要望書(PDF)

平成27年度農業施策関連予算等に関する
要 望 書
平成26年11月
北海道市町村農業農村振興対策協議会
要
旨
北海道の農業は、恵まれた自然と豊かな大地のもとで、
大規模で専業的な経営を主体に、我が国における食料の
安定供給や国土・環境の保全などの面で重要な役割を果
たしている。
しかし現在、担い手の減少や高齢化の進行など、多く
の課題が山積しており、農業を基幹産業とする地域の持
続的な発展のためには、それら課題の解決が急務となっ
ている。
こうした中、政府は、農業・農村全体の所得倍増を目
標に掲げる戦略を示しているが、今後講じられる施策の
もと、安全で良質な農畜産物を安定的に供給する本道農
業が、持続的に発展していけるよう、次の事項について
要望する。
平成26年11月
北海道市町村農業農村振興対策協議会
会 長
宮谷内
留 雄
1
地域農業の担い手・農地総合対策等の推進について
(1) 担い手支援の重点化
① 規模拡大、生産性・品質の向上等に取り組む主業的な農
業経営に対し、支援の重点化を図ること
②
経営体の労力負担の軽減や、機械・施設投資の抑制など
による経営の安定化を図るため、コントラクターやTMR
センター、酪農ヘルパー等、農作業受託組織の育成・確保
に向けた助成制度の充実を図ること
③
本道農業を支える中核的担い手として期待される農業生
産法人の経営安定化を図るため、経営の複合化や多角化に
向けた取り組みを支援すること
④
新規就農者に対する研修機会の充実・強化を図るととも
に、農畜産業機械等リースへの支援など、就農後の定着等
を推進する総合支援予算枠を確保すること
また、青年就農給付金については、必要な予算を確保す
るとともに、本道農業の経営実態や経営継承の時期の多様
性を踏まえ、受給要件を見直すこと
(2) 農地の集積・集約化の促進
① 農地中間管理事業について、地域における農地の集積や
集約化が円滑に行われるよう、必要な予算を確保すること
また、道内の経営実態に鑑み、売買による農地の規模拡
大に対しても交付金を創設すること
②
地方自治体が主体となって地域の実情に応じた土地利用
を実現できるよう、農地転用に係る許可権限を市町村に移
譲すること
③
農地流動化を促進するため、農地譲渡所得の特別控除額
を大幅に引き上げるなど、農地税制に係る特例措置の充実
を図ること
2
経営所得安定対策等の充実について
(1) 水田、畑作農業に対する支援の充実
経営所得安定対策の推進にあたっては、関連対策等を含め
た必要な予算枠の確保を図ること
(2) 水田農業の持続的振興
主業的な稲作農家の持続的営農を支援するため、主食用米
の消費拡大対策をはじめ、飼料用米、加工用米の生産に関連
する施策の充実を図ること
また、産地交付金の十分な予算措置を講じること
(3) 農業・農村の多面的機能を踏まえた直接支払の推進
① 多面的機能支払の実施にあたっては、地方負担に対して
十分に財政措置を講じること
②
環境保全型農業直接支援対策が円滑に実施されるよう、
地方負担に対して十分に財政措置を講じること
③
「中山間地域等直接支払制度」は、農業生産活動の維持
を通じた中山間地域等における多面的機能の確保などに大
きく寄与していることから、着実な推進を図ること
また、制度を円滑に推進するため、地方負担に対して十
分に財政措置を講じること
3
酪農・畜産対策等の推進について
(1) 酪農・畜産経営対策の充実
① 加工原料乳への仕向けが大きな比重を占める本道の酪農
・乳業の実態を十分に踏まえ、経営安定対策を充実させる
とともに、牛乳・乳製品の消費拡大対策を一層推進すること
また、多様な生乳取引により所得向上を図る酪農家につ
いても適切に支援すること
②
飼料価格の高止まりが続いていることから、畜種に応じ
た経営安定対策を推進すること
また、飼料自給率の向上に向けて、耕畜連携を推進する
とともに、飼料用稲栽培の低コスト化に向け試験研究を進
めること
(2) 家畜伝染病等の防疫体制の強化
① 口蹄疫やヨーネ病、高病原性鳥インフルエンザなどの家
畜伝染病のまん延防止のため、地方自治体が農家に助成す
る経費等に対し、十分に財政措置を講じること
②
4
BSEの感染原因を早期に究明し、死亡牛の適正処理や
飼料規制、特定危険部位の除去を中心としたBSE対策を維
持するとともに、必要な予算を確保すること
農業農村整備事業等の推進について
(1) 生産基盤整備の促進
農業農村整備事業は、農業生産力を支える重要な役割を担
っており、食料自給率の向上により一層貢献していくために
は、農地や農業水利施設の持つ機能を適正に発揮させる暗渠
排水、区画整理、土層改良、用排水施設及び草地基盤等の計
画的な整備が不可欠であることから、当初予算で必要な予算
を十分に確保を図ること
(2) 生産・流通システム等の整備に関する施策の充実
① 食料自給率の向上や農業所得の増大を図る上で、産地の
戦略的取り組みが重要であることから、消費者・実需者の
ニーズに対応した農産物の効率的・安定的な生産・流通シ
ステムを確立するため、施設等の整備に必要な施策を充実
させるとともに、予算の確保を図ること
②
本道の食産業が東アジア市場へ積極的に参入していくた
め、戦略的な物流基盤や輸出体制の強化を図ること
(3) 農村コミュニティ機能の維持・強化
福祉・教育・観光等と連携した都市と農村の交流を促進
し、農村活性化を推進するため、「都市農村共生・対流総合
対策交付金」について、採択地区数の拡大を図るための予算
を確保すること
5
農林漁業用軽油免税制度等の恒久化について
農林漁業用軽油免税制度等の恒久化
① 農業経営の自立化・安定化を図る観点から、農林漁業に
使用する軽油に係る軽油引取税の免税措置を恒久化すること
②
農林漁業用A重油に係る石油石炭税(地球温暖化対策の
ための課税の特例による上乗せ分を含む)の免除・還付措
置について恒久化すること
③
農林漁業用軽油に係る石油石炭税(地球温暖化対策のた
めの課税の特例による上乗せ分)の還付措置について恒久
化すること
6
農林水産物に関する貿易ルールの確立について
多様な農業の共存が可能となる貿易ルールの確立
① 国際貿易交渉にあたっては、「多様な農業の共存」を基
本理念として、日本提案の実現を目指すというこれまでの
基本方針を堅持し、食の安全・安定供給、食料自給率の向
上、国内農業・農村の振興などを損なわないよう対応する
こと
②
TPP協定交渉については、米や小麦、でん粉、甘味資
源作物、牛肉・豚肉、乳製品等の重要品目を関税撤廃の対
象から除外すること
また、本道農業・農村の持続的な発展に支障が生じると
見込まれる場合には、交渉から脱退するなど、万全の対応
を行うこと