高脂血症

高脂血症
治療方針
患者カテゴリー(A~C)
高脂血症の食事療法
HMG-CoA 還元酵素阻害薬(スタチン)
現在、日本では以下の5種類が使用可能。全高脂血症薬のシェアの90%を占める。
プラバスタチン(メバロチン)、シンバスタチン(リポバス)
フルバスタチン(ローコール)、アトルバスタチン(リピトール)
ピタスタチン(リバロ)
HMG-CoA 還元酵素阻害薬(スタチン)はLDLを強力に低下させる。
機序
①コレステロールの合成抑制
② LDL受容体の発現活性化
③血中からのLDL取り込み促進
・25%~40%のLDL低下作用
・2%~7%のHDL上昇作用
・5%~20%のTG低下作用
・動脈硬化抑制作用
(血管内皮細胞、血液凝固系、抗炎症作用・プラークの安定化)
HMG-CoA 還元酵素阻害薬(スタチン)の特徴
性質
LDL
低下率
TC
低下率
特徴
適応
プラバスタチン
(メバロチン)
水溶性
20~25%
15~20%
高い水溶性により副作用
少ない。エビデンス多い。
高齢者、腎機能
低下などハイリ
スク例。軽症例
シンバスタチン
(リポバス)
脂溶性
25~30%
20~25%
3番目に強い効果。
軽~中等症例
フルバスタチン
(ローコール)
脂溶性
25~30%
20%
抗酸化作用あり
糖尿病、
腎疾患例
アトルバスタチン
(リピトール)
脂溶性
40%
30%
強力なLDL低下作用。エ
ビデンス出てきている。
重症例、
家族性高コレス
テロール血症
ピタバスタチン
(リバロ)
脂溶性
40%
28%
強力なLDL低下とHDL上
昇作用。薬物相互作用の
可能性が少ない。
重症例、高齢者
コレステロールの生合成は夜間亢進すると
考えられるので夕投与のほうがよい
虚血性心疾患例での高脂血症治療
HMG-CoA 還元酵素阻害薬(スタチン)やフィブラート系による治療で、虚血性
心疾患の二次予防が明らかになった。
LDLを20%以上低下させる事で冠動脈病変の進展抑制を生じ、
心血管イベントの再発率、死亡率を低下させる。
虚血性心疾患の二次予防のためのスタチンによる治療では
脳卒中の予防効果も示されている。
目標のLDL値としては、LDLは下げれば下げるほど冠動脈疾患の再発予防
に効果的であるが、125mg/dℓ以上の場合にのみ抑制作用が見られる。
虚血性心疾患の予防のためには、高脂血症治療だけではダメ!
非糖尿病患者では、血糖値が110~144mg/dℓを超えると
心筋梗塞による死亡率が3.9倍となる
Lancet 355:773 2000
大規模臨床介入試験では、
Wos study
冠血管イベント抑制効果はLDL低下以外の要素が関連していることが判明。
LIPID(Long term Intervention with Pravastatin In Ischemic Disease)
CHD既往患者で平均的TC値患者でも、スタチン投与により、CHD関連死亡、総死亡率、非
致死性心筋梗塞、脳卒中が有意に抑制。
CARE(Cholesterol and Recurrent Events Trial)
TC240mg/dl以下のCHD既往者にスタチンを投与。 CHD再発率は-24%の有意な減少。
治療前LDL値は150以上で-35%、125~150で-26%、125未満で有意差なし。
MIRACL
ACS発症後4ヶ月の短期間に虚血の再発抑制効果があった。
AVERT
安定狭心症患者にアトルバスタチンを投与し平均LDL-Cを77mg/dL以下に低下させた
ところ,PTCA群に比べ投与群で心血管イベントの発症率が36%低下した。
REVERSAL試験
アトルバスタチンによる積極的な脂質低下療法で動脈プラークの進展が停止。
(冠血管内エコー検査による評価)
以上からスタチンの動脈硬化抑制作用が示されている