平成26年度学校経営報告 - 東京都立桜修館中等教育学校

平成26 年度 東京都立桜修館中等教育学校 学校経営報告
校長
金
田
喜
明
1 今年度の取組と自己評価
(1) 教育活動への取組と自己評価
<学習指導>
【授業改善】今年度受けた予備校による進学指導コンサルティングを活用し、英語及び他教
科で授業改善等に取り組んだ。教科会や教科主任会が、授業改善を図るための方策や方法
を協議する場に変わりつつある。授業観察による指導・助言とともに、今年度は若手教員
や転入教員を中心に授業を指定して参観させて授業研究を推進した。今後は、校内はもと
より他校や予備校への授業見学や研修等にも積極的に参加させたい。
【研究論文】各教員が5年生の生徒を4名ずつ担当し、5000字研究論文の指導をした。
2月25日には外部有識者を審査員として論文コンクールを実施し、最優秀賞の2本の研
究論文について、修了式で表彰するとともに概要等について全校生徒の前で発表させた。
また、6年生が行う研究論文の要旨を英語で記す、という課題に英語科全員が関わった。
【授業時間の確保】チャイム始業はほぼ定着し、50分の授業時間確保については徹底でき
ている。学校行事の準備等で授業をカットすることを極力なくしており、台風で臨時休業
となった日についても代替日を設けるなど、教職員の意識も授業時間の確保という点では
一致している。
【朝学習・放課後の自習・補習】前期課程では計画的に朝学習が行われた。また、始業前の
時間を活用した講習や補習は、前期・後期課程とも行われた。
チューター制度については、今年度も後期課程生に対して平日は19時まで、土曜授業
の日は13時から16時まで図書館で自習できる環境を提供した。また、医大生のチュー
ターと医学部志望生徒の懇談会を実施した。前期課程の生徒が、定期的に利用できる工夫
が必要である。
【中間期の学習指導対策】後期課程進級を前にした基礎学力の確保に向けた指導について、
定期考査や学力推移調査等の結果を基に教科と学年で情報を共有し、個別に指導を行った。
英語検定やニュース検定をはじめとした資格取得を行い、中だるみの防止に役立てた。
<進路指導>
【キャリア教育】留学生が先生(2年)、職場体験(2年)、「學(まなび)フォーラム」
(4年)、東京外国語大学・電気通信大学の先生による講話(4年)、首都大学東京での
体験授業(5年)を予定どおり実施した。「學フォーラム」はPTAとの共催で実施し、
「学びと仕事」をテーマに8名の職業人から話を聞き、質疑応答も積極的に行われた。
【職場体験学習】今年度は8月下旬に3日間程度の体験ができるように設定し成果をあげる
ことができた。実施時期については、長期休業中を避け秋に実施する方向で検討する。
【大学との連携】10月の首都大学東京体験授業では5年生全員が参加し、受講できる講座
数や見学コースも増え、生徒の大学理解につながった。5月に神奈川県葉山町で実施した
生物実習(4年)では首都大学の大学院生の協力を得た。
【志望校検討会の開催】四期生の進路実現を図るため志望校検討会を行った。具体的には、
担任、教科担当、進路指導部を中心に多くの教員と管理職が四期生の生徒1人1人につい
て、本人の志望、保護者の意向、学力の推移、授業の様子、今後の予想などを検討し、そ
の後の進路指導に役立てた。夏季休業に入る6月27日とセンター試験が間近に迫った1
2月1日に開催し、学校として一体性を保って進路指導をした。
<生活指導>
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【基本的な生活習慣の確立】集会や学活・HRを通して繰り返し指導した。遅刻については、
学年が上がるにつれて割合が増えている。服装については、後期課程生にスカートを改造
したり、指定外のセーターを着用したりする者が依然としており改善の余地がある。挨拶
については、以前ほどしなくなったという指摘も受けている。
【規範意識の育成】通学時のマナーにおいては、一部の生徒が歩道を横に広がっての通行や、
自転車の危険な運転等の課題があり、今後もきめ細かく指導を積み重ねる必要がある。ま
た、携帯の取り扱いやSNSの使用で問題点が指摘され、情報モラルの徹底が課題である。
<特別活動・部活動>
【部活動合宿】12部活が合宿を行い、3年生以上の生徒231名が参加した。
【前期課程・後期課程】クラスマッチ、記念祭など学校行事に対する生徒の満足度は高く、
学校評価アンケートでも肯定的な意見が全ての学年で9割を超えた。
【環境整備】整美委員会、部活動、有志が中心となり、早朝落ち葉清掃を3週間実施した。
<健康教育・安全教育>
【特別支援教育】特別支援学校から専門の教員を派遣依頼し、生徒の様子を観察してもらっ
て、適切な助言を得て指導に役立てた。また、臨床心理士を助言者として定期的に特別支
援委員会を開催し、管理職、養護主任教諭、学年も出席して、生徒の指導に役立てた。さ
らに、神経科の専門医派遣事業を活用して保護者向けの講演会を実施し理解を深めた。
<募集・広報活動・地域交流>
【募集・広報活動】塾・予備校等が主催する説明会には、もれなく参加して学校紹介に努め
るとともに、塾向け説明会を10月3日に実施し23名が参加した。また、今年度も適性
問題解説会を5月11日、10月4日の2回実施して広報活動の拡充に努めた。
【地域交流】八雲町会の方と連携し、12月に4年生全員が近隣にある氷川神社の境内の清
掃を行った。また、1月に都立大学商店街・東急電鉄と連携し駅周辺のクリーンキャンペ
ーンにフィールドワーク部と陸上部の生徒が参加した。さらに、都立大学商店街や碑文谷
警察署主催の行事に吹奏楽部が参加し演奏を行った。
(2)重点目標への取組と自己評価
①【 四 期 生 の 進 路 実 現 】 本 校 の 立 ち 位 置 を 確 立 す る た め 、 四 期 生 の 生 徒 各 自 の 進 路 実
現に当該学年担任、進路指導部はもとより、組織の総力を挙げて取組んだ。
<数値目標>6学年在籍数
153名
難関国立大
11名
難関私立大
80名
国公立大
45名
GMARCH
100名
センター試験受験
138名以上(90%以上)
5教科7科目型受験者 80名以上
<結果>
( )内は現役数
卒業時:151名
難 関 国 立 大 1 3( 8 )【 東 京 3( 2 )、一 橋 4( 1 )、東 工 4( 3 )、
京都1(1)、防衛医大1(1)】
難 関 私 立 大 7 9( 5 0 )【 早 3 0( 2 3 ) 、慶 1 5( 6 ) 、上 智 6
(4)、ICU1(1)、理科27(16)】
国公立大
55(41)
GMARCH 98(73)
センター試験受験
出 願 1 4 8 名 ( 9 7 .4 % )
5教科7科目型受験者
8 3 名 ( 5 4 .6 % )
<自己評価>
四 期 生 に つ い て は 、4 ・ 5 年 次 の 学 習 状 況 や 模 擬 試 験 等 の 結 果 か ら 、数 値 目 標
を 達 成 す る に は 相 当 の 努 力 が 必 要 と 思 っ て い た が 、ほ ぼ 昨 年 並 み の 結 果 を 残 す こ
と が で き た 。こ れ は 、6 年 生 の 初 め か ら 進 路 指 導 部 と 学 年 が 連 携 し て 高 い 志 を も
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って受験に挑むよう繰り返し指導したこと、生徒が記念祭(9月第1週に実施)
以 降 気 持 ち を 切 り 替 え 受 験 勉 強 に 取 り 組 ん だ こ と が 大 き い 。し か し な が ら 、二 期
生までの実績には達していないので、全教員に経営計画の主旨を十分に認識さ
せ 、よ り き め 細 か い 進 路 相 談 や 教 科 担 当 者 の 熱 心 な 個 別 対 応 を 学 校 全 体 と し て 組
織的に取り組む必要がある。
チ ュ ー タ ー に つ い て は 全 員 を 本 校 の 卒 業 生 と し 、利 用 し や す く し た 。ま た 、常
駐場所を図書館としたが、チューター活用には改善の余地がある 。また、5月と
11月に校内実力テストを行い、結果を分析して校内研修会で活用した。
②【 中 間 期 の 学 習 指 導 対 策 】定期考査や学力推移調査の結果を基に教科と学年で情報を共有
し、前期課程で必要な基礎学力を身に付ける指導を個別に行った。
<数値目標>
3 年 生 :自 校 問 題 作 成 校 の 問 題 を 利 用 し た 場 合 の 正 答 率 5 科 目 の 平 均 7 0 %
後期課程:外部模試・校内実力テスト等5回以上実施
<結果>
3年4回【学力推移調査2、全国学力・学習状況調査1、中高一貫模試1】
4・5年4回【スタディサポート1、外部模試2、校内実力テスト1】
セ ン タ ー 試 験 同 日 模 試 参 加 者 4 年 1 3 3 名( 8 4 % )、5 年 1 5 0 名( 9 9 % )
<自己評価>
・英 語 検 定 合 格 者 1 5 7 名( 2 2 1 名 受 験 )【 合 格 者 内 訳:準 1 級 1 、2 級 2 5 、
準2級41、3級57、4級33】
・ニュース検定合格者25名
・第二外国語:5言語9講座を開講し、4年46%、5年29%の生徒が履修
③【家庭学習】家庭学習を効果的に実施して、生徒の学力伸張を図った。
<数値目標> 前期課程: 毎日2時間以上(週休日、祝祭日も含め平均して)
後期課程: 毎日3時間以上(週休日、祝祭日も含め平均して)
<結果> 学校評価アンケートにおける学習時間調査
前 期 課 程 : 毎 日 2 時 間 以 上 3 1 .5 % ( 1 年 4 9 、 2 年 2 6 、 3 年 1 9 )
後 期 課 程 : 毎 日 2 時 間 以 上 4 6 .1 % ( 4 年 2 4 、 5 年 2 0 、 6 年 9 6 )
<自己評価>
家庭学習時間の割合が3年、4年、5年で特に低下した。家庭学習時間の確保
に向けて教科間で学習課題量の調整を行い、生徒が確実に家庭学習を行う習慣を
身に付けさせる取組が必要である。
④【長期休業中の補習・講習】精神的にゆとりのある長期休業中に補習・講習に参加
して特定科目を集中して学び、不得意科目の補強等に活用した。
< 方 策 > ・ 生 徒 各 自 の 進 路 カ ー ド 等を活用して、生徒各自の学力状況を適確に把握し、
弱点を補強するように指導する。
・前期課程では、教科書レベルの内容を中心とするが、高校入試問題等も扱う。
・後期課程では、入試問題を分析し、大学受験を視野に入れた講座を開講する。
<数値目標> 前期課程: 夏季15講座以上
延べ150名以上参加
後期課程: 夏季70講座以上
延べ1900名以上参加
<結果> 前期課程: 学年ごとに実施し、3学年合計で16講座
後期課程: 夏季 71講座 延べ1879名
冬季、春季においても必要に応じて実施している
<自己評価>
後 期 課 程 で は 夏 期 講 習 の 案 内 を 5 月 に 発 表 し 、効 率 よ く 講 座 を 選 ぶ こ と が で き
た 。6 年 生 の 冬 季 講 座 と 特 別 時 間 割 期 間 及 び セ ン タ ー 試 験 後 の 指 導 が 効 果 的 に 行
われるよう組織的に推進していく。
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⑤【 読 書 指 導 】日 常 の 広 範 囲 に わ た る 読 書 と そ れ に 伴 う 思 索 は 、実 力 養 成 の 源 で あ る 。
<方策>・本校の図書館その他を有効に活用する。
・適宜、読書指導や啓発活動を行う。
<数値目標> 1人年間25冊以上(雑誌、ゲーム攻略本の類は含まない)
<結果>
図書館での貸出冊数 年間17554冊(一人当たり18冊)
(1年61、2年31、3年5、4年6、5年3、6年3)
<自己評価>
貸 出 数 だ け で 判 断 す る の は 難 し い が 、3 年 生 以 後 読 書 量 が 減 少 し て い る と 考 え
られ、未読率を抑える取組が必要である。授業での調べ学習で75時間図書館を
使用した。
⑥【授業改善】生徒の学力向上を図るため、常に授業改善に努めた。
<方策>・研修センターの専門研修受講、研究会参加、相互の授業見学を推進。
・入試問題の分析、日常の授業への導入等教材研究を不断に行う。
<数値目標>学校評価アンケートで、授業満足度 平均85%
全教員が年度で、3回以上相互授業見学
<結果>生徒による授業評価において、ほとんどの科目で肯定的回答80%以上
学 校 評 価 ア ン ケ ー ト で の 学 習 指 導 方 針 満 足 度 平 均 8 8 .8 %
(1年94、2年94、3年87、4年87、5年89、6年83)
相互授業見学について教科での取組に差異があった。
<自己評価>
生徒による授業評価では肯定的な回答が多く授業方針に対する満足度も高い
が 、 教 員 に よ っ て 授 業 の 質 の 差 が 大 き い と い う 指 摘 も あ っ た 。 今 年 度 は 、 予備校
による進学指導コンサルティングを受けて、教科会や教科主任会で授業改善の方策や方法
を協議する体制を整えた。今後は、校内はもとより他校や予備校への授業見学や研修等に
も積極的に参加させ、学年ごとに生徒に必要な学力を身に付けさせる指導を徹底する。
⑦【部活動】学年間を越えて共に活動することで、連帯感をはぐくみ、豊かな人間性
の形成に資した。
<方策>・切り替えを上手に行い、時間にメリハリを付けて有効に使う。
・部活動で身に付けた集中力を駆使して、学習を効率よく進める。
<数値目標> 部活動加入率 前期課程 90%以上
後期課程80%以上
< 結 果 > 部 活 動 加 入 率 前 期 課 程 9 4 .4 % ( 男 9 2 % 、 女 9 7 % )
後 期 課 程 7 4 .2 % ( 男 7 9 % 、 女 6 9 % )
<自己評価>
後 期 課 程 は 数 値 目 標 を 下 回 っ た 。ま た 、昨 年 度 に 引 き 続 き 休 業 日( 前 期 課 程 週 2
回以上、後期課程週1回以上)を義務付けた。成果は以下の とおりである。
・弓道部は前期・後期課程とも個人・団体戦で全国大会出場。
・後期水泳部は個人戦で全国大会出場。
・前期男子硬式テニス部は団体戦で関東大会出場。
⑧【広報活動・地域交流】生徒募集、広報活動、地域交流を積極的に推進した。
< 数 値 目 標 > 適 性 検 査 受 検 の 応 募 倍 率 : 8 .5 倍 以 上
ホームページの更新
: 毎週1回以上
「めぐろシティカレッジ」: 3講座各10回程度の施設開放
< 結 果 > 適 性 検 査 の 応 募 倍 率 : 7 .1 1 倍 受 検 倍 率 : 6 .7 6 倍
ホームページの更新:毎週1回以上確実に行う(H26年4月1日から
H27年3月25日までの更新回数125回)
「めぐろシティカレッジ」:4講座各20回の施設開放
公開講座「スペイン語講座(初級)」(7日間):21名が受講
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<出席者>施設見学会:738名、適性問題等解説会:2回で1569名
学校紹介日:2回で2083名、授業公開週間:2回で3205名
入学検査説明会:2回で1159名
<自己評価>
広報活動については、昨年度と同様今年度も重点目標の一つにして積極的に展
開した。特にホームページの充実を図り、学校の様子等が早く詳しく伝わるよう
心がけた。施設見学会(7月)、部活動見学会(8月)、記念祭での個別相談会
(9月)、学校紹介日(9、10月)、入学検査説明会(11月)、適性問題等
解説会(7月、11月)のいずれにおいても、総務・広報部が中心となって全教
職員が協力して実施することができた。校外においても、都の合同説明会や塾主
催の説明会にはすべて参加した。今後もこの方向を継続していく。
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次年度以降の課題と対応策
次年度においては、次の4つの重点項目を掲げ、全力で取組む。
(1) 進路指導の向上
五 期 生 の 進 路 実 現 の た め に 学 校 全 体 で 総 力 を 挙 げ て 取 り 組 む 。二 期 生 の 進 路
実 現 の 結 果 と 同 等 以 上 の 成 果 に 戻 す こ と を 目 標 と す る 。対 応 策 と し て は 、次 の
とおりである。
・国 公 立 大 学 と 難 関 私 立 大 学 進 学 を 目 標 に 、高 い 志 を 持 ち 続 け て 取 り 組 ま せ る 。
・進 路 指 導 部 と 学 年 の 連 携 を 深 め 、各 生 徒 の 状 況 把 握 や 指 導 方 針 等 を 明 確 に し 、
志望校検討会をはじめとしてあらゆる機会に教科担当にも情報提供し、教科指
導体制の強化に取り組む。
・チューター制度の改善など、さらなる自学自習の環境整備を図る。
(2) 授業力向上
進路指導部主導による教科指導体制の強化に向けて取り組み、教科会や教科
主任会等で授業改善を図るための方策や方法を随時協議すこととする。
また、大学入試問題を適宜授業に活用するように取り組むとともに、自律経
営推進予算や裁量予算を活用して資料を充実させるとともに、予備校主催の研
修に教員を派遣するなどして授業力の向上を図る。
(3) 生活指導の充実
生活指導は、あらゆる教育活動の基礎であるとの認識に立って、遅刻防止、
チャイム始業、あいさつの励行、制服の適正な着用、登下校のマナーの徹底、
貴 重 品 の 管 理 の 徹 底 等 を 推 進 す る 。特 に 、自 転 車 走 行 の マ ナ ー 向 上 と 情 報 モ ラ
ルの徹底が喫緊の課題である。
(4) 広報活動の拡大・充実
今年度は、総務・広報部を中心に組織的に広報活動を進めることができた。
次 年 度 も こ の 方 向 で 推 進 す る 。そ の た め の 具 体 的 な 対 応 策 と し て は 、次 の と お
りである。
・ホームページでの内容の充実を図り、利用者のニーズに応える。特に、部活
動の情報量を増やす。
・収容力のあるメインアリーナを活用し、学校紹介の内容の充実を図る。
・土曜授業を行う小学校が増えており、広報活動は日曜日を中心に設定する。
・学 校 案 内 に つ い て は 常 に 改 訂 を 行 い 、本 校 の 斬 新 な イ メ ー ジ づ く り に 資 す る 。
・塾、予備校などの説明会には、これまでどおり積極的に参加する。
・記念祭での個別相談会や塾向け説明会の改善を図る。
以
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上