新稲作研究会 成果普及拡大検討会 Ⅳ 環境保全を配慮した生産技術の評価・確立 スイートコーンの施肥・畝立て・ マルチ同時作業乗用管理機による 環境負荷軽減栽培技術の確立 平成26年12月 長野県野菜花き試験場 小澤智美 長野県におけるスイートコーンの生産 平成23年 作付 面積 全国 長野県 反収 収穫量 出荷量 kg/10a t t 25,300 928 234,700 185,700 1,330 711 9,460 6,040 第5位の出荷量 施肥体系 ・窒素で10aあたり20kg程度施用 ・即効性BB肥料の基肥+追肥の体系が多い。 ・緩効性被覆肥料の基肥一発施用も増えつつある。 目 的 ・比較的通路部分が多い。 → 畦内部分施用により減肥効果が期待できる。 ・施肥・耕起 → マルチ → 播種の一貫作業 → 一工程作業により省力・軽作業化できる。 これまでの経過 平成24年度 トラクターマウントとして 施肥ユニット、播種ユニットをセットして試験実施 ・機械適応性・肥料試験 ・現地適応性試験(直播) 平成25年度 24年と同じ機械構成 緩効性肥料、窒素20%減肥 ・窒素30%減肥 ・1粒まきでの適応性 ・現地適応性試験(直播、移植) 試験方法 【場内試験】 慣行区:人力施肥・ロータリー耕、管理機によるマルチ被覆、人力は種 試験区:施肥・耕うん・畝立て・マルチ被覆・は種の同時作業 施肥窒素量 kg/10a 1穴播種粒数 播種方法 試験区 基肥+追肥 機械 2 16+0 モロコシ一発・20%減肥 機械 2 14+0 モロコシ一発・30%減肥 機械 1 16+0 モロコシ一発・20%減肥 人力 2 15+5 BB552+硫安・慣行 モロコシ一発:N-P2O5-K2O=20-11-7 LPS60:LP30:速効=28:24:48 BB552:N--P2O5-K2O=15-15-12 硫安:N=21 区制 1区27㎡(18m×1.5m)、2反復 は種期・品種 4月26日・ゴールドラッシュ 5月24日・ゴールドラッシュ88 生分解性穴あきマルチ (1350㎜、2条ちどり、条間60cm、株間 30cm、穴径φ60mm) ⑤ ⑤ 【現地試験 諏訪郡原村】 慣行区:人力施肥・ロータリー耕、管理機マルチ被覆、半自動移植は種 試験区:施肥・耕うん・畝立て・マルチ被覆・は種の同時作業 試験区 施肥窒素量 kg/10a 22.4 17.9 22.4 播種方法 モロコシ一発・標準 機械(同時作業機) モロコシ一発・20%減肥 機械(同時作業機) やまびこ484・慣行 機械(半自動移植機) 全区全量基肥施用 やまびこ484:N-P2O5-K2O=14-18-14 区制 1区86㎡(1.8m×80m) 反復なし(収穫調査は処理区内で2ヶ所調査) は種期・品種 5月27日・ゴールドラッシュ88 生分解性穴あきマルチ (1350㎜、2条ちどり、条間60cm、株間 30cm、穴径φ45mm) ⑤ 【現地試験 上水内郡信濃町】 慣行区:機械施肥・ロータリー耕、管理機マルチ被覆、移植 試験区:施肥・耕うん・畝立て・マルチ被覆の同時作業 試験区 施肥窒素量 kg/10a モロコシ一発・標準 19.6 モロコシ一発・20%減肥 15.7 現地慣行 19.6 全区全量基肥施用 現地慣行肥料:N-P2O5-K2O=14-14-14 区制:1区45㎡(1.8m×25m) 反復なし(収穫調査は処理区内で2ヶ所調査) は種期・移植期・品種 6月5日・6月24日・ゴールドラッシュ88 トラクター 16ps 耕幅1,300mm・正転 ロータリ 平畦成型マルチャー(135cm幅マルチ用) 肥料散布機 ホッパー65L、モータ駆動、ロール繰り出し式 播種機 有孔マルチ用、播種穴感応・目皿式、モータ駆動 作業時間の比較 試験区 作業 作業方法 施肥 同時作業機 マルチ 同時作業機 播種 マルチ 歩行型マルチャー 人力 播種 慣行 半自動移植機 計 作業速度 作業時間 hr/10a 0.12m/s 6.6 0.12m/s 405 s/100株・人 0.21m/s 6.6 4.3 3.8 10.4~ 10.9 機械施肥精度 試験場所 施肥日 試験区 20%減肥 30%減肥 場内 20%減肥 5月24日 30%減肥 諏訪郡 標準 5月8日 原村 20%減肥 上水内郡 標準 5月23日 信濃町 20%減肥 肥料はモロコシ一発 4月26日 実施肥量 窒素施肥量 窒素実投入量 対設定誤差 kg/10a 慣行対比 % % 16+0 14+0 16+0 14+0 22.4 17.9 19.6 15.7 3 7 -7 11 0 0 4 9 82 75 74 78 100 80 102 86 1穴あたり発芽株数 % は種目皿設定 0 1 2 1粒 26 69 5 2粒 13~16 40~42 36~43 4月26日は種、99~107穴調査 3 0 4~6 ⑩ 60mm 手播き 機械播種1粒設定 機械播種2粒設定 発芽位置の分布 60 50 40 30 20 10 0 機 械 2 機 械 1 人 力 2 機 械 2 4月26日 機 械 1 5月24日 場内 人 力 2 機 械 2 機 械 2 5月27日 諏訪郡原村 欠株率 % 人 力 2 収量 kg/10a 600 1,800 苞付雌穂重 g 1,600 500 1,400 400 1,200 1,000 300 800 200 600 400 100 200 4月26日 5月24日 慣行・2粒 20%減・1粒 30%減・2粒 20%減・2粒 慣行・2粒 20%減・1粒 30%減・2粒 0 20%減・2粒 0 ⑳ 収量 kg/10a 460 苞付雌穂重 g 2,500 455 2,000 450 1,500 445 440 1,000 435 500 430 425 0 標準 20%減肥 慣行 現地試験の収量(諏訪郡原村) ⑳ 400 1,200 1,000 350 800 300 600 400 250 200 200 0 標準 20%減肥 慣行 現地試験の収量(上水内郡信濃町、移植栽培) 試験ほ場の化学性 硝酸態窒素1) 試験場所 試験区 (Nmg/100g) 場内 施肥前 2.3 施肥前 4.1 現地 標準 35.1 (諏訪郡原村) 20%減肥 22.7 慣行 26.3 施肥前 16.0 現地 標準 58.5 (上水内郡信濃町) 20%減肥 22.2 慣行 25.0 1)塩化アルミニウム抽出法、2)熱水抽出法 可給態窒素2) (mg/100g) 5.4 8.1 6.8 7.0 6.6 3.4 2.3 2.7 2.7 成果の公表 ☆ 平成25年度 普及技術(試行技術) 「スイートコーンにおける施肥・畦立て・マル チ・播種同時作業機の適応性」 スイートコーンのマルチ栽培において、施肥・畦立 て・マルチ・播種同時作業機は、作業工程を省力で き、緩効性肥料を用い畦内にのみ施用することで20% 減肥できる。 残された課題 ・同時作業機の体系に適した品種選定( 出芽率) ・1粒播種の作業性と収量性(補植、間 引きの省力) ・収穫作業機の検討(収穫の省力、大規 模化) 歩行型作業機の現地実証 (長野県下伊那農業改良普及センター 他、平成26年) 試験場所:長野県下伊那郡3か村、4か所 試験の狙い:省力・省コスト化によるスイートコーンの 生産拡大 歩行型作業機の現地実証 (長野県下伊那農業改良普及センター 他、平成26年) 播種作業時間(10aあたり、畝間90cm、畝幅95cm) 機械播種:約50分 手播き:約5.9時間 試験場所 品種 発芽穴数率 % 阿智村伍和 ゴールドラッシュ88 機械66%、人力71% 阿智村浪合 ゴールドラッシュ88 機械96% 平谷村 平谷ハーモニー 機械87% 根羽村 サニーショコラ88 機械98% (雑草の引きずり58%) 歩行型作業機の現地実証 (長野県下伊那農業改良普及センター 他、平成26年) 感想、要望 ・良い点:作業性の速さ、マルチ張りのきれいさ、 機械の安定感 ・改善点:播種の調整時間、種子づまり、 圃場の整地が悪い箇所での未播種 ・面積の狭い農家では、枕地をとりたくない 規模拡大を計画している農家で1台購入予定
© Copyright 2024 ExpyDoc