名古屋大学地球水循環研究センター 共同研究報告書

別紙様式2
名古屋大学地球水循環研究センター
共同研究報告書
平成27年 3月30日
名古屋大学地球水循環研究センター長 殿
申請者(研究代表者)
所属機関 愛媛大学沿岸環境科学研究センター
職
講師
氏名
吉 江 直 樹
e-mail
[email protected]
下記の共同研究について、別紙の通り報告します。
1 研究課題
GOCI を用いた豊後水道における赤潮観測に関する研究
2 研究組織
氏名
代表者
吉江 直樹
所属
職
分担研究課題
愛媛大学沿岸環境科 講師
学研究センター
赤潮観測データ収集、衛星データとの
比較、研究全般
地球水循環研究セン 教授
ター
衛星データ処理
分担者
センター対応教員
石坂 丞二
3 研究内容 (別紙)
平成26年度 名古屋大学地球水循環研究センター共同研究報告書 (別紙)
平成27年3月30日
研究課題:GOCI を用いた豊後水道における赤潮観測に関する研究
申請者(研究代表者):愛媛大学沿岸環境科学研究センター 吉江直樹
研究目的
豊後水道沿岸域では、2012年に Karenia mikimotoi の大規模赤潮が起こり、
12億円を超す大きな漁業被害が生じた。 K. mikimotoi による赤潮は、6~7月の
梅雨明け間近の雲が多い次期に発生し、これまでの海色リモートセンシングでは
はっきりとは観測できていない。地球水循環研究センターの計画研究で公募され
ている韓国が2011年打ち上げた静止海色イメージャ GOCI は、500m とこれまで
の海色衛星よりも水平解像度が高い上に、1日に8回の観測を行うため雲の多い
場 所 でも海 面 情 報が取 得 できる可 能 性 がある。また1日 に複 数回 の観 測 ができ
れば、赤 潮 の日 週 変 動 が観 測 できる可 能 性 もある。そこで、本 研 究 では豊 後 水
道における赤潮を GOCI により観測することを目指す。
研究内容
本年度は、GOCI の精度評価の予備実験として、これまでに愛媛大 CMES が
実 施 してきた瀬 戸 内 海 における現 場 観 測 による海 表 面 Chl.a データを用 いて
MODIS による Chl.a 濃度推定値の精度評価を行った。
研究成果
西部瀬戸内海の伊予灘海域において、2006 年夏季から秋季にかけて現場観
測による海表面 Chl.a 濃度と MODIS による推定 Chl.a 濃度を直接比較した。そ
の結果について、各観測日の衛星画像と共に述べる。7 月 26 日については(図
1)、全体に雲の合間の画像であり、特に測点 G3 と F0 は雲の近くであった。測点
G3 ではほぼ観測と一致し(120%)、測点 G8 では過小評価(28%)、測点 F0 では過
大評価(276%)であった。8 月 28 日については(図2)、全体的に雲の合間の画像
であり、測点 G3 では過小評価(43%)であったが、残りの2点 F5 ではほぼ観測と
一致していた(F5:120%, F6:78%)。10 月 3 日については(図3)、全体的に晴れた
画 像 で あ り 、 全 測 点 で や や 過 小 評 価 気 味 で あ っ た ( 57%-86% ) 。 全 1 5 測 点 の
Chl.a データを比較すると(図4)、平均誤差は 0.57(mg/m3)、2 乗平均平方根誤
差は 0.88(mg/m3)であった。これらの結果から、高濃度 Chl.a 濃度の水塊がパッ
チ状 に形 成される赤潮現象を捉えるには十分な精度を有している事が示唆され
た。
成果発表
特になし
今後の問題点
特になし
G3
F0
G8
図 1. 2006 年 7 月26日の伊予灘海域の観測点 3 点における比較
F6
F5
図 2. 2006 年 8 月28 日の伊予灘海域の観測点 3 点における比較
G3
G8
F6
F5
G5
F4
G6
F1
F0
G3
図 3. 2006 年 10 月 3 日の伊予灘海域の観測点 9 点における比較
4.00
衛星Chl.a濃度
3.00
2.00
y = 0.47 x + 0.55
R² = 0.49
1.00
0.00
0.00
1.00
2.00
3.00
4.00
現場Chl.a濃度
図 4. 2006 年の伊予灘海域における現場観測値と衛星推定値の関係