PDFファイル - Med

平成27年9月5日
第12回日本乳癌学会中部地方会
Ⅱ 教育セミナー
「診断部門」
富山県立中央病院
外 科
:前田基一
病理診断科:石澤 伸
単発あるいは多発する
小腫瘤に対するアプローチ
単発あるいは多発する小腫瘤の超音波
精査を進めるべきか?
経過観察でよいか?
放置でよいか?
症 例1
46歳 女性
既往歴:なし
家族歴:乳癌・卵巣癌なし、その他なし
主 訴:左血性乳頭分泌
現病歴:数か月前より左血性乳頭分泌を認めるよう
になり近医を受診した。検査で乳房内に腫瘤陰
影を指摘。乳頭分泌の細胞診、穿刺吸引細胞診
で明らかな悪性所見がなく経過観察となっていた
が、血性分泌が持続するため、当科を受診した。
視・触診:両側乳房内に明らかな腫瘤は触知しない。
腋窩リンパ節:触知せず
マンモグラフィ
症例1
マンモグラフィ
症例1
マンモグラフィ所見
症例1
右:カテゴリー1
左:カテゴリー3,4 左乳輪近傍の脂肪組織内に小腫瘤陰
影と構築の乱れあり
乳腺内には明らかな所見はなし
超音波検査 1
症例1
超音波検査 2
症例1
超音波検査 3 (当院)
症例1
超音波検査所見
症例1
・左C領域、E領域に低エコーの小腫瘤を認める。
周囲に細いが乳管拡張が目立つ。
6.3×5.1×3.9mm、円形、境界明瞭平滑、後方エコー不変
6.4×5.9×4.4mm、楕円形、境界明瞭平滑、後方エコー不変
・左乳腺EC領域に、低エコー域、乳管拡張、小腫瘤が集
蔟したような所見あり、ブドウの房状である。
MRI検査 1
T1強調像
症例1
MRI検査 2
脂肪抑制T2強調像
症例1
MRI検査 3
Dynamic Pre
Dynamic Early
Dynamic
Dynamic Delay
症例1
MRI検査 4
症例1
MRI検査 5
MIP画像
症例1
MRI検査所見
症例1
左C領域を中心に、AC、E領域にかけて小結節状の濃染が区域性に広がっている。
①T1強調像では、左C領域に背景乳腺よりもやや低信号を呈する。
②脂肪抑制T2強調像では、背景乳腺とほぼ等信号で、内部に小結節状、管状の高信号域を伴う。
このT2強調像高信号域は拡張した乳管を反映している可能性がある。
③造影では、漸増性に増強されており、後期相ではリング状の増強効果が複数集蔟している。
Clumpedおよびclustered ring enhancementである。DCISを疑う。乳頭直下や乳頭にも小結節状の染
まりが連続している。
造影前では病変内部に管状の高信号域があり、血性乳汁を伴う乳管と思われる。
診断:左CからAC、E領域に広がるDCISを疑う病変
CT検査
症例1
CT検査所見
症例1
<乳房>
左CAE領域に、ダイナミックの早期相で点状から斑状の
増強領域が多発している。
<腋窩~傍胸骨>
病的なリンパ節腫大を認めない。
診断:左CAE領域の乳癌。広範に乳管内進展が広がって
いる。
乳汁分泌細胞診
紹介医にて
症例1
穿刺吸引細胞診
紹介医にて
症例1
乳汁分泌と穿刺吸引細胞診の所見
症例1
判定:鑑別困難
クラス:Class Ⅲ
細胞診断:Intraductal papillary lesion疑い
細胞所見:多くの泡沫細胞を認める背景に、小集塊
で出現する腺細胞を認める。細胞は類円形、細胞質
は泡沫状、核は類円形で腫大、クロマチンは軽度増
量がみられる。
症 例 2
51歳 女性
既往歴:慢性腎不全(透析中)、腎性貧血、異型
狭心症、高血圧
家族歴:乳癌・卵巣癌なし、祖母:癌(詳細不明)
主訴:検診異常
視・触診:両側乳房内に明らかな腫瘤は触知し
ない。
腋窩リンパ節:触知せず
マンモグラフィ
症例2
マンモグラフィ
症例2
マンモグラフィ所見
右:カテゴリー3
左:カテゴリー1
症例2
MLO-L、CC-IO領域にFADを認める。一部
は撮影範囲外に位置しているようにみえる。
超音波検査 1
症例2
超音波検査 2
症例2
超音波検査 3
症例2
超音波検査 4
症例2
超音波検査所見
症例2
左BD領域、AB領域に低エコーの多発する小腫瘤を認める。
8.6×7.5×7.1mm、分葉形、境界明瞭平滑、
後方エコー不変~やや増強、血流あり
10.6×9.5×6.5mm、楕円形、境界明瞭平滑、
後方エコーやや増強、血流あり
7.2×7.1×4.9mm、楕円形、境界明瞭平滑、
後方エコーやや増強、血流なし
CT検査
症例2
CT検査所見
症例2
<乳房>
右乳腺A領域やBD領域に、複数の結節病変を認める。
いずれも胸壁への浸潤は認めない。
A領域の結節は造影が乏しく、小嚢胞の可能性もある。
<腋窩~傍胸骨>
病的なリンパ節腫大を認めない。
診断:右A領域からBD領域の多発結節。明らかな悪性所見
はなし。
精査を進めるべきか、経過観察でよいか
精査を進めるとすれば、
次の検査は何を行うか?
症例1
針生検
症例1
症例1
Calponin
症例1
症例1
calponin
CK5/6 + p63
ER
CK5/6+p63
症例1
生検所見
症例1
• low to intermediate grade DCIS
• Intraductal papillary lesions, Papilloma with DCIS
要素を含む
– 乳頭状増殖上皮
•
•
•
•
•
•
•
ER びまん強陽性
CK5/6 陽性細胞の介在なし(一部 p63 が陽性)
乳頭間質には筋上皮細胞を伴う
小型の intraductal papilloma が存在
乳頭状腫瘍の外側の乳管上皮には非 DCIS 成分あり
通常型 DCIS 成分も認められる
PgR 陽性、MIB1 LI 11%
臨床診断
症例1
左乳癌 TisN0M0 Stage0
左乳房CAEに広く広がる乳管内乳頭状病変を
ベースにしたDCIS、papilloma with DCIS
手 術
左胸筋温存乳房切除術+センチネルリンパ節生検
センチネルリンパ節2コに転移なし
乳房再建術、組織拡張期留置
症例1
ルーペ像
症例1
症例1
Calponin
症例1
腫瘍範囲
症例1
病理所見
症例1
• 管内乳頭状増殖の目立つ広範囲の非浸潤性乳
管癌(DCIS), Iow grade to intermediate grade
– 管内に血管結合織を軸とした乳頭状増殖が多発
• 直径2mm程度以上の胞巣の多くがこの乳頭状増殖病変
• 乳頭状間質に筋上皮は保たれる
– 通常型DCIS
• 辺縁や小型のものは通常型のDCISを呈する
• WHO分類では下記に相当
– Intraductal papillary lesions, Papilloma with DCIS
症例2
針生検
症例2
症例2
症例2
CK5/6 + p63
ER; PgR
症例2
生検所見
症例2
• Intraductal papillary lesions
– Papilloma with DCIS
– Encapsulated (encysted) papillary carcinoma, noninvasive
– 乳頭状増殖上皮
•
•
•
•
•
ER, PgR びまん強陽性
CK5/6 増殖細胞は陰性、嚢胞表面のごく一部陽性細胞あり
乳頭間質には筋上皮細胞を伴う
通常型 DCIS 成分も認められる
MIB1 LI 4%
臨床診断
症例2
右乳癌 TisN0M0 Stage0
右乳房BDの乳管内乳頭状病変をベースにした
papilloma with DCISあるいはEncapsulated
(encysted) papillary carcinoma
手 術
右胸筋温存乳房切除術のみ
症例2
乳頭内側の腫瘤陰影は、結局嚢胞であった。
症例2
症例2
症例2
症例2
近傍 low grade DCIS
症例2
近傍 low grade DCIS
症例2
p63
症例2
p63
症例2
CK5/6
症例2
症例2
対象病変
病理所見
症例2
• 非浸潤性管内乳頭状増殖からなる結節と周囲
の非浸潤性乳管癌(DCIS)
– 筋上皮が保たれ血管結合織を軸とした乳頭状増殖
による腫瘤
• 明かな浸潤や腫瘤周囲の筋上皮の消失は見られない
• Iow grade to intermediate grade
• 辺縁には通常型 low grade DCIS の広がりがある
• WHO分類では下記に相当
– Encapsulated papillary carcinoma
• 対象の病変以外にC領域に乳頭状病変を伴う Iow grade to
intermediate grade DCIS が認められる。連続性は確認出来なかっ
たが 同一病変の可能性は残る (“sick lobe theory”)
単発あるいは多発する小腫瘤の超音波
精査を進めるべきか?
経過観察でよいか?
放置でよいか?
超音波画像による腫瘤の特徴所見からの診断
a. 嚢胞性パターン(無エコー)の腫瘤
b. 混合性パターンを示す腫瘤
1) 嚢胞内腫瘤
液面形成のみのもの
2) 液状部分を有する充実性腫瘤
c. 充実性腫瘤の診断
1) 境界の性状による診断
・境界明瞭平滑な腫瘤
・境界明瞭粗糙な腫瘤
・境界不明瞭な腫瘤
2) 点状・粗大高エコーを含む腫瘤
3) 後方エコーによる診断
・後方エコーの増強する腫瘤
・後方エコーの不変な腫瘤
・後方エコーの減弱する腫瘤
4) 内部エコーの強さによる診断
・低エコー腫瘤
・高エコー腫瘤
嚢胞か充実性腫瘤かの診断には、カラードプラによる血流シグナルの有無が有効なことが
ある。ただし、血流がないから直ちに嚢胞と診断はできない。
境界明瞭平滑な腫瘤の診断
良性
悪性
楕円形でD/Wが小
円形または楕円形
でD/Wが大
分葉形
線維腺腫
嚢胞
脂肪腫
過誤腫
腺症
リンパ節
線維腺腫
乳管内乳頭腫
濃縮嚢胞
嚢胞
葉状腫瘍(良性)
腺症
葉状腫瘍(良性)
線維腺腫
嚢胞
脂肪腫
過誤腫
腺症
粘液癌
充実腺管癌
非浸潤性乳管癌
葉状腫瘍(良性)
粘液癌
充実腺管癌
非浸潤性乳管癌
葉状腫瘍(悪性)
放置でよい
経過観察?
確認はしておこう
精査を進めるべき
悪性を疑って精査を進めるべき
乳頭腫とその関連病変の超音波所見
良性・悪性の鑑別は、画像上は困難!
乳腺腫瘤に対する超音波ガイド下穿刺法の比較
穿刺吸引細胞診
針生検
吸引式組織生検
切開生検
原理
細い針で注射筒で吸引
内筒の溝に組織を取り
込み、外筒で切除
外筒に溝があり、吸引により
組織を取り込み、内筒を回
転させながら切除
手術
検体
主に細胞集団
組織
組織
組織
針の大きさ
21~23G
14~18G
8~14G
所要時間(準備、止血、
5~15分
片づけも含む)
10~20分
エコーガイド30分
30~60分
簡便性
容易
困難
侵襲度
小
大
長所
最も簡便、低侵襲
組織採取法として最も簡
便
一度の穿刺で多くの組織を
採取可
採取組織の変形、挫滅が少
ない
良性腫瘍の切除も可
多くの組織を余裕をもって採
取可
組織の変形、挫滅が最も少な
い
診断と治療を兼ねることもあ
る
最終診断としての意義をもつ
短所
組織型により採取量が
少なくなりやすい
細胞診検査士や病理医
の診断能力に大きく依存
しばしば複数回の穿刺を
必要とする
採取組織の変形・挫滅を
きたすことがある
器具、準備がやや大がかり
後出血の危険性がやや増加
皮膚に接近する病変は不向
き
手技の特殊なトレーニング
が必要(熟練を要す)
最も侵襲が大きく、時間を要
する
創部の回復に時間を要する
瘢痕が乳房撮影での経過観
察の障害となることがある
悪性の場合再手術が必要と
なることがある
穿刺吸引細胞診は局所麻酔が不要で検査時間が短く、
合併症がほとんどなく、手技が簡便である、反復して施
行ができるという大きな利点がある。
一方針生検は穿刺吸引細胞診に比して使用する針が
太く、組織標本が直接採取されるため、良悪性診断の
みならず、組織型を含めた多くの病理学的情報を得るこ
とができる。
では、どんなときに穿刺吸引細胞診を行いますか?
乳腺穿刺吸引細胞診のよい適応は?
・
・
・
・
嚢胞性腫瘤か充実性腫瘤か迷うようなとき
濃縮嚢胞あるいは嚢胞性腫瘍かどうか迷うようなとき
小腫瘤病変で良性腫瘍か悪性腫瘍かを迷うようなとき
良性腫瘍の可能性が高いがそれを確かめたいとき
乳腺穿刺吸引細胞診の限界
穿刺吸引細胞診のみでは本来確定診断が困難な病変が
存在すること、すなわち細胞診の限界をわきまえておくこと
が重要である。
・
・
・
・
非浸潤癌と浸潤癌の区別は困難である。
非浸潤癌と異型過形成の区別は困難である。
乳頭状病変の良・悪性の鑑別、確定診断は困難である。
異型の軽い乳癌の診断は困難な場合がある。
乳頭腫
乳頭腫は全体として乳癌の軽い危険因子と推定されてい
る。
乳頭腫中にDCISが認められた場合は、乳頭腫の発生部
位近傍からの乳癌発生のリスクが明らかに増加する。
とくに末梢性乳頭腫は、しばしば異型乳管過形成やDCIS
(通常低悪性度)を伴うので注意を要する。
針生検や時には切開生検による
病理組織学的アプローチが必要
乳頭腫とその関連病変に対する
病理学的アプローチ
Intraductal papillary lesions
乳管内乳頭状病変
• WHO 第4版(2012年)
– 乳頭状(fibrovascular coreを伴う)組織構築を基準と
して独立した章として以下の腫瘍が分類された
• 本邦の乳癌取扱い規約には未収載
• micropapillary: 上皮が間質を伴わずに乳頭状増殖を示す
状態
– Intraductal papilloma
• Papilloma with ADH and DCIS
– Intraductal papillary carcinoma
– Encapsulated papillary carcinoma
– Solid papillary carcinoma
Papilloma with ADH/DCIS
WHO 第4版(2012年)
• 乳管内乳頭腫 Intraductal papilloma
– Central papilloma
– Peripheral papilloma
• 低異型度乳管内増殖病変
– 3mm 未満:Papilloma with ADH
– 3mm 以上:Papilloma with DCIS
• 中〜高度異型乳管内増殖病変
– DCIS within a papilloma
• 同一葉での発生
– DCIS は hormone receptor 陽性で low/intermediate grade
DCIS が多い
• Low grade metaplastic carcinoma が発生することもあり
– Fibromatosis-like metaplastic carcinoma, low grade adenosquamous
carcinoma
免疫染色の利用
• 形態観察とともに免疫染色の利用が重要
• 乳管内増殖病変(上皮細胞)
– Non-neoplastic
• ER: heterogenous 陽性陰性混在
• 高分子サイトケラチン(CK5/6等)陽性細胞混在
– 注意:アポクリン化生のときはどちらも消失
– Neoplastic
• ER: homogeneous, び慢性強陽性
• 高分子サイトケラチン(CK5/6等)陰性
• 筋上皮細胞の介在 p63 など
– 胞巣周囲での有無(浸潤性、非浸潤性)
– 乳頭間質での有無
Usual ductal hyperplasia (UDH)
UDH
CK5/6 (細胞質)+ p63(核) 免疫染色
UDH
ER(核) 免疫染色
Papilloma with DCIS
Papilloma with DCIS
CK5/6 + p63
ER
Papilloma with DCIS 辺縁
CK5/6 (細胞質)+ p63(核) 免疫染色
Intraductal papillary carcinoma
WHO 第4版(2012年)
• TDLU における管腔内の乳頭状構造を示す非
浸潤性癌
– 同義語:Papillary DCIS
• 拡張した乳管に乳頭状間質を伴った異型上
皮の増殖
• 筋上皮細胞は、定型的には乳頭状間質には
消失し、周囲には減少して残存
Encapsulated papillary carcinoma
• 同義語: intracystic papillary carcinoma,
encysted papillary carcinoma
• Fibrovascular core をおおう低〜中等度異型
腫瘍性上皮の増殖があり、周囲は線維性被
膜で囲まれる
– 通常は、乳頭間質、辺縁とも筋上皮細胞を欠く
– 筋上皮細胞を欠いていても線維性被膜を超えて
いなければ invasive carcinoma NSTとはしない
Solid papillary carcinoma
• 周囲へ圧排性充実性胞巣を形成する
fibrovascular core は繊細で不明瞭になる
• 神経内分泌分化をしばしば伴う
• 非浸潤性、浸潤性のどちらもあり
– 同義語 neuroendocrine DCIS
• 通常型浸潤癌を伴うことあり、粘液癌
(hypercellular variant)も生じる
Solid papillrary ca. (右下)と粘液癌(左上)との併発症例
Solid papillary carcinoma + 粘液癌
Solid papillary carcinoma (neuroendocrine DCIS)
p63+CK5/6 免疫染色
Solid papillary carcinoma + 粘液癌
chromogranin A 免疫染色
免疫組織学的所見
p63 筋上皮細胞
乳頭間質
高分子CK(CK5/6) ER, PgR
胞巣辺縁
papilloma
(+)
(+)
(+)
heterogenous
Papilloma with
ADH/DCIS
(+)
(+)
(+) papilloma
(-) ADH/DCIS
Heterogenous
(+) diffuse, strong
Papillary DCIS
(-)
(+)
(-)
(+) diffuse, strong
Encapsulated
papillary carcinoma
(-)
(-), (+)
(-)
(+) diffuse, strong
Solid papillary
carcinoma
(-)
(-), (+)
(-)
(+) diffuse, strong
WHO 第4版(2012年)から抜粋
まとめ(病理)
• 乳管内乳頭状病変について解説した
• WHO 第4版(2012年)から独立した章として収載され
た比較的新しい組織分類であり、乳頭腫と乳頭状癌と
の関連性、浸潤の定義など問題点は残るが、理解し
ておく必要がある
• 乳頭状=血管結合織の軸を伴う増殖
• 乳腺腫瘍性病変の多くは segment (葉)単位で起こる
– Sick lobe theory (Tibor Tot)
• 必ずしも定型的な症例ばかりではなく、免疫染色の併
用を考慮すべきで、筋上皮マーカー、高分子サイトケ
ラチン、ER、神経内分泌マーカーの実施が有用である
まとめ
小腫瘤が単発あるいは多発性に存在する場合の、臨床的、病理
学的なアプローチの仕方について、今回は乳頭腫やその関連病変
(papillloma with DCIS、encapsurated papillary cacinoma)の症例を提
示し、紹介、討議いただいた。
◆ 乳頭腫やその関連病変が疑われた場合、画像診断では良性・悪
性の鑑別が困難なことが多い。
◆ 乳頭状病変に対する穿刺吸引細胞診による良性・悪性の鑑別、
確定診断は困難なことが多い。
◆ 乳頭腫やその関連病変が疑われた場合には、針生検やときには
切開生検を行い、積極的な病理診断を行った方がよい。
◆ 乳管内乳頭状病変に対するWHO 第4版(2012年)の比較的新し
い組織分類を紹介し、病理学的なアプローチの仕方や考え方を述
べた。