近江八幡市立総合医療センター 薬剤部 2015.4.15 目次 1.添付文書改訂情報 P.1~ 2.院内からの医薬品に関するインシデント報告(3 月) P.2 3.新規採用医薬品情報 P.3~ 4.今月のトピックス P.5~ 1.添付文書改訂情報 効能効果、用法用量等の変更 ※以下の採用薬につきまして、効能・効果、用法・用量の変更等の重要な改訂がありましたので、 臨時報告いたします。 一般名(主な薬品名) 変更箇所 改訂内容 オキサリプラチン(エルプラット注) 効能・効果 「治療切除不能な進行・再発の胃癌」に適応追加 難治性または重症感染症に用いる場合の用量 ピペラシリンNa(ペントシリン注) ドキサプラム(ドプラム注) 用法・用量 効能・効果 の上限を成人には「1 回 4g(力価)を1日4回ま で」、小児には 1 日 300mg(力価)/kg まで」に変更 「未熟時無呼吸発作(ただし、キサンチン製剤に よる治療で十分な効果が得られない場合に限 る)」に適応追加 医薬品・医療機器等安全性情報 321 号 ※以下の医薬品につきまして、各種添付文書の変更・追加がありましたので、ご報告いたしま す。 一般名(主な薬品名) 変更箇所 主な変更点・追記点 アビラテロン酢酸エステル(ザ 重要な基本 重篤な低カリウム血症についての イティガ錠) 的注意 注意喚起 ラモトリギン(ラミクタール錠) 警告 皮膚障害発現についての注意喚起 (2月4日ブルーレター発行済み) -1- 掲載ページ p.22 p.24 アピキサバン(エリキュース錠) メマンチン塩酸塩(メマリー錠) 重大な副作 間質性肺炎を追加 p.25 重大な副作 肝機能障害を追加 用 p.27 用 詳細および安全性情報バックナンバーにつきましては、院内薬剤部掲示板「医薬品安全性情報」 または医薬品医療機器情報提供 HP(http://www.info.pmda.go.jp/)をご参照ください。 2.ファモチジン注に関する薬剤部からのお願い ガスター注射液 20mg が後発品のファモチジン注射用 20mg に採用変更となり、液体製剤から粉 末製剤となったことから、静注投与時の溶解液使用にご協力いただきありがとうございます。 輸液混合時には輸液剤にて溶解可能のためこれまで通りとしていましたが、実際の使用例にお いて混注時に溶解不可となる例が見られています。 例1)生食 100ml+ファモチジン注射用 20mg+水溶性プレドニン注 20mg →生食にてプレドニンを溶解 →溶解液を生食 100ml に希釈し、希釈液にてファモチジンを溶解 →固形物が残り、溶解しない 例2)生食 100ml+ファモチジン注射用 20mg+注射用ソル・メルコート →添付溶解液にてソル・メルコートを溶解 →溶解液を生食 100ml に希釈し、希釈液にてファモチジンを溶解 →固形物が残り、溶解しない 逆に初めに生食でファモチジンを溶解・希釈→他剤を溶解ならば問題なし ステロイド剤以外の薬剤では現在のところ問題は確認されていませんが、薬剤部の対応として 処方箋および注射ラベルに「最初にファモチジンを溶解」のコメントを記載させていただいていま す。 先生方には可能でしたら、ファモチジン注射用をステロイド剤とは別処方としてオーダー頂けます よう、御協力をお願いします。その際には生食等の溶解液も同時処方いただけますようよろしく お願いします。 -2- 3.院内からの医薬品に関するインシデント報告(3 月) 分類 注射薬・内服薬 与薬忘れ 件数 5件 ・朝分内服薬与薬忘れ(3件) ・冷中のシロップ剤投与忘れ ・食前インスリン投与忘れ 調剤間違い ・メディセーフチップ・針のところを、グルテストネオセンサー・針を調剤 4件 ・内服薬計数間違い ・生食 50ml のところ、生食 100ml(2件) ・1剤調剤忘れ 医師指示の確 ・内服薬開始日の確認・医師からの伝達不足 認、伝達不足 ・口頭指示による抗生剤中止指示の、引き継ぎ時確認不足 注射投与量間 違い(流量・溶 解量の間違い) ・輸液ポンプでの投与設定ミスにて輸液速度間違い(2件) 患者間違い ・ソルデム1処方の患者に、他患者のソルデム3Aを投与 2件 2件 2件 ・同室患者のフロセミド静注を別患者に投与 本人管理内服 薬服用間違い ・本人管理の内服薬服用忘れ 1件 薬剤間違い ・本人用輸液の別の開始時間のものを投与(3件) 1件 オーダー間違 ・オーダー時の薬剤選択間違いにより、3%NACl 2ml のところアスプール吸 2件 い 入 2ml を5日間吸入していた ・ステロイドパルスオーダー時、500mg 投与のところ 1000mg でオーダー。看 護師・薬剤師も間違いに気付けず1回分投与される。 その他 ・退院時処方のお薬説明書記載間違い 3件 ・シリンジポンプ投与の点滴更新遅れによる点滴切れ ・点滴ポートからの投与時の接続ミス ・内服薬の与薬忘れが、今月は増加傾向のようです。 ・確認・伝達不足による間違いはなかなか減らないようです。医師からの指示、引き継ぎ時の伝 達についてルールの徹底が重要と思われます。 ・今回はインスリン投与方法に関する間違いは報告ありませんでした。 -3- 4.新規採用医薬品情報 3 月開催の薬事委員会にて、以下の通り、新規採用薬・削除薬品が決定されましたので再度ご 報告いたします。 -4- 薬剤部 医薬品情報課 安部 美樹子 アルコールとの付き合い方 4 月に入り、3 月の送別会やお花見が一段落してきました頃でしょうか。しかし、まだ まだ歓迎会や新しい環境、新しい仲間との親睦会などで飲酒をする機会がたくさんあ ると思います。そこで今月のトピックスはアルコールです。楽しく時間を過ごすためにも アルコールの危険も知ったうえで自分をコントロールすることはとても大切です。 ■アルコールの吸収 体内に摂取されたアルコールは、胃および小腸上部で吸収されます。アルコールは他の食 品と異なり、消化を受けることなく吸収されます。通常では飲んだ量の 20%程度は胃から、残り は小腸上部から吸収されます。吸収は全般的に速く、消化管内のアルコールは飲酒後 1~2 時間でほぼ吸収されます。飲酒後血中濃度のピークは 30 分~2 時間後に現れ、その後濃度 はほぼ直線的に下がります。 また、アルコールの吸収は様々な要因に影響されます。 手術等で胃が切除されている場合には、飲んだアルコールはいきなり小腸に入ります。小腸での吸収は速いた め、血中濃度が急激に上がり、悪酔いの原因になることがあります。 同様に空腹時に飲酒をすると、アルコールが胃を素通りして小腸に流れ込むので、アルコールの吸収が速くなり ます。空腹時に濃い酒を飲むと、アルコールの吸収が加速されて、血中濃度の上昇がさらに速くなるといわれて います。 ■アルコールの分解 吸収とともに分解も速やかに開始されます。アルコール分解の最初のステップは主に肝臓で行なわれ、その 後は筋肉が主体となります。アルコールの消失(分解)速度は個人差が非常に大きいことが知られていますが、 -5- その平均値は男性でおよそ 1 時間に 9g、女性で 6.5g 程度です。アルコールの吸収や分解には多くの要因が関 係しています。 引用:e-ヘルスネット 一部非酸化による経路もありますが、体内に取り入れられたアルコールの大部分は酸化により分解されます。こ の酸化過程の最初の 2 ステップは主に肝臓で行なわれます。図のように、まずアルコールは主にアルコール脱 水素酵素(ADH)で、有毒なアセトアルデヒドに酸化されます。一部はミクロソームエタノール酸化系やカタラーゼ で酸化が行なわれます。アセトアルデヒドは主に 2 型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)で酢酸に酸化されます。1 型アルデヒド脱水素酵素(ALDH1)も補助的ながら酸化に関わっています。 ■酔いについて 日本人の約半数は少量の飲酒後に顔面紅潮・動悸・頭痛などの反応を起こします。これら の反応はフラッシング反応と呼ばれており、アセトアルデヒドが原因で起こります。日本人は アルコール脱水素酵素にあまり個人差がはありません。しかし、2 型アルデヒド脱水素酵素は 遺伝で決まっている 3 つのタイプが存在します。普通に働くタイプ(活性型)、活性型に比べて アセトアルデヒドの分解が非常に遅いタイプ(低活性型)、および全く働かないタイプ(非活性 型)です。後二者のタイプ(働きの弱いタイプ)の人が飲酒すると、血液中のアセトアルデヒド濃度が上がり、フラ ッシング反応を引き起こすのです。日本人は2型アルデヒド脱水素酵素が低活性型、非活性型が多くいわゆる お酒に弱い人が欧米に比べ多いことがわかっています。ちなみに、海外では定額でのアルコールの飲み放題と いうシステムは珍しいようです。 ■悪酔いしないために 食事やつまみと一緒にゆっくり飲酒すると、アルコールが胃に留まる時間が延びます。そのために吸収が遅く なり、血中濃度も低く抑えられます。飲酒時は、このような飲み方が推奨されます。さらに、お水を一緒に飲むこ ともとても大切です。お水を飲むことでも血中濃度を抑えることができます。 休肝日を作ることも大切です。アルコールの取りすぎ、急激な摂取は危険が伴います。アルコールと節度を持 って付き合うことでさらに楽しみが深まるのではないでしょうか。 最後に、お薬を飲むときはアルコールは飲まないでください。予期せぬ副作用が起こることがないようにアルコ ールとお薬を一緒に飲むのは避けましょう!! 参考文献 e-ヘルスネット(厚生労働省) https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-02-002.html 薬剤部 医薬品情報課 小西 実可子 -6-
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