生物基礎におけるルーブリックの活用について 04

生物基礎におけるルーブリックの活用について
1 研究の概要
生物基礎の授業において、基礎的・基本的な学力の定着とグループワークによる「考える学習」を目指し、ルーブリックによる指導
と評価を行うものである。
2 研究方法と内容
(1)科目・単元
生物基礎 予備学習 ミクロメーターによる測定(教科書:数研出版「生物基礎」)
(2)対象生徒
1年次生6クラス(238名)
(3)実施計画
ア ミクロメーターの使い方①(ルーブリックの提示と評価基準の確認)
~顕微鏡の使い方と髪の毛の太さの測定の思考学習~
1時間(実践1)
イ ミクロメーターの使い方②
~接眼ミクロメーターと対物ミクロメーターの関係~
2時間(実践2)
~ミクロメーターによる細胞の短径の測定~(自己評価と他者評価)
3 授業の展開
実践1 (50分)
過程
導
入
学習活動
・ルーブリックの確認をする。
・顕微鏡の使い方を再確認する。
・髪の毛のプレパラートを作成する。
展
開
・髪の毛の顕微鏡観察
・観察は細部まで行い、結果をプリントに記入する。
・接眼ミクロメーターの装着
・対物ミクロメータの確認
・髪の毛の太さを 測定する方法をグループで考え、その方法を
試してみる。
まとめ
・どのような測定方法を試したかをまとめ、成功・失敗の理由
を考える。
指導上の留意点
・実験はグループごとに討議しながら進め
ることを確認し、実験後自己評価、他者評
価を行うことを伝える。
・髪の毛のプレパラートの作成方法を説明
する。
・顕微鏡の扱い方、ピント合わせなどの疑
問はグループで解決していくように指示す
る。
・対物ミクロメーターの1目盛りの長さの
説明をするが、あえて使い方にはふれない。
μmという長さの単位についても説明す
る。
・接眼ミクロメーターと対物ミクロメータ
の関係を簡単に説明し次回の実験の予告を
する。
実践2 (50分×2)
過程
指導上の留意点
・顕微鏡の準備と接眼ミクロメーターを装着する。
・前時に引き続き、ミクロメーターを髪の
毛の太さを測定することを説明する。
開
・対物レンズ10倍、40倍の時の接眼ミクロメーター1目盛
りの長さをそれぞれ測定する。
・対物ミクロメータと接眼ミクロメーターの目盛りを合わせる
際に工夫したことを記録する。
・タマネギ、オオカナダモの細胞の短径の測定
・プロジェクターを利用しミクロメーター
の使い方を説明する。
・ピント合わせや実験手法など疑問は、グ
ループで解決していくように指示する。
まとめ
・なぜ接眼ミクロメーターを使って測定するのかを考察する。
・この実験を通じてわかったこと、気付いたことをまとめる。
・実験の最後に自己評価、他者評価につい
て再度説明し、評価用紙を提出させる。
導
展
4
学習活動
入
ルーブリックを用いた評価と今後の課題
ルーブリックの評価基準に従って各観点別に評価を試みた。実験プリントに各観点の評価項目を設定し、その項目ごとに3段階で評
価した。(評価一覧ページ参照)また生徒による自己評価、他者評価も組み入れ最終的な評価とした。
今回は、提出されたプリントをもとに評価していった。本来、観点別評価において「関心・意欲・態度」については、授業中の態度
や意欲・主体性など生徒の活動そのものを評価すべきであると考えているが、授業中に全体を見渡し、一人一人を評価していくのは難
しいと考える。この点を補うためには自己評価、他者評価を積極的に活用していく必要がある。また今回、評価項目を多く設定しすぎ
たため、評価及び集計に多くの時間を必要とした。今後は評価の観点、項目を絞り実施することも考慮していかなければならないと感
じた。
またグループワークによる「考える学習」を意識し授業を行った。実験中に教師はなるべく指示せず、質問を受けず、実験器具の操
作方法や実験の試行のアイデアはグループで解決、討議させた。通常顕微鏡での観察実験を行う際には、顕微鏡の扱い方やピントあわ
せができない生徒が多く発生するが、今回は皆無であり、グループにより格差はあったものの、生徒同士で教わり教えあう意識を持た
せることができた。
今回初めてルーブリックを作成し、その評価基準に則して実験を行ってみたが、計画通りに進まない部分や、生徒の活動が予想でき
なかったところが多くあった。よりルーブリックを効果的に活用するためには、他の学校の取組や実践例等について研修を深めていく
必要がある。
資料1 ミクロメーターの使い方 ルーブリック
パフォーマンス
課題の名称
該当年次
ミクロメータの使い方
1年次
方法
評価規準
技
(A)
目的を果たすための手段を意欲的に
探究し、安全かつ十分な取組ができて
いる
観点
評価規準
技
(B)
単位ついて意識しており、正確に取り
扱っている
レポート
思
(C)
ミクロメータを用いた測定方法を理解
し、得られたデータと文献値を比較し、
条件を変えた場合を予測している
実験記録
技
(B)
単位について意識しているが、取り扱
いに一部誤りがある
レポート
思
(C)
ミクロメータを用いた測定方法を理解
し、得られたデータの意味を理解して
いる
実験記録
技
(B)
単位について意識していないか、取り
扱いに重大が誤りがある
レポート
思
(C)
得られたデータの意味が理解できてい
ない
観察実験
(c)
努力を要する
観点
実験記録
観察実験
(b)
おおむね
満足できる
観点 【関】:関心・意欲・態度 【思】:思考・判断・表現
【技】:観察・実験の技能 【知】:知識・理解
【実験・観察・調査】
【データ処理・考察】
【ミクロメーターの使い方に対する関心・意欲・態度】 【ミクロメーターの使い方に関する思考・判断・表現】
細胞等の大きさを測るための操作を正しく行って 示されたデータと学習した理論や公式等を用いて 接眼ミクロメーター1目盛の表を作成する方法に関心 接眼ミクロメーターや対物ミクロメーターを使う理由につ
観察し、結果を的確に記録・整理している
考察することができる
をもち、意欲的に探究しようとしている
いて考察し、考えを表現している
観察実験
(a)
充分満足できる
生物基礎
2月20日 〜2月27日
評価期間
レベル
科目
技
(A)
技
(A)
観点
関
(D)
評価規準
表の作成だけでなく倍率と接眼ミクロメー
タ1目盛との相関性に触れた記述がある。
観点
思
(E)
評価規準
理由について「ピント」や「目盛りを平行にす
る」などについた考察が書かれている。
道具を適切に使い、安全に取り組んで
いる
表の作成ができている
関
(D)
思
(E)
「ピント」や「目盛り」についての考察はない
が、考察が書かれている。
安全に取り組んでいるが操作等に誤り
が見られる
表の作成ができていない
関
(D)
思
(E)
考察が書かれているが、考えがまとめられ
ていない
資料2 生徒自己評価・他者評価票
「生物基礎」パフォーマンス課題 評価票
パフォーマンス課題
の名称
細胞の測定(ミクロメータの使い方)
この課題で身に付けてもらいたい目標
番 氏名
・細胞等の大きさを測るための操作を正しく行って観察し、結果を的確に記録・整理する
・示されたデータと学習した理論や公式等を用いて考察することができる
・接眼ミクロメーター1目盛の表を作成する方法に関心をもち、意欲的に探究しようとする
・接眼ミクロメーターや対物ミクロメーターを使う理由について考察し、考えを表現できる
評価
a
目的を果たすための手段を意欲的に学習し、器具を安全かつ正確に取り扱うこ
とができた
b
道具を適切に使い、安全に取り組んだ
c
安全に取り組んでいるが誤った操作が目立った
d
操作方法か分からず、実験が進まなかった
a
・単位ついて理解しており、正確に取り扱っている
・ミクロメータを用いた測定方法を理解し、2種類のミクロメーターを使う理由を
十分理解できた
b
・単位について意識しているが、十分理解できていない
・ミクロメータを用いた測定方法を十分理解できていない
c
・単位について意識していないか、理解できなかった
・測定方法、得られたデータの意味が理解できなかった
d
・単位について、理解しようとしなかった
a
表の作成だけでなく倍率と接眼ミクロメータ1目盛との関係を考えることができた
b
自分の力で、表の作成ができた
c
表の作成ができたが、同チームのメンバーに手伝ってもらった
d
表の作成ができなかった
a
接眼ミクロメーターや対物ミクロメーターを使う理由について十分理解でき、説
明をしっかり表現できた
b
接眼ミクロメーターや対物ミクロメーターを使う理由について理解できたが、説明
をしっかり表現できなかった
c
接眼ミクロメーターや対物ミクロメーターを使う理由について、少しだけ理解でき
た
d
接眼ミクロメーターや対物ミクロメーターを使う理由について、全く理解できな
かった
【実験・観察・調査】
【データ処理・考察】
【ミクロメーターの使い
方に対する関心・意
欲・態度】
【ミクロメーターの使い
方に関する思考・判
断・表現】
氏名
【生徒相互評価】
評価
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