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平成27年4月10日発行
消化器センター外科(大腸・肛門外科部門) 船橋 公彦 教授(昭和61年・東邦大学卒)
『この病気を如何に治すか?』∼直腸脱∼
当部門では、城南エリアの大腸・肛門疾患の専門施設として、大腸・肛門に関連した様々な疾患の治療に取
り組んでいます。そこで、今回は社会も高齢化を迎え、最近増加傾向にある「直腸脱」について解説させて頂き
ます。
「直腸脱」は、肛門から、直腸の粘膜および直腸壁全層が
脱出する病気で、脱出がひどくなると直腸が反転して肛門
から10∼20cmほど飛び出してしまうこともあります。乳児
期から高齢者まで幅広く見られますが、特に高齢の女性に
多く、時に子宮や膀胱の脱出が併発していることがありま
す。原因は、骨盤底部の筋肉を含めた支持組織の緩みと直
腸の仙骨への固定不良が考えられており、便秘、排便時の
いきみが誘因になっておこることが多いです。治療は、手
術が原則です。方法は、一つは肛門から行う手術で、肛門
から脱出した直腸を縫い縮めていく方法や脱出した直腸を切除する方法です。これらの方法は、これまでに本
邦でも多く行われてきましたが、術後の再発が多い難点があります。これに対して、最近では創が小さく体に
も優しい「腹腔鏡下直腸固定術」が注目されています。この方法は、肛門から外に脱出した直腸を、腹腔鏡を使っ
てお腹に戻し、骨盤に縫って固定し直すものです。この方法によって、手術後の再発も格段と減少し、再発で
悩まれて来院された患者さんにも大変喜んで頂いています。この病気
の治療にあたっては、高齢の方に多い関係上、出来るだけ体に負担に
ならない治療法を選ぶ必要があり、当院では手術前に「排便造影法」
と言って、直腸の中に便に似せたバリウムを入れ、排便を再現させて
直腸の動きを調べる検査を行い、その検査の結果から総合的に患者さ
んの病態に合わせた最良の治療法を選ばせて頂いています。
直腸脱は、部位的になかなか相談しにくい病気ですが、治療をすれ
ば生活の質は格段に改善されます。お悩みの方は、これを機会に是非、
当部門の専門医スタッフにご相談ください。
文献
1)船橋公彦 ほか【骨盤臓器脱診断・治療のすべて】直腸脱に対する腹腔鏡下縫合直腸固定術(解説/特集)外科76:616−621, 2014
2)船橋公彦(分担):II. 疾患−1)消化管, 直腸脱 消化器病診療 第2版 p130−132, 医学書院、東京 2014
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船橋 公彦 教授:
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水曜日午前・午後(再診)
東邦大学医療センター大森病院
Toho University Omori Medical Center
〒143-8541 東京都大田区大森西 6-11-1
03−3762−4151(代表)
http://www.omori.med.toho-u.ac.jp/
発行元:地域医療支援センター
平成27年4月10日発行
放射線科 新部 譲
准教授(平成8年・岡山大学卒)
オリゴメタスタシス(oligometastases)と
オリゴリカランス(oligo-recurrence)
地域医療機関の先生方には、平素より大変お世話になっております。本年1月1日付で東邦大学
医療センター大森病院放射線科に着任いたしました新部と申します。この4月で医師歴20年になり
ます。長年当院においては経験豊富な放射線治療専門医は1名のみで診療を行ってまいりました
が、私が加わることにより、ようやく当院もベテラン放射線治療専門医2名体制になり、診療部長
のリーダーシップの下、一層地域の医療に貢献すべく日々頑張っております。
放射線治療は全般的に経験してまいりましたが、私の長年の経歴の中で、主に担当してきた疾患
は、肺癌、婦人科癌、乳癌、悪性リンパ腫、オリゴメタスタシス(oligometastases)とオリゴリ
カランス(oligo-recurrence)などです。
オリゴメタスタシスやオリゴリカランスはご存じない先生方もおられるかと存じますので、少し
説明させていただきます。これらは、少数個の遠隔再発/転移癌に対しても、局所治療(手術、放
射線療法、RFAなど)を追加することにより、長期生存や、なかには治癒が得られる症例がある
ことを意味する概念です。オリゴリカランスは、癌の原発巣が制御されているという条件が加わり
ますので、とくに予後が良いことが証明されています。なお、オリゴリカランスは、2006年に私が
世界で初めて提唱した概念であり、現在臨床研究におけるトピックのひとつとなっている領域です
(詳しくは、Niibe Y et al. Jpn J Clin Oncol 40:107−111, 2010をご参照下さいますと幸甚に存じま
す)。
地域医療機関の先生方におかれましても、原発巣が制御された孤立性転移性肺癌(原発巣が肺癌
でも問題ございません)など、オリゴリカランスの患者さんがおられましたら、是非、当科までご
依頼いただきますようお願い申し上げます。適応がありましたら、最新の機器、技術を用いて、体
幹部定位放射線治療(SBRT)を行わせていただきます。その他のオリゴメタスタシスやオリゴリ
カランス、または症状緩和を目的とした転移性腫瘍の患者さんにつきましても、積極的に放射線治
療を行っておりますので、ご紹介いただけましたら幸いです。
宜しくお願い致します。
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