認知症 の コホ ー ト研究 二 一― 久 山町研究 一 清原 裕 抄 録 の の 1.福 岡県久 山町 認知症疫学研究 成績では,2000年 代 にはい り認知症, とくにアルツハ イマー 病 (AD)の 有病率が人 口の高齢化 を超 えて上昇 した . 2.久 山町における追跡調査 では,高 血圧 は血管性認知症 (VaD)発 症 の,糖 尿病 は AD発 症 の危険 因子 であつた。 3.運 動 は ADお よび VaDの リスクを有意に減少 させることが報告 されてい る 4.野 菜が豊富 な日本食に乳製品を加 えた食事パ ター ンは認知症の リスクを低減 させた。 . Key words:久 山町研究,血 管性認知症,ア ルツ八イマー病,危 険因子,防 御因子 福 岡県久山町では,長 年 にわた り精度 の高 い生 活習慣病 の疫学調査 (久 山町研究)が 行 われてい は じめ に わが国では,高 齢人 口の増加 とともに認知症患 る。本稿 では,久 山町研究 の一環 として行 われて 者 の数が急増 してい る.厚 生労働省 が行 った全 国 い る認知症 の コホー ト研究 の成績 よ り,地 域住民 調査 の成績 に よれ ば,2012年 の 時点 で 認知症 高 齢者 の数 は 462万 人に達 してい ると推計 されてい における高齢者認知症 の有病率 の時代的推移 を明 らかに し,次 いでその危険因子 ・ 防御因子 につい る.認 知症 の原因はさまざまであるが,最 も頻度 て検討す る。 の 高 い ア ル ツハ イ マ ー 病 (Alzheimer's disease; AD)を は じめ として,そ の多 くの病型 は成 因が い まだ十分 に解明 されてお らず,治 療法 も確立 さ I.久 山町研 究 とは 福 岡県 久 山 町 は福 岡市 の 東 に接 す る人 口 約 防 しその社会的負担 を軽減す る うえで, コホー ト 8,400人 の 比 較 的小 さな町 で あ る.こ の 町 の 年 齢 ・職業構 成 は,1961年 の調査 開始時か ら現在 研究 を主体 とした疫学調査 によって一般住民 にお ける認知症 の実態 を把握 し,そ の危険因子 。防御 まで 日本 の平均 レベ ルで推移 してい る.ま た,住 民 の栄養摂取状況 も国民健康 ・栄養調査 の成績 と 因子 を明 らかにす ることが有効 である.し か し よ く一致 してお り,現 在 に至 ってい る。つ ま り 認知症 はこれ まで社会的にあま り注 目されてい な 久山町住民 は 日本人 の標準的なサ ンプル集団 とい かった疾患であった こともあ り,精 度 の高 い認知 える れてい ない.こ の よ うな現状 の なかで認知症 を予 , 症 の疫学調査 はわが 国のみ な らず世界的 にみて も 数が少 ない。 Yutaka Kiyohara:九 州大学大学院医学研究院環境医学 〒 812-8582 福 岡県福 岡市東区馬出 3-1-1 , . 久 山町研究は,脳 卒中の実態調査 として始 まっ た疫学調査 であるが,現 在 では多 くの生活習慣病 を研 究対象 と して い る.そ の なか で,こ れ まで 1985年 ,1992年 ,1998年 ,2005年 ,2012年 の 老年精神 医学雑誌 表 1 認知症 の病型別有病率の時代的変化 (久 第 26巻 増刊号 ―1 2015。 3 山町 4集 団,65歳 以上) 調査年 1985年 1992年 =887) (η =1,189) (η ︱ 全認知症 例数 粗有病率 (%) 性 0年 齢調整有病率 血管性認知症 例数 粗有病率 (%) 性 ・年齢調整有病率 アルツハ イマー病 例数 粗有病率 (%) 性 0年 齢調整有病率 その他 ・病型不明 例数 粗有病率 (%) 性 ・ 年齢調整有病率 68 (%) 21 (%) 2005年 (η 傾 向性 ρ =1,566) 102 5。 7 7.1 4。 4 5.3 22 0.002 51 2.4 1.9 3.3 2.3 1.5 2.5 12 (%) 1998年 (%=1,437) 96 21 1.4 1.8 6.1 1.1 1.3 3.8 <0.001 (%) tute of Neurological and Corrmunicative Disorders の有病率調査 も行 った.各 調査 の受診率 はそれぞ and Stroke and the Alzheimer's Disease and Relat― れ 95%(受 診 者 887人 ),97%(1,189人 ),99% ed Disorders Associttion(NINCDS― 計 5回 ,65歳 以上 の全 住民 を対 象 と した認知症 ADRDA)の (1,437人 ),92%(1,566人 ),94%(1904人 )と 診断基準 Dを ,血 管性認知症 (Ⅶ scultt dementia; いずれ も高 く,こ の調査 は認知症 の悉皆調査 とい える.す べ ての調査 はほぼ同一の 2段 階方式 の調 VaD)の 診 断 は National 査法 によって行 われ,第 nale pour la Recherche et l'Enseignerrlent en Neu― 1段 階のスクリーニ ング 調査 では各対象者 を直接面接 し,長 谷川式簡易知 能評価 ス ケ ール (HDS)や Mini一 Mental Sttte Ex― 田面威 ion(MMSE)な どの 神 経 心 理 テ ス トを用 いて 知 的 レベ ル を評価 した 。.認 知症 が疑 われ る ︱ ︱ 者 に対 して 2次 調査 を行 い ,家 族 ・ 主治 医か らの 病 歴 聴 取 と神 経 0理 学 的 所 見 よ り,Diagnostic and Statistica1 1旺 anual of l唖 ental Disorders,Third Edition(DSM一 Ⅲ)あ るいはDSM― Ⅲ Re宙 sed(DSM― Ⅲ― R)に よって認知症 の 有無 ,重 症 度,病 型 を 判定 した.さ らに,こ の有病率調査 を受診 した者 lnstitute of Neurological Disorders and Stroke and Association lnternatio― rosciences(NINDS― AIREN)の の 診 断 基 準 を,レ ビー小体 型認知症 (dementia with Lewy bodies; DLB)の 診 断 は DLB国 際 ワー クシ ヨップ第 3回 報告 の改訂版 コンセ ンサ スガイ ドライ ン のをそれ ぞれ用 いてい る.こ の疫学調査 はわが国を代表す る本格的な認知症 の長期 コホー ト研究 である . Ⅱ.認 知症 有病 率 の 時代 的推 移 久 山町研 究 で は,こ れ まで 1985∼ 2005年 まで の認知症有病率 の時代的推移 を報告 してい る.そ を全員追跡 し (追 跡率 99%以 上),非 認知症例 に ついては認知症 の発症率お よび危険因子 ・ 防御 因 の成績 によれば,全 認知症 の粗 有病率 は 1985年 子 を明 らかにす るとともに,認 知症例 については 病型 の再評価お よび予後 を検討 してい る よつ した が,そ の 後 1998年 の 7.1%か ら 2005年 の . 追跡調査 にお け る ADの 診 断 は Nttional lnsti― の 6.7%か ら 1992年 の 5。 7%に やや減少傾 向 を示 12.5%ま で有意 に上昇 した (表 1)。 .直 近 の 2012 年 の調査 では,そ の有病率 はさらに 17.9%ま で増 1 アルツハ イマー病 血管性認知症 1 1 1 り <0。 05 p<0.01 vs。 正常耐糖能 *す 発症率 発症率 (235) (155) IFG IGT 糖尿病 (%) (559) (73) (235) Itt IFG IGT 団櫛 0 (73) 耐糖 能 レベ ル 耐糖 能 レベ ル IFG;空 腹時血糖異常,IGT;耐 糖能異常 図 1 耐糖能 レベル 別 (WHO基 準 )に み た病 型別認知症 の発症率 ∼2003年 ,性 0年 齢調整 (久 山町男女 1,017人 ,60歳 以上,1988 ) 加 した.つ ま り,最 近 の高齢者 では 5.6人 に 1` 人 が認知症 を有す るとい える.性 。年齢調整後 の全 見 は一定 してい ない.そ こで 日本人における両者 認知症 の有病率 も同様 の傾向を示 した.し たがっ の健診 で 75g経 口糖負荷試験 を受 けた集団の う ち,認 知症 の な い 60歳 以上 の 高齢住 民 1,022人 の 関係 を明 らか にす るため に,1988年 の久 山町 て,認 知症有病率 は人口の高齢化 を超 えて (年 齢 調整 して も)上 昇 してい ると考 え られる . 認知症 の病 型 別 にみ る と,VaDの 粗 有病 率 は 1985年 2.4%,1992年 1.9%,1998年 2005年 3.3%,2012年 3。 1。 7%, を 15年 間追跡 した成績 で,追 跡 開始時 の耐糖 能 レベ ル (WHO〈 世界保健機 関〉基準 )と 認知症 発症率 との 関係 を性 。年齢調整 して検討 した . 0%と 大 き な 変 化 は な そ の結果,VaDお よび ADの 発症率 は耐糖能 レ かった.一 方,ADの 粗有病率 は 1985年 の 1.4% ベ ルの悪化 とともに上昇 し,VaD発 症率 はす でに か ら 2005年 の 6.1%に 上 昇 して 2012年 には 12.3 %と な り,こ の 間約 9倍 有意 に増 えた.そ の他 の 耐糖能異常 (imp江 red glucose tolerance;IGT)の レベ ルか ら,AD発 症率 は糖尿病 レベ ルで有意 に 原因に よるもの と病型不明 を合 わせた認知症の有 病率 はVaDと 同 じパ ター ンを呈 してい た.つ ま り .多 変量解析 で他 の危険因子 を 調整す る と,耐 糖 能 レベ ル と VaDの 発症 リス ク 時代 とともに増加 してい るのは ADの み といえる との 間の有意 な関係 は消失 したが,ADの リス ク は糖尿病 レベ ルで 2.1倍 有意 に高かった.つ ま り , . Ⅲ.認 知 症 の危 険 因子 お よび防御 因子 高か った (図 1)の , 糖尿病 ДGTは ,主 に高血圧 な ど合 併す る他 の危 防につ な ぐために,久 山町 の コホー ト研究 にお い 険因子 を介 して VaDの リス クを上昇 させ るの に 対 して,ADと は独立 した有意 な関係 にある とい て高齢者認知症 の危険因子 お よび防御 因子 を検討 える.近 年,わ が国では糖尿病が急増 してい るが した それが認知症 , と くに ADの 有病率 上昇 の背景 に 1.糖 代謝異常 近年,海 外 の追跡研究 よ り糖尿病 と認知症 との ある ことが うかがえる それではどの血糖 レベ ルか ら認知症の リスクは 関係 を検討 した成績が報告 されてい るが,そ の知 上昇す るのであろ うか.こ の問題 を明 らかにす る わが国の認知症の要因を明 らかに してそれを予 . , . 老年精神 医学雑誌 表2 血糖 レベル別 にみた認 知症発症 の ハ ザ ー ド比 第 26巻 増刊号 ―1 2015.3 山町男女 1,017人 ,60歳 以上 (久 , 75g経 口糖負荷試験施行,1988∼ 2003年 ,多 変量調整 ) 血糖 レベ ル アルツハ イマー病 血管性認知症 (mg/dι ) ハ ザ ー ド比 空腹 時血糖 レベ ル ≦ 99 ハ ザ ー ド比 ρ値 1.00(対 照 ) ρ値 1.00(対 照 ) 100∼ 109 1.19 1.11 0。 68 110-125 1.48 0。 99 0。 72 ≧ 126 糖 負荷 後 傾 向性 ρ=0.49 1.41 傾 向性 p=0.58 1.00(対 照 ) 1.00(対 照 ) 0.99 0.32 2時 間血糖 レベ ル ≦ 119 120-139 140-199 1.38 ≧ 200 2.66 1.49 1.14 1.87 3.42 傾向性 p<0.001 傾 向性 ρ=0.02 0。 17 0.02 <0.001 調整因子 :性 ,年 齢 ,学 歴 ,高 血圧 ,脳 卒中既往歴 ,心 電図異常 (左 室肥大,ST低 下,心 房細動),BMI,腹 囲 /腰 囲比,血 清総 コレス テ ロール,喫 煙 ,飲 酒,余 暇時の運動 ために,認 知症 の発症 リスクが上昇 す る血糖 レベ 2.高 血圧 ル を検証 した.上 記 の集団を空腹時血糖値 と糖負 海外 の追跡研究では,老 年期 の高血圧が AD発 荷後 2時 間血糖値 の レベ ルでそれぞれ 4群 に分 け 症 の リス クを高 めるとい う成績 はほ とん ど見当た て認知症発症 のハ ザ ー ド比 を他の危険因子 を調整 して求めた.そ の成績 によると,空 腹時血糖 レベ らないが,中 年期 の高血圧 と老年期 の AD発 症 の リスクの 間 に有意 な関係があるとす る報告が わず ル と VaDお よび AD発 症 との 間 に明 らか な関連 かなが ら存在す る.ま た,老 年期 お よび中年期高 は認めなか った (表 2)つ .一 方,両 病型 の発症 リ 血圧 と VaDの 関係 をみた成 績 も意外 と少 ない スクは糖負荷後 2時 間血糖 レベ ルの上昇 とともに この問題 を日本人で検証 す るために,久 山町にお 増加 し,糖 負荷後 2時 間血糖 値 120 mg/dι 未満 の レベ ル に比 べ て,VaDの 発症 リス クは 200 mg/dι ける追跡研究 の成績 よ り,老 年期お よび中年期血 圧 レベ ル と老 年期 の認知症発症 との 関係 を検討 し 以上 の糖尿病 レベ ルで,ADの 発症 リス クは 140 ∼199 mg/dι の IGTレ ベ ルか ら有意 に高か った た.1988年 に設定 した集 団 の うち 65∼ 79歳 の対 象者 668人 について,追 跡開始時 (老 年期 )の 血 つ ま り,VaDに 比べ て, よ り低 い血糖 レベ ルか ら 圧 レベ ル (The Seventh Report of the Joint Na― ADの リス クが上 昇 し始める と考 え られる.糖 負 荷後 2時 間血糖値 は,食 後高血糖 によって引 き起 tiond Co― ittee(JNC― Ⅶ〉,ア メ リカ高血 圧 合 同委 員 会 の 第 7次 報 告 書),Uに 追 跡 17年 間 の こされる酸化 ス トレスや イ ンス リ ン抵抗性 の よい VaDお よび AD発 症 のハ ザ ー ド比 を求めた 指標 であ り,動 脈硬化 と密接 に関連す るとい われ 他 の危険因子 を調整 した多変量解析 では,VaD 発症 のハ ザ ー ド比 は老 年期 血圧 レベ ルの上昇 とと . てい るが,認 知症発症 において も重要な役割 を演 じているとい えよう . 高血糖や糖尿病 は,脳 動脈硬化 の進展や微小血 管病変の形成,糖 毒性 による酸化ス トレスの増大 や終末糖化産物 の産生,さ らにはイ ンス リン代謝 の障害な どさまざまな機序 を介 して VaDお よび ADの 発症 にかかわると考 えられている . . . もに高 くな り,正 常 血 圧 (<120/80-g)に 対 して ス テ ー ジ 1高 血 圧 症 (140∼ 159/90∼ 99 -Hg)の 血圧 レベ ル か ら有 意差 が認 め られた また,こ の集団が 15年 前 の健診 を受診 した際の血圧値 (中 年期 血圧 レベ ル)の 上昇 も老 (図 2)0。 年期 にお け る認知症発症 の有意 な危険因子 であっ アルツハ イマー病 血管性 認知症 枷圧 考1:盟 、正 囲 老年期 ■ 中年期 8.0 8.0 6.0 掌 掌 6.0 1 1 ド 比 4.0 ド 比 4.0 2.0 2.0 0.0 0.0 (%)(106)(122) (227)(185) (200)(153) ステー ジ 1 正常 高血圧 血圧 前症 高血圧症 (135)(74) ステー ジ2 高血圧症 (η )(106)(122) (227)(185) (200)(153) (135)(74) ステージ 1 ステー ジ2 正常 高血圧 血圧 高血圧症 前症 高血圧症 血圧 レベ ル 血圧 レベ ル 老年期 ;1988∼ 2005年 ,久 山町男女 668人 ,65∼ 79歳 ,中 年期 ;1973∼ 2005年 ,534人 調整因子 ;性 ,年 齢,学 歴,降 圧薬服用,糖 尿病,血 清総 コL/ス テロール,BMI,慢 性腎臓病,脳 卒中既往歴,喫 煙,飲 酒 図2 老年期お よび中年期血圧 レベル別 にみた認知症発症 のハ ザ ー ド比 たが,そ の リスクは老年期血圧 レベ ルよ り急峻 に 上昇 した.し か し,中 年期お よび老年期血圧 レベ ル と AD発 症 の 間には明 らかな関連 は認 めなかっ た . (多 変量調整) 4.食 事性因子 近年,地 中海式食事法 (オ リー ブオイル,穀 物 野菜 ,果 物 ,ナ ッツ,豆,魚 ,鶏 肉を中心 とした 食事 に少量のワイ ン)は ,ADの リス クを 40%ほ , つ ま り,老 年期 のみ な らず中年期 の高血圧 は老 ど減少 させ るとい う海外 の追跡研究 の成績がわず 年期 にお け る VaD発 症 の危 険因子 であ り,中 年 かなが ら散見 される.し か し,食 文化 はそれぞれ 期 か らの厳格 な高血圧管理が老年期 の VaD発 症 の民族や国に よって違 いがあ り,有 益 とされる海 を防 ぐうえで きわめて重要 とい える 外 の食生活 をそのままわが国に持 ち込む ことはな . 3。 か なかで きな い.そ こで,1988年 に久 山町 の健 運動 久 山町研 究 は,1995年 に世 界 に先駆 け て,余 暇時あ るい は仕事 中の運動が AD発 症 の リスクを 診 で食事調査 を受 けた認 知症 の ない 60∼ 80歳 の 1,006人 を対 象 とした追跡研 究 にお い て,わ が国 低下 させ ることを報告 した (ハ ザ ー ド比 0。 2)。 の地域住民が有す るさまざまな食事パ ター ンの な . その後,海 外 の追跡研究で この成績が検証 され , かで認知症発症 に影響 を与 えるものを検討 した . 今 日運動が認知症 の有意な防御 因子 であることは は じめに追跡開始時 の食事調査 にお いて,こ れ 定説 となってい る.最 近 のメタ解析 よ り,運 動 は まで認知症 と関係があ ると報告 されてい る栄養素 と関連す る食事 パ ター ンを縮小 ラ ンク回帰法 によ ADの リス クを 45%減 少 させ ることが報告 されて お りの,VaDに つ い て も同様 の 成績 が認 め られ る 。.今 後 ,認 知症予 防に最 も効果的な運動 の種 類や量 を明 らかに してい く必要があ る . り抽出 した.そ の結果,求 め られたい くつ かの食 事パ ター ンの うち,大 豆 ・大豆製品,緑 黄色野菜 , 淡色野菜 ,海 藻類 ,牛 乳 ・乳製品の摂取量が多 く 米 の摂取量が少 ない とい う食事 パ ター ンが,認 知 , 老年精神医学雑誌 り <0.05 vs。 第 26巻 増刊号 ―1 2015。 3 上昇 と密接 な関連が認め られた.時 代 とともに認 第 1分 位 知症 , と くに ADの 有病率が着実 に上昇 してお り 1.0 , 糖代謝異常 の増加がその要因であることが示唆 さ ザ れ る.認 知症 を予 防す るには,高 血圧 の 早期発 見・早期管理 を徹底す るとともに,増 え続 け る糖 1 ド 0。 5 比 尿病 を含 む糖代謝異常 を適切 に管理・予防す るこ とが重 要な課題 になった とい える.久 山町研究は 0 (π )(270) (270) (271) (270) 運動や食事性 因子 な ど認知症 の リス クを減 らす生 活習慣 について も明 らかに して きたが,今 後 日本 人 の認知症 の危険因子 0防 御 因子 の全体像が よ り 第 1分 位 第 2分 位 第 3分 位 第 4分 位 食事 パ ター ンス コア レベ ル 調整因子 :性 ,年 齢,教 育歴,高 血圧,糖 尿病,血 清総 コレス テ ロール,BMI,脳 卒中既往歴,喫 煙 運動,エ ネルギー摂取量 明確 になると,超 高齢社会 を迎 えたわが国がかか える認知症 の負担 の軽減 につ なが ると期待 される。 , 図3 食事 パ ター ン レベル別 にみた全認知症発 症 の ハ ザ ー ド比 (久 山町男女 1,006人 ,60 ∼80歳 ,1988∼ 2005年 ,多 変量調整 文 ) 献 1)Aarsl狙 dD,Sardahaee FS,Anderssen S,Banard 症に関連する可能性 のある栄養素 と最 も強い相関 を示 した O.こ の食事パ ターンには,果 物・果物 ジュース,イ モ類,魚 の摂取量が多 く,酒 の摂取 量が少ないとい う傾向もみられた ew grOup: C;Alzheimer's Society Systematic Re宙 Is physical activity a potential preventive factor for vascultt dementia?;A systemttic re宙 ewヵ ― ι ん,14:386-395(2010)。 じ ηg Mcγ 死月しαι 2)Hmer M,Chida Y:Physical acti宙 ty ttld五 sk of . ew 次に,こ の食事パ ターンのス コアで対象者 を 4 等分 して 15年 間追跡 し,認 知症発症に対す る影 neurodegenerative disease ;A systematic re宙 響を多変量解析 で他 の危険因子を調整 して検討 し た.そ の結果,こ れらの食品を多 く摂取 している Mttsui x ttzaki L Arima H,Yonemoto K,et al.: ︱ ﹂ ﹂ 群ほど全認知症 の発症 リスクが有意 に低 かった (図 3)の .病 型別にみると,こ の関係 は VaDお よ E ■ び ADで も認められた . E F 減 らす とよい食品 となった米を単品でみると , F F I I その摂取量 と認知症発症 との間に明 らかな関連は 認めなかった。一定の摂取 カロリーのなかで,米 I l l ﹂ E F はん)の 摂取量が多 いほど予防効果がある他 の食品 (お かず)の 量が減ってしまうので,こ の よ うなパ ター ンが 出た もの と思 われ る.主 食 (ご 卜 , 偏 らず,上 記 の主 菜・副菜 を しっか り 摂 ってバ ランスのよい食事を心がけることが認知 (米 )に 症のリスクを減 らすうえで有効 と考 えられる . of prospective e宙 dence.Psν οんOι Mcα ,39:3-11 (2009). Incidence and survival of dementia in a general populttion of Japanese elderly;The Hisayalrla Study J AO%γ οιハしπγοsaη Psν θんじ γ αι ッ,80:366370(2009). McKeith IG,Dickson Dw,Lowe」 ,Emre M,et al.: Diagnosis and rrlanagement of dementia wlth Lewy bodies;Third report ofthe DLB consortiumo Nea― γOι Ogυ ,65:1863-1872(2005)。 5)McKharln G,Drachnan D,Folstein M,Katzman R, et al.: Chnical diagnosis Of Alzheimer's disease ; Report ofthe NINCDS― ADRDA Work Group under the auspices of Departrrlent of Health and Hurn狙 Servlces Task Force on Alzhellner's Disease.ル 6)Ninomiya■ Ohara T,Hirakawa x Yoshida D,et al.: ⅣIidlife and late― life blood pressure and dementia in Japanese elderly;The Hisayarrla Study。 おわ りに 久山町 の認知症 の疫学調査 では,糖 尿病 ДGT は主 に D発 症 の,高 血圧 は VaD発 症 の リスク a― ηι ∞ ν,34:939-944(1984)。 月lνpθ 件 θηsじ οπ,58:22-28(2011)。 ι 7)Ohara■ Doi x Ninomiya■ Hirakawa x et al.:Glu― cose tolerance status and risk of dementia lrl the coΠ Inttty;The Hisayama Studyル %γ οι Ogν ,77: Sekita A,Ninonuya■ 1126-1134(2011)。 8)Ozawa M,NinorЩ ya■ Ohtta■ J Hisayttma Study.五 θι α Psνοんじ αι γSο απα, 122 : 319-325(2010). 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