第69号 - 東邦大学医療センター大森病院

平成27年7月10日発行
腎センター 酒井 謙
教授(昭和61年・東邦大学卒)
新人工透析室のご紹介 ∼新7号館に移転して∼
大森病院の透析室は新7号館に2月16日に移転いたしました。その概要は、①2床増床し、18床での入院透析
患者さんへの対応を行う。②うち隔離透析室1床の整備(感染症対策)。③On line HDF(血液ろ過透析)15床
の確保。④災害時透析医療への対応。⑤透析室の患者さんモニターの電子化対策が盛り込まれています。
大森病院では、全国から集まる小児腎不全・移植医療に対応して、小児腎不全に対する血液浄化数が多いこと
も特徴です。小児にはスタッフの重点監視業務が必要で、患者監視モニターの整備も必須です。また多くの成人
入院患者さんは合併症あるがゆえの入院加療であり、高齢者も多く、これら不安定な透析状況に対応する監視セ
ンターの位置もよくデザインされています。すなわち医療安全対策に重点を置いた設計をいたしました。
On line HDFとは、多量の置換液で血液をろ過する方法で透析液を高度に清浄化して輸注し、その分多くの有
害物質の除去が行えるメリットがあります。これにより、より質の高い透析医療の提供が行えます。
さて、首都直下型地震が予測されており、品川区・大田区は東京都で一番の震災被害が想定されています。私
は区南部の災害透析医療の責任者をしておりますゆえ、いわゆる災害弱者である透析患者をどう守るか、被災者
診療を担う災害拠点病院として自己完結できる災害に強い透析室が必要です。血液透析には絶対欠かせない水、
電気の優先供給も今回の設計に組まれております。
最後に、最近の話題をひとつ。血液透析の命綱ともいうべき内シャントの修復は当腎センター外科の移植と並
ぶ大きな仕事です。二瓶医師を中心にその任に当たります。内科・小児科・外科で構成される腎センターの中心
的な仕事は血液透析であり、近隣の透析施設のご協力を得ながら心機一転を期す所存であります。
付録 透析室年表
昭和46年(1971年)
昭和49年(1974年)
昭和50年(1975年)
昭和54年(1979年)
昭和63年(1988年)
平成 1 年(1989年)
平成 3 年(1991年)
平成 3 年(1991年)
平成 3 年(1991年)
平成15年(2003年)
平成16年(2004年)
平成26年(2014年)
旧3号館1階にICU、CCUに透析床5床設立
旧3号館3階に人工透析センター(ADC)12床設立
国立療養所神奈川病院で腎移植初例を施行
腎臓学研究室発足
体重6.6kgの小児腎移植施行(本邦最低体重成功例)
血液型不適合腎移植施行(本邦2例目)
腎移植100例目施行
腎臓学講座に昇格
2号館2階に透析室14床、病棟を移動
生後10ヶ月の乳児腎移植施行
腎移植400例目施行
腎移植700例目施行
診療予約
診療日
診療のご予約は、下記までご連絡下さい。
診療日・診療時間をご案内いたします。
医療機関専用電話
パートナー
03−3762−6616(直通)
(受付時間 平日 8:30∼17:00、土曜 8:30∼14:00)
(休診日:第3土曜日・日曜日・祝祭日・年末年始・創立記念日6/10)
酒井 謙 教授:月曜日午前
水曜日午前
東邦大学医療センター大森病院
Toho University Omori Medical Center
〒143-8541 東京都大田区大森西 6-11-1
03−3762−4151(代表)
http://www.omori.med.toho-u.ac.jp/
発行元:地域医療支援センター
平成27年7月10日発行
腎センター 二瓶 大
助教(平成16年・東邦大学卒)
長期に安定したバスキュラーアクセスの作製、維持管理、治療を目指しております
人工透析センターは2015年2月にリニューアルし、これまで16床であった病床数も18床へ増床されま
した。透析器機の質の向上と、災害に強い透析室になり、これまで以上に多くの患者さんの受け入れが
可能になりました。
血液透析治療は毎分200mL程度(缶ジュース1本程度)の血液を体外循環させ、透析器で血液を浄化
し、尿毒素をとる腎不全治療です。血液透析治療を行うためには長期間、安定してたくさんの血液を運
ぶことを可能にする「道具」が必要であり、これをバスキュラーアクセス(VA)と呼びます。一般的に
は内シャントと呼ばれます。したがってVAは血液透析治療において命綱であり、その管理は治療と同等
に重要です。良いVAとは、①穿刺しやすい、止血しやすい(穿刺するスタッフのストレスがない、 穿
刺される患者さんの疼痛が少ない)②適切な血流が得られる(脱血不良、過剰血流がない)、③十分な透
析効率が得られる(再循環がない)、ことと考えております。
近年、透析患者さんの高齢化や長期化、糖尿病の増加により、VAの管理・治療は困難さを増してお
ります。そのため、VA機能のモニタリングが重要であり、その最も大切な役割は、VAを長期間使用で
きるよう機能不全を起こす前にその予兆を見つけ出し、適切な治療介入を行うことです。VA機能のモニ
タリングの中心は理学的所見(視診、触診、聴診等)ですが最近では超音波装置を用いたモニタリング
が主流になってきており、当院でも超音波装置を用いて定期的なVAの形態評価(狭窄、閉塞等)や機能
評価(シャント血流量、血管抵抗指数値の測定)を行っております。またVA機能不全(狭窄、閉塞)に
陥ってしまった場合でも積極的なVA治療を行っております。VA治療には大きくわけて2種類あり、経
皮的血管形成術(PTA)と言われるカテーテルを用いた血管内治療と外科的治療がありますが一般的に
はまずPTAが選択されます。PTAには造影剤を用いてX線透視下に行うPTAと、造影剤を用いずに超音
波ガイド下に行うPTAの2種類があり、患者さんの状況(透析未導入、造影剤アレルギー等)によって
治療方法を選択します。PTAでの治療が難しい場合にはVAを外科的に修復する手術を行います。
VAをより良い状態で長く維持していくことは透析患者さんの負担軽減のみならず、透析効率の維持、
生命予後の改善や生活の質向上にも貢献します。当センターでは豊富な透析治療の経験と実績を生か
し、VA治療に専門的かつ総合的に対応致します。また大学病院の特性を活かし、様々な合併症を有する
透析患者さんのVAトラブル(脱血不良、静脈圧上昇、再循環、穿刺困難、シャント肢腫脹、穿刺部発赤
など)にも迅速に対応し、入院が必要な場合でも短期入院を心掛け、早期に地域の先生方にお戻しでき
るよう目指しております。
VAに関してお困りのことがございましたら是非ともご相談下さい。
診療予約
診療日
診療のご予約は、下記までご連絡下さい。
診療日・診療時間をご案内いたします。
医療機関専用電話
パートナー
03−3762−6616(直通)
(受付時間 平日 8:30∼17:00、土曜 8:30∼14:00)
(休診日:第3土曜日・日曜日・祝祭日・年末年始・創立記念日6/10)
二瓶 大 助教:水曜日午前
(バスキュラーアクセス外来)
東邦大学医療センター大森病院
Toho University Omori Medical Center
〒143-8541 東京都大田区大森西 6-11-1
03−3762−4151(代表)
http://www.omori.med.toho-u.ac.jp/
発行元:地域医療支援センター