99 回薬剤師国家試験 高脂血症の問題

99 回薬剤師国家試験
高脂血症の問題
問 206-207
63 歳男性。脂質異常症と診断され、食事療法及び運動療法とともにフルバ スタチンナトリウム錠 20mg
による治療を受けていたが、改善がみられなかった。 そこで、以下の処方に変更された。
(処方1) フルバスタチンナトリウム錠 20mg 1回1錠(1日1錠) 1日1回 就寝前 14 日分 (処方
2) コレスチミド錠 500mg 1回3錠(1日6錠) 1日2回 朝夕食前 14 日分
問 206(実務) この患者への薬剤師による服薬指導の内容として誤っているのはどれか。 1 つ選べ。
1 脂質異常症は自覚症状がないが、服薬は重要であることを説明した。
2 食事療法及び運動療法は継続するように指導した。
3 コレスチミド錠を飲み忘れた場合、就寝前にフルバスタチンナトリウム錠と一 緒に服用するように指
導した。
4 筋肉痛や脱力感がある場合は受診するように指導した。
5 便秘が起こることがあると説明した。
問 207(物理・化学・生物)
フルバスタチンナトリウムのほかにも、以下の例のように分子内にフッ素原子が 導入された医薬品が
数多く開発されている。医薬品の設計において水素原子をフッ 素原子に置き換えることにより期待され
る主な効果はどれか。2 つ選べ。
1 炭素-フッ素結合は切断されにくいので、生体内での安定性が高まる。
2 親水性の向上により、吸収が促進される。
3 フッ素は電気陰性度が大きいので、分子のイオン化が促進される。
4 分子全体の大きさにはほとんど影響を与えずに生物活性が増強される。
問 223(物理・化学・生物) 図は、動物細胞の構造を模式的に表したものである。セツキシマブの標的
分子で ある上皮増殖因子受容体(EGFR)の細胞における局在について、正しい場所を示 しているのは
どれか。1 つ選べ。
問 252-253
37 歳女性。脂質異常症のため病院で以下の薬剤が処方されている。
(処方) ピタバスタチンカルシウム錠 2mg 1回1錠(1日1錠) 1日1回 夕食後 21 日分
問 252(薬理) ピタバスタチンなどのスタチン系薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。 2 つ選
べ。
1 3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル CoA(HMG-CoA)還元酵素を非競合的に 阻害する。
2 肝細胞膜表面の低密度リポタンパク質(LDL)受容体を増加させ、血中からの LDL コレステロール
取り込みを促進する。
3 血中トリグリセリド濃度には影響しない。
4 肝細胞以外で高密度リポタンパク質(HDL)受容体を増加させ、血中 HDL コ レステロールを低下さ
せる。
5 重大な副作用として、横紋筋融解症を引き起こすことが報告されている。
問 253(実務) この患者が、自宅で熱傷を負い緊急受診し、抗菌薬を投与されることとなった。
担当医師より抗菌薬の選択について問い合わせがあった。ピタバスタチンカルシウ ム錠との併用におい
て、薬物動態上、注意を要する抗菌薬はどれか。 つ 1 選べ。
1 レボフロキサシン水和物
2 クリンダマイシン塩酸塩
3 エリスロマイシンステアリン酸塩 4 セフカペンピボキシル塩酸塩
5 アジスロマイシン水和物
問 113
ヒトにおける脂肪酸の代謝に関する記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選 べ。
1 マロニル CoA は、アセチル CoA のカルボキシル化により生成する。
2 炭素数が奇数の脂肪酸が主に生合成される。
3 デサチュラーゼ(不飽和化酵素)による反応では、主にトランス型の不飽和脂 肪酸が生合成される。
4 オレイン酸からアラキドン酸が生合成される。
5 脂肪酸の β酸化では、アシル CoA が2炭素単位ずつ連続的に酸化分解される。
問題を解いてみました。
近年 食生活が欧米のようになりましたが、 日本人は
高カロリー
高脂肪食に体が急に
は適応できないので 血管の障害と動脈硬化がおこってます。 その為 予防の薬がたくさ
んつかわれるようになりました。 本を読むだけでなく。普段 服薬指導している患者さん
を思いだして 体の状態と薬の作用を考えれば理解がしやすいと思います。
体内での脂肪の合成
脂肪酸は生合成を受ける際に炭素数が 2 個ずつ増加していくため、基本的には炭素数が偶数
個の脂肪酸が大半を占めるが、α酸化を受けることによって炭素数が奇数個の脂肪酸が合成
されることもある。
ヒトを含む多くの生体内ではエネルギー源として好気的に代謝される(β酸化)。カルニチ
ンは体内においてはほとんどが筋肉細胞に存在しており、筋肉細胞内において脂肪酸をミト
コンドリア内部に運搬する役割を担う。ミトコンドリア内膜はアシル CoA を直接透過しない
ため、カルニチンが脂肪酸アシル運搬体の役割を果たす(動植物共通)。脂肪酸アシル CoA
はカルニチンと一時的に結合し、脂肪酸アシルカルニチンを生成する。この反応はミトコン
ドリア外膜に埋め込まれたカルニチンアシルトランスフェラーゼ I (carnitine
acyltransferase I) により触媒される。その後、脂肪酸はミトコンドリア内でβ酸化を受
け酢酸にまで分解されながら、生成したアセチル CoA はクエン酸回路を通じてエネルギーに
転換される。(ウィキペデイア引用)
下図より
脂肪が
軽い重量で
コンパクトに
心臓はエネルギーがたくさんいるので
高エネルギーが備蓄できる理由がわかります。
解剖図をみれば黄色の脂肪の衣装を着てます。
ステロイドホルモンの合成材料として脂肪がたくさんいるので
副腎皮質が脂肪のようでした。
メバロン酸経路の反応
ネズミの解剖をした時
合成された脂肪酸はキロミクロンで体全体にはこばれます。
キロミクロン(英: chylomicron、乳糜脂粒)またはカイロミクロンは、リポタンパク質粒
子であり、トリグリセリド(85-92%)
、リン脂質(6-12%)、コレステロール(1-3%)、タンパ
ク質(1-2%)で構成される[1]。キロミクロンは食物中の脂質を腸から体内のその他の場所へ
輸送する。脂肪およびコレステロールを血流の水性溶液中で移動できるようにするリポタン
パク質の 5 つの主要なグループ(キロミクロン、VLDL(英語版)、IDL(英語版)、
LDL (Low-density lipoprotein) 、HDL(英語版))の 1 つ
キロミクロンの構造
T(トリアシルグリセロール); C(コレステロール); 緑(リン脂質)を中に含む。
(上記ウィキペデイア引用)
体液の中にこのようなカプセルで油が運ばれております。
日本人は HDL が低いので 残った脂肪が HDL で掃除してもらえないので
やすいことがわかります。
動脈硬化が生じ
脂肪により脂質二重層が形成
細胞膜は通常脂質二重層と呼ばれる構造をつくっている。細胞膜を構成する主要な成分であ
るリン脂質には頭部と尾部があるが、頭部はコリン、リン酸からなり、親水性である。一方、
尾部は炭化水素からなり、疎水性である。そのため極性を持つ体液中では尾部を内側に、頭
部を外側にするようにリン脂質が二重の膜を形成する。これを脂質二重層と呼ぶ。細胞膜に
は、脂質の中に埋め込まれたり、脂質自体に結合した状態のタンパク質(膜タンパク質)が
存在し、さらにこの脂質や膜タンパク質には多くの場合糖鎖が結合している。(ウィキペデ
イア引用)
細胞膜で コレステロールがクサビのような役割をしています。スタチンにより コレステ
ロールの不足から細胞膜が弱くなり、横紋筋融解起こると思われます。破壊された時生じる
ミオグロビンによる腎不全が起きるおそれあり。
(筋肉中にあるミオグロビンというタンパク質が
尿中に出ることにより、尿が赤褐色を帯びるようになる。)
脂肪の側鎖に燐酸基が結合し マイナスにチャージしていることがわかります。 糸球体腎
炎で抗体がプラスにチャージしているため、糸球体が破壊されることがわかります。
また 細胞膜の重要な性質の 1 つとして、細胞膜を構成する脂質二重層の内部は疎水性であ
るということがあげられる。このため、イオンは細胞膜を介して自由に行き来することがで
きない。それで Na チャンネルなどにより 細胞膜内外の電荷の差を作って神経の伝達を
行ってます。
脳と神経が脂肪でできているのは、電気の伝達のためです。
HMG-CoA 還元酵素阻害薬の発見
1971 年、三共(現:第一三共)の発酵研究所に所属(当時)していた遠藤章のグループは、
HMG-CoA 還元酵素を阻害する物質の研究を開始した。HMG-CoA 還元酵素はメバロン酸の合成
に必要な酵素であり、メバロン酸は菌類の細胞膜・細胞骨格構成成分の重要な素材であるこ
とから、自己防衛手段としてこの酵素を阻害する物質を持つ微生物が存在するのではないか
と彼らは考えたのである[1]。1973 年、6,000 種に及ぶ微生物を検索した結果、遠藤らはアオ
カビの一種 から最初の HMG-CoA 還元酵素阻害薬であるメバスタチンを発見した[2]。彼らは
メバスタチンの構造や HMG-CoA 還元酵素を阻害するメカニズムについて解析すると共に、実
際に血中のコレステロール値を低下させることができるかどうかサルで実験 血中コレス
テロール値は 20-50%程度低下し、メバスタチンの効果を実証することに成功した
(ウィキペデイア引用)
メバロン酸経路を標的とした薬剤
メバロン酸経路に関わる薬剤としてはスタチンとビスホスホネートがある。 スタチンはメ
バロン酸経路の律速段階となっている HMG-CoA レダクターゼを競合的に阻害することによ
ってコレステロール合成を低下させる。 一方、ビスホスホネート(特にアミノビスホスホ
ネート)は破骨細胞に取り込まれるとメバロン酸経路の下流でタンパク質のプレニル化に関
わるファルネシルピロリン酸を合成する酵素(ファルネシルピロリン酸合成酵素)を阻害す
る。それにより GTPase のような細胞シグナルに関わるタンパク質の翻訳後修飾を阻害する
ことで破骨細胞のアポトーシスを誘導し骨代謝を抑制する。(ウィキペデイア引用)
体が CoQ10 を合成するときも、「HMG-CoA 還元酵素」が必要です。
スタチン剤は、コレステロールと同時に CoQ10 の生合成も抑制してします。
CoQ10 はミトコンドリアで ATP の利用にひつようであります。そのことで 副作用もでてお
ります。
甲状腺機能低下の方は LDL 受容体が少なくなっており よく スタチン服用されており
ます。
スタチン剤は、コレステロール低下作用以外にも、血管内皮の炎症を抑えるので 動脈硬化
をおこして狭くなったプラークを安定させます。安定化により 血栓ができにくくなります。
心筋梗塞の恐れのある方や
頸動脈が狭くなった患者さんが飲まれております。
問 206
解答 1、2
問 207
解答 1、4
問 252
解答 2、5
問 253
解答 3
問 113
解答
3、4
問 223
解答
5