地域医療支援センター広報誌「The Expert」第66号

平成27年4月10日発行
放射線科 新部 譲
准教授(平成8年・岡山大学卒)
オリゴメタスタシス(oligometastases)と
オリゴリカランス(oligo-recurrence)
地域医療機関の先生方には、平素より大変お世話になっております。本年1月1日付で東邦大学
医療センター大森病院放射線科に着任いたしました新部と申します。この4月で医師歴20年になり
ます。長年当院においては経験豊富な放射線治療専門医は1名のみで診療を行ってまいりました
が、私が加わることにより、ようやく当院もベテラン放射線治療専門医2名体制になり、診療部長
のリーダーシップの下、一層地域の医療に貢献すべく日々頑張っております。
放射線治療は全般的に経験してまいりましたが、私の長年の経歴の中で、主に担当してきた疾患
は、肺癌、婦人科癌、乳癌、悪性リンパ腫、オリゴメタスタシス(oligometastases)とオリゴリ
カランス(oligo-recurrence)などです。
オリゴメタスタシスやオリゴリカランスはご存じない先生方もおられるかと存じますので、少し
説明させていただきます。これらは、少数個の遠隔再発/転移癌に対しても、局所治療(手術、放
射線療法、RFAなど)を追加することにより、長期生存や、なかには治癒が得られる症例がある
ことを意味する概念です。オリゴリカランスは、癌の原発巣が制御されているという条件が加わり
ますので、とくに予後が良いことが証明されています。なお、オリゴリカランスは、2006年に私が
世界で初めて提唱した概念であり、現在臨床研究におけるトピックのひとつとなっている領域です
(詳しくは、Niibe Y et al. Jpn J Clin Oncol 40:107−111, 2010をご参照下さいますと幸甚に存じま
す)
。
地域医療機関の先生方におかれましても、原発巣が制御された孤立性転移性肺癌(原発巣が肺癌
でも問題ございません)など、オリゴリカランスの患者さんがおられましたら、是非、当科までご
依頼いただきますようお願い申し上げます。適応がありましたら、最新の機器、技術を用いて、体
幹部定位放射線治療(SBRT)を行わせていただきます。その他のオリゴメタスタシスやオリゴリ
カランス、または症状緩和を目的とした転移性腫瘍の患者さんにつきましても、積極的に放射線治
療を行っておりますので、ご紹介いただけましたら幸いです。
宜しくお願い致します。
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発行元:地域医療支援センター