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S-QUE 院内研修 1000’ 2015 年度 E ナース
第 3 回 医療安全(シリーズ) チームで取り組む医療安全対策シリーズ ドレーン管理をめぐるインシデントアクシデント
清水 孝宏 氏(那覇市立病院 集中ケア認定看護師)
(演習問題 全 10 問)
Q1.体内に貯留した血液や分泌物、空気などをドレナージし、全身状態を回復させることを目的としたドレナージはどれか。
1.治療的ドレナージ
2.予防的ドレナージ
3.インフォメーションドレナージ
Q2.ドレーンには閉鎖式ドレーン、半閉鎖式ドレーン、開放式ドレーンの三つの方法がある。このうち陰圧を発生させるドレナージバックやサイフォンの
原理を用い排液をドレナージするのはどれか。
1.閉鎖式ドレーン
2.半閉鎖式ドレーン
3.開放式ドレーン
Q3.通常、胸腔及び腹腔ドレーンからの出血が術後どれくらいを超えた時に異常と考え医師へ報告すべきか、以下の選択肢から選びなさい。
1.10ml/時間
2.50ml/時間
3.100ml/時間
Q4.胸腔ドレーンは気胸に対する排気(脱気)目的と胸水などを排液する目的とに分けられます。このうち排気(脱気)目的にドレーンを留置す
る部位のうち正しい部位を選択しなさい。
1.第 2 肋間
2.第 4 肋間
3.第 6 肋間
Q5.胸腔ドレーンが正しく胸腔内に留置されていることを観察する方法として、最も信頼性のある観察項目はどれか。
1.ドレーン内の排液の変動
2.水封部の呼吸性変動
3.呼吸音の聴取
Q6.心嚢液がうまくドレナージされない場合、心嚢液貯留による心臓の圧迫が起きます。Beck の三徴といわれる血圧低下、静脈圧の上昇、心音
の微弱化が認められるこのような状態を何というか。
1.緊張性気胸
2.心原性ショック
3.心タンポナーデ
Q7.長期間かつ広範囲に肺胞の虚脱が起きている状態で急激に肺胞が開くことで起こる肺水腫は何か。
1.心原性肺水腫
2.うっ血性肺水腫
3.再膨張性肺水腫
Q8.胸腔ドレーンからの排液量が急に増え、排液が濁ったり、白濁した場合に疑うのはどれか。
1.胸腔内の感染
2.乳糜胸
3.心不全
Q9.脳室・脳槽、胸腔・腹腔ドレーンなどが抜けかけたときの対処として最も危険な対処はどれか。
1.清潔なガーゼで圧迫する
2.抜けかけたドレーンを押し込む
3.抜けかけたドレーンを抜いてしまう
Q10.胸腔、腹腔、脳外科領域のドレーンのいずれにしてもドレーンは異物であり、常に感染のリスクを伴います。この感染のリスクを減らすために最も
効果的な対処法はどれか。
1.ドレーンの消毒と無菌操作
2.ドレーンの早期抜去
3.ドレーン内の洗浄
S-QUE 院内研修 1000’ 2015 年度 E ナース
第 3 回 医療安全(シリーズ) チームで取り組む医療安全対策シリーズ ドレーン管理をめぐるインシデントアクシデント
清水 孝宏 氏(那覇市立病院 集中ケア認定看護師)
(演習問題 解答・解説)
Q1.体内に貯留した血液や分泌物、空気などをドレナージし、全身状態を回復させることを目的としたドレナージはどれか。
1.治療的ドレナージ
2.予防的ドレナージ
3.インフォメーションドレナージ
解答:1
解説
既に貯留した血液や分泌物、空気などをドレナージすることにより病気を治療するのが治療的ドレナージといいます。これから貯留する可能性のある
血液や分泌物をドレーン留置することで貯留を防ぐのが予防的ドレナージです。貯留した分泌物などの情報を得るのがインフォメーションドレナージで
す。
Q2.ドレーンには閉鎖式ドレーン、半閉鎖式ドレーン、開放式ドレーンの三つの方法がある。このうち陰圧を発生させるドレナージバックやサイフォンの
原理を用い排液をドレナージするのはどれか。
1.閉鎖式ドレーン
2.半閉鎖式ドレーン
3.開放式ドレーン
解答:1
解説
SB バックやリザーバーバックなどの陰圧を発生させるバックやサイフォンの原理で排液をドレナージするのは閉鎖式ドレーンです。半閉鎖式ドレーンは
ストーマパウチなどを用いる方法で、開放式ドレーンはペンローズドレーンに直接ガーゼをあてて排液を回収する方法です。
Q3.通常、胸腔及び腹腔ドレーンからの出血が術後どれくらいを超えた時に異常と考え医師へ報告すべきか、以下の選択肢から選びなさい。
1.10ml/時間
2.50ml/時間
3.100ml/時間
解答:3
解説
術後の腹腔及び胸腔からの出血は活動性の出血がない限り 100ml/時間以下です。50ml/時間でもやや多めですが、術後の出血量としては経
過を見られる範囲内です。出血量が 100ml/時間を超えるような場合や、鮮紅色で温かい出血の場合は持続的な出血を疑いすぐに報告すべき
です。
Q4.胸腔ドレーンは気胸に対する排気(脱気)目的と胸水などを排液する目的とに分けられます。このうち排気(脱気)目的にドレーンを留置す
る部位のうち正しい部位を選択しなさい。
1.第 2 肋間
2.第 4 肋間
3.第 6 肋間
解答:1
解説
気体は軽いので高い方向へ、液体は重いので低い方向へ貯留します。気胸の場合、貯留するのは気体です。そのため気胸に対する胸腔ドレーン
の留置部位は第 2 肋間となります。一方、胸水であれば液体なので第 5~6 肋間ドレーンを留置します。
Q5.胸腔ドレーンが正しく胸腔内に留置されていることを観察する方法として、最も信頼性のある観察項目はどれか。
1.ドレーン内の排液の変動
2.水封部の呼吸性変動
3.呼吸音の聴取
解答:2
解説
胸腔内は吸気時に陰圧となり呼気時にその陰圧は解除されます。呼吸による圧の変化がドレーンユニットの水封部の呼吸性変動です。ドレーン内
の排液が移動するのは落差や圧力などです。気胸に関しては呼吸音の聴取はできない場合があります。
解答・解説 1
Q6.心嚢液がうまくドレナージされない場合、心嚢液貯留による心臓の圧迫が起きます。Beck の三徴といわれる血圧低下、静脈圧の上昇、心音
の微弱化が認められるこのような状態を何というか。
1.緊張性気胸
2.心原性ショック
3.心タンポナーデ
解答:3
解説
心嚢腔内に液体が貯留することで心臓が圧迫され心臓が広がることができない(拡張できない)状態を心タンポナーデといいます。緊張性気胸と
は患側の胸腔内圧が異常に上昇し健側への縦隔偏位、静脈還流障害による心拍出量の低下です。緊張性気胸や心タンポナーデによって心拍
出量が低下したショックを心原性ショックといいます。
Q7.長期間かつ広範囲に肺胞の虚脱が起きている状態で急激に肺胞が開くことで起こる肺水腫は何か。
1.心原性肺水腫
2.うっ血性肺水腫
3.再膨張性肺水腫
解答:3
解説
気胸や胸水などで長時間(1~2 日間以上)虚脱していた肺が急激に膨張することで起こる肺水腫を再膨張性肺水腫といいます。胸水ならば
500ml 以上を急激にドレナージすると起きる可能性があります。血管透過性肺水腫(非心原性肺水腫)に分類されます。
Q8.胸腔ドレーンからの排液量が急に増え、排液が濁ったり、白濁した場合に疑うのはどれか。
1.胸腔内の感染
2.乳糜胸
3.心不全
解答:2
解説
通常、ドレーンからの排液は黄色透明な漿液性の排液です。胸腔内で感染が起こると排液が混濁する場合があります。しかし感染の場合は排液
量の増加はあるにせよ徐々に増加する程度です。心不全では胸腔ドレーンの排液量や性状には直接影響することは考え難く、排液量の急激な増
加や白濁した排液は胸管損傷による乳糜胸が最も考えられる原因です。
Q9.脳室・脳槽、胸腔・腹腔ドレーンなどが抜けかけたときの対処として最も危険な対処はどれか。
1.清潔なガーゼで圧迫する
2.抜けかけたドレーンを押し込む
3.抜けかけたドレーンを抜いてしまう
解答:2
解説
抜けかけたドレーンを発見したら清潔なガーゼでドレーンを押し込まないようにドレーン挿入部を圧迫し、直ちに医師へ報告します。抜けかけたドレー
ンを押し込むことは非常に危険なことです。それはドレーンを押し込むことで臓器を損傷する危険があるためです。特に脳室ドレーンは脳組織の損傷
を起こし大変危険です。
Q10.胸腔、腹腔、脳外科領域のドレーンのいずれにしてもドレーンは異物であり、常に感染のリスクを伴います。この感染のリスクを減らすために最も
効果的な対処法はどれか。
1.ドレーンの消毒と無菌操作
2.ドレーンの早期抜去
3.ドレーン内の洗浄
解答:2
解説
ドレーンはからだにとって異物です。特に体外と交通している異物は感染のリスクが高く、徹底した消毒や無菌的な操作を行っても細菌は除去できま
せん。これはドレーン内部を洗浄しても同じことです。ドレーン管理における感染のリスクを減らす最も効果的な方法はドレーンの早期抜去です。
解答・解説 2