コンパス薬局横浜西 スキルアップ勉強会 2015.4.16 根井 第 95 回『サインバルタ錠』 塩野義製薬 鈴木 優美さん 参加者:川村先生、松下、小西、前田、吉岡、根井 日本における精神疾患の患者数は増え続け、今や 5 大疾病の1つとなっている。その中 でも気分障害の患者数は増加率の高さが目立ち、特にうつ病がほとんどを占める。 うつ病の診断には DSM-5 という診断基準が用いられ、抑うつ気分、興味・喜びの消失の 中核症状のうち、どちらかがあてはまればうつ病の疑いが強いとされている。 DSM-5 により軽度のうつと診断された場合は非薬物量から開始、中等度・重度と診断され た場合のファーストチョイスは SSRI・SNRI とされ、サインバルタ錠は SNRI に分類される。 【効能効果・用法用量】 1.うつ病・うつ状態 2.糖尿病性神経障害に伴う疼痛 【用法及び用量】 通常、成人には 1 日 1 回朝食後、デュロキセチンとして 40mg を経口投与する。投与は 1 日 20mg より開始し、1 週間以上の間隔を空けて 1 日用量として 20mg ずつ増量する。 なお、効果不十分な場合には、1 日 60mg まで増量することができる。 【禁忌】 1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 2. モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤を投与中あるいは投与中止後 2 週間以内の患者 3. 高度の肝障害のある患者[肝障害が悪化することがある。また、消失半減期が延長し、 本剤の血中濃度が上昇することがある。 4. 高度の腎障害のある患者[本剤の血中濃度が上昇することがある。 5. コントロール不良の閉塞隅角緑内障の患者[症状が悪化することがある。 ] 【作用機序】 セロトニンとノルアドレナリン両方の再取り込みを阻害する。 【特徴】 ・セロトニンとノルアドレナリンの両方に作用するため、うつ病の多様な症状を改善する。 ・セロトニンとノルアドレナリン量を調節することにより、下行性抑制系ニューロンを賦 活させるため、鎮痛作用もある。 ・三環系抗うつ薬と同程度の取り込み阻害作用を持ちながら、眠気などの副作用が比較的 少ない。 【副作用】 うつ病・うつ状態の患者を対象とした国内臨床試験において、安全性評価対象例 735 例中、 副作用(臨床検査値異常変動を含む)は 663 例(90.2%)に認められた。主なものは、悪 心 269 例(36.6%) ,傾眠 228 例(31.0%) ,口渇 168 例(22.9%) ,頭痛 154 例(21.0%) , 便秘 102 例(13.9%) ,下痢 87 例(11.8%) ,めまい 80 例(10.9%) ,トリグリセリド上昇 56 例(7.6%) ,腹部痛 52 例(7.1%) ,ALT(GPT)上昇 51 例(6.9%) ,不眠 50 例(6.8%) , 倦怠感 45 例(6.1%) ,AST(GOT)上昇 38 例(5.2%),食欲減退 38 例(5.2%)であった。 【考察】 古い SNRI であるトレドミンは効果がないと医師の間でも不評であった。しかし、サイン バルタは最強の抗うつ薬であると言われる三環系抗うつ薬と同程度の威力を持ち、期待で きる薬剤である。 副作用が少なくなったとはいえ、傾眠・胃腸障害が高頻度で発現する。胃腸障害に関し ては、ガスモチンやナウゼリンの併用で対応できることが多いとされている。 また、即効性はないため、効果と副作用をみながら徐々に増量していく必要があり、投 薬の際、副作用のヒアリングは必須である。 【質問事項】 Q:リリカとの違い →サインバルタは、早ければこの夏にも繊維筋痛症・慢性腰痛症の適応をとる。 リリカとは作用機序が違うため、一概に比較できないが、リリカで効かない疼痛に効果を 示す可能性があるとされている。
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