するやり方はや 7 めるよう指導すること。 (5)生活保護 ① 受給者だけでなく国民全体にかかわる問題としても位置づけ、生活保護引き下げ 中止を国に求めること。 県内の生活保護受給者は 15 万人に及ぶ。8 月からの生活保護基準の引き下げ(「生 活扶助」が 3 年で 7.3%、最大月 2 万円削減)は子育て世帯やひとり親・母子世帯 を中心に直撃し全国で不服審査要求が1万件を超えた。生活保護基準は、住民税非 課税限度額の算定、就学援助など生活を支えるさまざまな制度の“物差し”となっ ている。これまでもらえていた就学援助や、国民年金保険料、医療費、後期医療保 険料、介護保険料、保育料、障害福祉サービスなどの所得基準が下がり、免除や軽 減を受けられなくなったり減らされる。生活保護制度の変更は約 50 の制度に連動 し雪だるま式に困難が広がる。 ② 日本共産党の小池晃参院議員が厚生労働委員会で生活保護を申請した人の親族に 対して自治体が、親族の援助が保護受給の要件であるかのように書いた書類を送り つけて申請をしめ出している問題を追及したことを受けて、厚生労働省は先日全国 の自治体に、 「扶養義務が保護を受けるための要件であると誤認させるおそれのある 表現となっていた」 「可及的速やかに改善を図る」よう求める事務連絡を出した。そ の結果、厚労省によれば、全国の福祉事務所 436 カ所(34.5%)でこうした違法文 書が使われていた。 県では受給権を侵害するこうした問題はなかったのかあきらかにすること。県と して厚労省に問い合わせて実態を調べること。 (6)その他 ① 県の保健福祉事務所の再編に伴い、業務内容の低下や人員の削減が行われないよう にすること。 ② 無料定額宿泊所や高齢者入所施設のいわゆる貧困ビジネスをやめさせるよう行政 指導を強め,関係各自治体とも連携して指導・監査を行うこと。 ③ 国が「税と社会保障の一体改革」による消費税 10%への引き上げとともにプログ ラム法など年金、医療、介護、生活保護、保育などすべての分野で改悪し、大幅な社 会保障の削減をしようとしている。このことに、県民の命と暮らしを守るため、県と して反対の意思を表明すること。 4 賃上げと雇用の確保 (1)賃上げと安定した雇用の確保によって働く人の所得をふやすことこそ、いまの経済 危機を打開する道である。県として、県内経営者団体や事業者、財界、さらに国にた いして賃上げと雇用の維持・確保にふみだすよう要請すること。 (2)神奈川県の最低賃金は今年 19 円アップしたが、それでも時給 868 円であり、18 時間働いても月に税込み 13 万円程度である。ここから税金・社会保険料、家賃、光 熱費などを支払うと残りは 4~5 万円となる。 国が直接おこなえる賃上げ政策として、 8 最低賃金を時給 1000 円以上に大幅に引き上げることを国に求めること。 (3)県は今年 5 月に「国からの要請」だからということで県職員給与の削減をおこない ました。これは職員と家族の生活に影響を与えるだけでなく、約 7 万人といわれる県 関係の職員、関連の職員の賃金引き下げによって地域経済にも深刻な影響をもたらす ものです。さらに民間と公務の賃下げの連鎖にもつながります。 したがって、県職給与削減は今期限りでやめること。 (4)18 万人をこえる人減らし計画の電機産業をはじめ県内大企業で大規模なリストラ の嵐が吹き荒れている。なかには違法な退職強要さえおこなわれています。地域経済 と雇用を守るために、県として県内大企業にたいしリストラ計画の事前公表と無法な リストラの中止を求めること。また、県としてリストラアセスメント条例の制定を検 討すること。 (5) 「ブラック企業」をなくすために、県として労働法規を遵守するよう企業への指導・ 啓発を強めること。 県として関係機関と連携して、県内の“ブラック企業”の実態の調査、根絶をめ ざした取り組みを強めること。 労働相談などで「ブラック企業」を把握した際は、労働基準監督署と協力し法規 違反を是正させること。 (6)公共の仕事の質を守り労働者の賃金を保障する公契約条例の制定をすすめること。 5 中小企業、農林水産業など地域経済の振興 (1)中小企業支援について ① 中小企業制度融資事業補助、信用保証協会補助金の削減を中止し充実すること。 ② 住宅リフォーム助成制度の新設を図ること。 ③ 京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略特区、ロボット産業特区推進の事業費 を見直し、グローバル企業や特定成長産業に偏らず県内中小企業の育成・仕事起こ しをすすめること。 ④ 国家戦略特区への安易な「提案」は、地方自治体としての自主性を失うことにな りかねず、これを撤回し、提案そのものの成否を含め県民討議にかけること。 (2)農林水産業の支援について ① TPP交渉参加の即時撤退を国に強く求めること。 TPPは米国の巨大企業と日本のごく一部の輸出企業の利益のために圧倒的多数 の国民を犠牲にするものであり、まさに“壊国、亡国”の協定である。県も国民に 対する十分な情報提供を国に求めているとのことだが、政府はTPP交渉参加前に は「情報がつかめず示せない」と言い、TPP交渉参加後は「守秘義務があるから 示せません」と言い、結局国民に対する情報提供はもとより、説明責任も果たさな いままTPP交渉の年内妥結にむけて暴走を続けている。 県として「交渉の推移を引き続き注視していく」という対応ではなく、国に対し TPP交渉からの即時撤退を求めるよう要望する。 9 ② 産業競争力会議や規制改革会議で、「農政改革」が検討されている。しかし、そ の内容は農業の大規模化や企業参入を促進する仕組みづくりであり、農地制度や農 業委員会の見直し・解体などである。 農地は個々の農業者の生産手段であるとともに、地域の共有資源でもあり、地域 社会の協同・連帯でこそ維持できるものである。県としても、農地保全の永続性に 疑問がある企業の農地所有は認めないよう、国に強く働きかけることを求める。 ③ 東電福島第1原発事故による放射能被害は、神奈川県においてもお茶やシイタケ などで実害があった。また、汚染稲わらを給与した他県牛肉が神奈川県に流通した ことで、牛肉の買い控え、使用中止などの風評被害が起きた。風評被害に対する賠 償の対象県は、 「原子力損害賠償紛争審査会」が策定した中間指針に基づいており、 神奈川県はこの中に入っていない。 中間指針では、 「17 道県と同等と考えられる場合」は、賠償対象とすることが明 記されている。神奈川県は足柄茶をはじめとする実害があった県であり、17 道県 と同等の風評被害があったことは流通業者の証言などからも明らかである。県とし て、風評被害賠償対象県に神奈川県を加えるよう国に働きかけることを求める。 ④ 食の安全・安心のため ア 沖縄での未承認の遺伝子組み換え(GM)パパイヤの野生化や、アメリカでの 未承認GM小麦の発覚などが問題になっている。また、昨年 9 月のAFP通信社 の報道では、フランス政府が遺伝子組み換えトウモロコシと発がんの関連性がマ ウス実験で示されたとして、保健衛生当局に調査を要請した。 消費者が不安を持つのはやむを得ないと思われる状況があるなか、せめて表示義 務を課すことによって、選ぶ権利だけは与えてほしいという消費者の願いにも応 え、遺伝子組み換え食品の表示制度をEU並みに厳格化するよう国に求められた い。 イ BSE対策について、県も検査対象月齢を 48 ヶ月超に変更しましたが、21 ヶ 月で発生した事例があり、消費者の不安が解消されていない。見直しにあたって は「意見交換会」を行ったと聞いているが、いつ、どこで、何人を対象に行い、 どのような意見が出されたのか明らかにされたい。また、県民と食品関係営業者 等に対し今後どのように理解を得る努力を行うのか明らかにされたい。 ⑤ 担い手の育成・確保につて 「人・農地プラン」は現在、どの市町村で策定されているのかを明らかにし、策 定できていない市町村には早期に策定するよう指導を強めてください。また、 「人・ 農地プラン」で明確化された担い手経営体の育成・確保のため、青年就農給付金の 要件緩和などの支援策の拡充・強化を求めます。 ⑥ 本県における学校給食への地場産農畜産物使用率は、昨年度 13%となっていま すが、国の第 2 次食育推進基本計画の 30%以上という目標をどのようにとらえ、 どのように向上させる計画かについて明らかにするとともに、県として積極的利用 を図るための施策の拡充を求める。 10 ⑦ 都市農業振興のために 国の「食料・農業・農村基本計画」などには、「都市農業を守り、持続可能な振 興を図る」とうたわれている。また、東日本大震災を経験して、災害に強い都市づ くりへの意識の高まりが、都市農業・農地の多様な役割に対して評価を高めている 面もある。都市農業の振興のため税制を含めた制度の見直しが不可欠である。以下 の点について国に働きかけることを求める。 ア 地価の高い本県では、相続税の過重な負担が農業継続に大きな負担となっている。 宅地並み課税や過酷な相続税制を見直すこと。また、農家敷地内の農作業所や農業 倉庫など、農業生産に寄与している用地部分について農地並み評価の適用を可能と する仕組みの創設、並びに、畜舎用地についても相続税評価の軽減措置を創設する こと。 イ 都市農地の継承に重要な役割をはたしている相続税納税猶予制度を存続させる とともに、市街地樹林も適用対象とするよう制度の改善を求めること。 ウ 個別所得保障制度の法制化にあたっては、規模による対象の線引きを行わないよ う求めること。 ⑧ 畜産振興対策について ア 県営大野山乳牛育成牧場を存続させるとともに、預託事業を継続・再開すること を求める。 イ 飼料価格の高止まりが続くなか、酪農及び肉用牛経営は非情に厳しい経営を余儀 なくされている。配合飼料については、既に価格安定基金が創設されているが、粗 飼料については全く配慮されていないのが現状である。配合飼料同様、粗飼料につ いても価格安定基金を創設するよう国に求めるとともに、基金創設までの間、県と しての支援・助成を求める。 ウ 酪農経営における労働の周年拘束性の緩和のために創設された酪農ヘルパー制 度は、酪農家にとって重要な制度となっている。酪農の支援組織であるヘルパー組 織を、酪農所得補償制度のなかに包括的に取り込み、ヘルパー制度の永続性・安定 性はかるよう国への働きかけを行うことを求める。 エ 口蹄疫や鳥インフルエンザなどの法定伝染病が、いつ、どこで起きても不思議で ないといわれる昨今の状況のなかで、県としても発生予防のためのさらなる防疫体 制の強化に取り組むとともに、万が一発生した場合、十分対応できる家畜保健衛生 所の検査機能の拡充と、家畜防疫員の確保、ならびに、被害を最小限にとどめるた め、県としても一定の予算確保と機動的な対応がはかれるようにしておくことを求 める。 また、地域住民と畜舎・農場が混在する首都圏は、発生した場合の処分(消却や 埋め立てなど)は極めて困難であり、埋却地確保も容易ではない。都市圏での発生 を想定した処分方法の検討と土地確保を国の責任で行うことを求められたい。 ⑨ 林業について ア 公共建築物等の建設にあたっては、神奈川県産材の使用を積極的に進めるとともに、 11 一般住宅の新築やリフォームなどへの利用を広げるため、補助や税制上の優遇措置を講ず ることを求める。 イ 森林所有者の土地境界が明確にできない状況は、森林整備など事業をすすめるう えでの障害になっている。地籍調査・境界確認を促進するための職員の増員を求め る。 ウ 鳥獣被害防止のための予算の拡充を求める。また、有害鳥獣の捕獲を担う猟友会 の会員の高齢化が進行するもとで、管理捕獲ができなくなる恐れが指摘されている。 捕獲を担う人材の育成・確保のための対策を求める。 ⑩ 燃油高騰対策の拡充と漁業用軽油の免税処置の恒久化を 急激な円安による燃油価格の高騰は漁業経営を圧迫し、漁業者を漁に出られない状 態まで追い込んでいる。コストに占める燃油費の比率が極めて高い漁業(トラック 運送事業は4%、タクシー事業は7%に対して漁業は27%を占めている)にとっ て、燃油価格の高騰は漁業の存続にかかわる問題となっている。 現在、漁業用軽油取引税の免税措置がとられているものの、期限が2015年3 月末までとなっている。この措置がなくされれば、沿岸等漁業は壊滅的な状況にな ると危惧されている。漁業者が安心して操業できるよう免税措置の恒久化を国に求 めるとともに、県としても漁業操業の効率化や漁業経営の改善につながる施策を推 進することを求める。 ⑪ ヤマビル対策を強化すること。 ⑫ 生産緑地の買い取りについての財政支援を実施すること。 6 防災に強い県土づくり、安心して暮らせるまちづくり (1)大規模地震・津波対策について ① 被害想定を見直すこと。 東日本大震災の悲痛な教訓を生かすために、防災計画等の見直しにあたっては、地 震・津波想定の最新の知見を反映して、最大・最悪の被害想定を早急に行うこと。2013 年度から開始された地震被害想定調査事業の結果の公表および県地域防災計画の反 映を、前倒しで行うこと。 被害想定全体を見直すにあたっては、液状化被害・盛り土地盤や急傾斜地の崩壊な どの不安定地盤の被害、木造密集市街地での被害、臨海部埋め立て地(コンビナート 地区)での被害など総合し、各地震ごとに正確な被害想定を行うこと。 ② 大規模地震・津波に対する公的な予防(未然防止)対策の抜本的に強化すること。 2012 年 12 月に修正された県の「地域防災計画」、ならびに県「地震災害対策推 進条例」では、 「『自助』 ・ 『共助』による取組の強化」が強調されている一方で、土 地や建物の耐震・耐浪といった予防(未然防止)の公的な対策は強化されていない。 とりわけ、民有地・民有施設に対する予防対策には「個人資産にかかわること」だ として極めて消極的な姿勢となっている。 ア 木造住宅耐震化では、2015 年に 90%完了とする現行の耐震改修促進計画を改め、 12 全ての住宅の耐震改修が早急に完了するよう、目標年度を定めた実効性のある計画 を実施すること。 イ 密集市街地対策を急ぐこと 面積で全国3位(国土交通省調べ、2012 年)の密集市街地の対策では、住生活 基本計画(全国計画)で 2020 年までの問題の解消が目標とされているものの、2003 年以降の減少幅が小さい(2003 年/2012 年対比で 59ha 減、7.9%減、ただし抽出基 準は一部異なる)。 住民の移転の強行や、地区内住民の安全を考慮しない姿勢での延焼遮断帯の道路 建設優先を見直し、延焼防止と地区内住民の人命・財産保護とを両立する立場で、 地区内(建物含む)の不燃化・耐震化や狭隘道路の整備等を、目標年度を明らかに してすすめること。 また、横須賀などの対象外地域については、国の密集市街地の規定のみにとらわ れることなく、安全性の調査と対策をすすめること。 ウ 長周期地震動対策として高層建築物への対策を充実すること 高層建築物を長周期地震動にも対応させるよう、耐震診断、耐震補強を推進し、 国や自治体による必要な補助を行うこと。 ③ 津波対策 県の津波想定では、相模湾沿岸での波高が 10m を超えるとされており、この巨大 な津波発生時に、確実に避難できるための警戒体制、警報等の伝達体制、安全な避 難場所の確保が最優先の課題となっている。 同時に、会計検査院の調査によれば、全国で地震・津波対策が未確認である堤防 が河川で約4割、海岸で約6割に上り、水門・防潮施設の約3分の1で閉門が津波 到達に間に合わないことが明らかになった。津波の威力を減らすためにも、各施設 での耐浪性を総点検するとともに、海岸保全施設での津波対策の強化が急務である。 ア 津波発生の迅速な察知と伝達の体制を早急に整えること。相模湾、東京湾での GPS 波浪計の設置や水圧式津波計との連動などを国にもとめ、津波の発生を迅速に 察知する体制を整えること。 イ 津波避難場所の確保を早急に進めること。県では避難タワーの設置補助をモデ ル事業実施にとどめるなど、安全な避難場所と確保のための対策が不十分となてい る。避難の必要な全ての地域で、県の積極的関与で、安全な避難場所を確保するこ と。 ウ 海岸保全施設の耐浪性、水門・防潮施設での津波対策を可能な限り強化するこ と。海岸保全施設、河川保全の堤防での耐浪対策、津波到達時間を念頭においた水 門・防潮施設の運用強化を行うこと。 エ 県の施設である防潮堤(相模湾)は津波を押しとどめられないのは明らか。 町民 2000 世帯以上が危険にさらされる。早急に対策をとること。 (2) 臨海部コンビナート地域での防災対策を抜本的に強化すること 危険物が大量に存在する県下のコンビナート地区(京浜・根岸・久里浜の各特別防 13 災地区)では、ひとたび災害が発生すれば危険物の複合的な災害が連鎖的に発生し、 同時多発的な大災害となる危険性がある。 ① 2013 年度から検討・実施されている「石油コンビナート防災アセスメント調査 に係る調査」を早期に公表し、被害予測を「神奈川県石油コンビナート等防災計画」 へ反映すること。 ② 危険物施設・タンク等での被害の未然防止対策を抜本的に強化するために、危険 物別の所管官庁のタテ割り規制を改めながら、耐震・耐浪対策を各事業者に早急に 実施させること。 臨海部埋め立て地の液状化や護岸の耐震化などでは、工法・費用の具体的な検討 を行い、臨海部全域での対策に着手すること。 ③ 最悪の災害を想定して、自治体・事業者・住民の連携でコンビナート地区で働く 労働者と近隣住民の確実な避難と消防の対策をはかること。 ④ コンビナート災害時に避難・消防・救命にあたる指揮体制と官民共同の消防体制 を確立し、日常的な人材交流も含む防災訓練等を実施すること。 ⑤ 近隣市街地への被害の拡大を防ぎコンビナート就労者の避難を容易にする防災 遮断策を公的責任で検討、実施すること。 (3)急傾斜地対策など不安定地盤の対策の強化 不安定地盤対策では、関東大震災時に、神奈川県では急傾斜地の崩壊による被害が 甚大であったことをふまえ、県下約7千ヶ所の急傾斜地箇所の被害想定と整備対策、 盛り土および液状化危険箇所の全面公開と被害想定をおこない、それに基づく対策を 推進すること。 ① 急傾斜地崩壊防止対策については、 「かながわグランドデザイン」で 2014 年まで の重点整備地域を定めているが、その対象を危険箇所ランクⅠ(人家5戸以上・県 内で 2,511 ヵ所)かつ川崎市・横浜市・横須賀市・鎌倉市に限定している。補修対 象となる危険箇所ランクと地域(全県)を拡大し、目標年度を明らかにして取り組 むこと。 ② 京急沿線脇の崖崩れ対策については京急や県、国土交通省にも万全の措置をとる よう強く要請する。今年も、10月16日、崖の崩落による土砂まじりの樹木が線 路に流出した。昨年の9月の追浜―田浦間での脱線事故後、どのような改善策が取 られてきたのか。また、今回の箇所は、「急傾斜地崩壊危険区域」外だった。点検 の判断基準の見直しも含め、再検討すること。 ③ 以下の土地・建物への耐震対策では、いずれも意識啓発等にとどまり、補助金を 含む公的責任による対策ははかられていない。民有地・民有施設への新たな公的耐 震対策の法制度化を国に求めていくと同時に、その立法化以前にも県や市町村とし て独自の施策を検討すること。 ア (宅地)盛土地盤対策では、民有地での土壌改良支援等の対策を新設すること。 イ 液状化対策では、液状化危険地域の実態の把握と公表をすすめ、液状化対策工 事への公的な補助を実施すること。液状化対策推進事業などに、民有地への補助も 14 検討すること。 (4)県内の東日本大震災被災者への対策 ① 県外避難者に災害救助法にもとづく救援物資を届けること。 ② 避難者用の住宅の更新手続きを、県庁でなくても県の出先機関でおこなえるよう にすること。 (5)河川改修 ① 帷子川、境川、柏尾川など県施行の河川改修事業を前倒しで執行すること。 ② 横浜市旭区の川井地域の帷子川周辺は、大雨時の床上浸水被害が常態化している。 帷子川上流の改修を早急に行うなど、抜本的な対策を講ずること。 ③ 相模川川底の浚渫を、相模原市域についても早急におこなうこと。 ④ 二級河川境川について、県が進めている河川改修が「当面、時間降雨 30 ㎜対応」 となっており、相模原市下水道整備計画(雨水管・計画降雨を時間 51 ㎜)とのバ ランスを欠き、放流規制がされているため、浸水被害の解消の障害となっているこ とから、県管理部全線にわたる改修整備を 51 ㎜対応で早期におこなうこと。 (6)ダムの安全対策 ① ダムの安全対策について、地震などの大規模災害時における対策(平時の情報共 有の強化、緊急時の住民への周知徹底、住民の避難対策等)を充実強化すること。 ② 三保ダムの耐震性や崩壊の危険性が無いのか安心安全のために科学的検証を行 って公表すること。 ③ 津久井湖周辺斜面地は私有林が多いが、企業庁が私有地部分も含め湖面の斜面地 全体を津久井湖の影響範囲とし積極的な維持管理を行い崩落対策を講じること。 (7)県内交通対策 ① 2012 年度に創設された「神奈川県地域公共交通確保維持費補助制度」(バス路 線維持のための補助制度)の補助基準において、合併市町村に関する取り扱い(2003 年3月 31 日時点で複数市町村にまたがるもの。ただし 2003 年 4 月1日以降に市町 村合併により単一市町村を運行する路線となり、新たに補助金を受けようとするも のは除外)が国の補助基準(2001 年3月 31 日時点で複数市町村にまたがるもの) より厳しくなっており、緩和すること。 ② 「かなちゃん手形」(神奈川中央交通の交通パス)購入に補助すること。 ③ 相模線の複線化の早期実現を促進すること。 ④ 信号機整備 ア 信号機等交通設備予算を増額し設置要望等に早期に対応すること。 イ 都心部の交差点での手押し信号装置設定など交通弱者向けの対策を急ぐこと。 ⑤ 踏切の改善 踏切事故はピーク時よりも減少しているものの、神奈川県内でも横浜市内の生見 尾踏切や川和踏切などで痛ましい死亡事故が発生している。しかしながら、踏切事 故は運輸安全委員会の調査対象として厳しい要件(例えば、乗客・乗務員の死亡、 死傷者 5 名以上など)があり、ほとんど調査の対象とされていないのが実情であ 15 る。 ア 運輸安全委員会の体制を強化し、踏切事故の調査を拡大・強化するよう県とし ても国土交通省に働きかけること。 イ 横浜市鶴見区の生見尾踏切の抜本的改善をJR東日本および横浜市に働きか けること。 ウ 横浜市旭区の鶴ヶ峰2号踏切(相鉄線と水道道との交差部分)の開かずの状態 を早期に解消することを相模鉄道や横浜市にたいして働きかけること。 ⑥道路改善 ア 厚木街道と水道道交差点(鶴ヶ峰駅入口)は渋滞が常態化している。水道道側 に右折レーンを設ける等、渋滞の解消を図ること。 イ ウ 国道 134 号線(大磯地域)の片側 2 車線化を早く進めること。 国道 138 号線の富士箱根ステーション付近にカーブミラーを設置すること。 (県道から国道に出るのに危険なため)国道、県道の除雪は歩道も行い、歩道上 に除雪した雪をのせないこと。 エ 県道湯本箱根線の三枚橋から湯本小学校なで、部分的にも歩道を早急に設置す ること。 オ 県道大涌谷・小涌谷線の強羅 1320 番地、横浜銀行保養所付近の側溝に蓋をす ること。 カ 国道 138 号線、仙石原 1117 番地から乙女口バス停付近まで側溝を設置するこ と。 キ 県道 731 号(矢倉沢仙石原) 〔南足柄市と箱根町を連絡する道路〕の道路改良 事業の中止をすること。 道路ネットワークの充実により、災害時の代替ルートとなるだけでなく、両地 域の広域連携が促進され、観光振興を始めとする地域活性化にも役立ち、箱根地 域の渋滞緩和を図る重要な道路ということだが、この地域は地盤がやわらく、大 雨が降るとすぐ崩壊などが起きるところであります。国立公園など、自然環境豊 かな地域を通過するため、極力地形の改変をせず、既存の林道を活用して、整備 を図るといっているが、災害時の代替ルートどころか、真っ先に災害を受ける道 路になると思われる。よって、この事業は中止すべきです。 ク 三浦半島地域の国道16号線のトンネルの安全対策を早急にすすめること。 (8) 県営など公共住宅改善 ① 応募が 5 倍(一般)以上と高く入りたくても入れない県営住宅を増やすこと。 ② 地域のコミュニティの中核の役割を果たす県営住宅の改善は居住者、地域関係者 との合意を広げて実施すること。 ③ 県営住宅のバリアフリー化を急ぐこと。県営住宅の玄関の呼び鈴などは入居者の 自己負担でなく県の負担で設置すること。 ④ 借上げ住宅について ア 県借上公共賃貸住宅補助金は満期を理由に削減せず、契約を更新すること。 16 イ 市町村に対しても実態調査を行い、住民の生活安定確保に努めるよう助言する こと。 (9)水道事業の改善 ①県企業庁として水道事業の広域化を志向するのをやめ、神奈川県内広域水道企業団 をダウンサイジングすることに、県がイニシアチブを発揮すること。 ② 神奈川県企業庁箱根水道営業所の民間包括業務委託は中止すること。住民に対し て説明会を開催すること。 ③ 県営水道料金の減免措置を継続すること。 ④ 防災の観点から、県内全ての水道事業者の配管など水道施設の調査・点検を行い、 改修を行うこと。 (10)跡地利用について ① 旧花月園競輪場関係県有地の事業主体のURへの売却にあたっては、防災公園と いう使用目的の公共性を踏まえた価格とすること。 ② 県立新磯高校跡地を防災公園として整備すること。砂ぼこり対策を講じること。 ③ 相模原市南区麻溝の旧フィッシングパーク及び水産施設を相模原市に無償譲渡 すること。 (11)大型開発について ① 東京湾口横断道路計画については、キッパリと廃止すること。 ② 首都圏第三空港建設計画を中止すること。 ③ リニア、県期成同盟会が試算しパンフレットに記載した経済波及効果は、相模原 新駅への停車を1時間に5本と条件設定するなど、過大に誇張して県民の判断を誤 らせるものであり、撤回すること。採算の見通し、火災等の際の救出問題など安全 性、新横浜駅の「のぞみ」発車本数の大幅減など、多くの問題があり、推進方針を 見直し、リニア計画の是非について、県民ぐるみの議論をおこすこと。 ④ ツインシティー計画については、東海道新幹線「相模新駅」の誘致とも関連する とともに、関係自治体、住民の合意もされていない段階で、強引な開発事業を推進 しないこと。 (12)警察関係 ① さがみ野駅北側に交番を設置すること。 ② 相模原南警察署の管轄業務のうち、市民利用の多い運転免許証更新手続きについ ては、窓口業務を高相合同庁舎で実施するとともに、即日交付サービスの実施 が可能になるようにすること。 7 原発ゼロをめざし、再生可能エネルギーの普及促進 (1)福島原発事故は、人間社会と原子力発電所の共存はありえないことを示した。原発 全面停止の下でも、国民生活は維持でき経済活動も継続できることを我々は経験して いる。原発からの即時撤退を国に求めること。 (2)放射能測定について 17 大気、飲料水、海水、湖水、土壌等の放射能測定を県内全域で実施し、公表するこ と。 (3)再生エネルギーの普及について 県として小水力、バイオマス、太陽光、風力等の再生可能エネルギーを積極的に導 入を促進すること。そのための小規模業者、NPO などへの支援を行うこと。 (4)核燃料工場GNF-Jについては、核燃料生産から自然エネルギー生産への転換を 働きかけること。事故については、会社からの報告など迅速に公表すること。 (5)現在、店頭回収で実施されているデポジット制度を容器包装廃棄物にも適用し、全 国規模で実施するよう、国に要求すること。 8 文化・スポーツなど県民利用施設の拡充 (1)県立図書館、川崎図書館の充実を ① 県立図書館の施設、設備を改善し県民が閲覧・貸出し、研究をはじめ充実した知 的サービスを受けられるようにすること。 ② 県立川崎図書館は、県民・研究者に開かれた施設として充実させること。 ③ 川崎図書館の KSP への移転など、一部企業のための資料センターへの特化は川崎 市民の要求ではない。抜本的に見直すこと。 (2)神奈川女性センターの見直しについて ① 老朽化を理由とした、藤沢合同庁舎2階部分への移転は、県民的な合意とはいえ ない。拙速な移転は、女性センターの果たしてきた役割を後退させかねない。県民、 女性行政関係者、研究者などの参加による再検討を行うこと。 ② 女性関係の貴重な資料については県民、研究者が活用できる条件を維持すること。 (3)体育センターなど ① 体育センターなど県立スポーツ施設運営への指定管理者導入はやめること。 ② すでに指定管理となったスポーツ施設について、「指定管理者」の変更のたびコ スト削減第一とならぬよう、県として施設の安全管理、指導スタッフなど必要経費 費を算定した「選定基礎資料」を作成すること。 9 米軍基地撤去、憲法を生かす県政 (1)原子力艦船の防災対策 ① 昨年 1 年間での米海軍横須賀基地への米原子力艦船の寄港日数はのべ 298 日にも 及び、横須賀港には米原子力空母をはじめ原子力艦船の寄港が常態化している。神 奈川県も米原子力艦の事故による原子力災害対策の強化・充実を要望されていると ころであるが、原子力艦による原子力災害が発生した場合には、首都圏 3500 万人 の生存を脅かす重大な事態になる。福島の原発事故を引起した温床が「安全神話」 にあったことを踏まえ、最悪の事態を想定した備えを行うべきである。 ところが、政府の原子力災害対策指針と原子力艦災害対策マニュアルとの間には 齟齬がある。原子力規制委員会の策定した原子力災害対策指針では原発と市街地の 18 境で毎時5μSv を計測した場合に原発から半径 5 キロ圏内で避難と定め、原子力 艦は対象外となっている。他方、内閣府の原子力艦災害対策マニュアルでは、基地 と敷地境界で毎時 100μSv を感知した際に、半径3km は屋内退避としており、両 者の間には食い違いがある。 原子力艦の原子力災害対策マニュアルを国内の原子力発電所の防災対策と同等 以上のものとするように、神奈川県として原子力艦災害対策の見直しを所管省庁に 強く働きかけること。 ② 相模湾の原潜行動(訓練)区域の解消を国に要求すること。 (2)基地の整理・縮小・早期返還 2004 年 10 月に返還が合意された横浜市内の6施設・区域のうち、返還が実現され たのは富岡倉庫地区と小柴貯油施設のみである。事実上遊休地となっている上瀬谷通 信施設と深谷通信所、および池子住宅地区の飛び地については、返還合意から 9 年も 経過しているにもかかわらず、未だに返還が実現していない。施設・区域の提供の根 拠である日米地位協定では、「合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目 的のため必要でなくなったときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。合 衆国は、施設及び区域の必要性を前記の返還を目的としてたえず検討することに同意 する」と明記されている。米軍基地の整理・縮小・早期返還は県市連絡協議会も毎年、 国へ要望しているところであるが、具体的な進展はみられない。 ① 何が返還についての障害になっているのかを県として国に問い質し、早期返還の 実現を図られたい。 ② また、2004 年 10 月の合意内容および地位協定の趣旨からすれば、遊休地化した 基地の返還は池子の住宅建設問題とは無関係のはずである。その点も踏まえて、早 期返還の実現を図られたい。 ③ また、水上飛行機の滑走水域のために設けられた横須賀海軍施設水域 FAC3099 (漁業制限水域)は、現在横須賀基地に水上飛行機が配備されていないので必要は ないものと考えられる。何のために必要なのか米側に明らかにするよう国に働きか け、制限水域の解消を求められたい。 (3)オスプレイの配備・爆音被害の解消について 2012 年の神奈川県と基地周辺 9 市への爆音に対する苦情件数は過去最高の 7022 件,防衛省や南関東防衛局など国の機関に対する抗議件数は 4117 件、合計 1 万 1139 件となった。昨年 5 月に強行された FCLP を視察した黒岩知事は、 「身の毛のよだつ ほどの恐怖感をおぼえる」と憤りをあらわにしたほどである。また、今年 1 月から 8 月までの神奈川県と基地周辺 9 市に対する苦情件数は 6007 件、1 月から 6 月まで の防衛省など国の機関に対する抗議件数は 1429 件となっている。耐えがたい爆音 被害に対する基地周辺住民の怒りがかつてなく大きくなっている中で、米軍と防衛 省は、オスプレイの本土訓練において厚木基地飛来・使用・拠点化を行おうとして いる。こうした状況を踏まえて次のことを要望する。 ① 米側の環境レビューではオスプレイ分遣隊をキャンプ富士に派遣するとしてい 19 るが、その場合、給油や整備をどこで行うのか、厚木基地を使用することはあるの か、県として国に質していただきたい。 ② オートローテーション機能を持たない MV22 オスプレイは、日本の航空法では飛 行が許されない欠陥機である。厚木基地周辺は 240 万人が生活する人口密集地域で ある。県として国にオスプレイの厚木基地使用に反対の意思を表明されたい。 ③ 厚木基地の爆音問題の解決に向けては県市連絡協議会でも毎年、国への要望を行 っているが、あわせて、今後いかなる事情においても厚木基地を使用しての NLP(夜 間離着陸訓練)、FCLP(地上離着陸訓練)を実施しないこと。 また、FCLP 終了後に実施される CQ(着艦資格取得訓練)に関わる深夜・未明の爆音 を避けるために、CQ を終了した空母艦載機は深夜・未明に厚木基地に帰還しないこ とを国に強く求められたい。 (4)横須賀フレンドシップデイにおける銃器体験と武闘訓練の公開問題について 8 月 3 日、米海軍横須賀基地で開催されたフレンドシップデイにおいて子どもを含む 一般見学者に、米軍兵士らが銃器をもたせたり、首を絞める武闘訓練を公然と行ってい たことが判明した。 この問題はマスコミでも取り上げられ、横須賀市に対して基地司令官が釈明した。今 回の銃器体験や武闘訓練の公開は、子どもたちに銃器の体験をさせたり、人を殺害する 武闘訓練をみせること自体が、訓練や教育を通じて教化されやすい子どもの特性から見 て、教育上看過できない問題である。毎年恒例の米軍基地の一般開放行事とはいえ、横 須賀市民、神奈川県民は基地あるが故の米兵犯罪や空母艦載機による爆音被害をうけ、 原子力艦船の寄港が常態化しているもとでの原子力艦船の原子力災害の危険にもさら されている。フレンドシップデイの趣旨にも反する今回の銃器体験や公開武闘訓練が二 度と繰り返されることの無いように、神奈川県としても国や米軍に強く要求すること。 (5)米兵犯罪・米軍事故 ① 沖縄県に次ぐ第2の基地県である神奈川県は、常態化している厚木基地周辺の爆音 被害とともに、米兵による凶悪な犯罪および米軍機に関わる事故、落下物の事故も後 を絶たない。基地あるが故の米軍犯罪であり、基地の存在は県民の生活と共存できな いところまできている。2013 年 10 月に、在日米軍の軍人・軍属の犯罪に関する日米 地位協定の運用見直しに日米両政府は合意したが、運用の見直しでは到底米兵犯罪や 米軍事故について対処することはできない。基地関係県市連絡協議会が国に要望して いるように、日米地位協定の抜本的見直しを国に強く要求されたい。 ② 県内で発生した米兵犯罪や米軍事故について、米側から関係自治体へのすみやかな 情報提供を行うよう国に働きかけられたい。 ③ 米兵犯罪や米軍事故について、その都度県として抗議の意思を米側に表明し、再発 防止への具体的対策を要求されたい。 10 県民本位の行財政運営 (1)国への要望について 20 ① 地方交付税 ア 国による地方財源の抑制・削減の方針化に反対し、地方交付税の復元・増額を はかるとともに、地方交付税は地方固有の財源であり、国の恣意的な考えにもと づく減額を二度と行わないよう国に申し入れること。 イ 地域手当の支給率を引き上げるよう国に要望すること。 (2)県補助金について ア 神奈川県医師会、神奈川県内郡市歯科医師会に対する救急医療体制補助金や休 日診療所運営費補助金などについて、2014 年度以降も継続すること。 イ 神奈川県緊急経済対策で県単独補助金・負担金が見直されようとしているが、 市町村の負担増につながる見直しは中止すること。 ウ 県単独補助金の交付金化は、額の削減や事業の統合など市町村事業への影響が 大きいため現在の施策を維持すること。 エ 市町村地震防災緊急推進事業の補助対象事業を拡大し、補助額を引き上げる こと。 オ 県の民間福祉施設整備費や民間社会福祉施設運営費補助金、保育所運営費等の 県単独補助金の廃止・削減は行わないこと。 カ 木造住宅耐震事業の補助額を引き上げること。 キ 市町村の地震防災力の強化・充実のための県補助金の増額を図ること。 ク コミュニティセンターや地域集会所の建設、施設管理のための補助金を引き上 げること。 (3)県出先機関、施設の再編について ア 県保健福祉事務所の支所化を中止すること。 2014 年 4 月に予定されている県保健福祉事務所(大和、秦野、足柄上、三崎) の支所化を中止して、専門職員の配置をはじめ業務の質の維持と住民の利便性を 確保すること。 イ 県有施設の見直しは、県民の要求で作り上げた施設そのものの後退であり、 「コ スト」中心の見直しは撤回すること。特に、「見える化」資料による「維持改修 費の増大」で県民の不安をあおる見直しの進め方は止めること。 (4)県政の重点施策について ア 県政の重点をグローバル企業育成に特化し、特区のセンターに県の財政を 16 億円つぎ込み、環境アセスメントの緩和、工場用地化促進に条例を改正するなど が行われている。県のあらゆる権限を使った「企業が最も活動しやすい地域づく り」を進める県政運営を改め、住民福祉の向上を図る地方自治体本来の役割を中 心に据えること。 21
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